CacheFS の統計情報を収集すると、次の作業を行うことができます。
適切なキャッシュサイズを判断する。
キャッシュのパフォーマンスを監視する。
これらの統計情報を使用すると、キャッシュサイズと望ましいパフォーマンスを取捨選択して調整できます。
CacheFS 統計情報コマンドには次のものがあります。
コマンド |
マニュアルページ |
説明 |
---|---|---|
cachefslog |
cachefslog(1M) |
ログファイルの位置を指定します。また、このコマンドでは、統計情報が現在どこに記録されているかが表示されるので、ロギングを中止できます。 |
cachefswssize |
cachefswssize(1M) |
ログファイルを解釈して推奨キャッシュサイズを表示します。 |
cachefsstat |
cachefsstat(1M) |
特定のファイルシステム、またはすべての CacheFS ファイルシステムに関する統計情報を表示します。このコマンドの出力に含まれる情報は、キャッシュから直接取り出されます。 |
CacheFS 統計情報コマンドは、どのディレクトリから実行してもかまいません。ただし、cachefswssize コマンドを実行するには、スーパーユーザーにならなければなりません。
CacheFS 統計の累計は、ログファイルの作成時から始まります。作業時間が終わったら、cachefslog -h コマンドを使用してロギングを停止してください。手順については、CacheFS ロギングを停止する方法を参照してください。
CacheFS 統計情報コマンドを使用する前に、次の操作を実行する必要があります。
cfsadmin コマンドを使用してキャッシュを設定する。
作成するログファイルに統計情報を収集できるように、適切な時間を決定する。この時間は、一般的な作業間隔に等しくする必要がある。たとえば、1 日、1 週間、1 カ月などにする。
ログファイルの位置またはパスを選択する。ログファイルが大きくなっても対応できる程度の領域があることを確認する。ログファイルに統計情報を収集できる時間を長くするほど、大きな領域が必要になる。
次の手順は推奨する順序を示しています。異なる順序で作業してもかまいません。
$ cachefslog -f log-file-path /mount-point |
-f |
ロギングを設定する。 |
log-file-path |
ログファイルの位置を指定する。ログファイルは、vi などのエディタで作成する標準ファイル。 |
/mount-point |
統計情報を収集するマウントポイント (CacheFS ファイルシステム) を指定する。 |
ログファイルを正しく設定したかどうかを確認します。
$ cachefslog /mount-point |
次の例は、/var/tmp/samlog ログファイルを設定して、/home/sam ディレクトリに関する統計情報を収集する方法を示しています。
$ cachefslog -f /var/tmp/samlog /home/sam /var/tmp/samlog: /home/sam |
オプションを指定せずに cachefslog コマンドを使用して、特定のマウントポイントに対するログファイルの場所を調べることもできます。
$ cachefslog /mount-point |
/mount-point は、統計情報を表示する CacheFS ファイルシステムを示します。
次の例は、ログファイルが設定されている場合の表示を示します。ログファイルは、/var/tmp/stufflog にあります。
$ cachefslog /home/stuff /var/tmp/stufflog: /home/stuff |
次の例は、指定したファイルシステムのログファイルが設定されていないことを示しています。
$ cachefslog /home/zap not logged: /home/zap |
ロギングを停止するには、cachefslog -h オプションを使用します。
$ cachefslog -h /mount-point |
次の例は、/home/stuff に対するロギングを停止する方法を示しています。
$ cachefslog -h /home/stuff not logged: /home/stuff |
上記の例と異なるシステム応答が表示される場合は、ロギングが正常に停止されていません。正しいログファイル名とマウントポイントを指定したかどうかを確認してください。
キャッシュサイズを増やすべきかどうかを確認できます。または、特定のマウントポイントに関して前回 cachefslog コマンドを使用した後の作業に基づいて、理想的なキャッシュサイズを決定することもできます。
クライアントシステムでスーパーユーザーになります。
現在のキャッシュサイズとロギングされた最大キャッシュサイズを表示します。
# cachefswssize log-file-path |
詳細は、cachefswssize(1M) のマニュアルページを参照してください。
次の例で、「end size」とは cachefswssize コマンドを実行した時点のキャッシュサイズです。「high water size」とは、ロギングが発生した時間枠内のキャッシュの最大サイズです。
# cachefswssize /var/tmp/samlog /home/sam end size: 10688k high water size: 10704k / end size: 1736k high water size: 1736k /opt end size: 128k high water size: 128k /nfs/saturn.dist end size: 1472k high water size: 1472k /data/abc end size: 7168k high water size: 7168k /nfs/venus.svr4 end size: 4688k high water size: 5000k /data end size: 4992k high water size: 4992k total for cache initial size: 110960k end size: 30872k high water size: 30872k |
特定の CacheFS ファイルシステムに関する情報を表示できます。次の表は、統計情報の出力時に表示される用語を示しています。
表 40-2 CacheFS 統計情報の用語
用語 |
説明 |
---|---|
キャッシュのヒット率 |
キャッシュのヒット率対ミスヒット率の比と、それに続く実際のヒット数とミスヒット数。キャッシュヒットは、ユーザーがファイル操作を実行したいときに、そのファイルが実際にはキャッシュ内にあると発生する。キャッシュのミスヒットは、ファイルがキャッシュにないときに発生する。サーバーにかかる負荷は、キャッシュのミスヒット数、整合性チェック数、および変更数の合計である |
整合性チェック |
実行された整合性チェックの回数、合格回数、不合格回数 |
変更数 (modifies) |
変更操作の回数。書き込みや作成など。 |
cachefsstat コマンドを使用して統計情報を表示します。この操作はいつでも実行できます。たとえば、ロギングを設定しなくても統計情報を表示できます。
$ cachefsstat /mount-point |
/mount-point は、統計情報を表示する CacheFS ファイルシステムを示します。
マウントポイントを指定しなければ、マウントされているすべての CacheFS ファイルシステムに関する統計情報が表示されます。
詳細は、cachefsstat(1M) のマニュアルページを参照してください。
この例は、キャッシュされたファイルシステム /home/sam に関する統計情報の表示方法を示しています。
$ cachefsstat /home/sam cache hit rate: 73% (1234 hits, 450 misses) consistency checks: 700 (650 pass, 50 fail) modifies: 321 garbage collection: 0 |