ASET は 3 つの調整ファイルを管理します。次の表では、3 つのすべての調整ファイルのエントリの書式を示します。
表 21–4 調整ファイルのエントリの書式
フィールド名 |
説明 |
---|---|
pathname |
ファイルのフルパス名 |
mode |
アクセス権の設定を表す 5 桁の数値 |
owner |
ファイルの所有者 |
group |
ファイルのグループ |
type |
ファイルの形式 |
調整ファイルを編集するときは、次の規則が適用されます。
パス名には、アスタリスク (*) や疑問符 (?) など、通常のシェルのワイルドカード文字を使用して、複数のエントリを指定できます。詳細は、sh(1) のマニュアルページを参照してください。
mode は、最も制限が緩やかな値を表します。現在の設定が指定した値よりもすでに厳しく制限されている場合、ASET はアクセス権の設定を緩和しません。たとえば、指定した値が 00777 の場合、00777 は常に現在の設定よりも緩やかな制限を表すため、アクセス権は変更されません。
セキュリティレベルを下げるか、ASET を削除しない限り、ASET ではこの方法でモード設定を行います。セキュリティレベルを前回の実行時よりも下げるときや、システムファイルを ASET を最初に実行する前の状態に復元したいときには、ASET は操作の内容を認識して保護レベルを下げます。
owner と group には、数値 ID ではなく名前を使用する必要があります。
owner、group、type の代わりに疑問符 (?) を使用すると、ASET がこれらのパラメータの既存の値を変更しないようにします。
type には、symlink (シンボリックリンク)、ディレクトリ、またはファイルなどすべての種類を指定できます。
セキュリティレベルが高くなるほど、調整ファイルは下位レベルよりも緩やかなファイルアクセス権にリセットされます。また、上位セキュリティレベルになるほど、一覧に多数のファイルが追加されます。
1 つのファイルで複数の調整ファイルエントリを照合できます。たとえば、etc/passwd は etc/pass* エントリと /etc/* エントリに一致します。
2 つのエントリのアクセス権が異なる場合は、ファイルアクセス権は最も厳しいアクセス権を表す値に設定されます。次の例では、/etc/passwd のアクセス権は 00755 に設定されますが、これは 00755 は 00770 よりも厳密な制限であることを表します。
/etc/pass* 00755 ? ? file /etc/* 00770 ? ? file |
2 つのエントリの owner 指定または group 指定が異なる場合は、最後のエントリが優先されます。次の例では、/usr/sbin/chroot の所有者が root に設定されます。
/usr/sbin/chroot 00555 bin bin file /usr/sbin/chroot 00555 root bin file |