Solaris のシステム管理 (基本編)

CacheFS の統計情報の収集

CacheFS の統計情報を収集すると、次の作業を行うことができます。

これらの統計情報を使用すると、キャッシュサイズと望ましいパフォーマンスを取捨選択して調整できます。

CacheFS 統計情報コマンドには次のものがあります。

コマンド 

マニュアルページ 

説明 

cachefslog

cachefslog(1M)

ログファイルの位置を指定します。また、このコマンドでは、統計情報が現在どこに記録されているかが表示されるので、ロギングを中止できます。 

cachefswssize

cachefswssize(1M)

ログファイルを解釈して推奨キャッシュサイズを表示します。 

cachefsstat

cachefsstat(1M)

特定のファイルシステム、またはすべての CacheFS ファイルシステムに関する統計情報を表示します。このコマンドの出力に含まれる情報は、キャッシュから直接取り出されます。 

 

 

 


注 -

CacheFS 統計情報コマンドは、どのディレクトリから実行してもかまいません。ただし、cachefswssize コマンドを実行するには、スーパーユーザーにならなければなりません。


CacheFS 統計の累計は、ログファイルの作成時から始まります。作業時間が終わったら、cachefslog -h コマンドを使用してロギングを停止してください。手順については、「CacheFS ロギングを停止する方法」を参照してください。

CacheFS 統計情報コマンドを使用する前に、次の操作を実行する必要があります。


注 -

次の手順は推奨する順序を示しています。異なる順序で作業してもかまいません。


CacheFS ロギングを設定する方法

  1. ロギングを設定します。


    $ cachefslog -f log-file-path /mount-point
    

    -f

    ロギングを設定する。 

    log-file-path

    ログファイルの位置を指定する。ログファイルは、vi などのエディタで作成する標準ファイル。 

    /mount-point

    統計情報を収集するマウントポイント (CacheFS ファイルシステム) を指定する。 

  2. ログファイルを正しく設定したかどうかを確認します。


    $ cachefslog /mount-point
    

例 - CacheFS ロギングを設定する

次の例は、/var/tmp/samlog ログファイルを設定して、/home/sam ディレクトリに関する統計情報を収集する方法を示しています。


$ cachefslog -f /var/tmp/samlog /home/sam
  /var/tmp/samlog: /home/sam

CacheFS ログファイルの場所を調べる方法

オプションを指定せずに cachefslog コマンドを使用して、特定のマウントポイントに対するログファイルの場所を調べることもできます。


$ cachefslog /mount-point

/mount-point は、統計情報を表示する CacheFS ファイルシステムを示します。

次の例は、ログファイルが設定されている場合の表示を示します。ログファイルは、/var/tmp/stufflog にあります。


$ cachefslog /home/stuff
	 /var/tmp/stufflog: /home/stuff

次の例は、指定したファイルシステムのログファイルが設定されていないことを示しています。


$ cachefslog /home/zap
  	not logged: /home/zap 

CacheFS ロギングを停止する方法

ロギングを停止するには、cachefslog -h オプションを使用します。


$ cachefslog -h /mount-point

次の例は、/home/stuff に対するロギングを停止する方法を示しています。


$ cachefslog -h /home/stuff
  not logged: /home/stuff

上記の例と異なるシステム応答が表示される場合は、ロギングが正常に停止されていません。正しいログファイル名とマウントポイントを指定したかどうかを確認してください。

作業セット (キャッシュ) のサイズを表示する方法

キャッシュサイズを増やすべきかどうかを確認したり、特定のマウントポイントに関して前回 cachefslog コマンドを使用した後の作業から理想的なキャッシュサイズを決定したりできます。

  1. クライアントシステムでスーパーユーザーになります。

  2. 現在のキャッシュサイズとロギングされた最大キャッシュサイズを表示します。


    # cachefswssize log-file-path
    

    詳細は、cachefswssize(1M) のマニュアルページを参照してください。

例 - 作業セット (キャッシュ) のサイズを表示する

次の例で、「end size」とは cachefswssize コマンドを実行した時点のキャッシュサイズです。high water size」とは、ロギングが発生した時間枠内のキャッシュの最大サイズです。


# cachefswssize /var/tmp/samlog
 
    /home/sam
	       end size:  10688k
	high water size:  10704k
 
    /
	       end size:   1736k
	high water size:   1736k
 
    /opt
	       end size:    128k
	high water size:    128k
 
    /nfs/saturn.dist
	       end size:   1472k
	high water size:   1472k
 
    /data/abc
	       end size:   7168k
	high water size:   7168k
 
    /nfs/venus.svr4
	       end size:   4688k
	high water size:   5000k
 
    /data
	       end size:   4992k
	high water size:   4992k
 
    total for cache
	   initial size: 110960k
	       end size:  30872k
	high water size:  30872k

CacheFS の統計情報の表示

特定の CacheFS ファイルシステムに関する情報を表示できます。次の表は、統計情報の出力時に表示される用語を示しています。

表 40-2 CacheFS 統計情報の用語

用語 

説明 

キャッシュのヒット率

キャッシュのヒット率対ミスヒット率の比と、それに続く実際のヒット数とミスヒット数。キャッシュヒットは、ユーザーがファイル操作を実行したいときに、そのファイルが実際にはキャッシュ内にあると発生する。キャッシュのミスヒットは、ファイルがキャッシュにないときに発生する。サーバーにかかる負荷は、キャッシュのミスヒット数、整合性チェック数、および変更数の合計である 

整合性チェック

実行された整合性チェックの回数、合格回数、不合格回数 

変更数 (modifies)

書き込みや作成など、変更操作の回数 

CacheFS 統計情報を表示する方法

cachefsstat コマンドを使用して統計情報を表示します。この操作はいつでも実行できます。たとえば、ロギングを設定しなくても統計情報を表示できます。


$ cachefsstat /mount-point

/mount-point は、統計情報を表示する CacheFS ファイルシステムを示します。

マウントポイントを指定しなければ、マウントされているすべての CacheFS ファイルシステムに関する統計情報が表示されます。

詳細は、cachefsstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

例 - CacheFS 統計情報を表示する

この例は、キャッシュされたファイルシステム /home/sam に関する統計情報の表示方法を示しています。


$ cachefsstat /home/sam
	    cache hit rate: 73% (1234 hits, 450 misses)
	consistency checks: 700 (650 pass, 50 fail)
	          modifies: 321
garbage collection:  0