Solaris 9 9/02 ご使用にあたって (SPARC 版)

アップグレードに関する注意事項とバグ情報

旧リリースの Solaris がインストールされているシステムを、Solaris 9 9/02 にアップグレードする場合の注意事項とバグについて説明します。

CD を使用して Solaris 8 2/02 から Solaris 9 9/02 にアップグレードする場合に、インストール時のダイアログのメッセージが正しく表示されない (バグ ID: 4704720)

Solaris 9 9/02 SOFTWARE 1 of 2 CD を使用し、Solaris 8 2/02 から Solaris 9 9/02 にアップグレードする場合、1 of 2 CD のアップグレード完了後にシステムをリブートすると、引き続き、2 of 2 CD のアップグレードを促すダイアログが表示されます。その際、ダイアログ上の日本語メッセージが正しく表示されません。

回避方法 : 1 of 2 CD のアップグレードが完了したら、システムをリブートする前に次の手順を実行してください。


# cd /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/75dpi
# /usr/openwin/bin/mkfontdir .
# cd ../TTbitmaps
# /usr/openwin/bin/mkfontdir .
# cd ../TT
# /usr/openwin/bin/mkfontdir .

Solaris 9 9/02 オペレーティング環境に、SUNWsan がインストールされていると Storage Area Network (SAN) にアクセスできない

使用している Solaris 8 システムが、 Storage Area Network (SAN) に接続されている場合、Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードする前にサポートエンジニアに確認してください。SUNWsan がインストールされている Solaris 8 システムを、Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードするには特別な手順が必要なことがあります。システムに SUNWsan パッケージがインストールされているかどうかを確認するには、端末ウィンドウで次のコマンドを入力します。


# pkginfo SUNWsan

SUNWsan パッケージがインストールされていると、次の情報が表示されます。


	system      SUNWsan       SAN Foundation Kit

Solaris suninstallプログラムによるアップグレードでのロケール選択

Solaris 8 から、インストールするロケールを選択する機構が変更されました。このため、Solaris suninstallプログラムを使用して Solaris 8 より前のシステムを Solaris 9 9/02 へアップグレードすると、既存システムのインストール時に明示的にインストールしなかったロケールが「地域の選択」画面で自動的に選択されます。これは、既存システムのインストール時に明示的に指定していないロケールのソフトウェアが、暗黙のうちにインストールされていたためです。

既存システムのインストール時にインストールするロケールとして明示的に指定しなかったロケールが含まれている地域を、「地域の選択」画面で選択解除することができます。余分なロケールをそのまま選択解除せずにアップグレードを行なっても問題はありません。アップグレードしたシステムには、アップグレード前と同じレベルのロケール環境がサポートされます。ただし、既存のシステムに明示的にインストールしたロケールは、「地域の選択」画面で削除することはできません。

旧バージョンの Solaris Management Console ソフトウェア は Solaris 管理コンソール (Management Console) 2.1 ソフトウェアと互換性がない

Solaris 管理コンソール (Management Console) 2.1 ソフトウェアは、旧バージョンの Solaris Management Console 1.0、1.0.1、1.0.2 ソフトウェアと互換性がありません。Solaris Management ConsoleTM 1.0、1.0.1、1.0.2 のいずれかのソフトウェアがインストールされた状態で Solaris 9 9/02 オペレーティング環境およびその互換バージョンにアップグレードする場合は、アップグレードの前に Solaris Management Console ソフトウェアをアンインストールする必要があります。システムに SEAS 2.0、SEAS 3.0、Solaris 8 Admin Pack のいずれかがインストールされていると、Solaris Management Console ソフトウェアが終了することがあります。

回避方法 : 次のいずれかを実行してください。

フラッシュアーカイブをインストールするときに Live Upgrade がブート環境の /etc/group ファイルをアップデートしない (バグ ID: 4683186)

Solaris Live Ugrade を使ってフラッシュアーカイブをブート環境にインストールする場合、/etc/group ファイルが正しくありません。アーカイブには、アーカイブされた /etc/group ファイルが含まれており、現在実行されているブート環境の /etc/group ファイルを反映していません。ブート環境の /etc/group ファイルは、現在実行されているシステムのファイルと同一でなければなりません。

回避方法: ブート環境にフラッシュアーカイブをインストールした後、/etc/group ファイルを、現在実行されているシステムから新しいブート環境にコピーする必要があります。次の手順に従ってください。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 新しいブート環境をマウントします。


    # lumount boot-envir-name mount-point
    
    上記のコマンドで、boot-envir-name には、マウントしたいファイルシステムが属しているブート環境の名前を指定します。mount-point には、ファイルシステムのマウントポイントを指定します。

  3. /etc/group ファイルを、現在実行されているシステムから新しいブート環境にコピーします。


    # cp /etc/group mount-point/etc/group
    

  4. 新しいブート環境をアンマウントします。


    # luumount boot-envir-name
    

パッチリストファイルを指定したときに、luupgrade コマンドがパッチを追加できない (バグ ID: 4679511)

-s オプション付きで luupgrade コマンドを使用し、ディレクトリとパッチリストファイルを指定してパッチを追加する場合、パッチが追加されません。このとき、たとえば次のようなメッセージが表示されます。


/usr/sbin/luupgrade [52]:		3 patch-list-file: bad number			

上記のメッセージで、patch-list-file は、パッチを追加するために luupgrade コマンドに指定したパッチリストファイルです。

回避方法: パッチリストファイルを指定してパッチを追加するには、次の手順を実行します。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. パッチを当てたいブート環境をマウントします。


    # lumount boot-envir-name mount-point
    

  3. ブート環境にパッチを追加します。


    # /usr/sbin/patchadd -R mount-point -M  patch-path patch-list-file-name
    

    上記のコマンドで、patch-path には、追加するパッチの入ったディレクトリのパス名を指定します。patch-list-file-name には、追加したいパッチのリストの入ったファイルを指定します。

  4. ブート環境をアンマウントします。


    # luumount boot-envir-name
    

アップグレードの際に、SUNWjxcft パッケージの削除でエラーが記録される (バグ ID: 4525236)

Solaris 8 オペレーティング環境から Solaris 9 9/02 オペレーティング環境へのアップグレードの際、SUNWjxcft パッケージが削除されるときに、問題が発生します。次のようなエラーメッセージが upgrade_log ファイルに記録されます。


Removing package SUNWjxcft:
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.upr
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.scale
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.alias
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.upr
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.scale
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.alias

Removal of <SUNWjxcft> was successful

回避方法: このエラーメッセージを無視します。

Solaris 8 オペレーティング環境からアップグレードすると、冗長な Kerberos プライバシ機構が作成される (バグ ID: 4672740)

Solaris 9 9/02 オペレーティング環境では、Kerberos Version 5 グローバル機構はプライバシサポートを含んでおり、Kerberos ドメスティック機構は必要ありません。Kerberos ドメスティック機構 (/usr/lib/gss/do/mech_krb.so.1 にある) を Solaris 8 システムにインストールしている場合、システムを Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードする前に、Kerberos ドメスティック機構を削除してください。

回避方法: Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードする前に、次の手順に従ってください。

  1. 次のコマンドを入力して、Kerberos ドメスティック機構がシステムにインストールされているかどうかを確認します。


    % pkginfo | fgrep ' SUNWk5'
    
    • このコマンドの出力に SUNWk5 で始まるパッケージ名が含まれる場合、Kerberos ドメスティック機構はシステムにインストールされています。手順 2 に進んでください。

    • このコマンドの出力に SUNWk5 で始まるパッケージ名が含まれていない場合、Kerberos ドメスティック機構はインストールされていません。残りの手順を省略します。システムをアップグレードしてください。

  2. 次のコマンドを入力して、/etc/nfssec.conf/etc/gss/qop ファイルをバックアップします。


    % tar -cf /var/tmp/krb_config_files.tar /etc/nfssec.conf /etc/gss/qop
    
  3. 次のコマンドを入力して、ファイルがバックアップされていることを確認します。


    % tar -tf /var/tmp/krb_config_files.tar
    
  4. 手順 1 の出力に含まれていた各パッケージを削除します。


    % pkgrm package-name package-name package-name
    
  5. Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードします。

    アップグレードプログラムは Kerberos グローバル機構コードを更新して、Kerberos プライバシサポートを有効にします。

  6. テキストエディタで、/etc/gss/mech ファイルの次の行を変更します。

    • 次の行のコメントを解除します。


      kerberos_v5     1.2.840.113554.1.2.2    gl/mech_krb5.so gl_kmech_krb5
      

      必要であれば、上記行を /etc/gss/mech ファイルに追加します。

    • 次の行を削除します。


      kerberos_v5     1.2.840.113554.1.2.2    do/mech_krb5.so do_kmech_krb5
      
    • 次のコマンドを入力して、/etc/nfssec.conf ファイルと /etc/gss/qop ファイルを復元します。


      % tar -xf /var/tmp/krb_config_files.tar
      

Solaris 9 および Solaris 9 9/02 の韓国語、簡体字中国語、繁体字中国語などアジア言語の一部のパッケージの preremove スクリプトが、アップグレード中に正しく実行されない (バグ ID: 4707449)

Solaris 9 および Solaris 9 9/02 ソフトウェアの韓国語、簡体字中国語、繁体字中国語などアジア言語の一部のパッケージに含まれている preremove スクリプトが、Disk Space Reallocation (DSR) でのアップグレード中に正しく実行されません。Solaris オペレーティング環境の新しいリリースにアップグレードしようとすると、次のエラーメッセージが /var/sadm/system/logs/update_log ファイルに出力されます。


Removing package SUNWkwbcp:
/a/var/sadm/pkg/SUNWkwbcp/install/preremove: /a/usr/4lib: does not exist
pkgrm: ERROR: preremove script did not complete successfully

Removal of SUNWkwbcp failed.
pkgrm return code = 1
Removing package SUNWkbcp:
/a/var/sadm/pkg/SUNWkbcp/install/preremove: /a/usr/4lib: does not exist
pkgrm: ERROR: preremove script did not complete successfu
Removal of SUNWkbcp failed.
pkgrm return code = 1
Removing package SUNWcwbcp:
/a/var/sadm/pkg/SUNWcwbcp/install/preremove: /a/usr/4lib: does not exist
pkgrm: ERROR: preremove script did not complete successfully

Removal of SUNWcwbcp failed.
pkgrm return code = 1
Removing package SUNWcbcp:
/a/var/sadm/pkg/SUNWcbcp/install/preremove: /a/usr/4lib: does not exist
pkgrm: ERROR: preremove script did not complete successfully

Removal of SUNWcbcp failed.
pkgrm return code = 1
Removing package SUNWhwbcp:
/a/var/sadm/pkg/SUNWhwbcp/install/preremove: /a/usr/4lib: does not exist
pkgrm: ERROR: preremove script did not complete successfully

Removal of SUNWhwbcp failed.
pkgrm return code = 1
Removing package SUNWhbcp:
/a/var/sadm/pkg/SUNWhbcp/install/preremove: /a/usr/4lib: does not exist
pkgrm: ERROR: preremove script did not complete successfully

Removal of SUNWhbcp failed.
pkgrm return code = 1

回避方法: このエラーメッセージを無視します。

Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードすると既存の Secure Shell デーモン (sshd) が使用できなくなることがある (バグ ID: 4626093)

/etc/init.d/sshd デーモンから他社の Secure Shell (OpenSSH など) を実行しているシステムの場合、Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードすると、既存の Secure Shell デーモンが使用できなくなります。アップグレード時に、Solaris 9 9/02 のアップグレードソフトウェアが、Solaris 9 9/02 の sshd/etc/init.d/sshd の内容を上書きし、既存の sshd が失われます。

回避方法 : 次のいずれかを実行してください。

/export が満杯に近いシステムのアップグレードが失敗する (バグ ID: 4409601)

/export ディレクトリの空き容量がゼロに近い状態で、システムを Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードしようとすると、/export ディレクトリ容量の必要条件の計算に誤りが発生し、アップグレードに失敗します。この問題は、ディスクレスクライアントがインストールされているか、/export ディレクトリに他社製のソフトウェアがインストールされている場合によく発生します。次のエラーメッセージが表示されます。


WARNING: Insufficient space for the upgrade.

回避方法 : アップグレードの前に、次のいずれかを実行してください。

ディスクレスサーバーおよびディスクレスクライアントのアップグレード (バグ ID: 4363078)

現在のシステムが、AdminSuiteTM 2.3 の Diskless Client ツールによってインストールされたディスクレスクライアントをサポートしている場合、既存のディスクレスクライアントのうち、サーバーと同じ Solaris バージョンで同じアーキテクチャのものをすべて先に削除しておく必要があります。そのあとで、Solaris 9 9/02 オペレーティング環境をインストールするか、または Solaris 9 9/02 オペレーティング環境にアップグレードします。具体的な手順については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』 を参照してください。

ディスクレスクライアントを削除せずに Solaris 9 9/02 をインストールしようとすると、次のようなエラーメッセージが表示されます。


The Solaris Version (Solaris 7) on slice <xxxxxxxx> cannot be upgraded. 
There is an unknown problem with the software configuration installed 
on this disk.
 
 
 
スライス <xxxxxxxx> 上の Solaris のバージョン (Solaris 7) が
アップグレードできません。ディスク上にインストールされたソフトウェア構成に
未知の問題があります。

このエラー メッセージの version-number は、現在、システムで稼働している Solaris のバージョンを表します。<xxxxxxxx> は、このバージョンの Solaris オペレーティング環境を実行しているスライスです。

Web-Based Enterprise Management (WBEM) データ消失防止のための JavaSpaces データストアのアップグレード (バグ ID: 4365035)

Solaris 8 (Solaris WBEM Services 2.0) または Solaris 8 6/00 (WBEM Services 2.1) オペレーティング環境から、Solaris 9 9/02 (Solaris WBEM Services 2.5) オペレーティング環境にアップグレードする場合は、既存のデータが失われます。

回避方法: アップグレードを実行した後、独自の Managed Object Format (MOF) ファイルをコンパイルし直します。

アップグレードを行うと、システムのデフォルトロケールが正しく設定されない (バグ ID: 4233535)

Solaris 9 9/02 へのアップグレードを行うと、アップグレード時に設定したデフォルトロケールがシステムのデフォルトロケールに正しく設定されない場合があります。

Solstid 9 SOFTWARE 1 of 2 CD を使用したアップグレードの場合、Solaris 9 9/02 SOFTWARE 1 of 2 CD の インストールの終了後、自動ブートしたシステムが英語環境で起動し、SOFTWARE 2 of 2 CD および LANGUAGES CD のインストール画面が英語で表示されることがあります。

回避方法 : アップグレード終了後、システムのデフォルトロケールを /etc/default/init ファイルの LANG 環境変数に設定してください。

日本語フォントディレクトリに、古いフォント設定ファイルが残ってしまう (バグ ID: 4525236)

Solaris 8 および Solaris 8 アップデートリリースから Solaris 9 9/02 へアップグレードを行うと、アップグレードログに以下のようなメッセージと共に、古いフォント設定ファイル(ファイル末尾に :8 が付く) が残ります。

パッケージ SUNWjxcft を削除中 :

Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.upr
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.scale
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.alias
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.upr
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.scale
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.alias

回避方法 : 古いフォント設定ファイルは削除してください。


# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.upr:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.scale:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.alias:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.upr:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.scale:8
# rm /usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.alias:8