Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

スレーブサーバーを指定する方法

「スレーブ」サーバーは、ゾーンに関するデータのコピーを保持しています。 マスターサーバーはそのデータをスレーブサーバーに送り、権限を任せます。クライアントは、DNS 情報をスレーブサーバーに照会できます。スレーブサーバーを使用することによって、負荷が複数のマシンに分散され応答時間を短縮してネットワークのオーバーヘッドを減らすことができます。また、スレーブサーバーは、マスターサーバーが使用できないときに代わりの機能を果たします。

スレーブサーバーは、in.named の起動時に所定のゾーンに関するすべてのデータをマスターサーバーに要求します。以降、スレーブサーバーはデータベースを更新する必要があるかどうかを調べるためにマスターサーバーを定期的にチェックします。最新のゾーンデータベースをマスターサーバーからスレーブサーバーに送信するプロセスを「ゾーン転送」と呼びます。このため、スレーブサーバー上のデータファイルを変更するのではなく、ゾーンのマスターサーバー上のデータファイルを変更します。その後、スレーブサーバーのファイルがマスターサーバーから更新されます。

サーバーを所定のゾーンのスレーブサーバーに指定する場合は、そのサーバーの named.boot ファイルに「スレーブ」レコードを作成します。別々のレコードで、サーバーをそのゾーン、逆アドレスドメイン、およびループバックホストのスレーブサーバーとして指定できます。

この「スレーブ」レコードは、次の3 つのフィールドで構成されます。

「スレーブ」レコードでは、必須フィールドに続けて 1 つまたは複数の任意指定のフィールドを設けることができます。任意指定のフィールドには次の種類があります。

次に示す起動ファイルの行は、あるサーバーを doc.com ゾーンとその逆アドレスドメインのスレーブサーバーとして使うことを示します。さらに、そのスレーブサーバーが IP アドレス 172.16.0.1 のマスターサーバーから正規データを受け取り、サーバー 172.16.0.2 をゾーンデータのスレーブ情報源として使い、最初に doc.com.bakup ファイルからデータをロードすることを示します。


 
slave   doc.com   129.146.168.119  192.146.168.38  doc.com.bakup
slave   4.0.32.128.in-addr.arpa       129.146.168.119 

この章で紹介するさまざまなサンプルファイルの中で、上記のサンプル起動ファイル行はサーバー dnsslave (IP アドレス 192.146.168.38sirius マシンのエイリアス) の起動ファイルに対応しています。


注 -

1 台のサーバーは、1 つまたは複数のゾーンのマスターサーバーとして機能でき、さらに 1 つまたは複数のゾーンのスレーブサーバーとしても機能できます。起動ファイル内のエントリの組み合わせによって、サーバーがマスターサーバーになるかスレーブサーバーになるかが決まります。