Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

第 12 章 LDAP ネームサービスの紹介 (概要/リファレンス)

この章では、 SunTM ONE Directory Server 5.1 (以前の名称は、 iPlanetTM Directory Server 5.1) 上で動作する Solaris LDAP ネームサービスクライアントの設定方法について説明します。一般的なディレクトリサーバー要件については、第 18 章「LDAP の一般的なリファレンス」で簡潔に説明します。


注 –

ディレクトリサーバーは、必ずしも LDAP サーバーである必要はありません。しかし、この章では「ディレクトリサーバー」という言葉は 「LDAP サーバー」と同じ意味で使っています。


対象読者

LDAP ネームサービスに関するこれらの章は、LDAP に関する実務上の知識を持つシステム管理者を対象としています。以下のリストはこの章を読む前によく理解しておく必要のある概念の一部です。以下の概念を知らない場合は、このマニュアルを使って Solaris 環境に LDAP ネームサービスを導入することは難しいかもしれません。

推奨される前提知識

前述の概念についての詳細、また一般的な LDAP とディレクトリサービスの導入について知りたい場合は、以下の文書を参照してください。

その他の前提条件

NIS+ から LDAP の使用への移行については、 第 19 章「NIS+ から LDAP への移行」を参照してください。これらの章に進む前に、移行を完了させてください。

Sun ONE Directory Server 5.1 をインストールする場合は、『iPlanet Directory Server 5.1 インストールガイド』を参照してください。

LDAP ネームサービスとその他のネームサービスの比較

次の表は、FNS、DNS、 NIS、 NIS+ 、LDAP ネームサービスを比較したものです。

 

DNS 

NIS 

NIS+ 

FNS 

LDAP 

名前空間

階層 

フラット 

階層 

階層 

階層 

データ記憶領域

ファイル/リソースレコード 

2 列のマップ 

複数列のテーブル 

マップ 

ディレクトリ (可変) 

インデックス化したデータベース 

サーバー

マスター/スレーブ 

マスター/スレーブ 

ルートマスター/  

非ルートマスター主/ 

副キャッシュ/スタブ 

なし 

マスター/複製 

マルチマスター複製 

セキュリティ

なし 

なし (root または、なし) 

DES- 認証 

 

なし (root またはなし) 

SSL、可変 

トランスポート

TCP/IP 

RPC 

RPC 

RPC 

TCP/IP 

スケール

グローバル 

LAN 

LAN 

グローバル (DNS 付)/LAN 

グローバル 

完全指定ドメイン名の使用

NIS や NIS+ クライアントと違い、 LDAP クライアントは常にホスト名として完全指定のドメイン名 (FQDN、Fully Qualified Domain Name) を返します。LDAP のFQDN は、DNS によって返される FQDN に似ています。たとえば、次のドメイン名を考えてみましょう。


west.example.net

ホスト名 server を検索する場合、gethostbyname() および getipnodebyname() はホスト名を FQDN で返します。


server.west.example.net

また、server-# のようなインタフェース固有の別名を使用した場合も、完全指定ホスト名の長いリストが返されます。ホスト名を使用してファイルシステムを共有したり他の検査を実行したりする場合、この点に留意する必要があります。たとえば、ローカルホストは FQDN ではなく、リモートの DNS で解決されるホストだけが FQDN であると想定している場合は、その違いに留意する必要があります。DNS とは違うドメイン名で LDAP を設定する場合、参照先によって同じホストが結果的に2つの異なる FQDN になる可能性があります。

LDAP ネームサービスの利点

LDAP ネームサービスの欠点

以下に、その他のネームサービスと比較して LDAP の欠点を示します。


注 –

ディレクトリサーバー (LDAP サーバー) をそのクライアントとして使用することはできません。つまり、ディレクトリサーバーソフトウェアを実行中のマシンを、LDAP ネームサーバークライアントにすることはできません。


Solaris 9 LDAP ネームサービスの新機能

NIS+ から LDAP への移行


注 –

NIS+ は、将来のリリースでサポートされない可能性があります。Solaris 9 オペレーティング環境には、NIS+ から LDAP への移行を支援するツールが用意されています。

詳細については、http://www.sun.com/directory/nisplus/transition.html を参照してください。


NIS+ から LDAP への移行の詳細については、 第 19 章「NIS+ から LDAP への移行」を参照してください。

LDAP ネームサービスの設定 (作業マップ)

作業 

参照先  

ネットワークモデルの計画 

ネットワークモデルの計画

DIT の計画 

ディレクトリ情報ツリー (DIT) の計画

複製サーバーの設定 

複製サーバー

セキュリティモデルの計画 

セキュリティモデルの計画

クライアントプロファイルおよびデフォルト属性値の選択 

クライアントプロファイルおよびデフォルト属性値の計画

データ生成の計画 

データ生成の計画

Sun ONE Directory Server 5.1 を構成して、LDAP ネームサービスから使用可能にする 

エクスプレス構成および標準構成の使用

Sun ONE Directory Server 5.1 を設定して、LDAP ネームクライアントから使用可能にする 

第 15 章「Sun ONE Directory Server 5.1 の設定 (手順)」

プリンタエントリの管理 

プリンタエントリの管理

LDAP クライアントの初期化 

クライアントの初期設定

プロファイルを使用したクライアントの初期化 

プロファイルを使用してクライアントを初期化する

手動によるクライアントの初期化 

クライアントを手動で初期設定する

クライアントの初期化解除 

クライアントの初期設定を解除する

サービス検索記述子を使用した、クライアントプロファイルの変更 

サービス検索記述子を使用してさまざまなサービスへのクライアントアクセスを変更する

ネームサービス情報の取得 

LDAP ネームサービス情報の検出

クライアント環境のカスタマイズ 

クライアント環境のカスタマイズ