FNS では、ファイル名はユーザー、ホスト、組織、サイトとの関係から設定できます。この場合実際には、オブジェクトの名前の後にエンタープライズの名前空間識別子 fs を指定し、その後にファイル名を指定します。たとえば、Sales 部門の、budget というファイルなら、org/sales/fs/budget/draft96という名前になります。
初期コンテキストは、ルートディレクトリの /xfn の下にあります。したがって、以下のように入力して参照できます。
% more /xfn/org/sales/fs/budget/draft96 |
アプリケーションからこのディレクトリへアクセスする方法は、他のディレクトリの場合とまったく同様です。アプリケーションを修正したり、XFN API を使用したりする必要はありません。
NFS は Sun Microsystems, Inc. の製品で、分散ファイルシステムの一種です。オブジェクトのファイルは、通常1つ以上のリモート NFS ファイルサーバーにあります。最も単純なのは、エクスポートされた NFS ファイルシステムに名前空間識別子 fs が対応するという図 25–3 のような場合です。
しかしオブジェクトのファイルシステムの中には、複数の (重なり合う場合もある) リモートマウントで構成され、FNS によって管理される仮想ディレクトリ構造にまとめられているものもあります。
図 25–4 は、この機能を使用して 3 つの異なるファイルサーバーをまとめて組織のファイルシステムを 1 つ作成している例です。project ディレクトリと lib サブディレクトリは同じファイルサーバー上に常駐していますが、src サブディレクトリの常駐先は別です。しかしユーザー、およびアプリケーションの側からは 1 つのシームレスな名前空間に見えるので、複数のサーバーを使用していることを意識する必要はありません。
効率を上げるため、FNS ディレクトリのマウントには必要に応じてオートマウンタが使用されます。/etc/auto_master 構成ファイルには、デフォルトでは以下のような行が含まれます。
/xfn -xfn |
これは、「FNS 名前空間が、XFN の指定どおり /xfn の下にマウントされる」という意味です。
オートマウンタは、FNS によって指定されたディレクトリのマウントに使用されるため、FNS ディレクトリのサブディレクトリは、マウントされるまで表示できません。たとえば、sales 組織のファイルシステムが複数のファイルシステムで構成されているとします。以下の ls コマンドは最近アクセスして現在もマウントされている 2 つのファイルシステムだけを表示します。
% ls /xfn/org/sales/fs customers products |
完全なリストを表示するには、fnlist コマンドを使用します。
% fnlist org/sales/fs Listing org/sales/fs: products goals customers incentives |