Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

呼び出し元の IP アドレス指定スキーマの作成

リモートユーザーごとに一意の IP アドレスを割り当てる代わりに、すべての着呼のために 1 つ以上の IP アドレスを作成することを考えます。専用 IP アドレスは、予想される呼び出し元の数が、ダイアルインサーバー上のシリアルポートとモデムの数を上回る場合、特に重要です。サイトの必要性に応じて、さまざまなシナリオを実現できます。さらに、シナリオは、相互に排他的ではありません。

呼び出し元への IP アドレスの動的割り当て

動的アドレス指定は、/etc/ppp/options.ttyname で定義されている IP アドレスを各呼び出し元に割り当てます。動的アドレス指定は、シリアルポート単位で発生します。シリアル回線に呼が着信すると、呼び出しを処理するシリアルインタフェース用に /etc/ppp/options.ttyname ファイルで定義されている IP アドレスが呼び出し元に与えられます。

たとえば、ダイアルインサーバーに、着呼に対してダイアルアップサービスを提供するシリアルインタフェースが 4 つあると仮定します。

この以前のアドレス指定スキーマでは、/dev/term/c のシリアルインタフェースに着信する呼び出しは、呼び出しを行っている間中、IP アドレス 10.1.1.3 が与えられます。最初の呼び出し元が回線を切った後、次にシリアルインタフェース /dev/term/c に着信する呼び出しも、IP アドレス 10.1.1.3 を与えられます。

動的アドレス指定には、次のような利点があります。

呼び出し元への IP アドレスの静的割り当て

サイトが PPP 認証を実装する場合は、個々の呼び出し元に特定の静的 IP アドレスを割り当てることができます。この場合、ダイアルアウトマシンがダイアルインサーバーを呼び出すたびに、呼び出し元は同じ IP アドレスを受け取ります。

静的アドレスは、pap-secrets または chap-secrets のどちらかのデータベースで実装します。以下は、静的 IP アドレスを定義した /etc/ppp/pap-secrets ファイルの例です。

呼び出し元 

サーバー 

パスワード 

IP アドレス 

joe

myserver

joepasswd

10.10.111.240 

sally

myserver

sallypasswd

10.10.111.241 

sue

myserver

suepasswd

10.10.111.242 

以下は、静的 IP アドレスを定義した /etc/ppp/chap-secrets ファイルの例です。

呼び出し元 

サーバー 

CHAP シークレット 

IP アドレス  

account1

myserver

secret5748

10.10.111.244 

account2

myserver

secret91011

10.10.111.245 

sppp ユニット番号による IP アドレスの割り当て

PAP 認証または CHAP 認証を使用している場合は、sppp ユニット番号を使って IP アドレスを呼び出し元に割り当てることができます。次の表に、この方法の例を示します。

呼び出し元 

サーバー 

パスワード 

IP アドレス 

myclient

ISP-server

mypassword

10.10.111.240/28+  

正符号 (+) は、ユニット番号が IP アドレスに追加されていることを示します。アドレス 10.10.111.240 から 10.10.111.255 までがリモートユーザーに割り当てられます。sppp0 は IP アドレス 10.10.111.240 を取得します。sppp1 は IP アドレス 10.10.111.241 を取得し、以下同様に続きます。