「メールアドレス」には、受信者の名前と、メールメッセージが配信されるシステムが含まれます。ネームサービスを使用しない小さなメールシステムを管理する場合、メールのアドレス指定は簡単です。つまり、ログイン名がユーザーを一意に識別します。メールボックスを含む複数のシステムで構成されるメールシステム、または 1 つ以上のドメインで構成されるメールシステムを管理する場合は複雑になります。UUCP またはその他のメールシステムによって外部に接続する場合は、さらに複雑になります。以下の節で、メールアドレスの各部とその複雑さを説明しています。
電子メールのアドレス指定には、ドメインが使用されます。「ドメイン」は、ネットワークアドレスの命名のためのディレクトリ構造です。ドメインは 1 つ以上のサブドメインを持つことができます。アドレスのドメインとサブドメインは、ファイルシステムの階層と比較できます。サブディレクトリが上位のディレクトリに含まれるように、メールアドレスの各サブドメインもその右のドメインに含まれると考えられます。
表 26-7 最上位のドメイン
ドメイン |
説明 |
---|---|
com |
企業 |
edu |
教育機関用 |
gov |
米国の政府機関 |
mil |
米国の軍事機関 |
net |
ネットワーク組織 |
org |
その他の非営利組織 |
ドメインには大文字と小文字の区別がありません。アドレスのドメイン部分には、大文字、小文字、またはその両方を区別なく混合して使用できます。
ドメインについての詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』の「ドメインネームシステム (概要)」を参照してください。
ネームサービスドメイン名とメールドメイン名を操作するときは、以下のことに注意します。
sendmail プログラムは、デフォルトで NIS または NIS+ ドメイン名から最初の構成要素を取り除き、メールドメイン名とします。たとえば、NIS+ ドメイン名が bldg5.example.com の場合、メールドメイン名は example.com になります。
メールドメインアドレスは大文字と小文字の区別をしませんが、NIS または NIS+ ドメイン名は異なります。メールと NIS または NIS+ ドメイン名を設定するときは、小文字を使用するのが最善です。
DNS ドメイン名とメールドメイン名は同じでなければなりません。
詳細は、sendmail とネームサービスの相互作用を参照してください。
一般に、メールアドレスは次のような書式になります。詳細は、経路に依存しないメールアドレスを参照してください。
user@subdomain. ... .subdomain2.subdomain1.top-level-domain |
アドレスの @ 記号より左の部分はローカルアドレスです。ローカルアドレスには、以下の内容を含めることができます。
別のメールトランスポートを使用するルーティングに関する情報 (たとえば、bob::vmsvax@gateway または smallberries%mill.uucp@gateway )
別名 (たとえば、iggy.ignatz )
受信側のメールプログラムでアドレスのローカル部分を解釈する必要があります。メールプログラムの詳細は、メールプログラムを参照してください。
アドレスの @ 記号より右の部分は、ローカルアドレスが位置するドメインレベルを示します。各サブドメインはドットで区切られます。アドレスのドメイン部分は、組織、物理的な場所、または地域を表すことができます。 さらに、ドメイン情報の順序は階層的で、ローカルなサブドメインほど @ 記号に近くなります。
メールアドレスは、経路に依存しないアドレス指定ができます。経路に依存しないアドレス指定では、電子メールメッセージの発信者は、受信者の名前と最終の宛先を指定する必要があります。インターネットなどの高速ネットワークでは、経路に依存しないアドレスを使用します。経路に依存しないアドレスは次のような書式になります。
user@host.domain |
UUCP 接続の経路に依存しないアドレスは次のような書式になります。
host.domain!user |
コンピュータのドメイン階層命名方式が普及したため、経路に依存しないアドレスがより一般的になってきました。実際、次に示すように、もっとも一般的な経路に依存しないアドレスはホスト名を省略し、電子メールメッセージの最終宛先の識別をドメインネームサービスに任せています。
user@domain |
経路に依存しないアドレスでは、まず @ 記号を検索し、ドメイン階層を右 (最上位) から左 (@ 記号の右側にあるもっとも固有な部分) へと読み取ります。