Sun N1 Service Provisioning System ユーザーズガイド (OS Provisioning Plug-In 3.0)

第 1 章 OS プロビジョニングの概要

オペレーティングシステム (OS) プロビジョニングプラグインを使用すると、以前にアンインストールが行われたシステム、あるいは現在稼働中のシステムに Solaris、Linux、および Windows オペレーティングシステムをプロビジョニングできます。このプラグインは、異機種システム混在プラットフォームでの OS プロビジョニングを自動化して構成するソリューションを提供します。またプラグインには、インストールの履歴とバージョンを追跡する機能もあります。

この章では、次の項目について説明します。

OS プロビジョニングの概要

OS プロビジョニングプラグインソリューションは、「ベアメタル」ハードウェアにオペレーティングシステムをプロビジョニングするコストと複雑さを軽減します。このソリューションは、ハードウェアの再配置を必要とせず、オペレーティングシステムのインストールに関する、手作業のエラーが発生しやすい処理を自動化します。プラグインソリューションは 1 つのシャーシまたはシステムのレベルでのプロビジョニングを自動化するだけでなく、データセンターのプロビジョニングも自動化します。このソリューションにより、システム管理者と一般ユーザーにとっては、配備の柔軟性が高くなります。このソリューションを使用すると、市販のソフトウェアを使用する日常的なシステム管理作業を自動化できます。配備するハードウェア、オペレーティングシステム、または基本テクノロジに関係なく、プロビジョニングプロセスは同じようなプロセスになります。

OS プロビジョニングプラグインソリューションは N1 Service Provisioning System (N1 SPS) 製品に基づいています。N1 SPS 製品は、一連のコマンド行ツールとグラフィカルユーザーインタフェースを提供しています。プロビジョニングソフトウェアツールにより、ネットワーク上に分散しているベアメタルハードウェアのオペレーティングシステムのプロビジョニングがより容易に行えるようになります。このアプローチを使用することで、オペレーティングシステムのプロビジョニング作業を、ネットワーク上で使用可能なそのほかのソフトウェアサービスと全く同じようなサービスと見なすことができます。OS プロビジョニング機能は、Web ブラウザまたはコマンド行から起動できます。

システム管理者は、必要なオペレーティングシステムを、サーバーに接続することなく自動的にサーバーにプロビジョニングできます。ほとんどの環境において、OS プロビジョニングプラグインソリューションでは、ターゲットシステムのプロンプト (OBP など) でコマンドを入力したり、電源スイッチのオン/オフを行なったりする必要はありません。この自動化された手作業の不要なインストールは、何百台というマシンにインストールしようとする管理者にとって、非常に便利です。そのため、ホストから要求を開始するのではなく、集中管理された位置からホストにオペレーティングシステムを展開できます。

OS プロビジョニングプラグインソリューションは優れたインフラストラクチャーソフトウェアプロビジョニングソリューションを提供するだけでなく、インストール履歴の追跡、アーカイブ、バージョン管理などの幅広いプロビジョニングの問題にも対処します。このソリューションは、イメージのライフサイクル管理とサーバーのライフサイクル管理の両方に対処します。このソリューションは、さまざまなオペレーティングシステムのインストールメカニズムの複雑さを抽象化することによって、共通のオペレーションフローを提供します。

機能

OS プロビジョニングプラグインは、N1 SPS のブラウザインタフェースとコマンド行インタフェースを通じて、次の機能を提供します。

プロビジョニングプロセスの概要

オペレーティングシステム (OS) プロビジョニングは、特定のオペレーティングシステムを複数のホストにインストールする作業です。このプロセスは、次のような複数のハイレベルな手順から構成されています。

  1. OS プロビジョニングをサポートするようにハードウェアを構成する。推奨される適切な構成と要件の詳細については、「サポートされるシステム」および 第 3 章「OS プロビジョニングの配備環境」で説明しています。

  2. 「OS プロビジョニングプラグインのインストール」で説明されているように、OS プロビジョニングプラグインをインストールする。

  3. 「OS プロビジョニングサーバーの作成」で説明されているように、OS プロビジョニングサーバーを作成する。

  4. プロビジョニング対象の適切なターゲットホストを定義する。第 9 章「OS プロビジョニング用ターゲットホスト」を参照してください。

  5. ターゲットホストに適切なオペレーティングシステムをプロビジョニングする。第 5 章「Solaris オペレーティングシステムのプロビジョニング」第 6 章「RedHat Linux オペレーティング環境のプロビジョニング」第 7 章「SUSE Linux オペレーティング環境のプロビジョニング」、および第 8 章「Windows オペレーティング環境のプロビジョニング」を参照してください。

OS プロビジョニングシステムソフトウェアのアーキテクチャー

OS プロビジョニングプラグインは、IPMI、ALOM、RSC、LOM、ILO、SC、および Telnet などの異なるプロトコルをサポートするさまざまなターゲットホストに、異種オペレーティングシステムをプロビジョニングするフレームワークを提供します。

ソフトウェアアーキテクチャーの全体像

次の図に、OS プロビジョニングプラグインに使用される機能コンポーネントを示します。次の図では、N1 SPS マスターサーバーがファイアウォールの外部にあり、そのほかのコンポーネントがファイアウォールの内部にあると仮定しています。OS プロビジョニングサーバーは、サブネット、VLAN などから構成されるネットワークレイヤー 2 接続をユーザーが設定すると仮定しています。すべてのネットワーク情報は OS プロビジョニングサーバーに登録されます。

図 1–1 ソフトウェアアーキテクチャー図

フローチャートは OS プロビジョニングソフトウェアのアーキテクチャーを説明しています。文章による説明は、以降の節を参照してください。

この図では、OS プロビジョニングコンポーネント間の関係を説明しています (用語は多少省略して使用)。

ネットワークプロトコル

OS プロビジョニングプラグインは次のネットワークプロトコルを使用します。

サポートされるシステム

OS プロビジョニングプラグインソリューションは、オペレーティングシステムとハードウェアプラットフォームのマトリックスをサポートしています。このサポートは次のいくつかのカテゴリに分類されます。

システムコンポーネント

次の表に、OS プロビジョニングに使用されるシステムコンポーネントを示します。

表 1–1 OS プロビジョニングシステムコンポーネント

サーバー 

N1 SPS コンポーネント 

OS プロビジョニングコンポーネント 

マスターサーバー 

N1 SPS マスター、エージェント、および CLI 

OS プロビジョニングプラグイン 

OS プロビジョニングサーバー 

N1 SPS RA および CLI 

OS プロビジョニングサービス 

Solaris JET サーバー 

N1 SPS RA および CLI 

OS プロビジョニングのブートおよびインストールサービス (BIS) 

Linux Kickstart サーバー 

N1 SPS RA および CLI 

OS プロビジョニングのブートおよびインストールサービス (BIS) 

Windows RIS サーバー 

N1 SPS RA 

OS プロビジョニングのブートおよびインストールサービス (BIS) 

OS プロビジョニングコンポーネント

次の表に、プロビジョニングコンポーネントと、オペレーティングシステムに対するプロビジョニングコンポーネントの関係を示します。

表 1–2 オペレーティングシステムによる OS プロビジョニングコンポーネント

OS プロビジョニングコンポーネント 

ホストのオペレーティングシステム 

OS プロビジョニングプラグイン 

Solaris 8 (SPARC のみ)、Solaris 9 (SPARC および x86)、Solaris 10 (SPARC および x86)、RedHat AS 2.1、RedHat AS 3.0、RedHat AS 4.0、Microsoft Windows Server 2000 

OS プロビジョニングサービス 

Solaris8 (SPARC のみ)、Solaris 9 (SPARC および x86)、Solaris 10 (SPARC および x86)、RedHat AS 3.0 (32 および 64 ビット)、RedHat AS 4.0 (32 および 64 ビット) 

Solaris ブートおよびインストールサーバー 

Solaris 9 (SPARC および x86)、Solaris 10 (SPARC および x86) 

Linux ブートおよびインストールサーバー 

RedHat AS 3.0 (32 および 64 ビット)、RedHat AS 4.0 (32 および 64 ビット) 

Windows ブートおよびインストールサーバー 

Microsoft Windows 2003 Standard および Enterprise Editions 32 ビット (Service Pack 1 をサポート) 

ブートおよびインストールサーバー

次の表に、各オペレーティングシステムに適用されるプロビジョニングテクノロジを示します。

表 1–3 オペレーティングシステムによる OS プロビジョニングテクノロジ

オペレーティングシステム 

プロビジョニングテクノロジ 

Solaris 

JET を介したカスタム JumpStart 

RedHat Linux 

Kickstart 

SUSE Linux 

AutoYaST 

Microsoft Windows 2003 Server Enterprise Edition 32 ビット (Service Pack 1 をサポート) 

Remote Installation Service (RIS) 

ターゲットホストのハードウェアプラットフォーム

サポートされるターゲットホストは、ホストがサポートするプロトコルにより区別されます。サポートされるプラットフォームと関連付けられるターゲットホストタイプの詳細なリストについては、「ターゲットホストタイプ」を参照してください。

ターゲットホストのオペレーティングシステム

OS プロビジョニングプラグインは、次のオペレーティングシステムをプロビジョニングできます。

OS プロビジョニングプラグイン用のサンプルコマンド行スクリプト

N1 SPS 5.2 DVD の /plugins/com.sun.n1osp/SampleClis ディレクトリに、サンプル CLI スクリプトファイルがあります。それらのスクリプトは、次のようなさまざまなタスクを実行します。

これらのサンプルスクリプトは、実際の環境に固有の CLI コマンドを実行する際の参考にできます。


注 –

また、Sun では、サンプルスクリプトをサポートしていません。実際の環境に応じて、サンプル内のコマンドおよび引数を自分で編集する必要があります。