Java ES システムサービスコンポーネントは、分散型エンタープライズアプリケーションをサポートするために必要なインフラストラクチャーサービスを提供します。次の各節で Java ES システムサービスコンポーネントについて説明します。
Sun Java System Access Manager (Access Manager) は、Web ベースのサービスおよび Web ベースでないアプリケーションを使用する顧客、従業員、およびパートナのデジタル ID の管理プロセスを、組織が管理するためのインフラストラクチャーを提供します。これらのリソースは内部および外部の広範なコンピューティングネットワークで利用される可能性があるため、ID ごとに属性、ポリシー、資格付与が定義および適用されて、これらのテクノロジへのアクセスが管理されます。
Java ES インストーラでは、Access Manager はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。必要に応じて、次の Access Manager サブコンポーネントは個別にインストールできます。
アイデンティティー管理およびポリシーサービスコア: これを使用すると、ユーザーのアイデンティティーを作成および管理したり、ユーザーのアイデンティティーに基づいて Java ES リソースへのアクセスを許可するためのポリシーを定義および評価したりできます。このサブコンポーネントには、Access Manager SDK と Delegated Administrator (「Sun Java System Delegated Administrator 6 2005Q4」を参照) サブコンポーネントも含まれます。
Access Manager SDK: Access Manager へのリモートインタフェースを提供します。このサブコンポーネントは、Access Manager にリモートアクセスする Java ES コンポーネントをホストするすべてのコンピュータ上にインストールする必要があります。
Access Manager 管理コンソール: アイデンティティーサービスとポリシー管理を統合したグラフィカルインタフェースで、ユーザーが Directory Server でユーザーアカウント、サービス属性、アクセス規則を作成、管理するための単一インタフェースとなります。
連携管理の共有ドメインサービス: ユーザーは、複数の関連するサービスプロバイダが提供するアプリケーションに単一の ID でアクセスできます。
Sun Java System Application Server (Application Server) は、アプリケーションサービスと Web サービスを開発および配備に使用する J2EE 互換プラットフォームを提供します。Application Server は、リモートメソッドの呼び出しやその他の実行時サービスなど、密接に結合された分散型コンポーネント間で行われる対話用のインフラストラクチャーサービスを提供します。
Java ES インストーラでは、Application Server はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。必要に応じて、次の Application Server サブコンポーネントは個別にインストールできます。
ドメイン Administration Server: Application Server の管理や設定、また J2EE コンポーネントおよびアプリケーションの配備などのサーバー側の管理機能を提供します。
Application Server 管理クライアント: Application Server インストールおよびホストされたアプリケーションの管理および設定を可能にする、グラフィカルな管理クライアントを提供します。管理クライアントは、アプリケーションの配備も支援します。
コマンド行管理ツール: Application Server インストールおよびホストされたアプリケーションの管理および設定を可能にする、コマンド行管理クライアントを提供します。このツールは、アプリケーションの配備も支援します。
ロードバランスプラグイン。
PointBase: 持続的なオペレーションに使用できる組み込みデータベースを提供します。
アプリケーションのサンプル。
Sun Java System Calendar Server (Calendar Server) は、企業およびサービスプロバイダ向けの一元化されたカレンダ機能およびスケジュール機能に使用される、スケーラブルな Web ベースのソリューションです。Calendar Server は、個人およびグループのカレンダ機能に加え、会議室や機器などのリソースのカレンダ機能をサポートします。
Java ES インストーラでは、Calendar Server はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。
Sun Java System Directory Server (Directory Server) は、イントラネット、ネットワーク、およびエクストラネットの情報に対する、一元化されたディレクトリサービスを提供します。Directory Server は既存のシステムに統合され、従業員、顧客、仕入先、およびパートナ企業の情報を統合化に対応した集中的リポジトリとして機能します。Directory Server を拡張することで、ユーザーのプロファイルや設定情報、およびエクストラネットのユーザー認証を管理できます。
Java ES インストーラでは、Directory Server はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。
Sun Java System Instant Messaging (Instant Messaging) を使用すると、エンドユーザーがインスタントメッセージングやチャットセッションに参加したり、互いにアラートメッセージを送信したり、グループのニュースをすぐに共有したりできます。Instant Messaging は、イントラネットとインターネットの両方に適しており、ほかのインスタントメッセージングプロバイダとの対話をサポートします。
Java ES インストーラでは、Instant Messaging はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。次の Instant Messaging サブコンポーネントは個別にインストールできます。
Instant Messaging サーバーコア: サーバーおよびマルチプレクサソフトウェアが含まれます。
Instant Messaging リソース。
Access Manager Instant Messaging サービス。
Sun Java System Message Queue (Message Queue) は、アプリケーション間通信および信頼性の高いメッセージ配信の問題に対する、標準ベースのソリューションです。Message Queue は、JMS (Java Message Service) オープン標準を実装した企業向けのメッセージングシステムです。
Message Queue の機能は、JMS プロバイダであることに加え、JMS 仕様の最小要件を満たしています。Message Queue ソフトウェアを使用することで、異なるプラットフォームおよびオペレーティングシステム上で稼動するプロセスが共通の Message Queue サービスに接続して、情報を送受信できます。アプリケーション開発者は、ネットワーク間の通信方法に関する低レベルの詳細に注意を奪われることなく、アプリケーションのビジネスロジックに集中して作業を行うことができます。
Message Queue には、次の 2 つのエディションがあります。
Enterprise Edition (デフォルト): マルチブローカのメッセージサービス、HTTP および HTTPS 接続、セキュリティー保護されたスケーラブルな接続、クライアント接続のフェイルオーバー、およびクライアントの C 言語対応に対するサポートを提供します。このエディションは、大規模な本稼動環境でのメッセージングアプリケーションの配備および実行に適しています。
Platform Edition: 基本的な JMS サポートを提供し、小規模な配備および開発環境に適しています。
Java ES インストーラでは、Message Queue Enterprise Edition および Message Queue Platform Edition は個別にインストール可能なコンポーネントとして提供されます。
Sun Java System Messaging Server (Messaging Server) は、企業とサービスプロバイダの両方に対応した、強力な標準ベースのインターネットメッセージングサーバーです。Messaging Server は、大容量かつ信頼性の高いメッセージ処理を目的として設計されていて、複数のモジュール (複数の電子メールプロトコルをサポートする個別に設定可能なコンポーネント) から構成されます。
Java ES インストーラでは、Messaging Server はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。ただし、インストール後、いくつでも異なるメッセージングサービス、つまり次の Messaging Server サブコンポーネントセットを提供するように各 Messaging Server インスタンスを設定できます。
メッセージストア: メッセージを格納および取得する機能を提供します。
Message Transfer Agent (MTA): SMTP 接続による電子メールの送信、電子メールのルーティング、および適切なメッセージストアへのメッセージの配信をサポートします。電子メールを内部ストレージ (着信) または外部メールストア (発信) に配信するように設定できます。
Message Multiplexor (MMP): IMAP または POP のいずれかのプロトコルを使用して、メッセージストア (またはストアのセット) の電子メールクライアントにアクセスすることにより電子メールの取得をサポートします。
Message Express Multiplexor (MEM): Web ベースの (HTTML) 電子メールクライアントによる電子メールの取得および送信をサポートします。
Sun Java System Portal Server (Portal Server) は、アイデンティティーに対応したポータルサーバーソリューションです。Portal Server はパーソナル化、集約、セキュリティー、統合、検索などの主なポータルサービスを組み合わせます。Portal Server のサブコンポーネントであるモバイルアクセスは、携帯電話や携帯情報端末などのモバイルデバイスから Portal Server へのワイヤレスアクセスを可能にします。
Java ES インストーラでは、モバイルアクセスを含む Portal Server はインストール可能な単一コンポーネントとして提供されます。
Sun Java System Service Registry (Service Registry) は、Web サービス (UDDI) レジストリとしても、エンタープライズビジネス XML (ebXML) レジストリとしても機能するリポジトリであり、Web ベースのサービス指向アーキテクチャー (SOA) アプリケーションをサポートします。UDDI レジストリは、 Web サービスの登録と検索に使用され、ebXML レジストリは、ビジネスプロセス統合のサポートに必要な情報アーティファクトの格納および管理に使用されます。これらのアーティファクトには、XML スキーマ、ビジネスプロセスルール、Web サービスアクセス制御、バージョン管理、分類スキーマなどのメタデータが含まれます。
Sun Java System Web Server (Web Server) は、マルチプロセスとマルチスレッドに対応するセキュリティー保護された Web サーバーであり、オープン標準に基づいて構築されています。Web Server は、高いパフォーマンス、信頼性、スケーラビリティー、および管理能力を、あらゆる規模の企業に対して提供します。Web Server は、JDK 1.4.1、Java Servlet 2.3、JavaServer PagesTM (JSPTM) 1.2、HTTP/1.1、PKCS #11、FIPS-140、168 ビットステップアップ証明書、その他のさまざまなセキュリティーベース標準など、広範な Web ソフトウェア標準がサポートします。
Java ES インストーラでは、Web Server はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。