Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

Solaris 版 の sendmail

ここでは、以下の項目について sendmail の Solaris 版と一般的な Berkeley バージョンを比較します。

sendmail のコンパイルに使用できるフラグと使用できないフラグ

次に、Solaris 9 に含まれている sendmail のバージョンをコンパイルするときに使用するフラグを示します。構成に他のフラグが必要な場合は、そのソースをダウンロードし、バイナリにコンパイルし直してください。このプロセスについては、http://www.sendmail.org を参照してください。

表 26–1 一般的な sendmail フラグ

フラグ 

説明 

SOLARIS=20900

Solaris 9 オペレーティング環境をサポートする 

MILTER

メールフィルター API をサポートする 

NETINET6

IPv6 をサポートする。このフラグは、conf.h から Makefile に移動

表 26–2 マップとデータベースの種類

フラグ 

説明 

NDBM

ndbm データベースをサポートする

NEWDB

db データベースをサポートする

USERDB

User データベースをサポートする

NIS

nis データベースをサポートする

NISPLUS

nisplus データベースをサポートする

LDAPMAP

LDAP のマップをサポートする

MAP_REGEX

正規表現のマップをサポートする 

表 26–3 Solaris のフラグ

フラグ 

説明 

SUN_EXTENSIONS

sun_compat.o に含まれる Sun の拡張をサポートする

SUN_LOOKUP_MACRO

sendmail.cfLG 構成コマンドをサポートする。この 2 つのコマンドの使用は推奨されない

SUN_INIT_DOMAIN

下位互換性を確保するために、NIS ドメイン名をサポートしてローカルホスト名を完全指定する。詳細は、http://www.sendmail.org のベンダー固有の情報を参照

SUN_SIMPLIFIED_LDAP

Sun 固有の簡略化された LDAP API をサポートする。詳細は、http://www.sendmail.org のベンダー固有の情報を参照

VENDOR_DEFAULT=VENDOR_SUN

Sun をデフォルトのベンダーに選択する 

次の表に、Solaris 9 に添付される sendmail のバージョンのコンパイルに使用されない一般的なフラグを示します。

表 26–4 sendmail の Solaris 版に使用されない一般的なフラグ

フラグ 

説明 

SASL

Simple Authentication and Security Layer (RFC 2554) 

STARTTLS

Transaction Level Security (RFC 2487) 

sendmail のコンパイルに使用するフラグの一覧を参照するには、次のコマンドを使用します。


% /usr/lib/sendmail -bt -d0.10 < /dev/null

注 –

上記のコマンドでは、Sun 固有のフラグは表示されません。


sendmail の代替コマンド

Solaris リリースには、Berkley による汎用リリースで提供されているコマンドの同義語がすべて組み込まれているわけではありません。次の表は、すべてのコマンドの別名を示したリストです。この表には、コマンドが Solaris リリースに組み込まれているかどうか、および sendmail を使って同じ動作を生成する方法も示しています。

表 26–5 代替 sendmail コマンド

代替名 

Solaris への組み込み 

sendmail を使用したオプション

hoststat 組み込まれていないsendmail -bh
mailq 組み込まれているsendmail -bp
newaliases 組み込まれているsendmail -bi
purgestat 組み込まれていないsendmail -bH
smtpd 組み込まれていないsendmail -bd

構成ファイルのバージョン

Solaris 9 に含まれている sendmail の バージョンには、sendmail.cf ファイルのバージョンを定義するための構成オプションが含まれます。現在のバージョンの sendmail でも以前のバージョンの構成ファイルを使用できます。バージョンレベルには 0 から 10 の値を設定できます。また、ベンダーの定義もできます。Berkeley または Sun をベンダーとして選択できます。ベンダーを定義しないでバージョンレベルだけを設定した場合は、Sun がデフォルトとして使用されます。次の表に有効なオプションを示します。

表 26–6 構成ファイルのバージョン値

フィールド 

説明 

V7/Sun

sendmail のバージョン 8.8 で使用された設定

V8/Sun

sendmail のバージョン 8.9 で使用された設定。この設定は、Solaris 8 に含まれていた

V9/Sun

sendmail のバージョン 8.10 と 8.11 で使用された設定

V10/Sun

sendmail のバージョン 8.12 で使用される設定。バージョン 8.12 は、Solaris 9 のデフォルト


注 –

V1/Sun は使用しないでください。詳細は、http://www.sendmail.org/vendor/sun/differences.html#4 を参照してください。


作業手順については、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。