Solaris のシステム管理 (基本編)

リムーバブルメディアのフォーマットの概要

rmformat コマンドは、スーパーユーザー以外で使用できるユーティリティであり、書き込み可能なリムーバブルメディアのフォーマットや保護に使用できます。rmformat コマンドには、次の 3 つのフォーマットオプションがあります。

リムーバブルメディアのフォーマットのガイドライン

リムーバブルメディアをフォーマットするときは、次のことに留意してください。

リムーバブルメディアのハードウェア面での考慮事項

この節では、リムーバブルメディアのハードウェアの面で考慮すべき事項について説明します。

フロッピーディスクのハードウェア面での考慮事項

フロッピーディスクをフォーマットするときは、次のことに注意してください。

Solaris システムは、Solaris システム用と DOS システム用にフロッピーディスクをフォーマットできます。ただし、ハードウェアプラットフォームによっていくつかの制限があります。次の表に、これらの制限がまとめてあります。

プラットフォームの種類 

フロッピーディスクのフォーマット仕様 

SPARC システム 

UFS 用 

 

MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 

 

UDFS 用 

IA システム 

UFS 用 

 

MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 

 

UDFS 用 

UFS 用にフォーマットされたフロッピーディスクは、それらがフォーマットされたハードウェアプラットフォームに制限されます。つまり、SPARC システムでフォーマットされた UFS フロッピーディスクは、IA システム上の UFS には使用できません。IA システム上でフォーマットされたフロッピーディスクの場合も同様です。これは、SPARC と IA とでは UFS フォーマットが異なるためです。SPARC はリトルエンディアンによるビットコーディング、IA はビッグエンディアンによるビットコーディングを採用しています。

SunOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、SunOS ファイルシステムをサポートするための構造からなります。DOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、MS-DOS または NEC-DOS のどちらかのファイルシステムをサポートする構造からなります。フロッピーディスクを準備するために必要な手順は、ファイルシステムによって異なります。したがって、フロッピーディスクをフォーマットする前には、どの作業が必要かを決めてください。詳細については、「リムーバブルメディアのフォーマット (作業マップ)」を参照してください。

Solaris システム (SPARC または IA のどちらか) では、次の密度でフロッピーディスクをフォーマットできます。

フロッピーディスクのサイズ 

フロッピーディスクの密度 

容量 

3.5" 

高密度 (HD) 

1.44M バイト 

3.5" 

倍密度 (DD) 

720K バイト 

デフォルトで、フロッピーディスクドライブは、それに近い密度にフロッピーディスクをフォーマットします。つまり、デフォルトでは、1.44M バイトのドライブは、フロッピーディスクが実際に 1.44M バイトのフロッピーディスクかどうかに関係なく、特に指示しないかぎり、そのフロッピーディスクを 1.44M バイト用にフォーマットしようとします。言い換えれば、フロッピーディスクもドライブも、その容量以下にフォーマットすることは可能です。

PCMCIA メモリーカードのハードウェア面での考慮事項

Solaris システムは、Solaris システム用と DOS システム用に PCMCIA メモリーカードをフォーマットできます。ただし、ハードウェアプラットフォームによっていくつかの制限があります。次の表に、これらの制限がまとめてあります。

プラットフォームの種類 

PCMCIA メモリーカードのフォーマット仕様  

SPARC システム 

UFS 用 

 

MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 

IA システム 

UFS 用 

 

MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 

UFS 用にフォーマットされた PCMCIA メモリーカードは、それらがフォーマットされたハードウェアプラットフォームに制限されます。つまり、SPARC システムでフォーマットされた UFS PCMCIA メモリーカードは、IA システム上の UFS には使用できません。同様に、IA システムでフォーマットされた PCMCIA メモリーカードは SPARC システムでは使用できません。これは、SPARC と IA とでは UFS フォーマットが異なるためです。

UFS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、UFS ファイルシステムをサポートする構造からなります。DOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、MS-DOS または NEC-DOS のどちらかのファイルシステムをサポートする構造からなります。PCMCIA メモリーカードを準備するために必要な手順はファイルシステムによって異なります。したがって、PCMCIA メモリーカードをフォーマットする前には、どの作業が必要かを決めてください。

リムーバブルメディアを読み込む方法

  1. メディアを挿入します。

  2. メディアがフォーマットされていることを確認します。

    フォーマットされているかどうかがわからない場合は、メディアを挿入し、手順 3 の説明に従って、コンソールの状態メッセージを確認してください。メディアをフォーマットする必要がある場合は、「リムーバブルメディアをフォーマットする方法 (rmformat)」を参照してください。

  3. ボリューム管理に通知します。


    $ volcheck -v
    media was found

    次の 2 つの状態メッセージのどちらかが表示されます。

    media was found

    ボリューム管理がメディアを検出し、表 18-1 に記述されたディレクトリにそのメディアをマウントしようとする。

     

    メディアが正しくフォーマットされている場合は、コンソールにエラーメッセージが表示されない。 

     

    メディアがフォーマットされていない場合でも「media was found」メッセージは表示されるが、次のようなエラーメッセージがコンソールに表示される。

     

    fd0: unformatted diskette or no diskette in the drive

    fd0: read failed (40 1 0)

    fd0: bad format

    メディアをフォーマットしてからでないと、ボリューム管理はそれをマウントできない。詳細は、第 19 章「リムーバブルメディアのフォーマット (手順)」を参照。

    no media was found

    ボリューム管理は、メディアを検出しなかった。メディアが正しく挿入されていることを確認して、volcheck をもう一度実行する。うまくいかない場合は、メディアをチェックする。損傷の可能性がある。メディアを手動でマウントしてみることもできる。

  4. メディアの内容を表示して、メディアがマウントされていることを確認します。

    たとえば、フロッピーディスクの場合は次のように入力します。


    $ ls /floppy
    floppy0 myfiles

    前の方で説明したように、floppy0 はフロッピーディスクの実際の名前へのシンボリックリンクです。この場合、myfiles が実際の名前です。正しくフォーマットされていて、名前がない場合は、unnamed_floppy と呼ばれます。

    /floppy ディレクトリの下に何も表示されない場合は、フロッピーディスクがマウントされていないか、正しくフォーマットされていないかのどちらかです。これを調べるには、mount コマンドを実行して、次のような /floppy で始まる行を探してください (通常は、リストの最後にあります)。

    /floppy/name on /vol/dev/diskette0/name

    このような行が表示されない場合、フロッピーディスクはマウントされていません。コンソールウィンドウにエラーメッセージが表示されていないかどうか確認してください。

リムーバブルメディアをフォーマットする方法 (rmformat)

rmformat コマンドを使用すると、メディアをフォーマットすることができます。デフォルトでは、このコマンドを実行すると、メディア上にパーティション 0 とパーティション 2 という 2 つのパーティションが作成されます。

  1. ボリュームマネージャが動作していることを確認します。動作していれば、デバイス名のニックネームを使用できます。


    $ ps -ef | grep vold
    root   212     1  0   Nov 03 ?        0:01 /usr/sbin/vold

    vold の起動方法については、「ボリューム管理 (vold) を再起動する方法」を参照してください。メディアのデバイス名の確認方法については、「リムーバブルメディア名の使用」を参照してください。

  2. リムーバブルメディアをフォーマットします。


    $ rmformat -F [ quick | long | force ] device-name
    

    rmformat のフォーマットオプションについては、前出の節を参照してください。

    rmformat コマンドの出力によって不良ブロックが見つかった場合は、「リムーバブルメディア上の不良ブロックを修復する方法」の指示に従って不良ブロックを修復してください。

  3. (省略可能) リムーバブルメディアに、Solaris 環境で使用する 8 文字のラベルを付けます。


    $ rmformat -b label device-name
    

    DOS ラベルの作成方法については、mkfs_pcfs(1M) のマニュアルページを参照してください。

例 - リムーバブルメディアをフォーマットする

次の例は、フロッピーディスクのフォーマット方法を示しています。


$ rmformat -F quick /dev/rdiskette
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n) y
.........................................................................

次の例は、Zip ドライブのフォーマット方法を示しています。


$ rmformat -F quick /vol/dev/aliases/zip0
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n) y
.........................................................................

ファイルシステムの追加用にリムーバブルメディアをフォーマットする方法

  1. リムーバブルメディアをフォーマットします。


    $ rmformat -F quick device-name
    
  2. (省略可能) 代替の Solaris パーティションテーブルを作成します。


    $ rmformat -s slice-file device-name
    

    スライスファイルの例は次のようになります。


    slices: 0 = 0, 30MB, "wm", "home" : 
                  1 = 30MB, 51MB : 
                  2 = 0, 94MB, "wm", "backup" : 
                  6 = 81MB, 13MB

  3. スーパーユーザーになります。

  4. 適切なファイルシステムの種類を決定し、次のどちらかの作業を選択します。

    1. UFS ファイルシステムを作成する


      # newfs device-name
      
    2. UDFS ファイルシステムを作成する


      # mkfs -F udfs device-name
      

例 - UFS ファイルシステム用にフロッピーディスクをフォーマットする

次の例は、フロッピーディスクをフォーマットし、そのフロッピーディスク上に UFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。


$ rmformat -F quick /vol/dev/aliases/floppy0
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n)y
$ su
# /usr/sbin/newfs /vol/dev/aliases/floppy0
newfs: construct a new file system /dev/rdiskette: (y/n)? y
/dev/rdiskette: 2880 sectors in 80 cylinders of 2 tracks, 18 sectors
        1.4MB in 5 cyl groups (16 c/g, 0.28MB/g, 128 i/g)
super-block backups (for fsck -F ufs -o b=#) at:
 32, 640, 1184, 1792, 2336,
# 

例 - UFS ファイルシステム用に PCMCIA メモリーカードをフォーマットする

次の例は、PCMCIA メモリーカードをフォーマットし、そのカード上に UFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。


$ rmformat -F quick /vol/dev/aliases/pcmem0
$ su
# /usr/sbin/newfs -v /vol/dev/aliases/pcmem0
newfs: construct a new file system /vol/dev/aliases/pcmem0:(y/n)? y
.
.
.
#

例 - PCFS ファイルシステム用にリムーバブルメディアをフォーマットする

次の例は、代替 fdisk パーティションを作成する方法を示しています。


$ rmformat -F quick /dev/rdsk/c0t4d0s2:c
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n)y
$ su
# fdisk /dev/rdsk/c0t4d0s2:c 
# mkfs -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2:c
Construct a new FAT file system on /dev/rdsk/c0t4d0s2:c: (y/n)? y
#

次の例は、fdisk パーティションを作成せずに、PCFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。


$ rmformat -F quick /dev/rdiskette
Formatting will erase all the data on disk.
Do you want to continue? (y/n)y
$ su
# mkfs -F pcfs -o nofdisk,size=2 /dev/rdiskette
Construct a new FAT file system on /dev/rdiskette: (y/n)? y
#

リムーバブルメディア上のファイルシステムを検査する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. ネームサービスを確認し、次のいずれかの作業を選択します。

    1. UFS ファイルシステムを検査する


      # fsck -F ufs device-name
      
    2. UDFS ファイルシステムを検査する


      # fsck -F udfs device-name
      
    3. PCFS ファイルシステムを検査する


      # fsck -F pcfs device-name
      

例 - リムーバブルメディア上の PCFS ファイルシステムを検査する

次の例は、メディア上の PCFS ファイルシステムの一貫性を検査する方法を示しています。


# fsck -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2
** /dev/rdsk/c0t4d0s2
** ファイルシステムのメタデータを走査する
** メタデータの不一致があれば訂正する
1457664 bytes.
0 bytes in bad sectors.
0 bytes in 0 directories.
0 bytes in 0 files.
1457664 bytes free.
512 bytes per allocation unit.
2847 total allocation units.
2847 available allocation units.
# 

リムーバブルメディア上の不良ブロックを修復する方法

ドライブが不良ブロック管理をサポートしている場合にのみ、検証中に見つかった不良セクタを rmformat コマンドで検証、解析、および修復できます。ほとんどのフロッピーディスクや PCMCIA メモリーカードは不良ブロック管理をサポートしていません。

ドライブが不良ブロック管理をサポートしている場合、不良ブロックを修復するための最大の努力が行われます。それでも不良ブロックを修復できなかった場合、修復に失敗したことを示すメッセージが表示されます。

  1. リムーバブルメディア上の不良ブロックを修復します。


    $ rmformat -c block-numbers device-name
    

    block-numbers には、前の rmformat セッションで獲得したブロック番号を 10 進数、8 進数、または 16 進数形式で指定します。

  2. リムーバブルメディアを検証します。


    $ rmformat -V read device-name
    

リムーバブルメディアに読み取り/書き込み保護とパスワードによる保護を適用する

Iomega メディア (Zip ドライブや Jaz ドライブなど) には、読み取り保護または書き込み保護を適用し、パスワードを設定することができます。

リムーバブルメディアの書き込み保護を有効または無効にする方法

  1. 書き込み保護を有効にするか無効にするかを決定し、次のどちらかの作業を選択します。

    1. 書き込み保護を有効にする


      $ rmformat -w enable device-name
      
    2. 書き込み保護を無効にする


      $ rmformat -w disable device-name
      
  2. リムーバブルメディアの書き込み保護が有効または無効になっていることを確認します。


    $ rmformat -p device-name
    

Iomega メディアの読み取り/書き込み保護とパスワードを有効または無効にする方法

パスワードによる保護機能をサポートしている Iomega メディアには、最大 32 文字のパスワードを適用できます。Iomega メディアに対して読み取り保護または書き込み保護を設定するときは、必ずパスワードを使用する必要があります。このとき、パスワードの入力を促すプロンプトが表示されます。

パスワード機能をサポートしていないリムーバブルメディア上でパスワードを適用しようとすると、警告メッセージが表示されます。

  1. 読み取り保護または書き込み保護とパスワード保護を有効または無効のどちらにするかを決定します。

    1. 読み取り保護または書き込み保護を有効にする


      $ rmformat -W enable device-name
      Please enter password (最大 32 文字): xxx
      Please reenter password:

      $ rmformat -R enable device-name
      Please enter password (最大 32 文字): xxx
      Please reenter password:
    2. 読み取り保護または書き込み保護を無効にし、パスワードを削除する


      $ rmformat -W disable device-name
      Please enter password (最大 32 文字): xxx
      

      $ rmformat -R disable device-name
      Please enter password (最大 32 文字): xxx
      
  2. リムーバブルメディアの読み取り保護または書き込み保護が有効または無効になっていることを確認します。


    $ rmformat -p device-name
    

例 - 読み取り/書き込み保護を有効または無効にする

次の例は、Zip ドライブに対して書き込み保護を有効にし、パスワードを設定する方法を示しています。


$ rmformat -W enable /vol/dev/aliases/zip0
Please enter password (最大 32 文字): xxx
Please reenter password: xxx

次の例は、Zip ドライブに対して書き込み保護を無効にし、パスワードを削除する方法を示しています。


$ rmformat -W disable /vol/dev/aliases/zip0
Please enter password (最大 32 文字): xxx

次の例は、Zip ドライブに対して読み取り保護を有効にし、パスワードを設定する方法を示しています。


$ rmformat -R enable /vol/dev/aliases/zip0
Please enter password (最大 32 文字): xxx
Please reenter password: xxx

次の例は、Zip ドライブに対して読み取り保護を無効にし、パスワードを削除する方法を示しています。


$ rmformat -R disable /vol/dev/aliases/zip0
Please enter password (最大 32 文字): xxx