Solaris のシステム管理 (上級編)

第 12 章 サービスアクセス機能によるシリアルポートの管理 (手順)

この章では、サービスアクセス機能 (SAF) によるシリアルポートサービスの管理方法を説明します。

この章で説明する手順は次のとおりです。

この章の内容は以下のとおりです。

SAF については、サービスアクセス機能の管理 (リファレンス)を参照してください。

サービスアクセス機能 (SAF) の概要

端末とモデムの設定は、Solaris 管理コンソールのシリアルポートツール、admintool、SAF コマンドで行うことができます。

SAF は、端末、モデム、その他のネットワーク装置を管理するためのツールです。SAF プログラムの最上位には、サービスアクセスコントローラ (SAC) があります。SAC は、 sacadm コマンドを使用して管理するポートモニターを制御します。各ポートモニターは 1 つ以上のポートを管理できます。

管理者は pmadm コマンドを使用して、ポートに対応するサービスを管理します。SAC が提供するサービスはネットワークによって異なりますが、SAC と管理コマンド sacadmpmadm はネットワークには依存しません。

表 12–1 に SAF の制御階層を示します。 sacadm コマンドを使用すると、 ttymon および listen ポートモニターを制御する SAC を管理できます。

また、ttymonlisten のサービスは pmadm コマンドにより制御されます。 ttymon の 1 つのインスタンスは複数のポートにサービスを提供できます。また、 listen の 1 つのインスタンスは、ネットワークインタフェース上で複数のサービスを提供できます。

表 12–1 SAF の制御階層

機能 

プログラム 

説明 

全体の管理 

sacadm

ポートモニターの追加および削除用コマンド 

サービスアクセスコントローラ 

sac

SAF のマスタープログラム 

ポートモニター 

ttymon

listen

シリアルポートのログイン要求を監視する 

ネットワークのサービス要求を監視する 

ポートモニターサービスの管理 

pmadm

ポートモニターのサービス制御用コマンド 

サービス 

ログイン、リモートプロシージャコール、その他 

SAF がアクセスを可能にするサービス 

コンソールの管理 

コンソールログイン 

コンソールは、 /etc/inittab ファイル中のエントリにより、ttymon の直接モードを使用して、自動的に設定される。 pmadmsacadm を使用して、コンソールを直接管理しないこと。詳細は、ttymon とコンソールポートを参照

SAF 全体の管理 (sacadm)

sacadm コマンドは SAF 階層の最上位のコマンドです。sacadm コマンドは主に、ttymon および listen などのポートモニターを追加または削除するのに使用します。このコマンドにはそれ以外に、ポートモニターの現在の状態の表示、ポートモニターの構成スクリプトの管理などの機能があります。

サービスアクセスコントローラ (SAC プログラム)

サービスアクセスコントローラ (SAC) プログラムはすべてのポートモニターを管理します。システムはマルチユーザーモードになると自動的に SAC を起動します。

SAC は、起動されるとまず、各システムの構成スクリプトを探して解釈します。構成スクリプトを使用すると、SAC の環境をカスタマイズできます。このスクリプトは、デフォルトでは空の状態です。ここで行われる SAC の環境に対する変更は、SAC のすべての「子プロセス」に継承されます。継承された環境は継承した子プロセスで変更できます。

SAC プログラムは、システムごとの構成スクリプトの解釈が終わると、 SAC の管理ファイルを読み取り、指定されたポートモニターを起動します。各ポートモニターについて、SAC はそれ自身のコピーを実行します (技術的には 、SAC が子プロセスをフォークします)。次に、各子プロセスは、それぞれのポートモニターごとの構成スクリプトがあればそれを解釈します。

各ポートモニターの構成スクリプトに指定されている環境を変更すると、それぞれのポートモニターが影響を受け、さらにそれがポートモニターのすべての子プロセスに継承されます。最後に、子プロセスは SAC 管理ファイル内のコマンドを使用して親であるポートモニタープログラムを実行します。

SAC の初期化プロセス

次に、SAC を最初に起動したときに行われる一連の処理を要約します。

  1. init が実行レベル 2 で SAC プログラムを生成します。

  2. SAC プログラムがシステムごとの構成スクリプト/etc/saf/_sysconfigを読み取ります。

  3. SAC プログラムが SAC 管理ファイル /etc/saf/_sactab を読み取ります。

  4. SAC プログラムが起動する各ポートモニターの子プロセスをフォークします。

  5. 各ポートモニターがポートモニターごとの構成スクリプト /etc/saf/pmtag/_config を読み取ります。

ポートモニターサービス管理 (pmadm)

pmadm コマンドでポートモニターのサービスを管理できます。pmadm コマンドは特にサービスを追加または削除したり、サービスを有効または無効にしたりする場合に使用します。このコマンドでは、さらに、各サービスの構成スクリプトをインストールしたり置き換えたり、サービスに関する情報を出力したりすることもできます。

サービスの各インスタンスは、ポートモニター別、ポート別に一意に識別できなければなりません。pmadm コマンドを使用してサービスを管理する場合、pmtag 引数で特定のポートモニターを、また svctag 引数で特定のポートをそれぞれ指定します。

ポートモニターのタイプごとに、SAF はポートモニター固有の構成データのフォーマットを定義するための特別なコマンドを必要とします。この構成データは pmadm コマンドで使用します。ttymon および listen ポートモニター用の特別なコマンドは、それぞれ ttyadmnlsadmin です。

ttymon ポートモニター

直結モデムまたは英数字端末を通してログインしようとするたびに、ttymon は動作を開始します。

図 12–1 に示すように、init プロセスがブート時に最初に起動されるプロセスです。init プロセスは、その管理ファイル (/etc/inittab) を参照して、必要に応じて他のプロセスを起動します。それらのプロセスの 1 つに SAC があります。

SAC が起動されると、今度は SAC がその管理ファイル (/etc/saf/_sactab) に指定されているポートモニターを自動的に起動します。次の図は、1 つの ttymon ポートモニターだけを示しています。

ttymon ポートモニターが起動されると、シリアルポート回線を監視してサービス要求がないかどうかを調べます。

図 12–1 ttymon によるログイン要求の処理

この図については前の本文中で説明しています。

ユーザーが英数字端末やモデムを通してログインしようとすると、シリアルポートドライバはその操作をオペレーティングシステムに伝えます。ttymon ポートモニターはシリアルポートの操作を監視し、通信リンクを確立しようとします。つまり、装置との通信に必要なデータ転送速度、回線制御手順、ハンドシェークプロトコルを決定します。

モデムや端末との通信用の正しいパラメータの設定が終わると、 ttymon ポートモニターはそれらのパラメータをログインプログラムに渡し、制御を移します。

ポートの初期化プロセス

ttymon ポートモニターのインスタンスが SAC によって実行されると、ttymon はポートの監視を始めます。ttymon ポートモニターは、各ポートについて指定されている場合、まず回線制御手順を初期化し、次に回線速度と端末の設定を初期化します。初期化に使用される値は、/etc/ttydefs の該当するエントリから得られます。

ttymon ポートモニターは、次に、プロンプトを表示してユーザーからの入力を待ちます。ユーザーが Break キーを押して回線速度が不適当であるという指示を与えると、ttymon ポートモニターは次の速度を設定して、再びプロンプトを表示します。

自動ボーレート」がポートで有効な場合は、 ttymon ポートモニターはそのポートのボーレートを自動的に決めようとします。ttymon ポートモニターがボーレートを認識してプロンプトを表示する前に、ユーザは Return キーを押す必要があります。

有効な入力を受け取ると、 ttymon ポートモニターは次のタスクを実行します。

サービスが終了すると、ttymon/etc/utmpx 中にエントリがあれば削除し、ポートを初期状態に戻します。

発着信両用サービス

ポートが発着信両用サービスに設定されている場合、ttymon ポートサービスは次のように行います。

TTY モニターとネットワークリスナーポートモニター

SAF は、将来のモニターや他社製のポートモニターの管理に対応するために総合的な管理方法を提供していますが、Solaris 環境では ttymonlisten の 2 つだけが実装されています。

TTY ポートモニター (ttymon)

ttymon ポートモニターは、STREAMS をベースにしており、以下を実行します。

ttymon ポートモニターは、以前のバージョンの SunOS 4.1 ソフトウェアのもとで getty が提供していたのと同じサービスを Solaris ユーザーに提供します。

ttymon ポートモニターは SAC プログラムで実行され、sacadm コマンドを使用して構成します。ttymon の各インスタンスはそれぞれに複数のポートを監視できます。それらのポートはポートモニターの管理ファイル内に指定します。また、この管理ファイルは pmadm および ttyadm コマンドを使用して構成します。

ttymon とコンソールポート

コンソールサービスの管理は、サービスアクセスコントローラや、明示的な ttymon 管理ファイルの実行によるものではありません。 /etc/inittab ファイル内のエントリを使用し、ttymon を直接モードで使用して、コンソールポートの管理を行います。直接モードとは、ttymon の特別なモードのことで、ログインサービスが必要なコマンドによって直接呼び出されます。

/etc/inittab ファイル内のデフォルトのコンソールエントリは次のようになります。


co:234:respawn:/usr/lib/saf/ttymon -g -h -p "`uname -n` console login: "
 -T terminal_type -d /dev/console -l console -m ldterm,ttcompat

co:234:respawn:

co は、エントリをコンソールとして指定する。234 は動作の実行レベルを指定する。respawn は、コンソールエントリが失敗した場合、あるいは実行レベル 2、3、4 に存在しない場合に、コンソールエントリを再起動する必要があることを示す

/usr/lib/saf/ttymon -g -h

-g オプションを使用するため、正しいボーレートと正しい端末設定をポート上で設定でき、SAC による事前構成なしに、ログインサービスに接続できる。-h オプションは、デフォルトまたは指定した速度に設定する前に、回線速度をゼロに設定することにより、回線をハングアップさせる

-p "`uname -n` console login:

コンソールポート用のプロンプト文字列を指定する 

-t terminal_type

コンソールの端末タイプを指定する 

-d /dev/console -l console -m ldterm,ttcompat

-d オプションは、コンソールデバイスを指定する。 -l オプションは、/etc/ttydefsファイル内の ttylabel を指定する。-m オプションは、プッシュする STREAMS モジュールを指定する

ttymon 固有の管理コマンド (ttyadm)

ttymon の管理ファイルは、sacadm および pmadm の他に ttyadm コマンドによっても更新できます。ttyadm コマンドは、ttymon 固有の情報を書式化し、それらの情報を標準出力に書き出し、書式化された ttymon 固有のデータを sacadm および pmadm コマンドに提示する手段を提供します。

したがって、ttyadmttymon を直接管理するのではなく、一般的な管理用コマンドである sacadm および pmadm を補足するものです。詳細は、ttyadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

ネットワークリスナーサービス (listen)

listen ポートモニターは SAC プログラムで動作し、以下を実行します。

listen ポートモニターは sacadm コマンドを使用して構成します。listen の各インスタンスはそれぞれに複数のサービスを提供できます。それらのサービスは listen ポートモニターの管理ファイルに指定します。この管理ファイルは pmadm および nlsadmin コマンドを使用して構成します。

ネットワークリスナープロセスは、トランスポート層インタフェース (TLI) 仕様に準拠する任意の接続型トランスポートプロバイダで使用できます。Solaris 環境では、listen ポートモニターは、inetd サービスが提供しない追加ネットワークサービスを提供できます。

listen 固有の管理コマンド (nlsadmin)

listen ポートモニターの管理ファイルは、sacadm および pmadm の他に、nlsadmin コマンドでも更新できます。nlsadmin コマンドは、listen 固有の情報の書式を定義して標準出力に書き込み、書式付きの listen 固有のデータを sacadm および pmadm コマンドに提示する手段を提供します。

したがって、nlsadminlisten を直接管理するのではなく、一般的な管理用コマンドである sacadm および pmadm を補足するものです。

個別に構成される各ネットワークには、ネットワークリスナープロセスのインスタンスが少なくとも 1 つは存在します。nlsadmin コマンドは listen ポートモニターの動作状態を制御します。

nlsadmin コマンドは、与えられたネットワークに対して listen ポートモニターを設定し、そのポートモニターの固有の属性を構成し、そのモニターを起動したり、強制終了させたりすることができます。さらに、マシン上にある listen ポートモニターについて報告することもできます。

詳細は、nlsadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。

ttymon ポートモニターの管理

sacadm コマンドを使用して ttymon ポートモニターを追加、表示、削除、終了、起動、あるいは有効または無効にすることができます。


注 –

次の手順を行うにはスーパーユーザーになる必要があります。


ttymon ポートモニターを追加する方法

ttymon ポートモニターを追加するには、次のように入力します。


# sacadm -a -p mbmon -t ttymon -c /usr/lib/saf/ttymon -v `ttyadm
-V` -y "TTY Ports a & b"

-a

ポートモニターフラグを追加する。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

-t

ポートモニタータイプを ttymon として指定する。

-c

ポートモニターを起動するのに使用するコマンド文字列を定義する。 

-v

ポートモニターのバージョン番号を指定する。 

-y

ポートモニターのインスタンスを説明するコメントを指定する。 

ttymon ポートモニターの状態を表示する方法

ttymon ポートモニターの状態を見るには、次のように入力します。


# sacadm -l -p mbmon

-l

ポートモニターを表示する。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

例 - ttymon ポートモニターの状態を表示する


# sacadm -l -p mbmon
PMTAG  PMTYPE  FLGS RCNT STATUS    COMMAND
mbmon  ttymon  -    0    STARTING  /usr/lib/saf/ttymon #TTY Ports a & b

PMTAG

mbmon

ポートモニター名 mbmon を指定する。

PMTYPE

ttymon

ポートモニターのタイプ ttymon を指定する

FLGS

-

次の 2 つのフラグが設定されているかどうかを示す。 

d は、新しいポートモニターを有効にしない。

x は、新しいポートモニターを起動しない。この例では、どちらのフラグも設定されていない

RCNT

0

戻りカウント値を示す。0 の戻りカウントは、ポートモニターが失敗した場合でも再起動しないことを示す。

STATUS

STARTING

ポートモニターの現在の状態を示す。 

COMMAND

/usr/lib/saf ...

ポートモニターを起動するコマンドを指定する。 

#TTY Ports a & b

ポートモニターを説明するコメントを指定する。 

ttymon ポートモニターを停止する方法

ttymon ポートモニターを終了するには、次のように入力します。


# sacadm -k -p mbmon

-k

ポートモニターを終了する。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

ttymon ポートモニターを起動する方法

終了した ttymon ポートモニターを起動するには、次のように入力します。


# sacadm -s -p mbmon

-s

ポートモニターを起動する。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

ttymon ポートモニターを無効にする方法

ポートモニターを無効にすると、以前から存在しているサービスをそのまま有効にするため、新しいサービスが起動できなくなります。

ttymon ポートモニターを無効にするには、次のように入力します。


# sacadm -d -p mbmon

-d

ポートモニターを無効にする。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

ttymon ポートモニターを有効にする方法

ttymon ポートモニターを有効にすると、そのモニターが新しい要求にサービスを提供できるようになります。

ttymon ポートモニターを有効にするには、次のように入力します。


# sacadm -e -p mbmon

-e

ポートモニターを有効にする。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

ttymon ポートモニターを削除する方法

ttymon ポートモニターを削除するには、次のように入力します。


# sacadm -r -p mbmon

-r

ポートモニターを削除する。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。


注 –

ポートモニターを削除すると、それに関連するすべての構成ファイルが削除されます。ポートモニター構成ファイルは sacadm コマンドでは更新や変更ができません。ポートモニターを再構成するには、古いポートモニターを削除してから新しいポートモニターを追加してください。


ttymon サービスの管理

pmadm コマンドを使用してサービスを追加したり、ポートモニターに関連付けられている 1 つ以上のポートのサービスを表示したり、サービスを有効または無効にしたりできます。


注 –

次の手順を行うにはスーパーユーザーでなければなりません。


サービスを追加する方法

標準の端末サービスを mbmon ポートモニターに追加するには、次のように入力します。


# pmadm -a -p mbmon -s a -i root -v `ttyadm -V` -m "`ttyadm -i 'Terminal
 disabled' -l contty -m ldterm,ttcompat -S y -d /dev/term/a 
-s /usr/bin/login`"

注 –

上記の入力例では、contty の後が次の行にまたがっていますが、実際には Return キーを押さずに (改行なしに) 入力します。


-a

ポートモニターを追加する。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

-s

a をポートモニターサービスタグとして指定する

-i

識別情報を、サービス実行中にポートモニターサービスタグに割り当てられるように指定する。 

-v

ポートモニターのバージョン番号を指定する。 

-m

ttyadm により書式化された ttymon 固有の構成データを指定する。

上記の pmadm コマンドには ttyadm コマンドが組み込まれています。その組み込みコマンドの中の指定項目の意味は次のとおりです。

-b

ポートフラグを発着信両用に指定する。 

-i

無効応答メッセージを指定する。 

-l

/etc/ttydefs ファイルにあるどの TTY 名を使用するか指定する。

-m

サービスを起動する前にプッシュする STREAMS モジュールを指定する。 

-d

TTY ポートに使用する装置へのフルパス名を指定する。 

-s

接続要求を受信したとき起動するサービスへのフルパス名を指定する。引数が必要な場合、コマンドと引数を二重引用符 (") で囲む。 

TTY ポートサービスの状態を表示する方法

pmadm コマンドを次に示すように使用して、特定のポートモニターに設定されている 1 つまたはすべての TTY ポートを表示します。

1 つのポートモニターの 1 つのサービスを表示するには、次のように入力します。


# pmadm -l -p mbmon -s a

-l

サービス情報を表示するフラグ 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

-s

a をポートモニターサービスタグとして指定する

すべてのポートモニターのすべてのサービスを表示するには、次のように入力します。


# pmadm -l

-l

サービス情報を表示するフラグ 

1 つのポートモニターのすべてのサービスを表示するには、次のように入力します。


# pmadm -l -p mbmon

-l

サービス情報を表示するフラグ 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

例 - 1 つのポートモニターのすべてのサービスを表示する


# pmadm -l -p mbmon
PMTAG  PMTYPE  SVCTAG FLAGS ID    <PMSPECIFIC> 
mbmon  ttymon  a      -     root  /dev/term/a - - /usr/bin/login - contty
ldterm,ttcompat login:  Terminal disabled - y  #

mbmon

pmadm -p コマンドを使用して設定された、ポートモニター名 mbmon を指定する

ttymon

ポートモニターのタイプ ttymon を指定する

a

pmadm -s コマンドを使用して設定された、サービスタグ値を示す

-

次のフラグが pmadm -f コマンドを使用して設定されているかどうかを指定する

x — サービスを有効にしないことを意味する

u — サービス用の utmpx エントリを作成することを意味する。この例では、どちらのフラグも設定されていない

root

起動時にサービスに割り当てられた ID を指定する。この値は、pmadm -i コマンドを使用して設定される

<PMSPECIFIC> Information

 

/dev/term/a

ttyadm -d コマンドを使用して設定された、TTY ポートパス名を示す

-

次のフラグが ttyadm -c -b -h -I -r コマンドを使用して設定されているかどうかを示す。

c — ポート用のキャリアフラグに接続を設定する

b — ポートが双方向性である (着信トラフィックと発信トラフィックの両方を許可する) と設定する

h — 着呼が受信された直後の自動ハングアップを抑制する

I — ポートを初期化する

r — ポートから文字を受信するまで、ttymonlogin: メッセージを出力しないよう待機させる

-

ttyadm -r オプションを使用して設定された値を示す。このオプションは、ポートからデータを受信後に、ttymon がプロンプトを表示するときを決定する。カウントが 0 の場合、ttymon は、任意の文字を受信するまで待機する。カウントが 0 より大きい場合、ttymon は、カウント新規行を受信するまで待機する。この例では、値は設定されていない

/usr/bin/login

接続を受信したときに呼び出されるサービスのフルパス名を指定する。この値は、ttyadm -s コマンドを使用して設定される

-

ttyadm -t コマンドのタイムアウト値を指定する。このオプションは、ポートを開くことに成功して、かつ入力データが timeout 秒内に受信されていない場合に、ttymon がポートを閉じることを指定する。 この例では、タイムアウト値は設定されていない

contty

/etc/ttydefs ファイル中の TTY 名を指定する。この値は、ttyadm -l コマンドを使用して設定される

ldterm,ttcompat

プッシュする STREAMS モジュールを指定する。これらのモジュールは、ttyadmin -m コマンドを使用して設定される

login: Terminal disabled

ポートが無効であるときに表示される、アクティブでないメッセージを指定する。このメッセージは、ttyadm -i コマンドを使用して設定される

tvi925

ttyadm -T コマンドを使用して設定されている場合、端末タイプを指定する。この例では、端末タイプは、tvi925

y

ttyadm -S コマンドを使用して設定されたソフトウェアキャリア値を指定する。n は、ソフトウェアキャリアをオフにする。y は、ソフトウェアキャリアをオンにする。この例では、ソフトウェアキャリアはオン

#

pmadm -y コマンドで指定した任意のコメントを指定する。この例では、コメントは存在しない

ポートモニターサービスを有効にする方法

無効になっているポートモニターのサービスを有効にするには、次のように入力します。


# pmadm -e -p mbmon -s a

-e

有効にする。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

-s

a をポートモニターサービスタグとして指定する。

ポートモニターサービスを無効にする方法

ポートモニターのサービスを無効にするには、次のように入力します。


# pmadm -d -p mbmon -s a

-d

無効にする。 

-p

mbmon をポートモニタータグとして指定する。

-s

a をポートモニターサービスタグとして指定する。

サービスアクセス機能の管理 (リファレンス)

SAF の関連ファイル

SAF は構成ファイルを使用しますが、このファイルは sacadm および pmadm コマンドを使用して変更できます。構成ファイルを手作業で編集する必要はありません。

ファイル名 

説明 

/etc/saf/_sysconfig

システムごとの構成スクリプト 

/etc/saf/_sactab

SAC の管理ファイル。SACが制御するポートモニターの構成データが入っている 

/etc/saf/ pmtag

ポートモニター pmtag のホームディレクトリ

/etc/saf/ pmtag/_config

存在する場合、ポートモニター pmtag のポートモニターごとの構成スクリプト

/etc/saf/ pmtag/_pmtab

ポートモニター pmtag の管理ファイル。pmtag が提供するサービスのポートモニター固有の構成データが入っている

/etc/saf/ pmtag/svctag

サービス svctag のサービスごとの構成スクリプト

/var/saf/log

SAC のログファイル 

/var/saf/ pmtag

pmtag によって作成されるファイルのディレクトリ。たとえば、ログファイルのディレクトリなど

/etc/saf/_sactab ファイル

/etc/saf/_sactabは次のようになります。


# VERSION=1
zsmon:ttymon::0:/usr/lib/saf/ttymon     #

# VERSION=1

サービスアクセス機能のバージョン番号を示す 

zsmon

ポートモニター名 

ttymon

ポートモニターのタイプ 

::

次の 2 つのフラグが設定されているかどうかを示す。 

d — ポートモニターを有効にしない

x — ポートモニターを起動しない。この例では、どちらのフラグも設定されていない

0

戻りコード値を示す。0 の戻りカウントは、ポートモニターが失敗した場合でも再起動しないことを示す

/usr/lib/saf/ttymon

ポートモニターのパス名を示す 

/etc/saf/pmtab/_pmtab ファイル

/etc/saf/pmtab/_pmtab ファイル (/etc/saf/zsmon/_pmtab など) は、次のようになります。


# VERSION=1
ttya:u:root:reserved:reserved:reserved:/dev/term/a:I::/usr/bin/login::9600:
ldterm,ttcompat:ttya login\: ::tvi925:y:# 

# VERSION=1

サービスアクセス機能のバージョン番号を示す 

ttya

サービスタグを示す 

x,u

次のフラグが設定されているかどうかを指定する。 

x — サービスを有効にしないことを意味する

u — サービス用の utmpx エントリを作成することを意味する。

root

サービスタグに割り当てられた ID を示す 

reserved

このフィールドは予約されている 

reserved

このフィールドは予約されている 

reserved

このフィールドは予約されている 

/dev/term/a

TTY ポートパス名を示す 

/usr/bin/login

接続を受信したときに呼び出されるサービスのフルパス名を指定する 

:c,b,h,I,r:

次のフラグが設定されているかどうかを示す。 

c — ポート用のキャリアフラグに接続を設定する

b — ポートが双方向性である (着信トラフィックと発信トラフィックの両方を許可する) と設定する

h — 着呼が受信された直後の自動ハングアップを抑制する

I — ポートを初期化する

r — ポートから文字を受信するまで、ttymonlogin: メッセージを出力しないよう待機させる

9600

/etc/ttydefs ファイルに定義されている TTY 名を指定する

ldterm,ttcompat

プッシュする STREAMS モジュールを指定する。 

ttya login\:

表示するプロンプトを指定する 

:y/n:

 

message

任意のアクティブでない (無効な) 応答メッセージを指定する 

tvi925

端末タイプを指定する 

y

ソフトウェアキャリアが設定されているかどうかを示す (y/n)

サービスの状態

sacadm コマンドはサービスの状態を制御します。次の表は、サービスの起こりうる状態について説明したものです。

状態 

説明 

有効 

デフォルト状態 – ポートモニターを追加したとき、サービスが有効になる 

無効 

デフォルト状態 – ポートモニターを削除したとき、サービスは停止する 

特定のサービスの状態を確認するには、次のように入力します。


# pmadm -l -p portmon_name -s svctag

ポートモニターの状態

sacadm コマンドは、 ttymon および listen ポートモニターの状態を制御します。次の表は、起こりうるポートモニターの状態について説明したものです。

状態 

説明 

起動 

デフォルト状態 – ポートモニターは追加されると自動的に起動される 

有効 

デフォルト状態 – ポートは追加されると自動的にサービス要求を受け付け可能になる 

停止 

デフォルト状態 – ポートモニターは削除されると自動的に停止する 

無効 

デフォルト状態 – ポートモニターは削除されると自動的に提供中であったサービスを続行し、新しいサービスの追加を拒否する 

起動中 

中間状態 – ポートモニターの起動が進行中 

停止中 

中間状態 – ポートモニターは手作業で終了過程に入っているが、まだシャットダウン手続きは完了していない。ポートモニターが停止状態になるまでの途中の状態 

非動作中 

アクティブではない状態 – ポートモニターが強制終了された状態。前の動作状態のときに監視していたすべてのポートがアクセス不可になる。外部のユーザーからはポートが無効なのか、非動作状態なのか区別できない 

障害 

アクティブではない状態 – ポートモニターを起動して動作状態を維持できない 

特定のポートモニターの状態を確認するには、次のように入力します。


# sacadm -l -p portmon_name

ポートの状態

ポートは、ポートを制御するポートモニターの状態によって、有効または無効にできます。

状態 

説明 

シリアル (ttymon) ポートの状態

 

有効 

ttymon ポートモニターはポートにプロンプトメッセージを送り、ログインサービスを提供する

 

無効 

ttymon が強制終了されているか、無効の場合のすべてのポートのデフォルト状態。このように指定した場合、接続要求を受け取ると、 ttymon は「disabled」メッセージを送信する