Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

リモートアクセスの認証と承認

「認証」とは、リモートマシンにアクセスできるユーザーを特定のユーザーに限定する方法です。認証は、マシンレベルでもネットワークレベルでも設定できます。いったんユーザーがリモートマシンにアクセスすると、「承認」という方法でそのユーザーがリモートシステム上で実行できる操作が制限されます。次の表に、ネットワーク上のマシンを許可されていない使い方から保護できる、認証と承認の種類を示します。

表 15–5 リモートアクセスの認証と承認の種類

形式 

説明 

参照先 

LDAP と NIS+ 

LDAP ディレクトリサービスと NIS+ ネームサービスは、ネットワークレベルで認証および承認を行う 

Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』および『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : FNS、NIS+ 編)

リモートログインコマンド 

リモートログインコマンドを使用すると、ユーザーはネットワーク経由でリモートマシンにログインし、そのリソースを使用できる。リモートログインコマンドには rloginrcp ftp がある。「信頼される (trusted) ホスト」の場合、認証は自動的に処理される。それ以外の場合は、自分自身を認証するように求められる

Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)』の「リモートシステムへのアクセス (手順)」

Secure RPC 

Secure RPC を使用すると、リモートマシン上で要求を出したユーザーの認証が行われ、ネットワーク環境のセキュリティが高まる。Secure RPC には、UNIX、DES、または Kerberos 認証システムを使用できる 

Secure RPC の概要

 

Secure RPC を使用すると、NFS 環境にセキュリティを追加できる。Secure RPC を備えた NFS 環境を Secure NFS と呼ぶ 

NFS サービスと Secure RPC

DES 暗号化 

データ暗号化規格 (DES) 暗号化機能は 56 ビットの鍵を使用して、秘密鍵を暗号化する 

DES 暗号化

Diffie-Hellman 認証 

この認証方法は、送信側マシンの、共通鍵を使用して現在の時刻を暗号化する機能を利用する。受信側マシンは共通鍵の復号化を行い、復号化された時刻と受信側マシンの現在の時刻とを比較する 

Diffie-Hellman 認証

Kerberos 

Kerberos は DES 暗号化を使用して、システムのログイン時にユーザーを認証する 

例については、マスター KDC を構成する方法を参照

Solaris システム間での特権付きポートの使用

Secure RPC を実行したくない場合は、代わりに Solaris の「特権付きポート」メカニズムを使用できます。特権付きポートには、1024 未満のポート番号が割り当てられます。クライアントシステムは、クライアントの資格を認証したあと、特権付きポートを使用してサーバーへの接続を設定します。次に、サーバーは接続のポート番号を検査してクライアントの資格を確認します。

ただし、Solaris 以外のクライアントは、特権付きポートを使用して通信できないことがあります。クライアントが特権付きポートを使って通信できない場合は、次のようなエラーメッセージが表示されます。


“Weak Authentication
NFS request from unprivileged port”