国際化対応言語環境の利用ガイド

PostScript ファイルのカスタマイズ

PostScript ファイルには、次の種類があります。

ロケールに依存する prolog ファイル

prolog.ps ファイルは、特殊なフォントを設定するために使用されます。アプリケーションでは、あらかじめ定義されたこのような PostScript フォント名を使って印刷を行ないます。この prolog ファイルには、少なくとも、Desk Set Calendar マネージャや mp で使用する次のフォント名が定義されていなければなりません。

次の例では、これらのフォントを使って、指定された特定の文字セットを印刷します。

100 100 moveto
/LC_Times-Roman findfont 24 scale font setfont
(Any text string in your locale) show 

Solaris 地域対応化キットには、日本語環境向けのサンプル prolog.ps ファイルが含まれています。このファイルは、/usr/openwin/lib/locale/ja/print/ ディレクトリにも含まれています。

次の例では、既存の prolog.ps に対する合成フォントの追加や変更について説明します。

%
(Foo-Fine) makecodeset12 
(Base-Font) makeEUCfont
%

ここでは、LC_Base-Font という合成フォントを作成するものとします。

LC_Base-Font は、Foo-Fine と、Base-Font と呼ばれるベースフォントを合成したフォントです。Foo-Fine フォントには、ローカル文字セットが含まれています。フォントの追加や変更を行う場合には、PostScript の詳細についての知識は必要ありません。

prolog.ps ファイルを作成する際には、サンプルファイルが参考になります。サンプルの prolog.ps ファイルでは、makecodeset12 makeEUCfont という 2 つのルーチンを作成する必要があります。makecodeset12 では、ローカルのフォントエンコーディング情報を設定します。このルーチンはロケールによって異なります。makeEUCfont では、ベースフォントとロケールフォントを結合して合成フォントを作成します。 makecodeset12makeEUCfont の作成には、PostScript についてよく理解していることが必要です。

prolog.ps ファイルのサポートは、後方互換性を維持するために提供されるものです。したがって、特定のロケールの印刷ニーズのために新しい prolog.ps ファイルを作成しないでください。その場合には、mp.conf を使用してください。

prolog.ps ファイルのパスは次のとおりです。

/usr/openwin/lib/locale/$LANG/print/prolog.ps

共通 PostScript prolog ファイル

共通 prolog ファイルの名前は mp.common.ps です。

他のすべてのページレイアウト prolog ファイルにこのファイルが含まれていなければなりません。

mp.common.ps ファイルは /usr/lib/lp/locale/C/mp/ ディレクトリにあります。このファイルには、フォントのエンコーディングを標準エンコーディングから ISO 8859–1 エンコーディングに変換する PostScript ルーチンが含まれています。この .reencodeISO ルーチンは、フォントのエンコーディングを変換するために印刷レイアウト prolog ファイルから呼び出されます。通常は、この prolog ファイルをカスタマイズする必要はありません。独自の prolog ファイルを作成する場合は、環境変数 MP_PROLOGUE を使って、変更された prolog ファイルが含まれているディレクトリをポイントする必要があります。

印刷レイアウト prolog ファイル

印刷レイアウト prolog ファイル (mp.*.ps ) には、印刷のページレイアウトを制御するルーチンが含まれています。これらの prolog ファイルでは、印刷ページのヘッダーやフッターに、ユーザー名、印刷日付、ページ番号を印刷するだけでなく、その他の情報を提供することができます。たとえば、prolog ファイルには、印刷可能領域や、印刷のランドスケープやポートレートモードを指定できます。

印刷レイアウト prolog ファイルには、次のものがあります。

prolog ファイルには、一定の標準関数が定義されていなければなりません。これらの関数は、新しい印刷ページの開始や終了、または新しい列の終了で呼び出されます。これらの関数の実装では、印刷出力の印刷属性が定義されます。

mp(1) バイナリは、実行時に次の PostScript 変数を定義します。user namesubjectprint time などの動的情報を印刷するためのこれらの変数は、すべての印刷レイアウトファイルで使用できます。これらの変数からとられた情報は、通常、印刷ページのヘッダーやフッターに表示されます。

User

mp を実行しているユーザーの名前。この情報はシステム passwd ファイルから取得されます。

MailFor

印刷する記事のタイプを保持するための変数。この変数の値には、次のものがあります。

  • “Listing for” - 入力がテキストファイルの場合

  • “Mail for” - 入力がメールファイルの場合

  • “Article from” - 入力がニュースグループからの記事の場合

Subject

メールやニュースのヘッダーからとられた件名。- s オプションを使用すれば、通常のテキストファイルの他に、メールファイルやニュースファイルに対しても件名を強制的に指定できます。

Timenow

ヘッダーやフッターに表示する印刷時刻。この情報は localtime() 関数からとられます。

印刷レイアウト prolog ファイルには、次の関数が実装されています。これらの関数ではサブ関数を使用できます。

endpage

使用方法 - page_number endpage

印刷ページの終わりに達したときに呼び出されます。この関数はページのグラフィックコンテキストを復元し、「showpage」を出します。prolog ファイルによっては、ヘッダーやフッターの情報が、カラムバイカラムではなく、ページバイページモードのときだけ表示されることがあります。この関数の実装方法によっては、ヘッダーやフッターのグレイスケールロゼンジを表示するサブ関数を呼び出すこともできます。

newpage

使用方法 - page_number newpage

新しいページの表示時に実行されるルーチンまたはコマンド。 ルーチンの機能には、ランドスケープ印刷モードの設定や、印刷グラフィックコンテキストの保存、ページ座標の変換などがあります。

endcol

使用方法 - page_number col_number endcol

新しい印刷位置への移動など、ヘッダーやフッター情報を表示するときに使用します。

新しい印刷レイアウト prolog ファイルを追加する際には、次の変数を prolog ファイルに明示的に定義する必要があります。

NumCols

印刷ページのカラム数。デフォルトは 2 です。

PrintWidth

印刷領域の幅をインチ単位で指定します。デフォルトは 6 です。

PrintHeight

印刷領域の高さをインチ単位で指定します。デフォルトは 9 です。