Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

第 27 章 メールサービスの新機能 (リファレンス)

第 24 章「メールサービス (概要)」では、メールサービスのコンポーネントの概要および一般的なメール構成について説明しています。第 25 章「メールサービス (手順)」では、標準の構成ファイルを使用して、電子メールシステムを設定および管理する方法について説明しています。第 26 章「メールサービス (リファレンス)」では、メールサービスのコンポーネントについて、詳しく説明しています。 また、メールサービスのプログラムとファイル、メールルーティング処理、ネームサービスを使った sendmail の対話式操作についても説明しています。この章では、今回の Solaris 9 リリースに付属している sendmail バージョン 8.12 の新機能について説明します。 mail.localmailstats、および makemap の変更点についての説明もあります。 また、この章では、新しい保守ユーティティ editmap についても説明します。 特定のトピックについては、下記のページを参照してください。

この章で扱っていないトピックについては、sendmail(1M)mail.local(1M)mailstats(1)makemap(1M)、および editmap(1M) のマニュアルページを参照してください。

sendmail の変更点

この章では、次のトピックについて説明します。

新しい構成ファイル submit.cf

sendmail バージョン 8.12 には、新しい構成ファイル /etc/mail/submit.cf が含まれています。この新しいファイル submit.cf を使用して、sendmail をデーモンモードではなく、メール差し出しプログラムモードで実行できます。 デーモンモードとは異なり、メール差し出しプログラムモードでは root 権限は必要ありません。そのため、この新しいパラダイムを使用すると、セキュリティが向上します。

submit.cf の機能については、次のリストを参照してください。

次の事項に注意してください。

sendmail.cfsubmit.cf の機能の相違点

構成ファイル sendmail.cf は、デーモンモードで使用します。このファイルを使用すると、sendmail は、メール転送エージェント (MTA) として動作します。sendmail は、root によって起動されます。


/usr/lib/sendmail -L sm-mta -bd -q1h

sendmail.cf 特有の他の機能については、次のリストを参照してください。

sendmail の機能の変更

submit.cf が追加されたため、次の機能が変更されました。

コマンド行の新しいオプションまたは推奨されないオプション

次の表では、sendmail の新しいコマンド行オプションについて説明します。 コマンド行の他のオプションについては、sendmail(1M) のマニュアルページを参照してください。

表 27–1 sendmail のコマンド行の新しいオプション

オプション 

説明 

-Ac

オペレーションモードが新しいメールの差し出し依頼を示していない場合でも、構成ファイル submit.cf を使用する。 submit.cf の詳細については、新しい構成ファイル submit.cf を参照

-Am

オペレーションモードが新しいメールの差し出し依頼を示している場合でも、構成ファイル sendmail.cf を使用する。 詳細は、新しい構成ファイル submit.cf を参照

-bP

各キューのエントリ数を出力する 

-G

コマンド行から送信したメッセージが、新たな差し出しを依頼するものではなく、リレーするものであることを示す。 アドレスが絶対パスではない場合は、メッセージは拒否される。正規化は実行されない。 ftp://ftp.sendmail.orgsendmail とともに配布しているリリースノートで説明しているように、将来のリリースでは、不適切な形式のメッセージを拒否される可能性がある

-L tag

指定された syslog メッセージに使用する識別子を タグ (tag) に設定する

-q[!]I substring

受信者にこの部分文字列 (substring) を含むジョブだけを処理する。オプションに !を追加すると、受信者にこの部分文字列 (substring) を含まないジョブだけを処理する

-q[!]R substring

キュー ID にこの部分文字列 (substring) を含むジョブだけを処理する。オプションに ! を追加すると、キューID にこの部分文字列 (substring) を含まないジョブだけを処理する

-q[!]S substring

送信者にこの部分文字列 (substring) を含むジョブだけを処理する。オプションに ! を追加すると、送信者にこの部分文字列 (substring) を含まないジョブだけを処理する

-qf

キューにあるメッセージをシステムコール fork を使用しないで一度処理し、フォアグラウンドで処理を実行する。 fork(2) のマニュアルページを参照

-qGname

キューグループ「name (名前)」にあるメッセージだけを処理する

-qptime

各キュー用にフォークされた子を使用して、キューに保存されているメッセージを指定した間隔で処理する。 次にキューが実行されるまでの間、この子は動作しないこの新しいオプションは -qtime に似ている。-qtime は、定期的に子をフォークしてキューを処理する

-U

ftp://ftp.sendmail.orgsendmail とともに配布しているリリースノートで説明しているように、このオプションは、バージョン 8.12 では使用できない。メールユーザーエージェントでは、引数 -G を使用する必要がある

構成ファイルの新しい構成オプションと改訂された構成オプション、および関連トピック

この節では、構成ファイルの新しいオプションと改訂されたオプションについて、また次の関連トピックについて説明しています。

これらのオプションを宣言する場合は、次の構文のどれかを使用します。


O OptionName=argument          # 構成ファイル
-OOptionName=argument          # コマンド行
define(`m4Name',argument)     # m4 を使った構成記述

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

次の表では、sendmail の新しいオプションおよび改訂されたオプションについて説明しています。

表 27–2 sendmail の新しいオプションおよび改訂されたオプション

オプション 

説明 

BadRcptThrottle

m4 名 : confBAD_RCPT_THROTTLE

引数 : 数値

この新しいオプションを使用して、受信者のしきい値が拒否された後、SMTP エンベロープ内の受信者を承認する率を制限する 

ClientPortOptions

詳細については、新しい ClientPortOptions オプション を参照

ConnectionRateThrottle

m4 名 : confCONNECTION_RATE_THROTTLE

引数 : 数値

ConnectionRateThrottle オプションを使用して、各デーモンへの合計接続数ではなく、1 秒あたりの接続数を制限する

ControlSocketName

m4 名 : confCONTROL_SOCKET_NAME

引数 : ファイル名。推奨ソケット名は /var/spool/mqueue/.smcontrol。セキュリティを向上させるために、この UNIX ドメインソケットを、root だけがアクセスできるディレクトリに置く

この新しいオプションを設定すると、デーモン管理用の制御ソケットが作成される。このオプションを使用して、指定した名前のソケットを使って実行した sendmail デーモンの状態を、外部のプログラムから制御したり照会したりすることができる。このソケットは、INN ニュースサーバーに対する ctlinnd インタフェースに似ている。このオプションを設定しないと、制御ソケットは使用できない

DaemonPortOptions

詳細については、DaemonPortOptions オプションの変更点を参照

DataFileBufferSize

m4 名 : confDF_BUFFER_SIZE

引数 : 数値

この新しいオプションを指定すると、ディスクベースのファイルを使用する前にメモリーに蓄積できるデータ (df) ファイルの最大サイズを、バイトで制御できる。 デフォルトは 4096 バイト。Solaris オペレーティング環境のデフォルトを変更する必要はない

DeadLetterDrop

m4 名 : confDEAD_LETTER_DROP

引数 : ファイル名

この新しいオプションを使用して、システム全体のファイル dead.letter の場所を定義する。前のバージョンでは、このファイルは /usr/tmp/dead.letter に固定されていた。このオプションを設定する必要はない

DelayLA

m4 名 : confDELAY_LA

引数 : 数値

この新しいオプションに 0 より大きな値を設定すると、次のように動作する  

平均負荷率が指定値を超えると、接続を 1 秒ずつ遅らせる 

ほとんどの SMTP コマンドを 1 秒ずつ遅れて実行する 

デフォルト値が 0 であるため、このオプションを設定しないと sendmail の動作は変更されない

DeliverByMin

m4 名 : confDELIVER_BY_MIN

引数 : 時間

この新しいオプションを使用して、クライアントは、RFC 2852 の「Deliver By SMTP Service Extension」で指定されているように、電子メールメッセージを配信する際の最短時間を指定できる 

time を 0 に設定すると、時間は表示されない 

time を 0 より小さくすると、拡張は利用できない 

time を 0 より大きくすると、その拡張した時間が EHLO のキーワードである DELIVERBY の最短時間として表示される

DirectSubmissionModifiers

m4 名 : confDIRECT_SUBMISSION_MODIFIERS

引数 : 修飾子

この新しいオプションにより、直接の実行依頼 (コマンド行) の ${daemon_flags} を定義する。このオプションを設定しない場合、${daemon_flags} の値はオプション -G を使用すると CC f に、使用しないと c u になる

DontBlameSendmail

新たに、次の引数を使用できる 

引数 NonRootSafeAddr が追加された。sendmail.forward プログラムを実行したり、所有者としてそのファイルに配信する権限がない場合には、アドレスは「安全ではない」とマークされる。 また、RunAsUser を設定すると、プログラムを使用したり、.forward プログラムのファイルに配信したりすることができない。 これらの問題を解決するには、NonRootSafeAddr を使用する

DoubleBounceAddress

m4 名 : confDOUBLE_BOUNCE_ADDRESS

引数 : アドレス。デフォルトは、postmaster

sendmail がエラーメッセージを送信する際にエラーが発生した場合には、sendmail は、このオプションの引数で指定したアドレスに、「double-bounced」エラーメッセージを送信する

FallBackMXhost

m4 名 : confFALLBACK_MX

引数 : 完全指定ドメイン名 

このオプションを使用して、MX レコードを参照することができる。MX レコードを参照しない前のバージョンのオプションを使用するには、名前を角括弧で括って指定する 

FastSplit

m4 名 : confFAST_SPLIT

引数 : 数値。デフォルト値は 1

この新しいオプションを指定すると、次の動作を実行する 

このオプションを 0 より大きな値に設定する場合、アドレスをソートする場合、最初の MX 参照を行わない。そのため、エンベロープをより高速に分割できる 

メールをコマンド行から送信する場合は、この値により、エンベロープを配信するのに使用するプロセスの数を制限できる 

さらに多くのエンベロープが作成されると、エンベロープはいったんキューに置かれ、キューが実行されると解釈処理される 

LDAPDefaultSpec

m4 名 : confLDAP_DEFAULT_SPEC

引数 : 適切に定義されたクラス指定。たとえば、-hhost-pport-dbind DN など

この新しいオプションを使用して、LDAP マップのデフォルトのマップ仕様を指定できる。 K コマンドを使って個別のマップ仕様を作成しないかぎり、ここで行われたデフォルトの設定が、すべての LDAP マップに使用される。このオプションを設定してから、LDAP マップを定義する

MailboxDatabase

m4 名 : confMAILBOX_DATABASE

引数 : デフォルト値は pw。これは、getpwnam() を使用する。他の値を使用することはできない

この新しいオプションにより、ローカルな受信者を確認するのに使用されるメールボックスデータベースのタイプを指定できる  

MaxHeadersLength

m4 名 : confMAX_HEADERS_LENGTH

引数 : 数値

このオプションにより、全ヘッダーの合計した最大の長さを指定できる。また、このオプションを使用して、サービス拒否害攻撃を防止できる。 デフォルト値は 32768。 16384 より小さい値を使用すると、警告が発行される。 Solaris オペレーティング環境のデフォルト値を変更する必要はない  

MaxMimeHeaderLength

m4 名 : confMAX_MIME_HEADER_LENGTH

引数 : 数値

このオプションにより、特定の MIME ヘッダ ーフィールド値の最大の長さを、文字数 x に設定できる。また、ヘッダー内のパラメータについては、y の最大の長さを指定できる。値を結合すると、「x/y」のようになる。y を指定しない場合には、x の半分の値が使用される。 デフォルト値は 0 であるため、値を指定しないと、確認が実行されない。 このオプションは、メールユーザーエージェントをバッファーオーバーフロー攻撃から保護する目的で提供されている。推奨値の範囲は、256/128 から 1024/256。128/40 より小さい値を使用すると、警告が発行される。

MaxQueueChildren

m4 名 : confMAX_QUEUE_CHILDREN

引数 : 数値

この新しいコマンドにより、同時にアクティブになるキューランナー処理の数を引数で指定した値に制限できる。このオプションを使用すると、キューの処理時に使用されるシステム資源を制限できる。複数のキューグループにおけるキューランナーの合計数が定義した引数を超えると、残りのキューグループは、後で実行される 

MaxRecipientsPerMessage

m4 名 : confMAX_RCPTS_PER_MESSAGE

引数 : 数値

このオプションを設定すると、SMTP エンベロープ内の受信者が指定した数を超えないようにする。最小の引数は 100。このオプションは、コマンド行からも、構成ファイルからも宣言できる。ただし、通常のユーザーは、コマンド行からこのオプションを設定し、sendmail -bs を使って送信したメッセージの上書きを有効にすることができる。この場合でも、sendmail は、その root 権限を放棄しない

MaxRunnersPerQueue

m4 名 : confMAX_RUNNERS_PER_QUEUE

引数 : 数値。デフォルト値は 1。リソースについてよく考慮し、この値を高く設定しないように注意する

この新しいオプションにより、1 キューグループあたりのキューランナーの最大数を指定できる。複数のキューランナーは、キューグループのメッセージを並行処理する。この動作は、前のメッセージ処理が原因で次のメッセージの処理が遅れる可能性がある場合に便利である 

NiceQueueRun

m4 名 : confNICE_QUEUE_RUN

引数 : 数値

この新しいオプションにより、キューランナーの優先順位を設定できる。nice(1) のマニュアルページを参照

PidFile

m4 名 : confPID_file

引数 : PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションのその他の引数 を参照

この新しいオプションにより、pid ファイルの場所を定義できる。 ファイルを開く前に、そのファイル名がマクロで展開される。デフォルトは /var/run/sendmail.pid

PrivacyOptions

詳細については、PrivacyOptions オプションの変更点 を参照

ProcessTitlePrefix

m4 名 : confPROCESS_TITLE_PREFIX

引数 : PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションのその他の引数 を参照

この新しいオプションにより、/usr/ucb/ps auxww にリストされるプロセスのタイトルについて、接頭辞の列を指定できる。この文字列はマクロで処理される。Solaris オペレーティング環境のデフォルト値を変更する必要はない

QueueFileMode

m4 名 : confQUEUE_FILE_MODE

引数 : 数値

この新しいオプションを使用すると、キューファイルのデフォルトアクセス権を 8 進数で指定できる。このオプションを設定しないと、sendmail0600 を使用する。ただし、オプションの実ユーザー ID と実行ユーザー ID が異なる場合には、sendmail0644 を使用する

QueueLA

m4 名 : confQUEUE_LA

引数 : 数値

デフォルト値は、8 からシステム起動時にオンラインであるプロセッサ数の 8 倍に変更された。 単一プロセッサマシンでは、このデフォルト値の変更による影響はない。 この値を変更するとデフォルト値が無効になり、プロセッサ数を考慮しなくなる。 そのため、値を変更することによる影響について、よく理解する必要がある 

QueueSortOrder

m4 名 : confQUEUE_SORT_ORDER

このオプションにより、キューのソートに使用するアルゴリズムを設定する。デフォルト値は priority であり、キューをメッセージの優先順位でソートする。 次の変更に注意する

host の引数は、ホスト名を逆にしてからソートを実行する。つまり、ドメインをグループ化して、キューを同時に実行する。このように改良されたため、接続キャッシュがある場合には、それをより有効に使用できる

新しい引数 filename は、キューをファイル名でソートする。この動作によって、キューを実行する準備をする際に、各キューにあるファイルを開いたり読み込んだりすることを避けることができる

新しい引数 modification は、キューを変更日時でソートし、qf ファイルのエントリを古い順に実行する

新しい引数 random は、キューを無作為にソートする。こうすると、複数のキューランナーを手動で開始する際に、回線争奪を避けることができる

詳細については、sendmail(1M) マニュアルページの「QueueSortOrder」を参照

RefuseLA

m4 名 : confREFUSE_LA

引数 : 数値

デフォルト値は、12 からシステム起動時にオンラインであるプロセッサ数の 12 倍に変更された。 単一プロセッサマシンでは、このデフォルト値の変更による影響はない。 この値を変更するとデフォルト値が無効になり、プロセッサ数を考慮しなくなる。 そのため、値を変更することによる影響について、よく理解する必要がある 

ResolverOptions

このオプションについては、2 つの点が変更された 

ホスト名を正規化しようとする時、不具合が発生したネームサーバーが IPv6 T_AAAA 参照について一時障害メッセージ SERVFAIL を返すことがある。新しい引数 WorkAroundBrokenAAAA を使用して、このような動作を避けることができる

また、引数 RES_USE_INET6 は、新しいフラグ use_inet6 を使って制御できる。詳細は、resolver(3RESOLV) のマニュアルページを参照

RrtImpliesDsn

m4 名 : confRRT_IMPLIES_DSN

引数 : true または false

この新しいオプションを設定すると、「Return-Receipt-To:」ヘッダーによって DSN (Delivery Status Notification) が要求され、エンベロープの送信側に DNS が送信される。DSN はヘッダーで指定されているアドレスには送信されない 

SendMimeErrors

m4 名 : confMIME_FORMAT_ERRORS

引数 : true または false

デフォルトは true

SharedMemoryKey

m4 名 : confSHARED_MEMORY_KEY

引数 : 数値

この新しいオプションを使用すると、共有メモリーがある場合に、それを使ってキューのファイルシステム用の容量を保存できる。このオプションにより、空き容量を確認するシステムコールの数を最小限にすることができる 

SuperSafe

m4 名 : confSAFE_QUEUE

引数 : truefalse、または interactive。デフォルト値および推奨値は truefalse は使用しないこと

このオプションを true に設定すると、キューのファイルをすぐに配信する場合でも、それらは常にインスタンス化される。 interactiveDeliveryMode=i を同時に使用して、このモード用に、コード実行パスで重複している同期コールをスキップすることができる

Timeout

詳細については、Timeout オプションの変更点 を参照

TrustedUser

m4 名 : confTRUSTED_USER

引数 : ユーザー名またはユーザー ID の数値

この新しいオプションを使用して、root の代わりに重要なファイルを所有するユーザー名を指定することができる。このオプションを設定すると、そのユーザーは、生成された別名データベースと、設定した場合には制御ソケットを自動的に所有する。このオプションには、HASFCHOWN を設定する必要がある。HASFCHOWN については、sendmail のコンパイルに使用できるフラグと使用できないフラグ を参照

TrustedUserroot、およびクラス t ($=t) のユーザーだけが、別名マップを構築できる

UseMSP

m4 名 : confUSE_MSP

引数 : true または falseデフォルトは、false

この新しいオプションにより、グループが sendmail バイナリのグループ ID セットグループと同じ場合には、キューファイルをそのグループについて書き込み可能にすることが許可される。 submit.cf では、このオプションを true に設定する必要がある

XscriptFileBufferSize

m4 名 : confXF_BUFFER_SIZE

引数 : 数値

この新しいオプションを指定すると、ディスクベースのファイルを使用する前にメモリーに蓄積できるトランスクリプト (xf) ファイルの最大サイズを、バイトで制御できる。 デフォルトは 4096 バイト。Solaris オペレーティング環境のデフォルトを変更する必要はない

sendmail の構成ファイルにおける推奨されないオプションまたはサポートされていないオプション

構成ファイルで推奨されないオプションについては、次の表を参照してください。この表には AutoRebuildAliases オプションが記載されていますが、このオプションは、sendmail バージョン 8.12 には含まれていません。

表 27–3 sendmail の構成ファイルにおける推奨されないオプションまたはサポートされていないオプション

オプション 

説明 

AutoRebuildAliases

このオプションを設定するとサービス妨害攻撃が実行されることがあるため、このオプションは sendmail バージョン 8.12 には含まれていない。ftp://ftp.sendmail.orgsendmail とともに配布しているリリースノートを参照。 別名ファイルを構築中に、sendmail の処理を停止して、そのファイルを矛盾した状態のままにすることができる

さらに、AutoRebuildAliases を使用できないため、/etc/mail/aliases に加えた変更を適用するには、newaliases を手動で実行する必要がある。また、このバージョンでは、sendmailsetuid root ではないため、root だけが newaliases を実行できる

MeToo

このオプションのデフォルトは True になっており、その使用を推奨されていない ftp://ftp.sendmail.orgsendmail とともに配布しているリリースノートを参照

UnsafeGroupWrites

このオプションは推奨されていない。 必要に応じて、GroupWritableForwardFileSafe および GroupWritableIncludeFileSafe の引数を DontBlameSendmail オプションに使用する必要がある

UseErrorsTo

このオプションは推奨されていない。 また、このオプションは RFC 1123 に違反するため、使用しないこと 

新しい ClientPortOptions オプション

新しく追加された ClientPortOptions オプションは発信接続に使用します。このオプションは、DaemonPortOptions オプションに似ています。このオプションにより、クライアントの SMTP オプションが設定されます。クライアントの SMTP オプションは、一連の key=value ペアです。 このオプションを宣言するには、次の構文のどれかを使用します。 フォーマットのために、これらの例には 2 組のペアが含まれています。 ただし、1 組以上のペアを適用できます。


O ClientPortOptions=pair,pair              # 構成ファイル
-OClientPortOptions=pair,pair              # コマンド行
define(`confCLIENT_OPTIONS',`pair,pair')   # m4 を使った構成記述

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

次の表では、このオプションの新しいキーについて説明しています。

表 27–4 ClientPortOptions の新しいキー

キー 

説明 

Addr

アドレスマスクを指定する。 この値は、ドット表記した数値のアドレスにすることも、ネットワーク名にすることもできる。このペアが省略されると、デフォルトは INADDR_ANY となり、どのネットワークからの接続も受け入れる

Family

アドレスファミリーを指定する。 AF_INET のキーのデフォルトは inet。 他の値は、AF_INET6 には inet6AF_ISO には isoAF_NS には nsAF_CCITT には x.25 である

Listen

待機キューのサイズを指定する。 キーのデフォルトは 10。 Solaris オペレーティング環境のデフォルトを変更する必要はない

Port

待機ポートの名前および番号を指定する。 キーのデフォルトは smtp

RcvBufSize

TCP/IP 送信バッファーのサイズを指定する。キーにはデフォルト値がないため、サイズが自動的に設定されることはない。このオプションを 0 より大きな値に設定すると、その値が使用される。Solaris オペレーティング環境では、このバッファーのサイズを制限する必要はない 

Modifier

次のような sendmail のフラグを指定する

h フラグは、HELO または EHLO コマンドに、送信インタフェースアドレスに対応する名前を使用する。これは、その名前が接続パラメータで選択されたものであっても、デフォルトのものであっても同様である

A フラグは、AUTH を無効にする。このフラグは、DaemonPortOptionsModifier キーに使用できる。DaemonPortOptions オプションの変更点 を参照

S フラグは、電子メールの配信中または受信中に、STARTTLS を使用できないようにしたり、それを提供したりしないようにする

DaemonPortOptions オプションの変更点

次の表では、新しい機能について説明しています。

このオプションを宣言するには、次の構文のどれかを使用します。 この例では、pairkey=value を示します。フォーマットのために、これらの例には 2 組のペアが含まれています。 ただし、1 組以上のペアを適用できます。


O DaemonPortOptions=pair,pair              # 構成ファイル
-ODaemonPortOptions=pair,pair              # コマンド行
define(`confDAEMON_OPTIONS',`pair,pair')   # m4 を使った構成記述 

注 –

セキュリティのリスクを少なくするために、このオプションをコマンド行から設定すると、sendmail はスーパーユーザーアクセス権を放棄します。


新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

次の表では、DaemonPortOptions オプションの新しいキーおよび改訂されたキーについて説明しています。

表 27–5 DaemonPortOptions の新しいキーおよび改訂されたキー

キー 

説明 

Name

この新しいキーは、ユーザーが定義可能な sendmail の名前を指定する。このキーは、エラーメッセージおよびログに使用する。デフォルトは、MTA

Modifier

この新しいキーは、sendmail の値を指定する。この値は、区切り記号なしで、順番にリストすることができる。値のリストについては、表 27–6 を参照

Family

DaemonPortOptions オプションで、Family を指定しないかぎり、inet だけがデフォルトとなる。また、IPv6 ユーザーが、IPv6 インタフェースに対しても待機するには、Family=inet6 設定を DaemonPortOptions オプションに追加して、追加ソケットを sendmail.cf に設定する

次の表では、新しい Modifier キーの値について説明しています。

表 27–6 新しい Modifier キーの値

値 

説明 

A

Modifier 値を a にして、AUTH を無効にする

ClientPortOptionsModifier キーに使用できる。 新しい ClientPortOptions オプション を参照

C

ホスト名の正規化を実行しない 

E

ETRN コマンドを不許可にする

O

障害が発生したら、ソケットを無視する 

S

電子メールの配信中または受信中に、STARTTLS を使用できないようにしたり、それを提供したりしないようにする

ClientPortOptionsModifier キーに使用できる

a

認証を要求する 

b

メールを受信するインタフェースに結合する 

c

ホスト名の正規化を実行する。この値は、構成ファイルの宣言でのみ使用する  

f

完全指定ホスト名を要求する。この値は、構成ファイルの宣言でのみ使用する  

h

送信 HELO コマンドに、インタフェース名を使用する

u

修飾されていないアドレスを使用する。この値は、構成ファイルの宣言でのみ使用する 

PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションのその他の引数

次の表では、PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションにおけるマクロ処理の引数について説明します。これらのオプションについては、表 27–2 を参照してください。

表 27–7 PidFile オプションおよび ProcessTitlePrefix オプションの引数

マクロ 

説明 

${daemon_addr}

0.0.0.0 などのデーモンアドレスを提供する 

${daemon_family}

inetinet6 などのデーモンファミリーを提供する

${daemon_info}

SMTP+queueing@00:30:00 などのデーモン情報を提供する 

${daemon_name}

MSA などのデーモン名を提供する 

${daemon_port}

25 などのデーモンポートを提供する 

${queue_interval}

キューを実行する間隔を提供する (00:30:00 など) 

PrivacyOptions オプションの変更点

次の表では、PrivacyOptions (popt) の新しい引数および改訂された引数を説明しています。このオプションは、sendmail がその root 権限を放棄することなく、コマンド行から宣言できます。この sendmail オプションを宣言するには、次の構文のどれかを使用します。


O PrivacyOptions=argument                # 構成ファイル
-OPrivacyOptions=argument                # コマンド行
define(`confPRIVACY_FLAGS',`argument')   # m4 を使った構成記述

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

次の表では、PrivacyOptions オプションの新しい引数および改訂された引数について説明しています。

表 27–8 PrivacyOptions の新しい引数および改訂された引数

引数 

説明 

goaway

この引数には、フラグ noetrnrestrictmailqrestrictqrunrestrictexpandnobodyreturn、および noreceipts は使用できない

nobodyreturn

この引数は、元のメッセージの本文を DNS (Delivery Status Notifications) に含めないように、sendmail に指示する

noreceipts

この引数を設定すると、DSN (Delivery Status Notifications) が通知されない 

restrictexpand

この引数は、root でも TrustedUser でもないユーザーが -bv オプションを指定した場合に、権限を解除するように sendmail に指示する。ユーザーは、.forward ファイルまたは :include: ファイルなどの非公開の別名を読み込むことができない。 また、この引数は、コマンド行オプションの -v を無効にする

Timeout オプションの変更点

次の表では、Timeout オプションの変更点について説明しています。具体的に言うと、この sendmail オプションには、ident における新しいキーワードおよび新しい値があります。Solaris オペレーティング環境では、この表に表示されているキーワードのデフォルト値を変更する必要はありません。ただし、変更する場合には、keyword=value の構文を使用してください。この value は、時間の間隔です。次の例を参照してください。


O Timeout.keyword=value   # 構成ファイル
-OTimeout.keyword=value   # コマンド行
define(`m4_name', value) # m4 を使った構成記述

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。


注 –

セキュリティのリスクを少なくするために、このオプションをコマンド行から設定すると、sendmail はスーパーユーザーアクセス権を放棄します。


表 27–9 Timeout の新しい設定および改訂された設定

キーワード 

デフォルト値 

説明 

aconnect

0

m4 名 : confTO_ACONNECT

1 回の配信について、すべての接続が成功するまでの合計時間を制限する。最大値は指定されていない 

control

2m

m4 名 : confTO_CONTROL

制御ソケットの要求を完了するまでにかかる合計時間を制限する 

ident

5s

m4 名 : confTO_IDENT

デフォルトでは、30 秒ではなく 5 秒。IDENT パケットを欠落させるサイトへのメール送信が原因で発生する通常の遅延を防止する。最大値は指定されていない

lhlo

2m

m4 名 : confTO_LHLO

LMTP LHLO コマンドからの応答を待つ時間を制限する。最大値は指定されていない

queuereturn

5d

m4 名 : confTO_QUEUERETURN

now を含める。こうすると、キューにあるエントリを配信しないで、すぐに戻すことができる

resolver.retrans

状況により異なる

m4 名 : confTO_RESOLVER_RETRANS

リゾルバによる再伝送の間隔を秒で指定する。この間隔は、resolver.retrans.first および resolver.retrans.normal に適用される

resolver.retrans.first

状況により異なる

m4 名 : confTO_RESOLVER_RETRANS_FIRST

リゾルバが、メッセージをはじめて配信する際の再送の間隔を秒で設定する 

resolver.retrans.normal

状況により異なる

m4 名 : confTO_RESOLVER_RETRANS_NORMAL

リゾルバが、最初のメッセージ配信を除く、すべての参照を実行する際の再伝送の間隔を指定する 

resolver.retry

状況により異なる

m4 名 : confTO_RESOLVER_RETRY

リゾルバクエリーを再送する回数を設定する。この回数は、Timeout.resolver.retry.first および Timeout.resolver.retry.normal に適用される

resolver.retry.first

状況により異なる

m4 名 : confTO_RESOLVER_RETRY_FIRST

メッセージをはじめて配信する際にリゾルバクエリーを再送する回数を設定する 

resolver.retry.normal

状況により異なる

m4 名 : confTO_RESOLVER_RETRY_NORMAL

最初のメッセージ配信を除く、すべてのリゾルバ参照を実行する際に、リゾルバクエリーを再送する回数を設定する 

sendmail に新しく定義されたマクロ

次の表では、sendmail プログラムで使用するための新しいマクロについて説明しています。マクロの値は、内部で割り当てられています。詳細は、sendmail(1M) のマニュアルページを参照してください。

表 27–10 sendmail に定義されたマクロ

マクロ 

説明 

${addr_type}

現在のアドレスを、エンベロープの送信側または受信者アドレスと認定する 

${client_resolve}

${client_name} の解釈処理コールの結果、つまり OKFAILFORGED、または TEMP を保持する

${deliveryMode}

DeliveryMode オプションの値ではなく、sendmail が使用している現在のデリバリモードを指定する

${dsn_notify}${dsn_envid}${dsn_ret}

対応する DSN パラメータ値を保持する 

${if_addr}

インタフェースがループバックネット上にない場合に、受信接続用インタフェースのアドレスを提供する。このマクロは、特に仮想ホスティングに便利である 

${if_addr_out}${if_name_out}${if_family_out}

${if_addr} の再利用を避ける。次の値を、それぞれ保持する

送信接続用インタフェースのアドレス 

送信接続用インタフェースのホスト名 

送信接続用インタフェースのファミリ 

${if_name}

受信接続用のインタフェースのホスト名を提供する。これは、特に仮想ホスティングに便利である 

${load_avg}

実行キューにあるジョブの現在の平均数を確認して報告する 

${msg_size}

ESMTP ダイアログにあるメッセージサイズの値 ( SIZE=parameter) を保持してから、メッセージを収集する。その後、sendmail によって計算されたメッセージサイズを保持したマクロを check_compat で使用する。check_compat については、表 27–14 を参照

${nrcpts}

妥当性検査を行った受信者の数を保持する  

${ntries}

配信を試みた回数を保持する 

${rcpt_mailer} ${rcpt_host}${rcpt_addr}${mail_mailer}${mail_host}、および${mail_addr}

引数 RCPT および MAIL を構文解析した結果を保持する。つまり、メール配信エージェント ($# mailer)、ホスト ($@host)、およびユーザー ($:addr) から解釈処理された RHS (Right-Hand Side) トリプレットを保持する

構成ファイル sendmail を構築するのに使用する新しいマクロ

この節では、以下について説明します。

表 27–11 sendmail 構成ファイルを構築するのに使用する新しいマクロ

マクロ 

説明 

LOCAL_MAILER_EOL

ローカルメールプログラムの行末を示すデフォルト文字列を置きかえる 

LOCAL_MAILER_FLAGS

デフォルトでは、Return-Path: ヘッダを追加する

MAIL_SETTINGS_DIR

メール設定ディレクトリのパスを格納する (末尾のスラッシュを含む)  

MODIFY_MAILER_FLAGS

*_MAILER_FLAGS を拡張する。このマクロは、フラグを設定、追加、または削除する

RELAY_MAILER_FLAGS

リレーメールプログラムの追加フラグを定義する 

新しい MAX マクロ

次の新しいマクロを使用して、受け入れ可能なコマンドを最大数設定し、sendmail による配信の遅れを防止することができます。これらの MAX マクロは、コンパイル時に設定できます。次の表にある最大値は、現在のデフォルト値でもあります。

表 27–12 新しい MAX マクロ

マクロ 

最大値 

各マクロが確認するコマンド 

MAXBADCOMMANDS

25 

未知のコマンド 

MAXNOOPCOMMANDS

20 

NOOPVERBONEX XUSR

MAXHELOCOMMANDS

HELOEHLO

MAXVRFYCOMMANDS

VRFYEXPN

MAXETRNCOMMANDS

ETRN


注 –

マクロによる確認を無効にするには、マクロの値を 0 に設定します。


sendmail における新しい m4 構成マクロおよび改訂された m4 構成マクロ

この節では、sendmail における新しい m4 構成マクロおよび改訂された m4 構成マクロを、表を使って説明します。これらのマクロを宣言するには、次の構文を使用します。


symbolic_name(`value')

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

表 27–13 sendmail における新しい m4 構成マクロおよび改訂された m4 構成マクロ

m4 マクロ

説明 

FEATURE()

詳細は、FEATURE() の宣言についての変更点を参照

LOCAL_DOMAIN()

このマクロは、クラス w ($=w) にエントリを追加する

MASQUERADE_EXCEPTION()

マスカレードできないホストやサブドメインを定義する新しいマクロ 

SMART_HOST()

このマクロは user@[ host] のように、括弧で囲まれたアドレスに使用できる

VIRTUSER_DOMAIN() または VIRTUSER_DOMAIN_FILE()

これらのマクロを使用する場合は、$=R$={VirtHost} を含める。 $=R は一連のホスト名で、これらを使ってリレーすることができる

FEATURE() の宣言についての変更点

FEATURE() の宣言についての変更点については、次の表を参照してください。

FEATURE の新しい名前および改訂された名前を使用するには、次の構文を使用します。


FEATURE(`name', `argument')

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

表 27–14 新規および改訂された FEATURE() の宣言

FEATURE() の名前

説明 

compat_check

引数 : 次の段落の例を参照 

この新しい FEATURE() によって、送信者アドレスと受信者アドレスからなるアクセスマップ内でキーを検索できる。この FEATURE() は、文字列 <@> で区切る。例 - sender@sdomain <@>recipient@ rdomain

delay_checks

引数 : friend にすると、スパムメールの friend テストを実行できる。また、hater にすると、スパムメールの hater テストを実行できる

すべての確認作業を遅らせる新しい FEATURE()FEATURE(`delay_checks') を使用すると、クライアントが接続する場合、またはクライアントが MAIL コマンドを発行する場合に、ルールセット check_mail および check_relay は呼び出されない。代わりに、これらのルールセットはルールセット check_rcpt によって呼び出される。詳細については、/usr/lib/mail/README ファイルを参照

dnsbl

引数 : この FEATURE() は、最大次の 2 つの引数を受け入れる。

  • DNS サーバー名

  • リジェクトメッセージ

DNS 参照の戻り値を確認する回数を複数にできる新しい FEATURE()。この FEATURE() を使用して、参照が一時的に失敗した場合の動作を指定できる

enhdnsbl

引数 : ドメイン名 

dnsbl の強化バージョン。この FEATURE() を使用して、DNS 参照の戻り値を確認できる。詳細は、/usr/lib/mail/README を参照

generics_entire_domain

引数 : なし 

genericstable$=G のサブドメインに適用するのに使用する新しい FEATURE()

ldap_routing

引数 : 詳細については、http://www.sendmail.org の「リリースノート」を参照

LDAP アドレスルーティングを実装する新しい FEATURE()

local_lmtp

引数 : LMTP (Local Mail Transfer Protocol) を使用できるメールプログラムのパス名。デフォルトは mail.local であり、今回の Solaris リリースでは LMTP を使用できる

ローカルメールプログラムの DSN (delivery status notification) 診断コードのタイプを SMTP の正しい値に設定する FEATURE()

local_no_masquerade

引数 : なし 

ローカルメールプログラムをマスカレードしないようにするために使用する新しい FEATURE()

lookupdotdomain

引数 : なし 

アクセスマップの .domain を参照するのに使用する新しい FEATURE()

nocanonify

引数 : canonify_hosts またはなし

FEATURE() には次の機能が含まれている

CANONIFY_DOMAIN または CANONIFY_DOMAIN_FILE で指定した、ドメインのリストを演算子 $[ および $] に渡して正規化することができる

canonify_hosts がそのパラメータとして指定されている場合には、ホスト名だけを持つアドレス (<user@host> など) を正規化できる

複数のコンポーネントを持つアドレスの末尾にドットを追加できる 

no_default_msa

引数 : なし 

sendmail のデフォルト設定を m4 構成ファイルでオフにする新しい FEATURE()。このファイルは、複数の異なるポート上で待機するために生成されたもので、RFC 2476 に実装されている

nouucp

引数 : reject にすると、! トークンを使用できない。 nospecial にすると、! トークンを使用できる

! トークンをアドレスのローカルの部分に使用するかどうかを決定する FEATURE()

nullclient

引数 : なし 

通常の構成ですべてのルールセットを提供する FEATURE()。スパムメール対策チェックを実行する

preserve_local_plus_detail

引数 : なし 

sendmail がアドレスをローカル配信エージェントに渡す際に、アドレスの +detail の部分を保存できる新しい FEATURE()

preserve_luser_host

引数 : なし 

LUSER_RELAY を使用している場合に、受信者のホスト名を保存できる新しい FEATURE()

queuegroup

引数 : なし 

電子メールのアドレス全体または受信者のドメインに基づいたキューグループを選択できる新しい FEATURE()

relay_mail_from

引数 : ドメインは、任意の引数

メールの送信側がアクセスマップに RELAY として指定されており、それをヘッダ行 From: で呼び出せる場合に、リレーを許可する新しい FEATURE()。 任意の引数ドメインを指定すると、メール送信側のドメインの部分が確認される

virtuser_entire_domain

引数 : なし 

$={VirtHost} を適用するのに使用する FEATURE()$={VirtHost} は、VIRTUSER_DOMAIN または VIRTUSER_DOMAIN_FILE を使って生成できる virtusertable エントリを一致させるための新しいクラス

また、FEATURE(`virtuser_entire_domain') を使用して、クラス $={VirtHost} をサブドメイン全体に適用することもできる

次の FEATURE() は、宣言できません。

表 27–15 宣言がサポートされていない FEATURE()

FEATURE() の名前

代わりの FEATURE()

rbl

削除されたこの FEATURE() の代わりに、FEATURE(`dnsbl') および FEATURE(`enhdnsbl') を使用できる

remote_mode

/usr/lib/mail/cf/subsidiary.mc では、FEATURE(`remote_mode') の代わりに MASQUERADE_AS(`$S') を使用できる。$S は、sendmail.cf における SMART_HOST の値

sun_reverse_alias_files

FEATURE(`genericstable').

sun_reverse_alias_nis

FEATURE(`genericstable').

sun_reverse_alias_nisplus

FEATURE(`genericstable').

MAILER() の宣言についての変更点

MAILER() を宣言すると、配信エージェントのサポートを指定できます。 配信エージェントを宣言するには、次の構文を使用します。


MAILER(`symbolic_name')

次の変更に注意する

メールプログラムの詳細については、メールプログラムを参照してください。新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。

配信エージェントの新しいフラグ

次の表では、配信エージェントの新しいフラグについて説明しています。デフォルトでは、これらのフラグは設定されていません。これらの 1 文字のフラグはブール型です。このフラグを設定したりその設定を解除したりするには、次の例のように、フラグを構文ファイルの F= 文に含めるか除外します。


Mlocal,    P=/usr/lib/mail.local, F=lsDFMAw5:/|@qSXfmnz9, S=10/30, R=20/40,
Mprog,     P=/bin/sh, F=lsDFMoqeu9, S=10/30, R=20/40, D=$z:/,
Msmtp,     P=[IPC], F=mDFMuX, S=11/31, R=21, E=\r\n, L=990,
Mesmtp,    P=[IPC], F=mDFMuXa, S=11/31, R=21, E=\r\n, L=990,
Msmtp8,    P=[IPC], F=mDFMuX8, S=11/31, R=21, E=\r\n, L=990,
Mrelay,    P=[IPC], F=mDFMuXa8, S=11/31, R=61, E=\r\n, L=2040,
表 27–16 メールプログラムの新しいフラグ

フラグ 

説明 

%

このフラグを使用するメールプログラムは、ETRN 要求やキューオプション -qI-qR、または -qS のいずれかを使ってキューにあるメッセージを選択しないかぎり、最初の受信者宛にメールを配信したり、キューを実行したりしない

1

このフラグは、\0 などのヌル文字を送信するメールプログラムの機能を無効にする

2

このフラグは、ESMTP の使用を無効にし、代わりに SMTP を使用するように要求する 

6

このフラグを指定すると、メールプログラムでヘッダを 7 ビットにすることができる 

配信エージェントの新しい等号 (=)

次の表では、配信エージェントを定義するコマンド M とともに使用できる新しい等号 (=) について説明しています。次の構文は、等号 (=) を新たに付加する方法、および構成ファイルの既存の等号に新しい引数を付加する方法を示しています。


Magent_name, equate, equate, ...

次の例には、新しい等式 W= が含まれています。この等式は、すべてのデータが送信されたあとでメールプログラムが戻るまでの最長待ち時間を指定します。


Msmtp, P=[IPC], F=mDFMuX, S=11/31, R=21, E=\r\n, L=990, W=2m

m4 の構成値の定義を変更するには、次の例のような構文を使用します。


define(`SMTP_MAILER_MAXMSGS', `1000')

この例では、smtp メールプログラムで 1 回の接続で配信されるメッセージ数を 1000 に制限しています。

新しい sendmail.cf ファイルを構築する必要がある場合は、第 25 章「メールサービス (手順)」sendmail.cf 構成ファイルの構築 (手順) を参照してください。


注 –

通常、mailer ディレクトリで、この等号の定義を変更するのは、微調整が必要な場合だけです。


表 27–17 配信エージェントの新しい等号 (=)

等号 

説明 

/=

引数 : ディレクトリのパス 

メールプログラムのプログラムを実行する前に chroot() を適用するディレクトリを指定する

m=

引数 : define() ルーチンを使って事前に定義した次の m4 の値

    smtp メールプログラムには SMTP_MAILER_MAXMSGS


    local メールプログラムには LOCAL_MAILER_MAXMSGS


    relay メールプログラムには RELAY_MAILER_MAXMSGS


smtplocal、または relay の各メールプログラムで、1 回の接続で配信するメッセージの数を制限する

W=

引数 : 増分時間 

すべてのデータの送信後、メールプログラムが戻るまでの最長待ち時間を指定する 

キューの新しい機能

次に、キューの新しい機能について詳しく説明します。

関連作業については、キューディレクトリの管理 (作業マップ) を参照してください。

sendmail における LDAP のための変更

次に、LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) を sendmail で使用する際の変更点について説明します。

次の表では、LDAP マップの新しいフラグについて説明しています。

表 27–19 LDAP マップの新しいフラグ

フラグ 

説明 

-1

一致したレコードが 1 つだけだった場合、そのレコードを返す。複数のレコードが一致して返される場合には、結果として、レコードが検出されなかったことと同じとなる 

-r never|always|search|find

LDAP 別名の参照を解除するオプションを設定する 

-Z size

一致したもののうち、返すレコード数を制限する 

メールプログラムに新しく組み込まれた機能

前のバージョンに組み込まれていたメールプログラム [TCP] は使用できません。代わりに、新しく組み込まれたメールプログラム P=[IPC] を使用してください。新しく組み込まれたプロセス間通信メールプログラム ([IPC]) を使用して、それをサポートしているシステム上の UNIX ドメインソケット宛てにメールを配信できます。このメールプログラムは、指定したソケットで待機している LMTP 配信エージェントとともに使用できます。次に、メールプログラムの例を示します。


Mexecmail, P=[IPC], F=lsDFMmnqSXzA5@/:|, E=\r\n, 
S=10, R=20/40, T=DNS/RFC822/X-Unix, A=FILE /var/run/lmtpd

[IPC] メールプログラムの最初の引数が、正当な値であるかどうかが確認されます。次の表では、最初のメールプログラム引数に設定可能な値について説明しています。

表 27–20 最初のメールプログラム引数に設定可能な値

値 

説明 

A=FILE

UNIX ドメインソケットによる配信に使用する 

A=TCP

TCP/IP 接続に使用する 

A=IPC

最初のメールプログラム引数としては使用できない 

新しいルールセット

次の表では、新しいルールセットとその動作について説明しています。

表 27–21 新しいルールセット

ルールセット 

説明 

check_eoh

ヘッダーから収集した情報を相関させ、欠けているヘッダーを確認する。 このルールセットは、マクロストレージマップとともに使用し、すべてのヘッダーが収集された後、呼び出される 

check_etrn

check_rcptRCPT を使用するように、ETRN コマンドを使用する

check_expn

check_rcptRCPT を使用するように、EXPN コマンドを使用する

check_vrfy

check_rcptRCPT を使用するように、 VRFY コマンドを使用する

次に、ルールセットの新しい機能について説明します。

ファイルへの変更

次の変更に注意してください。

構成内の IPv6 アドレス

sendmail バージョン 8.12 では、アドレスを正しく識別するために、構成に使用する IPv6 アドレスの前に IPv6: タグを付ける必要があります。 IPv6 アドレスを識別しない場合は、タグを前に付けません。

mail.local の変更点

次の表では、mail.local プログラムにおけるコマンド行の新しいオプションについて説明しています。sendmail は、このプログラムをローカルメールの配信エージェントとして使用します。

表 27–22 mail.local におけるコマンド行の新しいオプション

オプション 

説明 

-7

LMTP (Local Mail Transfer Protocol) モードで、LHLO 応答時に、8BITMIME のサポートが通知されるのを防止する

-b

メールボックスがその制限を超えた場合に、一時エラーではなく、永続エラーを発生させる 

LMTP モードのデフォルトは mail.local です。ただし、本リリースでは、LMTP モード以外で mail.local をローカル配信エージェントとして使用するには、次のどれかの操作を実行して S フラグを設定する必要があります。

構成ファイルには、次の構文を使用します。


MODIFY_MAILER_FLAGS(`LOCAL', `+S')      # 構成ファイル

または、m4 構成に対して次の 2 つの手順を実行します。


define(`MODIFY_MAILER_FLAGS', `S')dnl   # 第 1 段階
MAILER(local)dnl                        # 第 2 段階

注 –

MODIFY_MAILER_FLAGS は、構成ファイルを構築するのに使用する新しいマクロです。詳細は、構成ファイル sendmail を構築するのに使用する新しいマクロを参照してください。


詳細については、mail.local(1M) のマニュアルページを参照してください。

mailstats の変更点

sendmail プログラムには、メールプログラムの使用状況を統計する機能を持つ mailstats プログラムが付属しています。次の表では、mailstats の新しいオプションについて説明します。

表 27–23 mailstats の新しいオプション

オプション 

説明 

-C filename

sendmail 構成ファイルを指定する

-p

プログラムが読み取り可能なモードで、統計を明確に示す 

-P

プログラムが読み取り可能なモードで、統計を明確に示す。ただし、このオプションを指定すると、統計ファイルは切り捨てられない 

詳細は、mailstats(1) のマニュアルページを参照してください。

makemap の変更点

makemap コマンドを実行すると、sendmail 用にキー付きのデータベースファイルが作成されます。次の表では、makemap の新しいオプションについて説明しています。 オプションを宣言する場合には、次の構文を使用します。


makemap options class filename

この構文を使用するときには、次のことに注意してください。

表 27–24 makemap の新しいオプション

オプション 

説明 

-C

TrustedUser オプションの検出に、指定した sendmail 構成ファイルを使用する

-c

指定した hash および btree のキャッシュサイズを使用する

-e

RHS (right-hand side) から空の値を使用することを許可する 

-l

サポートされているマップのタイプをリストする 

-t

空白ではなく、別の区切り記号を指定する 

-u

データベースの内容を標準出力にダンプ (マップ形式を元に戻す) する 


注 –

makemaproot として実行すると、生成されたマップの所有権は、構成ファイル sendmail で指定したように、自動的に TrustedUser に変更されます。TrustedUser オプションの詳細については、表 27–2 を参照してください。


詳細は、makemap(1M) のマニュアルページを参照してください。

新しいコマンド editmap

新しい保守コマンド editmap を使用して、sendmail のキー付きデータベースマップのレコードを照会したり編集したりすることができます。コマンド行から、次の構文を使用します。


editmap options maptype mapname key "value"

詳細および使用可能なオプションについては、editmap(1M) のマニュアルページを参照してください。

他の変更点および機能

次に、他の変更点および機能について説明します。