Solaris のシステム管理 (上級編)

TTY モニターとネットワークリスナーポートモニター

SAF は、将来のモニターや他社製のポートモニターの管理に対応するために総合的な管理方法を提供していますが、Solaris 環境では ttymonlisten の 2 つだけが実装されています。

TTY ポートモニター (ttymon)

ttymon ポートモニターは、STREAMS をベースにしており、以下を実行します。

ttymon ポートモニターは、以前のバージョンの SunOS 4.1 ソフトウェアのもとで getty が提供していたのと同じサービスを Solaris ユーザーに提供します。

ttymon ポートモニターは SAC プログラムで実行され、sacadm コマンドを使用して構成します。ttymon の各インスタンスはそれぞれに複数のポートを監視できます。それらのポートはポートモニターの管理ファイル内に指定します。また、この管理ファイルは pmadm および ttyadm コマンドを使用して構成します。

ttymon とコンソールポート

コンソールサービスの管理は、サービスアクセスコントローラや、明示的な ttymon 管理ファイルの実行によるものではありません。 /etc/inittab ファイル内のエントリを使用し、ttymon を直接モードで使用して、コンソールポートの管理を行います。直接モードとは、ttymon の特別なモードのことで、ログインサービスが必要なコマンドによって直接呼び出されます。

/etc/inittab ファイル内のデフォルトのコンソールエントリは次のようになります。


co:234:respawn:/usr/lib/saf/ttymon -g -h -p "`uname -n` console login: "
 -T terminal_type -d /dev/console -l console -m ldterm,ttcompat

co:234:respawn:

co は、エントリをコンソールとして指定する。234 は動作の実行レベルを指定する。respawn は、コンソールエントリが失敗した場合、あるいは実行レベル 2、3、4 に存在しない場合に、コンソールエントリを再起動する必要があることを示す

/usr/lib/saf/ttymon -g -h

-g オプションを使用するため、正しいボーレートと正しい端末設定をポート上で設定でき、SAC による事前構成なしに、ログインサービスに接続できる。-h オプションは、デフォルトまたは指定した速度に設定する前に、回線速度をゼロに設定することにより、回線をハングアップさせる

-p "`uname -n` console login:

コンソールポート用のプロンプト文字列を指定する 

-t terminal_type

コンソールの端末タイプを指定する 

-d /dev/console -l console -m ldterm,ttcompat

-d オプションは、コンソールデバイスを指定する。 -l オプションは、/etc/ttydefsファイル内の ttylabel を指定する。-m オプションは、プッシュする STREAMS モジュールを指定する

ttymon 固有の管理コマンド (ttyadm)

ttymon の管理ファイルは、sacadm および pmadm の他に ttyadm コマンドによっても更新できます。ttyadm コマンドは、ttymon 固有の情報を書式化し、それらの情報を標準出力に書き出し、書式化された ttymon 固有のデータを sacadm および pmadm コマンドに提示する手段を提供します。

したがって、ttyadmttymon を直接管理するのではなく、一般的な管理用コマンドである sacadm および pmadm を補足するものです。詳細は、ttyadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

ネットワークリスナーサービス (listen)

listen ポートモニターは SAC プログラムで動作し、以下を実行します。

listen ポートモニターは sacadm コマンドを使用して構成します。listen の各インスタンスはそれぞれに複数のサービスを提供できます。それらのサービスは listen ポートモニターの管理ファイルに指定します。この管理ファイルは pmadm および nlsadmin コマンドを使用して構成します。

ネットワークリスナープロセスは、トランスポート層インタフェース (TLI) 仕様に準拠する任意の接続型トランスポートプロバイダで使用できます。Solaris 環境では、listen ポートモニターは、inetd サービスが提供しない追加ネットワークサービスを提供できます。

listen 固有の管理コマンド (nlsadmin)

listen ポートモニターの管理ファイルは、sacadm および pmadm の他に、nlsadmin コマンドでも更新できます。nlsadmin コマンドは、listen 固有の情報の書式を定義して標準出力に書き込み、書式付きの listen 固有のデータを sacadm および pmadm コマンドに提示する手段を提供します。

したがって、nlsadminlisten を直接管理するのではなく、一般的な管理用コマンドである sacadm および pmadm を補足するものです。

個別に構成される各ネットワークには、ネットワークリスナープロセスのインスタンスが少なくとも 1 つは存在します。nlsadmin コマンドは listen ポートモニターの動作状態を制御します。

nlsadmin コマンドは、与えられたネットワークに対して listen ポートモニターを設定し、そのポートモニターの固有の属性を構成し、そのモニターを起動したり、強制終了させたりすることができます。さらに、マシン上にある listen ポートモニターについて報告することもできます。

詳細は、nlsadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。