この章では、Solaris 9 MU1 をインストールする方法について説明します。カスタム JumpStartTM インストールの一環として Solaris 9 MU1 をインストールする場合は、『Solaris 9 インストールガイド』を参照してください。
Solaris 9 MU1 のインストール時間は、次の項目によって異なります。
マシンの CPU スピード
選択した install_mu オプション
install_mu コードとパッチセットにアクセスするために使用する、ハードディスクまたはネットワークの転送速度
バックアウトオプションを無効にして MU1 をインストールする場合、インストール時間は短縮されます。ただし、MU1 が提供するパッチはバックアウトできなくなります。
MU1 は、Solaris 9 オペレーティング環境を実行しているシステム上にのみインストールできます。
ファイルシステムごとに必要なディスク容量は次の項目によって異なります。
バックアウトオプションを選択したかどうか
バックアウトデータを保存するときのバックアウトディレクトリの位置
ファイルシステムごとに利用可能なディスクパーティションおよびディスク容量と、それに対するファイルシステムごとに必要なパッチのディスク容量
システムのロケール
すでにいくつかの MU パッチがシステムにインストールされているかどうか
install_mu スクリプトはファイルシステムごとに必要なディスク容量を算出して、その容量を報告します。可能であれば、バックアウトのディスク容量も報告します。容量の計算には数分かかります。
install_mu スクリプトは、1 つまたは複数のファイルシステムに容量が足りないと判断した場合、それ以上処理しません。パッチのインストールに必要な容量は正確に計算されますが、バックアウトデータに必要な容量は予測値であり、実際に必要な容量よりも多く報告されることがあります。
パッチセット (および、必要であればバックアウトデータ) を適用するのに十分な容量があることがわかっており、容量の計算を省略したい場合には、install_mu に -f オプションを付けて実行します。
Solaris 9 MU1 をインストールするには、install_mu を実行するシステムで、Solaris 9 オペレーティング環境がすでに稼働していなければなりません。
Solaris 9 MU1 では、再配置可能なルートおよびサービス領域はサポートされません。
MU1 はシステムライブラリにパッチを適用するため、MU1 をインストールする前にシステムをシングルユーザーモードでリブートするのが最善の方法です。マルチユーザーの状態で MU1 をインストールすると、インストール前にライブラリをマップしたプロセスが後にライブラリの別のセクションをマップしようとした際に、プロセス動作が不安定になります。
シングルユーザーモードでは、ネットワークサービスは使用できません。MU1 イメージが CD 上ではなくネットワーク上にある場合、シングルユーザーモードでシステムをブートする前に、 MU1 イメージをネットワークからローカルシステムにコピーしておく必要があります。
システムをシングルユーザーモードにできない場合、あるいは十分なディスク容量がないため MU1 イメージをローカルにコピーできない場合には、マルチユーザーモードで NFS を使用して MU1 をインストールすることになります。この場合、システムをできるだけ静かな状態 (つまり、ユーザーがすべてログアウトし、実行されているジョブがない状態) にしておく必要があります。
シングルユーザーまたはマルチユーザーのどちらのモードで MU1 をインストールした場合でも、インストール後、システムをリブートする必要があります。exit コマンドは使用しないでください。exit コマンドを使用すると、システムは init 3 の状態になり、システムがリブートされるまでだれもログインできなくなります。root ユーザーがログアウトしてしまい、他に root ユーザーが一人もログインしていない場合は、システムをリブートする必要があります。 詳細は、第 4 章「既知の問題」を参照してください。
必ずオペレーティングシステムのバックアップをとってから、次の手順に進んでください。
Solaris 9 MU1 をインストールするには、次の手順に従います。
重要なユーザープロセスまたはシステムプロセスが実行されていないことを確認します。
powerd プロセスが動作している場合は、そのプロセスを kill する必要があります。
現在のセッションを終了します。
CDE ログイン画面が表示されます。
「オプション」ボタンをクリックして、「コマンド行ログイン」を選択します。
ログインプロンプトが表示されます。
ログイン名として root と入力し、root のパスワードを入力します。
login: root password: root password |
シングルユーザーモードでリブートします。root のシェルプロンプトで次のように実行します。
# reboot -- -s |
root パスワードを入力します。
次のメッセージが表示され、システムがシステム保守モードになります。
Entering System Maintenance Mode Sun Microsystems Inc. SunOS 5.9 Generic May 2002 # |
install_mu を実行します。
MU1 イメージのローカルコピーから実行するには、次のように入力します。
# cd local_directory # ./install_mu options |
以下のオプションがコマンド行で使用できます。
表 2–1 install_mu のコマンド行オプション
オプション |
説明 |
---|---|
-d |
パッチをバックアップしない。この引数を使用するとソフトウェアのインストール時間が短縮される。ただし、個々のパッチをバックアウトできなくなる。-B オプションと組み合わせて使うことはできない |
-p patchdir |
すべてのパッチが含まれているディレクトリを指定する |
-q |
install_mu の処理状況を示すドットの表示を無効にする |
-B backoutdir |
指定したディレクトリにバックアウトデータを保存する。-d オプションと組み合わせて使うことはできない |
-f |
十分なディスク容量があるかどうかをチェックせずに、パッチセットをインストールする。このオプションを使用すると時間が短縮される。ただしこのオプションは、十分な容量があることがわかっている場合にだけ使用する |
インストールが完了すると、次のメッセージが表示されます。
install_mu completed at date_time. |
このメッセージが表示された場合は、手順 8 に進みます。
エラーが発生した場合は、第 5 章「エラーメッセージ」を参照してください。
次のように実行してシステムをリブートします。
# sync ; reboot |
ログインプロンプトが表示されます。
ライブラリの衝突を防ぐために、MU1 をインストールしたあとは必ずシステムをリブートしてください。
ログイン名とパスワードを入力します。
login: login password: password |
Solaris 9 MU のバージョンを確認するには、次のように実行します。
# cat /etc/release |
MU がシステムに適用したパッチを確認するには、次のように実行します。
# showrev -p |