マスターエージェントが Get 要求を WBEM 用 SNMP アダプタに渡すと、アダプタは、/var/sadm/wbem/snmp/map にあるマッピングファイルを使用して、その Get 要求を CIM オブジェクト要求に変換します。Solaris オペレーティング環境では、マッピングファイルがこのディレクトリに組み込まれています。さらに、SNMP Manager を使用して表示したい CIM 計測について、独自のマッピングファイルを定義することもできます。
この節では、Solaris オペレーティング環境が提供しているマッピングファイルの内容を紹介し、アダプタのマッピングファイルを作成するために知っておく必要のある事項を説明します。
この例は、Solaris オペレーティング環境に組み込まれているマッピングファイルの内容を示しています。
# #pragma ident "@(#)050SUNWwbcou.map 1.0 01/04/03 SMI" # # Copyright (c) 2001 by Sun Microsystems, Inc. # All rights reserved. # # *** 内容の説明 *** # # コメント行とブランク行以外の最初の行は、必須のバージョンラベルを含む # それ以降のコメント行とブランク行以外の行は、マッピング項目とみなされ、このあとの # 説明に従って利用される # # 列 1 - SNMP OID - SNMP 変数を一意に記述する # 例 2 - CIM クラス名 - この変数に関連付けられた CIM クラス # 列 3 - CIM プロパティ名 - SNMP OID 変数に対応する CIM プロパティ # 列 4 - ASN.1 型 - SNMP 要求との間でデータがどのように対応付けられるかを示す # SNMP データ型。サポートされている型: SnmpString、SnmpOid、 # SnmpTimeticks、SnmpCounter、SnmpInt、SnmpGauge、SnmpIpAddress、 # SnmpOpaque # 列 5 以降は無視される # Version 1.0 1.3.6.1.2.1.1.1.0 Solaris_ComputerSystem Description SnmpString 1.3.6.1.2.1.1.3.0 Solaris_OperatingSystem LastBootUpTime SnmpTimeticks 1.3.6.1.2.1.1.4.0 Solaris_ComputerSystem PrimaryOwnerContact SnmpString 1.3.6.1.2.1.1.5.0 Solaris_ComputerSystem Name SnmpString 1.3.6.1.2.1.25.1.5.0 Solaris_OperatingSystem NumberOfUsers SnmpGauge 1.3.6.1.2.1.25.1.6.0 Solaris_OperatingSystem NumberOfProcesses SnmpGauge 1.3.6.1.2.1.25.1.7.0 Solaris_OperatingSystem MaxNumberOfProcesses SnmpGauge 1.3.6.1.2.1.25.1.2.0 Solaris_OperatingSystem LocalDateTime SnmpString |
このマッピングファイルの内容は、SNMP MIB-2 システムグループのスカラーオブジェクトを、それぞれ対応する CIM オブジェクトに関連付けています。
MIB-2 システムグループのスカラーオブジェクト |
CIM オブジェクト |
---|---|
sysDescr |
Solaris_ComputerSystem.Description |
sysUpTime |
Solaris_OperatingSystem.LastBootUpTime |
sysContact |
Solaris_ComputerSystem.PrimaryOwnerContact |
sysName |
Solaris_ComputerSystem.Name |
さらに、このマッピングファイルの内容は、SNMP Host Resources MIB オブジェクトを、それぞれ対応する CIM オブジェクトに関連付けています。
SNMP Host Resources MIB オブジェクト |
CIM オブジェクト |
---|---|
hrSystemNumUsers |
Solaris_OperatingSystem.NumberOfUsers |
hrSystemProcesses |
Solaris_OperatingSystem.NumberOfProcesses |
hrSystemMaxProcesses |
Solaris_OperatingSystem.MaxNumberOfProcesses |
hrSystemDate |
Solaris_OperatingSystem.LocalDateTime |
マッピングファイルの内容の構文については、「マッピングファイルの内容の構文」で説明します。
現在のところ、ホストリソースデータを取得する唯一の方法は、CIM Object Manager を使用することです。これは、Solaris が現在、SNMP Host Resource エージェントを提供していないためです。
アダプタが確実にマッピングファイルを読み取るようにするには、次の構文に従ってファイル名を付けます。
alphanumeric-string.map
alphanumeric-string は、英数字の文字列を表します。たとえば、Solaris が組み込んでいるマッピングファイルの名前は、次のとおりです。
050SUNWwbcou.map
アダプタが、より正確な順序でファイルを読み取るようにするため、先頭に 3 桁の数字を付けます。たとえば、002SUNWlvma.map は 050SUNWwbcou.map より前に読み取られます。
少なくとも root は、独自に作成したマッピングファイルを読み取ることができるようにする必要があります。
$ chmod 400 002SUNWlvma.map