Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)

初期認証: チケット認可チケット (TGT)

Kerberos 認証には、後続の認証を準備する初期認証と、後続の認証との、2 つのフェーズがあります。

次の図では、初期認証の手順を示します。

図 7–1 SEAM セッションの初期認証

クライアントは、まず KDC に TGT を要求し、次に KDC から受け取った TGT を復号化します。

  1. クライアント (ユーザー、または NFS などのサービス) は、KDC に TGT を要求して SEAM セッションを開始します。ほとんどの場合、この要求はログイン時に自動的に実行されます。

    TGT は、ほかの特定のサービスのチケットを取得するために必要です。TGT は、パスポートに似ています。パスポートと同様に、TGT はユーザーを識別して、さまざまなビザの取得をユーザーに許可します。ここでいうビザ (チケット) は、外国に入国するためのものではなく、リモートマシンやネットワークサービスにアクセスするためのものです。パスポートやビザと同様に、TGT などのチケットには有効期限があります。ただし、Kerberos コマンドは、ユーザーがパスポートを所有していることを通知し、ユーザーに代わってビザを取得します。ユーザー自身がトランザクションを実行する必要はありません。

  2. KDC は TGT を作成し、それを暗号化してクライアントに送信します。クライアントは、自身のパスワードを使用して TGT を復号化します。

  3. クライアントは、有効な TGT を入手したので、TGT が期限切れになるまで、あらゆる種類のネットワーク操作チケットを要求できます。この TGT の有効期限は通常、数時間です。クライアントは一意のネットワーク操作を実行するたびに、TGT は KDC にその操作のチケットを要求します。