この節では、Messaging Server の設定を更新するために、特殊なアップグレードファイルを作成する方法を説明します。
アップグレードユーティリティーを実行して Messaging Server 5.2 を 6 に移行する前に、まず Perl スクリプト UpgradeMsg5toMsg6.pl を実行する必要があります。このスクリプトは msg_svr_base/sbin にあります。
UpgradeMsg5toMsg6.pl は、5.2 設定ファイルを Messaging Server 6 設定ファイルと比較し、設定ファイルごとに、*.CHANGES ファイルと *.MERGED ファイルの 2 セットを作成します。
*.CHANGES ファイルと *.MERGED ファイルは、ワークスペースディレクトリ /var/tmp/UpgradeMsg5toMsg6.ScratchDir 内に生成されます。
*.CHANGES ファイルは、Messaging Server 5.2 と Messaging Server の現在のバージョンの間の、設定ファイルの重要な相違点を示します。このファイルでは、Messaging Server でのみ見つかった設定エンティティー、Messaging Server の現在のバージョンでは廃止された Messaging Server 5.2 の設定エンティティー、および Messaging Server 5.2 でのみ見つかった設定エンティティーを特に示しています。すべての *.CHANGES ファイルが設定ファイルのバージョン間の相違点を示すわけではなく、また、すべての設定ファイルが *.CHANGES ファイルを生成するわけではありません。
*.MERGED ファイルは、Messaging Server 5.2 と Messaging Server の現在のバージョンの設定値と設定を統合したものです。一般に次のどちらかの場合に、Messaging Server 5.2 の設定パラメータ値は、Messaging Server の現在のバージョンでも保持されます。
Messaging Server の現在のバージョンにデフォルト値がない場合。
5.2 の設定で指定した値がデフォルト値ではない場合。
表 2–1 で、*.MERGED または *.CHANGES ファイルを生成する設定ファイルのリストを示します。
表 2–1 *.MERGED または *.CHANGES ファイルを生成する Messaging Server 設定ファイル
設定情報 |
説明 |
*.MERGED ファイルを生成 |
*.CHANGES ファイルを生成 |
---|---|---|---|
job_controller.cnf |
ジョブコントローラファイル |
X |
X |
変換 |
変換ファイル |
X |
|
channel_option。channel は SMTP チャネル |
SMTP チャネルオプションファイル |
X |
|
native_option |
ネイティブチャネルのオプションファイル (channel_option の例外) |
X |
X |
channel_headers.opt。channel は SMTP チャネル |
ヘッダーオプションファイル |
X |
|
dispatcher.cnf |
ディスパッチャーファイル |
X |
X |
imta_tailor |
テイラーファイル |
X |
X |
option.dat |
グローバルな MTA オプションファイル |
X |
X |
エイリアス |
エイリアスファイル |
X |
|
imta.cnf |
MTA 設定ファイル。組み込み参照 (ファイルディレクトリの場所など) のみが変更されます。書き換え規則およびチャネル設定は、5.2 の設定が保持されます。imta.cnf ファイルに LMTP を含めるには、LMTP 情報を Messaging Server 6 の imta.cnf ファイルからコピーします。 |
X |
場合によっては、*.CHANGES ファイルが生成されることがあります。 |
マッピング |
マッピングファイル |
X |
|
mappings.locale |
ローカライズされたマッピングファイル |
X |
|
internet.rules |
インターネットルールの設定ファイル |
X |
|
backup-groups.conf |
バックアップグループ定義 |
X |
X |
configutil |
local.conf および msg.conf 設定ファイルにある設定パラメータの変更。 |
|
X |
UpgradeMsg5toMsg6.pl を実行して、設定の更新に使用できるファイルのセットを作成するには、次の手順に従います。
この時点で、5.2 と Messaging Server の現在のバージョンの両方を実行することができます。
Messaging Server 5.2 と 6 バージョンが同じマシン上にある場合は、手順 2 から始めてください。
Messaging Server 5.2 および 6 バージョンが同じマシン上にない場合は、Messaging Server 5.2 のserver-root ディレクトリを転送、抽出して、Messaging Server の現在のバージョンにコピーします。
これらのサーバーバージョンが同じマシン上にインストールされている場合は、この手順は省くことができます。
メッセージストアがシステム間で転送するには大きすぎる場合は、サーバーインスタンスの不可欠な部分だけを新しいシステムに転送することができます。UpgradeMsg5toMsg6.pl には、この詳細を説明したコメントが含まれています。
Messaging Server 5.2 のストアデータを Messaging Server 6 2005Q4 システムにコピーする必要はありません。ただし、アップグレードプロセス中に Messaging Server 5.2 の mboxlist ディレクトリがアクセス可能であることを確認する必要があります。
UpgradeMsg5toMsg6.pl アップグレードスクリプトを実行します。
デフォルトでは、このスクリプトは msg_svr_base/sbin にあります。
5.2 バージョンの msg-instance と Messaging Server の現在のバージョンの msg_svr_base に対して、このスクリプトを実行します。次に例を示します。
perl UpgradeMsg5toMsg6.pl /usr/sunone/server5/msg-budgie \ /opt/SUNWmsgsr |
ここで、/usr/sunone/server5/msg-budgie は 5.2 Messaging Server の msg-instance で、/opt/SUNWmsgsr は Messaging Server の現在のバージョンの msg_svr_base です。
*.MERGED ファイルと *.CHANGES ファイルが作成されます (「アップグレードファイルについて」を参照)。
設定を調整する必要があるかどうかを判断するために、*.MERGED ファイルをよく確認してください。
推奨されている設定を使用しない場合は、設定を手動で調整する必要があります。
このユーティリティーは、Messenger Express カスタマイズファイルを更新しません。そのため、Messaging Server 5.2 の関連情報を保持しながら Messaging Server の現在のバージョンの新情報を追加するには、これらのファイルを手動で変更する必要があります。