Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

PPP のパフォーマンスに影響を与えるネットワークの問題の解決

PPP リンクがアクティブになっているのに、リモートネットワーク上のホストにほとんど接続できない場合、ネットワークに問題のある可能性があります。この節では、PPP リンクに影響を与えるネットワークの問題を特定し解決する方法について説明します。

ネットワークの問題を診断する方法

  1. ローカルマシン上でスーパーユーザーになり、問題のある接続を切断します。

  2. 次のオプションを PPP 構成に追加して、構成ファイルのオプションのプロトコルを無効にします。


    noccp novj nopcomp noaccomp default-asyncmap

    このオプションは、もっとも単純で圧縮を行わない PPP を使用可能にします。コマンド行でこれらのオプションを引数として pppd を実行してみます。これまで接続できなかったホストに接続できれば、次のいずれかの位置にオプションを追加します。

    • /etc/ppp/peers/peer-namecall オプションの後

    • /etc/ppp/options、オプションを広域的に適用する場合

  3. リモートピアを呼び出します。次に、デバッグをオンに設定します。


    % pppd debug call peer-name
    
  4. chat-v オプションを使用して、chat プログラムから冗長ログを取得します。

    たとえば、PPP 構成ファイルで次の形式を使用します。


    connect 'chat -v -f /etc/ppp/chatfile'
    /etc/ppp/chatfile は、お使いの chat ファイルの名前を表します。

  5. Telnet または他のアプリケーションを使ってリモートホストに接続し、問題を再度発生させてみます。

    デバッグログを調べます。これでもリモートホストに接続できない場合は、PPP の問題はネットワークに関連している可能性があります。

  6. リモートホストの IP アドレスが登録されているインターネットアドレスであることを確認します。

    組織によっては、ローカルネットワーク内では通用するが、インターネットへは経路指定できない内部 IP アドレスを割り当てる場合があります。リモートホストが社内にある場合、インターネットに接続するためには、管理者は、NAT (名前- アドレス変換) またはプロキシサーバーを設定する必要があります。リモートホストが社内にない場合は、遠隔組織に問題を報告する必要があります。

  7. 経路指定テーブルを調べます。

    1. ローカルマシンとピアの両方で経路指定テーブルを確認します。

    2. 経路指定テーブルで、ピアからリモートシステムへのパスにあるルーターをすべて確認します。また、リモートシステムからピアへの戻りのパスにあるルーターもすべて確認します。

      中間ルーターの設定が間違っていないことを確認します。ピアへの戻りのパスに問題が見つかることがしばしばあります。

  8. (省略可能) マシンがルーターである場合、オプションの機能を確認します。


    # ndd -set /dev/ip ip_forwarding 1
    

    ndd の詳細は、ndd(1M) のマニュアルページを参照してください。

  9. netstat -s および同様のツールから取得した統計を確認します。

    netstat の詳細は、netstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

    1. ローカルマシン上で統計を実行します。

    2. ピアを呼び出します。

    3. netstat -s によって生成された新しい統計を調べます。

    netstat -s によって生成されたメッセージを使用すると、次の表に示したネットワークの問題を解決できます。

    表 35-2 PPP に影響を与える一般的なネットワークの問題

    メッセージ 

    問題 

    解決方法 

    IP packets not forwardable

    ローカルホストで送信経路が見つからない 

    ローカルホストの経路指定テーブルに欠如している送信経路を追加する 

    ICMP input destination unreachable

    ローカルホストで送信経路が見つからない 

    ローカルホストの経路指定テーブルに欠如している送信経路を追加する 

    ICMP time exceeded

    2 つのルーターが同じ着信アドレスを互いに送信し、パケットが互いに何度も往復し、TTL (存続時間) の値を超過した 

    traceroute を使ってルーティングループの源を見つけ、エラーになっているルーターの管理者に連絡する。traceroute の詳細は、traceroute(1M) のマニュアルページを参照してください。

    IP packets not forwardable

    ローカルホストで送信経路が見つからない 

    ローカルホストの経路指定テーブルに欠如している送信経路を追加する 

    ICMP input destination unreachable

    ローカルホストで送信経路が見つからない 

    ローカルホストの経路指定テーブルに欠如している送信経路を追加する 

  10. DNS 構成を確認します。

    ネームサービス構成に問題があると、IP アドレスを解釈処理できないため、アプリケーションは障害を発生します。

    ネームサービスの問題を解決するための情報については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』の「DNS の障害追跡 (参照情報)」を参照してください。