Solaris 9 ご使用にあたって (SPARC 版)

アップグレードに関する注意事項とバグ情報

旧リリースの Solaris がインストールされているシステムを、Solaris 9 にアップグレードする場合の注意事項とバグについて説明します。

Solaris 9 オペレーティング環境に、SUNWsan がインストールされていると Storage Area Network (SAN) にアクセスできない

使用している Solaris 8 システムが、 Storage Area Network (SAN) に接続されている場合、Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードする前にサポートエンジニアに確認してください。SUNWsan がインストールされている Solaris 8 システムを、Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードするには特別な手順が必要なことがあります。システムに SUNWsan パッケージがインストールされているかどうかを確認するには、端末ウィンドウで次のコマンドを入力します。


# pkginfo SUNWsan

SUNWsan パッケージがインストールされていると、次の情報が表示されます。


	system      SUNWsan       SAN Foundation Kit

Solaris suninstallプログラムによるアップグレードでのロケール選択

Solaris 8 から、インストールするロケールを選択する機構が変更されました。このため、Solaris suninstallプログラムを使用して Solaris 8 より前のシステムを Solaris 9 へアップグレードすると、既存システムのインストール時に明示的にインストールしなかったロケールが「地域の選択」画面で自動的に選択されます。これは、既存システムのインストール時に明示的に指定していないロケールのソフトウェアが、暗黙のうちにインストールされていたためです。

既存システムのインストール時にインストールするロケールとして明示的に指定しなかったロケールが含まれている地域を、「地域の選択」画面で選択解除することができます。余分なロケールをそのまま選択解除せずにアップグレードを行なっても問題はありません。アップグレードしたシステムには、アップグレード前と同じレベルのロケール環境がサポートされます。ただし、既存のシステムに明示的にインストールしたロケールは、「地域の選択」画面で削除することはできません。

旧バージョンの Solaris Management Consol ソフトウェア は Solaris 管理コンソール (Management Console) 2.1 ソフトウェアと互換性がない

Solaris Management ConsoleTM 1.0、1.0.1、1.0.2 のいずれかのソフトウェアがインストールされた状態で Solaris 9 オペレーティング環境およびその互換バージョンにアップグレードする場合は、アップグレードの前に Solaris Management Console ソフトウェア をアンインストールする必要があります。Solaris 管理コンソール (Management Console) 2.1 ソフトウェアは、旧バージョンの Solaris Management Console 1.0、1.0.1、1.0.2 ソフトウェア と互換性がありません。システムに SEAS 2.0、SEAS 3.0、Solaris 8 Admin Pack のいずれかがインストールされていると、Solaris Management Console ソフトウェア が終了することがあります。

回避方法 : 次のいずれかを実行してください。

Solaris 8 オペレーティング環境からアップグレードすると、冗長な Kerberos プライバシ機構が作成される (バグ ID: 4672740)

Solaris 9 オペレーティング環境では、Kerberos Version 5 グローバル機構はプライバシサポートを含んでおり、Kerberos ドメスティック機構は必要ありません。Kerberos ドメスティック機構 (/usr/lib/gss/do/mech_krb.so.1 にある) を Solaris 8 システムにインストールしている場合、システムを Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードする前に、Kerberos ドメスティック機構を削除することをお勧めします。

回避方法: Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードする前に、次の手順に従ってください。

  1. 次のコマンドを入力して、Kerberos ドメスティック機構がシステムにインストールされているかどうかを確認します。


    % pkginfo | fgrep ' SUNWk5'
    
    • このコマンドの出力に SUNWk5 で始まるパッケージ名が含まれる場合、Kerberos ドメスティック機構はシステムにインストールされています。手順 2 に進んでください。

    • このコマンドの出力に SUNWk5 で始まるパッケージ名が含まれていない場合、Kerberos ドメスティック機構はインストールされていません。残りの手順を省略して、システムをアップグレードしてください。

  2. 次のコマンドを入力して、/etc/nfssec.conf/etc/gss/qop ファイルをバックアップします。


    % tar -cf /var/tmp/krb_config_files.tar /etc/nfssec.conf /etc/gss/qop
    
  3. 次のコマンドを入力して、ファイルがバックアップされていることを確認します。


    % tar -tf /var/tmp/krb_config_files.tar
    
  4. 手順 1 の出力に含まれていた各パッケージを削除します。


    % pkgrm package-name package-name package-name
    
  5. Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードします。

    アップグレードプログラムは Kerberos グローバル機構コードを更新して、Kerberos プライバシサポートを有効にします。

  6. テキストエディタで、/etc/gss/mech ファイルの次の行を変更します。

    • 次の行のコメントを解除します。


      kerberos_v5     1.2.840.113554.1.2.2    gl/mech_krb5.so gl_kmech_krb5
      

      必要であれば、上記行を /etc/gss/mech ファイルに追加します。

    • 次の行を削除します。


      kerberos_v5     1.2.840.113554.1.2.2    do/mech_krb5.so do_kmech_krb5
      
    • 次のコマンドを入力して、/etc/nfssec.conf ファイルと /etc/gss/qop ファイルを復元します。


      % tar -xf /var/tmp/krb_config_files.tar
      

Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードすると既存の Secure Shell デーモン (sshd) が使用できなくなることがある (バグ ID: 4626093)

/etc/init.d/sshd デーモンから他社の Secure Shell (OpenSSH など) を実行しているシステムの場合、Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードすると、既存の Secure Shell デーモンが使用できなくなります。アップグレード時に、Solaris 9 のアップグレードソフトウェアが、Solaris 9 の sshd/etc/init.d/sshd の内容を上書きし、既存の sshd が失われます。

回避方法 : 次のいずれかを実行してください。

/export が満杯に近いシステムのアップグレードが失敗する (バグ ID: 4409601)

/export ディレクトリの空き容量がゼロに近い状態で、システムを Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードしようとすると、/export ディレクトリ容量の必要条件の計算に誤りが発生するため、アップグレードに失敗します。この問題は、ディスクレスクライアントがインストールされているか、/export ディレクトリに他社製のソフトウェアがインストールされている場合によく発生します。次のエラーメッセージが表示されます。


WARNING: Insufficient space for the upgrade.

回避方法 : アップグレードの前に、次のいずれかを実行してください。

ディスクレスサーバーおよびディスクレスクライアントのアップグレード (バグ ID: 4363078)

現在のシステムが、AdminSuiteTM 2.3 の Diskless Client ツールによってインストールされたディスクレスクライアントをサポートしている場合、既存のディスクレスクライアントのうち、サーバーと同じ Solaris バージョンで同じアーキテクチャのものをすべて先に削除しておく必要があります。そのあとで、Solaris 9 オペレーティング環境をインストールするか、または Solaris 9 オペレーティング環境にアップグレードします。具体的な手順については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』 を参照してください。

ディスクレスクライアントを削除せずに Solaris 9 をインストールしようとすると、次のようなエラーメッセージが出力されます。


The Solaris Version (Solaris 7) on slice <xxxxxxxx> cannot be upgraded. 
There is an unknown problem with the software configuration installed 
on this disk.
 
 
 
スライス <xxxxxxxx> 上の Solaris のバージョン (Solaris 7) が
アップグレードできません。ディスク上にインストールされたソフトウェア構成に
未知の問題があります。

このエラー メッセージの version-number は、現在、システムで稼働している Solaris のバージョンを表します。<xxxxxxxx> は、このバージョンの Solaris オペレーティング環境を実行しているスライスです。

Web-Based Enterprise Management (WBEM) データ消失防止のための JavaSpaces データストアのアップグレード (バグ ID: 4365035)

Solaris 8 、Solaris 8 6/00、 Solaris 8 10/00 オペレーティング環境のいずれかのオペレーティング環境から Solaris 9 オペレーティング環境 (Solaris WBEM Services 2.5) にアップグレードする場合は、Managed Object Format (MOF) 形式の重要なデータは、Solaris WBEM Services 2.5 で使用されている新しい Reliable Log レポジトリ形式に変換してください。この変換を行わないと、データが失われてしまいます。

WBEM データの具体的な変換手順については、『Solaris WBEM Services の管理』の「CIM Object Manager Repository のアップグレード」を参照してください。

アップグレードを行うと、システムのデフォルトロケールが正しく設定されない (バグ ID: 4233535)

Solaris 9 へのアップグレードを行うと、アップグレード時に設定したデフォルトロケールがシステムのデフォルトロケールに正しく設定されない場合があります。

Solstid 9 Software 1 of 2 CD を使用したアップグレードの場合、Solaris 9 SOFTWARE 1 of 2 CD の インストールの終了後、自動ブートしたシステムが英語環境で起動し、SOFTWARE 2 of 2 CD および LANGUAGES CD のインストール画面が英語で表示されることがあります。

回避方法 : アップグレード終了後、システムのデフォルトロケールを /etc/default/init ファイルの LANG 環境変数に設定してください。

日本語フォントディレクトリに、古いフォント設定ファイルが残ってしまう (バグ ID: 4525236)

Solaris 8 および Solaris 9 Beta/Beta Refresh から Solaris 9 へアップグレードを行うと、アップグレードログに以下のようなメッセージと共に、古いフォント設定ファイル(ファイル末尾に :8 が付く) が残ります。

パッケージ SUNWjxcft を削除中 :

Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.upr
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.scale
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.alias
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.upr
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.scale
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.alias

回避方法 : 古いフォント設定ファイルは削除してください。


# cd /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.upr:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.scale:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.alias:8
# cd /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.upr:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.scale:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.alias:8