ダイアルインサーバーと通信するには、サーバーに関する情報を収集し、いくつかのファイルを編集する必要があります。特に大切なのは、ダイアルアウトマシンが呼び出す必要があるすべてのダイアルインサーバーについて通信要件を設定する必要があることです。ダイアルインサーバーに関する ISP 電話番号などのオプションは、/etc/ppp/options.ttyname ファイルで指定できます。ただし、ピア情報は、/etc/ppp/peers/peer-name ファイルで設定するのが最適です。
/etc/ppp/peers/peer-name ファイルは、ダイアルアウトマシン上で Solaris PPP 4.0 が正常に動作するのに必要ではありません。
特定のピアと通信するための情報を指定するには、/etc/ppp/peers/peer-name ファイルを使用します。/etc/ppp/peers/peer-name を使用すると、一般ユーザーは、自分で設定することを許可されていない、あらかじめ選択された特権オプションを呼び出すことができます。
たとえば、非特権ユーザーの場合、noauth オプションが /etc/ppp/peers/peer-name ファイルで指定されていると、このオプションが優先されます。ユーザーが、認証資格を提供されていない peerB への接続を設定したいとします。スーパーユーザーは、noauth オプションを含む /etc/ppp/peers/peerB ファイルを作成できます。noauth は、ローカルマシンが peerB からの呼び出しを認証しないことを示します。
pppd デーモンは、次のオプションを検出すると、/etc/ppp/peers/peer-name を読み取ります。
call peer-name |
ダイアルアウトマシンが通信する必要があるターゲットピアごとに /etc/ppp/peers/peer-name ファイルを作成できます。これは、スーパーユーザーの権限がなくても特定のダイアルアウト接続を呼び出すことを一般ユーザーに許可できる点で特に便利です。
/etc/ppp/peers/peer-name で指定する代表的なオプションを次に示します。
PAP または CHAP 認証を行う場合に、ダイアルアウトマシンのログイン名として user_name をダイアルインサーバーに指定する
peer-name をダイアルインマシンの名前として使用する。remotename は、/etc/ppp/pap-secrets または /etc/ppp/chap-secrets ファイルを走査するときに、PAP または CHAP 認証と連携して使用される
chat スクリプト内の命令を使ってダイアルインサーバーへの通信を開く
通信開始時に、ピア peer-name の認証を行わない
ピアとのネゴシエートに使用する初期 IP アドレスを 0.0.0.0 に設定する。ほとんどの ISP への接続を設定するときに noipdefault を使用すると、ピア間で容易に IPCP ネゴシエーションを行うことができる
接続上で IP が確立されたときに、デフォルトの IPv4 経路指定をインストールする
特定のターゲットピアに適用する可能性がある上記以外のオプションについては、pppd(1M) のマニュアルページを参照してください。
/etc/ppp/peers/myisp.tmpl ファイルには、/etc/ppp/peers/peer-name ファイルに関して有用なコメントが含まれています。また、テンプレートには、/etc/ppp/peers/peer-name ファイルで使用する可能性がある次の一般的なオプションが含まれます。
connect "/usr/bin/chat -f /etc/ppp/myisp-chat" user myname remotename myisp noauth noipdefault defaultroute updetach noccp |
オプション |
定義 |
---|---|
connect "/usr/bin/chat -f /etc/ppp/myisp-chat" |
chat スクリプト /etc/ppp/myisp-chat を使ってピアを呼び出す |
user myname |
このアカウント名をローカルマシンに使用する。myname は、ピアの /etc/ppp/pap-secrets ファイル内でのこのマシンの名前 |
remotename myisp |
myisp をローカルマシンの /etc/ppp/pap-secrets ファイル内のピア名として認識する。 |
noauth |
認証資格を提供するためのピアの呼び出しを要求しない |
noipdefault |
ローカルマシンにデフォルトの IP アドレスを使用しない |
defaultroute |
ローカルマシンに割り当てられているデフォルトの経路指定を使用する |
updetach | |
noccp |
CCP 圧縮を使用しない |
サイトで /etc/ppp/peers/myisp.tmpl を使用するには、/etc/ppp/peers/myisp.tmpl の名前を /etc/ppp/peers/peer-name に変更します。peer-name は、呼び出されるピアの名前に置き換えます。次に、サイトの必要に応じてファイルの内容を変更します。
/etc/ppp/peers/peer-name の例 |
参照先 |
---|---|
ダイアルアウトマシン用 | |
専用回線上のローカルマシン用 | |
ダイアルアウトマシン上での PAP 認証サポート用 | |
ダイアルアウトマシン上での CHAP 認証サポート用 | |
クライアントシステムでの PPPoE サポート用 |