この章では、Solaris 管理コンソールのシリアルポートツールを使用して、端末とモデムを設定する手順を説明します。
この章で説明する手順は次のとおりです。
端末とモデムの概要については、第 10 章「端末とモデムの管理 (概要)」を参照してください。
Solaris 管理コンソールのシリアルポートツールを使用すると、シリアルポートを設定できます。「シリアルポート (Serial Ports)」メニューからシリアルポートを選択し、「アクション (Action)」メニューから「構成 (Configure)」オプションを選択して、次の内容を設定します。
端末
モデム – 着信
モデム – 発信
モデム – 着信 / 発信
初期化のみ – 接続なし
「構成 (Configure)」オプションは、上記のサービスを設定するテンプレートへのアクセスを提供します。各シリアルポートの詳細を基本と拡張機能の 2 つのレベルで表示することができます。 シリアルポートを選択して、「アクション (Action)」メニューから「プロパティ (Properties)」オプションを選択し、シリアルポートを構成した後、各シリアルポートの詳細レベルにアクセスすることができます。シリアルポートを構成したら、SAF コマンドでポートを使用可能または使用不可にすることができます。SAF コマンドの使用については、第 12 章「サービスアクセス機能によるシリアルポートの管理 (手順)」を参照してください。
シリアルポートのコマンド行インタフェースについては、smserialport(1M) のマニュアルページを参照してください。
表 11–1 にシリアルポートを使用して端末を設定する際のメニュー項目 (およびそれらのデフォルト値) を示します。
表 11–1 端末のデフォルト値
認定レベル |
項目 |
デフォルト値 |
---|---|---|
基本 (Basic) |
ポート名 (Port Name) |
- |
|
備考欄 (Description) |
Terminal |
|
サービスの状態 (Service Status) |
使用可能 |
|
ボーレート (Baud Rate) |
9600 |
|
端末の種類 (Terminal Type) |
tvi925 |
|
ログインプロンプト (Login Prompt) |
ttyn login: |
拡張機能 (Advanced) |
キャリア検出 (Carrier Detection) |
ソフトウェア |
|
選択 : キャリア検出時に接続 (Connect on Carrier) |
いいえ |
|
選択 : 双方向 (Bidirectional) |
はい |
|
選択 : 初期化のみ (Initialize Only) |
いいえ |
|
タイムアウト (秒) (Timeout) |
なし |
|
ポートモニター (Port Monitor) |
zsmon |
|
サービスプログラム (Service Program) |
/usr/bin/login |
表 11–2 に、シリアルポートでモデムを設定する際に使用できる 3 つのモデム用テンプレートを示します。
表 11–2 モデム用テンプレート
モデム構成 |
説明 |
---|---|
着信専用 |
モデムに着信はできるが、発信はできない。 |
発信専用 |
モデムから発信はできるが、着信はできない。 |
発着信両用 |
モデムへ着信も、モデムから発信もできる。 |
表 11–3 に各テンプレートのデフォルト値を示します。
表 11–3 モデム用テンプレートのデフォルト値
認定レベル |
項目 |
モデム - 着信専用 |
モデム - 発信専用 |
モデム -着信と発信 |
---|---|---|---|---|
基本 (Basic) |
ポート名 (Port Name) |
- |
- |
- |
|
備考欄 (Description) |
Modem – Dial In Only |
Modem – Dial Out Only |
Modem – Dial In and Out |
|
サービスの状態 (Service Status) |
使用可能 |
使用可能 |
使用可能 |
|
ボーレート (Baud Rate) |
9600 |
9600 |
9600 |
|
ログインプロンプト (Login Prompt) |
ttyn login: |
ttyn login: |
ttyn login: |
拡張機能 (Advanced) |
キャリア検出 (Carrier Detection) |
ソフトウェア |
ソフトウェア |
ソフトウェア |
|
選択 : キャリア検出時に接続 (Connect on Carrier) |
いいえ |
いいえ |
いいえ |
|
選択 : 双方向 (Bidirectional) |
いいえ |
いいえ |
はい |
|
選択 : 初期化のみ (Initialize Only) |
いいえ |
はい |
いいえ |
|
タイムアウト (秒) (Timeout) |
なし |
なし |
なし |
|
ポートモニター (Port Monitor) |
zsmon |
zsmon |
zsmon |
|
サービスプログラム (Service Program) |
/usr/bin/login |
/usr/bin/login |
/usr/bin/login |
表 11–4 では、「初期化のみ」テンプレートの各デフォルト値を示します。
表 11–4 「初期化のみ (Initialize Only)」のデフォルト値
認定レベル |
項目 |
デフォルト値 |
---|---|---|
基本 (Basic) |
ポート名 (Port Name) |
- |
|
説明 |
Initialize Only - No Connection |
|
サービスの状態 (Service Status) |
有効 |
|
ボーレート (Baud Rate) |
9600 |
|
ログインプロンプト (Login Prompt) |
ttyn login: |
拡張機能 (Advanced) |
キャリア検出 (Carrier Detection) |
ソフトウェア |
|
選択 : キャリア検出時に接続 (Connect on Carrier) |
いいえ |
|
選択 : 双方向 (Bidirectional) |
はい |
|
選択 : 初期化のみ (Initialize Only) |
はい |
|
タイムアウト (秒) (Timeout) |
なし |
|
ポートモニター (Port Monitor) |
zsmon |
|
サービスプログラム (Service Program) | /usr/bin/login |
Solaris 管理コンソールが実行していなければ、起動します。
% /usr/sadm/bin/smc & |
Solaris 管理コンソールの起動については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris Management Console を起動する」を参照してください。
ナビゲーション区画で「このコンピュータ (Computer)」アイコンをクリックします。
「Devices and Hardware」—>「シリアルポート (Serial Ports)」をクリックします。
シリアルポートメニューが表示されます。
端末に使用するポートを選択します。
「アクション (Action)」メニューから「構成 (Configure)」—>「端末 (Terminal)」を選択します。
「シリアルポート n を構成 (Configure Serial Port)」ウィンドウが「基本 (Basic)」モードで表示されます。
「端末 (Terminal)」メニュー項目については、表 11–1 を参照してください。
「了解 (OK)」をクリックします。
各項目を設定するには、端末として設定されたポートを選択します。次に、「アクション (Action)」メニューから「プロパティ (Properties)」を選択します。
必要な場合は、テンプレートエントリの値を変更します。
「了解 (OK)」をクリックしてポートを設定します。
端末サービスが追加されていることを確認します。
$ pmadm -l -s ttyn |
Solaris 管理コンソールが起動していなければ、起動します。
% /usr/sadm/bin/smc & |
Solaris 管理コンソールの起動については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris Management Console を起動する」を参照してください。
ナビゲーション区画で「コンピュータ (Computer)」アイコンをクリックします。
「Devices and Hardware」—>「シリアルポート (Serial Ports)」をクリックします。
シリアルポートメニューが表示されます。
モデムに使用するポートを選択します。
「アクション (Action)」メニューから、次の「構成 (Configure)」オプションのいずれかを選択します。
「シリアルポート n を構成 (Configure Serial Port)」ウィンドウが「基本 (Basic)」モードで表示されます。
「モデム (Modem)」メニュー項目については、表 11–3 を参照してください。
「了解 (OK)」をクリックします。
各項目を設定するには、モデムとして設定されたポートを選択します。次に、「アクション (Action)」メニューから「プロパティ (Properties)」を選択します。
必要な場合は、テンプレートエントリの値を変更します。
「了解 (OK)」をクリックしてポートを設定します。
モデムのサービスが設定されたことを確認します。
$ pmadm -l -s ttyn |
Solaris 管理コンソールが起動していなければ、起動します。
% /usr/sadm/bin/smc & |
Solaris 管理コンソールの起動については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「Solaris Management Console を起動する」を参照してください。
ナビゲーション区画で「コンピュータ (Computer)」アイコンをクリックします。
「Devices and Hardware」—>「シリアルポート (Serial Ports)」をクリックします。
シリアルポートメニューが表示されます。
初期化するポートを選択します。
「構成 (Configure)」—>「初期化のみ – 接続なし (Initialize Only – No Connection)」を選択します。
「シリアルポート n を構成 (Configure Serial Port)」ウィンドウが「基本 (Basic)」モードで表示されます。
「初期化のみ (Initialize Only)」メニュー項目については、表 11–4 を参照してください。
「了解 (OK)」をクリックします。
各項目を設定するには、初期化のみで設定されたポートを選択します。次に、「アクション (Action)」メニューから「プロパティ (Properties)」を選択します。
必要な場合は、テンプレートエントリの値を変更します。
「了解 (OK)」をクリックしてポートを設定します。
モデムのサービスが初期化されたことを確認します。
$ pmadm -l -s ttyn |
端末またはモデムを追加し、適切なサービスを設定したにもかかわらず、シリアルポート回線を通してログインできない場合は、次のような順序で問題を解決してください。
ユーザーを確認します。
端末やモデムが正しく動作しないという報告は、多くの場合、ログインや着信ができなかったユーザーから寄せられます。したがって、まず、デスクトップに問題がないかどうかを確認することから始めてください。
ログインできない主な原因は、次のとおりです。
ログイン ID またはパスワードが正しくない
端末が X-ON フロー制御キー (Control-q) の入力を待っている
シリアルケーブルの接続が緩んでいるか外れている
端末の設定が正しくない
端末の電源が切られたか、端末に電源が入っていない
端末の設定を確認します。
次に、端末またはモデムの設定を調べます。端末またはモデムとの通信の正しい tty 名を調べ、それぞれの設定が tty 名の設定と一致することを確認します。
端末サーバーの設定を確認します。
端末に問題のないことがわかったら、端末またはモデムのサーバーに問題がないかどうかを調べます。pmadm コマンドを使用して、ポートモニターが端末またはモデムをサービスするように設定されていて、関連する tty 名が正しいことを確認します。
$ pmadm -l -t ttymon |
/etc/ttydefs を調べ、ラベル定義を端末設定と照合してチェックします。sacadm を使用してポートモニターの状態を調べます。pmadm を使用して、端末が使用するポートのサービスを調べます。
シリアル接続を確認します。
サービスアクセスコントローラが TTY ポートモニターを起動し、pmadm が端末のポートに対するサービスが有効になっていると報告し、さらに端末の設定がポートモニターの設定と一致する場合は、シリアル接続を調べて問題の原因を探します。シリアル接続は、シリアルポート、ケーブル、端末から構成されています。これらの構成部分のうち 2 つを、信頼性が確認されている他のものに取り替えて、1 箇所ずつテストしてください。
次の構成部分をすべてテストします。
シリアルポート
モデム
ケーブル
コネクタ
シリアルポートをコンソールとして使用している場合は、シリアルポートツール からシリアルポートの設定を変更しないでください。コンソール設定を正しく変更するには、 /etc/inittab ファイルの次の行を変更してください。
co:234:respawn:/usr/lib/saf/ttymon -g -h -p "`uname -n` console login: " -T terminal_type -d /dev/console -l console -m ldterm,ttcompat |