別名を保守するには、以下のファイル、マップ、またはテーブルを使用します。
別名を保守する方法は、誰が使用し、誰が変更するかによって決まります。別名のタイプにはそれぞれ固有の形式要件があります。
関連する作業については、第 25 章「メールサービス (手順)」の メール別名ファイルの管理 (作業マップ)を参照してください。
.mailrc ファイルのリストに入っている別名には、ファイルを所有するユーザーしかアクセスできません。この制限により、ユーザーは自分で制御し、所有者だけが使用できる別名を作成できます。.mailrc ファイルの別名は、次のようになります。
alias aliasname value value value ... |
aliasname は、ユーザーがメールの送信時に使用する名前であり、value は有効な電子メールアドレスです。
ユーザーが scott に個人的な別名を作成し、それがネームサービスの scott の電子メールアドレスと一致しない場合、そのユーザーが作成したメールにユーザーが返信しようとするときに、メールが間違ったユーザーに転送されることになります。これを回避するには、別の別名命名方式を使用する以外にありません。
/etc/mail/aliases ファイルで作成したいずれの別名も、その別名の名前とファイルを含んでいるシステムのホスト名を知っているユーザーなら誰でも使用できます。ローカルの /etc/mail/aliases ファイルの配布リストは、以下のようになります。
aliasname: value,value,value ... |
aliasname は、ユーザーがこの別名にメールを送信するときに使用する名前で、value は有効な電子メールアドレスになります。
ご使用のネットワークがネームサービスを実行していない場合は、各システムの /etc/mail/aliases ファイルにすべてのメールクライアントのエントリを入れておく必要があります。各システムのファイルを編集するか、1 つのシステムのファイルを編集してからそのファイルを他のシステムに個々にコピーします。
/etc/mail/aliases ファイルの別名は、テキスト形式で保存されます。/etc/mail/aliases ファイルを編集するときに、newaliases プログラムを実行してデータベースをコンパイルし直し、sendmail プログラムでその別名がバイナリ形式で使用できるようにします。作業手順については、第 25 章「メールサービス (手順)」の ローカルメール別名ファイルを設定する方法を参照してください。それ以外の場合、Solaris 管理コンソールの「メーリングリスト」機能を使ってローカルの /etc ファイルに保存されているメール別名を管理できます。
別名を作成できるのは、ローカル名、つまり現在のホスト名に対してだけ、またはホスト名は指定できません。たとえば、システム saturn 上にメールボックスを持っているユーザー ignatz に対する別名エントリは、以下のエントリを /etc/mail/aliases ファイル内に持っています。
ignatz: ignatz@saturn |
各メールサーバーに管理アカウントを作成する必要があります。管理アカウントを作成するには、メールサーバーのメールボックスを root に割り当て、root のエントリを /etc/mail/aliases ファイルに追加します。たとえば、システム saturn がメールボックスサーバーの場合は、エントリ root: sysadmin@saturn を /etc/mail/aliases ファイルに追加します。
通常は、root ユーザーだけがこのファイルを編集できます。ただし、Administration を使用する場合は、sysadmin グループであるグループ 14 のすべてのユーザーが、ローカルファイルを変更できます。または、以下のエントリを作成します。
aliasname: :include:/path/aliasfile |
aliasname は、ユーザーがメールを送信するときに使用する名前であり、/path/aliasfile は別名リストを含むファイルへの完全パスになります。別名ファイルには、各行に 1 つの電子メールエントリを入れ、その他の表記は付けないでください。
user1@host1 user2@host2 |
/etc/mail/aliases に追加のメールファイルを定義して、ログやバックアップコピーの管理もできます。以下のエントリでは、filename の aliasname に送信されるすべてのメールを格納します。
aliasname: /home/backup/filename |
また、メールを他のプロセスにルーティングすることもできます。次の例のように入力すると、メールメッセージのコピーが filename 内に格納され、コピーが出力されます。
aliasname: "|tee -a /home/backup/filename |lp" |
作業マップについては、第 25 章「メールサービス (手順)」の メール別名ファイルの管理 (作業マップ)を参照してください。
sendmail プログラムはローカルの /etc/mail/aliases ファイルの代わりに NIS aliases マップを使って送信アドレスを決定できるので、ローカルドメインのすべてのユーザーは NIS aliases マップのエントリを使用できます。詳細は、nsswitch.conf(4) のマニュアルページを参照してください。
NIS aliases マップの別名は、以下のようになります。
aliasname: value,value,value ... |
aliasname は、ユーザーがメールを送信するときに使用する名前であり、value は有効な電子メールアドレスです。
NIS aliases マップには、すべてのメールクライアント用のエントリを含めてください。一般にこれらのエントリを変更できるのは、NIS マスターの root ユーザーだけです。この種の別名は頻繁に変更される場合には適していませんが、次の構文例のように、他の別名ファイルをポイントする場合には役立ちます。
aliasname: aliasname@host |
aliasname はユーザーがメールを送信するときに使用する名前であり、host は /etc/mail/alias ファイルを含むサーバー用のホスト名です。
作業手順については、第 25 章「メールサービス (手順)」の NIS mail.aliases マップを設定する方法を参照してください。
NIS+ mail_aliases テーブルには、名前が含まれており、それによってローカルドメインにおけるシステムや個人が登録されています。sendmail プログラムは、ローカルの /etc/mail/aliases ファイルの代わりに NIS+ mail_aliases テーブルを使用して、メールアドレスを決定できます。詳細は、aliasadm(1M) と nsswitch.conf(4) のマニュアルページを参照してください。
NIS+ mail_aliases テーブルの別名は次のようになります。
alias: expansion # ["options " # "comments"] |
表 26–12 に、NIS+ mail_aliases テーブルの 4 つの列を示します。
表 26-12 NIS+ mail_aliases テーブルの列
列 |
説明 |
---|---|
alias |
別名の名前 |
expansion |
sendmail の /etc/mail/aliases ファイルに現れる別名の値または別名のリスト |
options |
今後の使用のために予約された列 |
comments |
個々の別名のコメントのための列 |
NIS+ mail_aliases テーブルには、すべてのメールクライアントのエントリを含めてください。NIS+ aliases テーブルでは、aliasadm コマンドで、エントリの表示、作成、変更、および削除ができます。aliasadm コマンドを使用するには、aliases テーブルを所有する NIS+ グループのメンバーでなければなりません。作業手順については、第 25 章「メールサービス (手順)」の NIS+ mail_aliases テーブルの別名エントリを管理する方法を参照してください。Solaris 管理コンソールの「メーリングリスト」機能を使用して NIS+ メール別名を管理することもできます。
新規の NIS+ aliases テーブルを作成する場合は、エントリを作成する前にテーブルを初期設定する必要があります。テーブルが存在するときは、初期設定は不要です。