Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

サブドメインの設定

単一ゾーンのサブドメインの設定

最も簡単な方法は、サブドメインを親ドメインのゾーンに含めることです。こうすると、1 セットの DNS サーバーとデータファイルでドメインに関係なくすべてのマシンを管理できます。

単一ゾーン方式の長所は、管理が簡素化され簡単なことです。短所は 1 セットのサーバーですべてのゾーンのドメインにあるマシンを管理しなければならないということです。マシンの数が多すぎると、サーバーの負荷が大きくなり過ぎ、パフォーマンスが低下することがあります。

複数のドメインで構成されているゾーンのデータファイルには、そのゾーンに含まれる各ドメインのすべてのマシンとサーバーに関わるレコードが必要です。

複数のドメインで構成されているゾーンを設定するのも、単一ドメインで構成されているゾーンを設定するのも、必要な作業は基本的に同じです。唯一の相違は、遠隔ドメインのマシンを識別できるようにするために、hosts ファイルには完全指定のドメイン名を使用しなければならないということです。サーバーのローカルドメインにあるマシンであれば、hosts ファイルにマシン名しか指定されていなくても識別できます。しかし、他のドメインにあるマシンを識別するには、完全指定のドメイン名、 つまり machine.domain という書式で指定しなければなりません。

hosts.rev ファイルと named.local ファイルに指定するサーバー名やマシン名にも、完全指定のドメイン名を使用する必要があります。ただし、これはゾーンがいくつのドメインで構成されているかには関係ありません。

複数ゾーンのサブドメインの設定

複数ゾーン方式の長所は、ドメインごとにその中のマシンを管理するサーバーセットを変更できるということです。つまり、サーバーの負荷を分散させ、1 セットのサーバーに負荷が集中するのを防ぐことができます。短所は、設定時の作業がより複雑になることです。

異なるゾーンのサブドメインを設定するのは、1 つのゾーンに複数のドメインを含めるのよりも複雑です。これは、さまざまなゾーンにあるクライアントが他のゾーンの DNS 情報を得る方法を指定しなければならないからです。

ネットワークを複数のドメインに分ける場合、ドメインを階層化します。必ず最上位のドメインがあって、その下に 1 つまたは複数のサブドメインがあります。サブドメインの下にサブドメインを作ることもできます。しかし、どのサブドメインにも階層構造の中で最上位のドメインから相対的に決まった場所があります。ドメイン名は左から右に読んでいくと、階層内におけるドメインの位置を示していることがわかります。たとえば、doc.com ドメインは sales.doc.com の上位にあり、west.sales.doc.com ドメインは sales.doc.com ドメインの下位にあることがわかります。

DNS ゾーンはそのゾーンが含むドメインから階層を取り込みます。ネットワークの最上位ドメインを含むゾーンは最上位のゾーンになります。最上位のドメインの下のサブドメインを 1 つ以上含むゾーンは、ゾーンの階層でいえば最上位のゾーンの下のゾーンになります。DNS 情報をあるゾーンから別のゾーンへ移動させるということは、このゾーン階層の中を上下に移動させるということです。つまり、各ゾーンでは、すぐ上のゾーンに情報を渡すにはどうするか、すぐ下のゾーンに情報を渡すにはどうするかを専用のデータファイルのレコードに指定しておく必要があります。

複数のゾーンで構成されているネットワークの中で、DNS 情報をあるゾーンから別のゾーンへ正確に転送させるために必要なことを以下に示します。

この章のファイル例に、2 つのゾーンを持つネットワークが示してあります。