Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル

付録 B このマニュアルの改訂履歴

この付録では、このマニュアルの改訂履歴について説明しています。

現行バージョン - Solaris 9 12/02 リリース

このマニュアルの現行バージョンは、Solaris 9 12/02 リリースに適用されます。

新しいパラメータ

ip_policy_mask

このパラメータは、Solaris 9 12/02 リリースで新規に追加されたものです。

詳細については ip_policy_mask を参照してください。

logevent_max_q_sz

このパラメータは、Solaris 8 1/01 リリースで新規に追加されたものです。

詳細については logevent_max_q_sz を参照してください。

サポートされなくなったまたは廃止されたパラメータ

priority_pagingcachefree のサポート終了

priority_pagingcachefree チューニング可能パラメータはSolaris 9 リリースではサポートされていません。これらは優先度ページングと同様の機能を常に有効にするページングポリシーを実装する拡張ファイルシステムキャッシングアーキテクチャにより置き換えられました。 /etc/system ファイル内でこれらのパラメータを設定しようとすると、ブート時に次のような警告が表示されます。


sorry, variable 'priority_paging' is not defined in the 'kernel'
sorry, variable 'cachefree' is not defined in the 'kernel'     

/etc/system ファイルを含む SUNWcsr パッケージは、 priority_pagingcachefree のチューニング可能パラメータを含むことを防止するように変更されました。 /etc/system ファイルに priority_paging または cachefree パラメータを含んだまま、Solaris 9 リリースへアップグレードしたり、SUNWcsr パッケージを pkgadd すると、次のようになります。

  1. /etc/system ファイル内に priority_paging または cachefree パラメータが設定されていると次のメッセージが表示されます。


    /etc/system has been modified since it contains references to priority 
    paging tunables. Please review the changed file.
  2. /etc/system ファイル内のpriority_paging および cachefree を設定するすべての行の前に次のコメントが挿入されます。 たとえば priority_paging を 1 に設定している場合、 priority_paging 値の行の前に、次の行が挿入されます。


* NOTE: As of Solaris 9, priority paging is unnecessary and has been removed. 
* Since references to priority paging-related tunables will now result in 
* boot-time warnings, the assignment below has been commented out. For more 
* details, see the Solaris 9 Release Notes, or the "Solaris Tunable Parameters
* Reference Manual".

廃止パラメータ

次のパラメータは変更または修正されました。

変更されたパラメータ

次のパラメータは変更または修正されました。

maxusers

次の箇所が変更されました。

範囲

1 から 2048

変更後:

範囲

/etc/system ファイルに設定されていない場合は、物理メモリーに基づいて、1 から 2048。

/etc/system ファイルに設定されている場合は、1 から 4096。

pages_pp_maximum

次の箇所が変更されました。

デフォルト

200、tune_t_minarmem + 100、[ブート時に使用可能なメモリーの 10%] 、のうちで最も大きいもの

変更後:

デフォルト

tune_t_minarmem + 100 と、[ブート時に使用可能なメモリーの4% + 4 Mbytes] のどちらか大きい方

範囲

デフォルト値から物理メモリーの 20% 以内。システムは、「検査」の項目で記述されていなければ、この範囲を強制しません。

変更後:

範囲

システムが強制する最小値は tune_t_minarmem + 100。最大値はありません。

動的か

はい、ただしメモリーの追加や削除を伴う動的再構成が行われると、動的に変更した値は無効になります。その時点でこの値は、/etc/system ファイルに指定された値か、計算された値にリセットされます。

検査

200、tune_t_minarmem + 100、[使用可能なメモリーの 10%]、/etc/system からの値の中で最も大きいもの。/etc/system からの値が増やされても、メッセージは表示されません。ブート時にのみ行われます。

変更後:

検査

/etc/system ファイルで指定された値、またはデフォルトで計算された値が tune_t_minarmem + 100 よりも小さい場合、この値は tune_t_minarmem + 100 へリセットされます。

/etc/system ファイルからの値が増やされても、メッセージは表示されません。 ブート時とメモリーの追加または削除を伴なう動的再構成が行われた場合のみ実行されます。

どのような場合に変更するか

メモリーのロック要求や、SHARE_MMU フラグを指定した共有メモリーセグメントへの接続が失敗したが、使用可能なメモリーが十分ありそうな場合。32G バイトシステムで、メモリーの 10% を空き状態に維持することは過剰である場合があります。

値が大きすぎると、メモリーロック要求が不必要に失敗することがあります。

変更後:

どのような場合に変更するか

メモリーのロック要求や、SHARE_MMU フラグを指定した共有メモリーセグメントへの接続が失敗したが、使用可能なメモリーが十分ありそうな場合。

値が大きすぎると、メモリーロック要求が不必要に失敗することがあります。

rlim_fd_max

Solaris 9 以前のリリースでは次の箇所が変更となっています。

デフォルト

1024

変更後:

デフォルト

65,536

segspt_minfree

次の箇所が変更されました。

範囲

0 から 32,767

変更後:

範囲

物理メモリーの 0 から 50%

shmsys:shminfo_shmseg

次の箇所が変更されました。

説明

1 つのプロセスで作成できる共有メモリーセグメントの制限数

変更後:

説明

1 つのプロセスで接続できる共有メモリーセグメントの制限数。

shmsys:shminfo_shmmax

次の箇所が変更されました。

説明

作成できる System V 共有メモリーセグメントの最大サイズ。このパラメータは、システムが要求されたメモリーセグメントを作成するために必要な物理リソースが実際にあるか調べる前に検査される上限値です。

変更後:

説明

作成できる System V 共有メモリーセグメントの最大サイズ。このパラメータは、システムが要求されたメモリーセグメントを作成するために必要な物理リソースが実際にあるか調べる前に検査される上限値です。

サイズが 0 の共有メモリーセグメントや、指定した値より大きいサイズの共有メモリーセグメントを作成しようとすると、 EINVAL エラーとなります。

デフォルト

1,048,576

変更後:

デフォルト

8,388,608

tmpfs:tmpfs_maxkmem

次の箇所が変更されました。

デフォルト

変更後:

デフォルト

1 ページまたは物理メモリーの 4% (どちらか大きい方)。

tmpfs:tmpfs_minfree

このパラメータは修正されました。次の箇所が変更されました。

単位

バイト

変更後:

単位

ページ

tcp_rexmit_interval_max

次の箇所が変更されました。

範囲

1 ミリ秒から 20 秒

変更後:

範囲

1 ミリ秒から 2 時間

tcp_slow_start_initial

このパラメータは修正されました。

詳細は tcp_slow_start_initial を参照してください。

tcp_conn_req_max_q0

次の箇所が変更されました。

どのような場合に変更するか

極めて多くの接続要求を受信することがある Web サーバーのようなアプリケーションでは、着信頻度に応じてこのデフォルト値を増やすことができます。

tcp_conn_req_max_q0 と、各ソケットについて保留状態にある接続の最大数との関係は、次のとおりです。

接続要求を受信すると、TCP はまず、受け付けられるのを待っている保留状態の TCP 接続 (3 段階ハンドシェークが終わっている) の数 (N) が、そのリスナーに対する最大数を超えていないかをチェックします。接続数が超えていると、その要求は拒否されます。超えていなければ、TCP は、不完全な保留状態の TCP 接続の数が、Ntcp_conn_req_max_q0 の合計を超えていないかをチェックします。超えていなければ、その要求は受け付けられます。超えていると、最も古い不完全な保留状態の TCP 要求がドロップされます。

変更後:

どのような場合に変更するか

極めて多くの接続要求を受信することがある Web サーバーのようなアプリケーションでは、着信頻度に応じてこのデフォルト値を増やすことができます。

tcp_conn_req_max_q0 と、各ソケットについて保留状態にある接続の最大数との関係は、次のとおりです。

接続要求を受信すると、TCP はまず、受け付けられるのを待っている保留状態の TCP 接続 (3 段階ハンドシェークが終わっている) の数が、そのリスナーに対する最大数 (N) を超えていないかをチェックします。接続数が超えていると、その要求は拒否されます。超えていなければ、TCP は、不完全な保留状態の TCP 接続の数が、Ntcp_conn_req_max_q0 の合計を超えていないかをチェックします。超えていなければ、その要求は受け付けられます。超えていると、最も古い不完全な保留状態の TCP 要求がドロップされます。

sun4d サポートの終了

Solaris 9 リリースは sun4d プラットフォームをサポートしません。sun4d のサポート終了に伴ない、次のパラメータが変更されました。

旧リリース (Solaris 8) からの既存パラメータへの変更

shmsys:shminfo_shmmin

次の箇所が変更されました。

どのような場合に変更するか

現在、変更する理由は見当たりません。

変更後:

どのような場合に変更するか

できるだけ変更しないでください。この値が大きすぎると、powerd などのシステムプログラムが異常終了することがあります。shminfo_shmmin より小さいセグメントを作成するプログラムには、そのセグメントを作成しようとした時に EINVAL エラーが返され、通常、そのプログラムは終了します。

semsys:seminfo_semmnu

このパラメータが追加されました (このパラメータは、以前に誤って省略されていたため)。