IPQoS 機能を使用すると、インターネットサービスプロバイダ (ISP) やアプリケーションサービスプロバイダ (ASP) は、顧客ごとに異なるレベルのネットワークサービスを提供できます。 同様に、一般企業や教育機関では、この機能を使って内部組織向けのサービスや主要なアプリケーションのサービスを優先することができます。
ISP や ASP では、顧客に提示する「サービスレベル契約 (Service-Level Agreement、SLA)」に基づいて IPQoS の構成を行うことができます。 個々の SLA では、サービスプロバイダは、価格体系に基づいた一定レベルのネットワークサービスを顧客に保証します。 たとえば、プレミアム価格の SLA では、顧客はすべての種類のネットワークトラフィックに対して毎日 24 時間もっとも高い優先順位が与えられます。 これに対し、中間価格の SLA では、顧客は電子メールに対して営業時間中にのみ高い優先順位が与えられ、他のすべてのトラフィックに対しては毎日 24 時間中程度の優先順位が与えられます。
一般企業や法人である場合でも、ネットワークにサービス品質機能を提供することができます。 つまり、特定のグループまたは特定のアプリケーションのトラフィックに対して高レベルまたは低レベルのサービスを保証することができます。
サービス品質を実装するには、「サービス品質 (Quality-of-Service、QoS) ポリシー」を定義します。QoS ポリシーでは、顧客またはアプリケーションの優先順位、さまざまなカテゴリのトラフィックを処理するアクションなど、各種のネットワーク属性を定義します。 組織の QoS ポリシーは IPQoS 構成ファイルに実装します。 このファイルは、Solaris 9 9/02 のカーネルに入っている IPQoS モジュールを構成します。 IPQoS ポリシーが適用されているホストは、「IPQoS 対応システム」とみなされます。
「サービスクラス」と呼ばれるネットワークトラフィックの個別グループ
クラスごとにネットワークトラフィックの量を調整するための測定基準。 これらの測定基準によって、「メータリング」と呼ばれるトラフィック測定プロセスが管理される
IPQoS システムおよび diffserv ルーターがパケットフローに適用するアクション。 このアクションは「ホップ単位動作 (PHB)」と呼ばれる
サービスクラスに関して必要に応じて収集する統計情報。たとえば、顧客または特定のアプリケーションによって生成されるトラフィックなど
パケットがネットワークに渡されると、IPQoS 対応システムはパケットヘッダーを評価します。 IPQoS システムが行うアクションは、作成した QoS ポリシーに応じて決まります。
QoS ポリシーの作成作業については、サービス品質ポリシーの計画で説明します。