Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

用語集

asppp

Solaris 2.4 から Solaris 8 リリースまでの Solaris オペレーティング環境に含まれる PPP のバージョンの 1 つ。asppp は非同期 PPP 通信のみサポートする。

CHAP シークレット

識別目的で使用される ASCII またはバイナリ文字列。PPP リンク上の両ピアにより認識される。CHAP シークレットはシステムの /etc/ppp/chap-secrets ファイル内に平文のまま保存されるが、PPP リンク上には、たとえ暗号化された形であっても、決して送信されることはない。CHAP プロトコルは、呼び出し元が使用する CHAP シークレットのハッシュと、受け取り側の /etc/ppp/chap-secrets ファイルに設定されている呼び出し元の CHAP シークレットエントリのハッシュが一致することを検証する。

CSU/DSU

CSU デバイスと DSU デバイスを組み合わせた同期通信装置。専用回線 PPP リンク上で使用する。CSU/DSU はピアからの信号を専用回線に変換する。CSU/DSU の多くはリンクを確立するためのチャットスクリプトを必要としない。CSU/DSU は専用回線プロバイダにより構成されることが多い。

チャネルサービス装置 (CSU)加入者線終端装置 (DSU) も参照。

ISDN 端末アダプタ (TA)

信号変換装置。ISDN ネットワーク上でダイアルアップ PPP リンクにモデムと同等のインタフェースを提供する。ISDN TA を構成する場合、標準モデムを構成する場合と同じ Solaris PPP 4.0 構成ファイルを使用する。

Microsoft CHAP (MS-CHAP)

独自の PPP 用 Microsoft 認証プロトコル。Solaris PPP 4.0 では、クライアントモードとサーバーモードの両方において、このプロトコルのバージョン 1 と 2 をサポートする。

PPPoE (PPP over Ethernet)

RedBack Networks 独自のプロトコル。このプロトコルを使用して、ホストがイーサネットリンク上で PPP セッションを実行できる。PPPoE は通常デジタル加入者回線 (DSL) サービスで使用される。

SLP デーモン (slpd)

SLP の Solaris 実装で DA または SA サーバーとして動作するデーモンプロセス。ホスト上でのサービス処理は、通知を個々に保持するのではなく、slpd を使用してサービス通知を登録する。SLP デーモンが SA サーバーとして構成される場合、各プロセスには、slpd と通信する SA クライアントライブラリが含まれる。SLP デーモンはすべての登録と登録解除を DA に転送する。デーモンは有効期限が切れたサービス通知を時間切れとし、アクティブまたはパッシブな DA 検出を実行して、利用可能な DA のテーブルを保守する。これらの仕組みを通して、DA の情報が UA クライアントに提供される。UA クライアントは DA 情報についてのみホスト上で slpd を使用する。SLP デーモンは Solaris 9 オペレーティング環境の一部としてホスト上にインストールされる。オプションで slpd を DA として構成できる。

アカウンティングの拡張

Solaris オペレーティング環境で、タスクまたはプロセスに基づくの資源消費量を柔軟に記録できる方法。

圧縮制御プロトコル (CCP)

PPP のサブプロトコル。リンク上でのデータ圧縮の使用についてネゴシエーションを行う。ヘッダー圧縮とは異なり、CCP はリンク上に送信されたパケット内のすべてのデータを圧縮する。

インターネットプロトコル制御プロトコル (IPCP)

PPP のサブプロトコル。リンク上のピアの IP アドレスについてネゴシエーションを行う。また、リンクのヘッダー圧縮をネゴシエーションし、ネットワーク層プロトコルを使用可能にする。

インターネットプロトコルバージョン 6 制御プロトコル (IPV6CP)

インターネットプロトコル制御プロトコル (IPCP) を参照。

加入者線終端装置 (DSU)

専用回線 PPP リンク上で使用する同期通信装置。DSU は通信回線上で使用されるデータフレーミング形式間の変換を行い、標準データ通信インタフェースを提供する。

チャネルサービス装置 (CSU)CSU/DSU も参照。

コールバック制御プロトコル (CBCP)

Microsoft 独自の PPP 拡張機能。コールバックセッションのネゴシエーションに使用する。Solaris PPP 4.0 ではこのプロトコルのクライアント側 (最初の呼び出し側) のみサポートする。

サービス URL

サービスのネットワークロケーションを通知するために使用される URL。URL は、サービスの種類、ホスト名、サービスホストのネットワークアドレスから構成される。URL には、ポート番号や、サービスを使用するために必要なその他の情報が使用される場合もある。

サービスエージェント (SA)

ネットワークサービスのサービス通知を保守する SLP エージェント。DA が使用できない場合は、SA が UA からのサービス要求のマルチキャストに答える。DA が使用できる場合は、SA はそのスコープをサポートする DA にサービスを登録、あるいはオプションで登録解除する。

サービス通知

サービスを定義する SA により配布される情報。サービス通知は、サービスを説明する、URL および、属性と値の対のリストの集合。すべてのサービス通知には有効期限がある。期限が切れると、サービス通知は再登録されない限り無効になる。

資源

資源管理において、アプリケーションの動作を変更するために操作可能な計算機システムの一部。

資源管理

利用可能なシステム資源のアプリケーションによる使用方法を制御可能にする機能。

資源制御

資源管理において、タスクおよびプロジェクトのエンティティまで拡張されたプロセスごとの資源制限値。

信頼できる呼び出し元

PPP において、ダイアルインサーバーがアクセスを許可するリモートピア。リモートピアのセキュリティ資格をダイアルインサーバーの PAP または CHAP シークレットデータベースに追加することによりアクセスを許可する。

専用回線 PPP リンク

ホストと、プロバイダからリースした同期ネットワーク媒体に接続された CSU/DSU からなる PPP 接続。専用回線媒体の一般的な例として OC3、T1 がある。管理は簡単だが、専用回線リンクはダイアルアップ PPP リンクよりも費用がかかることから、広くは使われていない。

ダイアルアウトマシン

ダイアルアップ PPP リンクを確立するための呼び出しを開始するピア。構成後は、ダイアルアウトマシンは任意の台数のダイアルインサーバーを呼び出すことができる。一般に、ダイアルアップリンクを確立するには、ダイアルアウトマシンが認証資格を提供する必要がある。

ダイアルアップ PPP リンク

電話回線または ISDN が提供する媒体など、通信媒体の一方の端にピアとモデムが使用されている PPP 接続。「ダイアルアップ」という用語は、ローカルモデムがリモートピアの電話番号を使用してダイアルアップする場合のリンクネゴシエーションにおけるシーケンスを指す。ダイアルアップリンクは最も広く使用され、最小コストの PPP 構成である。

ダイアルインサーバー

ダイアルアウトマシンから呼び出しを受け、ダイアルアップ PPP リンクの受け取り側をネゴシエーションし、確立するピア。「ダイアルインサーバー」という用語が一般に使用されているが、クライアントサーバーという形では動作しない。形としては、ピアがダイアルアップリンクの設定要求に応答するだけである。構成後は、ダイアルインサーバーは任意の台数のダイアルアウトマシンからの呼び出しを受信できる。

タスク

資源管理において、長時間にわたる作業の集合を表すプロセスの集まり。各タスクは 1 つのプロジェクトに関連付けられる。

チャットスクリプト

モデムとリモートピアの間の通信リンクを確立する方法を、モデムに指示する手順。PPP プロトコルと UUCP プロトコルは、ともにダイアルアップリンク確立とダイアルバック呼び出しにチャットスクリプトを使用する。

チャネルサービス装置 (CSU)

専用通信回線へのローカルインタフェースを提供し、その回線を終端する同期通信装置。米国内では、CSU は T1 回線を終端し、DS1 インタフェースまたは DSX インタフェースを提供する。国際的には、電話会社プロバイダが CSU を所有するのが一般的である。

CSU/DSU加入者線終端装置 (DSU)も参照。

チャレンジハンドシェーク認証プロトコル (CHAP)

PPP リンク上の発呼者識別情報の検証に使用できる認証プロトコル。CHAP 認証では、チャレンジ応答の概念を使用する。呼び出しを受信したマシンが呼び出し側にチャレンジを送信してその識別情報を確認する。

パスワード認証プロトコル (PAP) も参照。

ディレクトリエージェント (DA)

オプションの SLP エージェント。サービスエージェント (SA) が送信するサービス通知をキャッシュに保存し、維持する。DA が配置された場合、DA がユーザーエージェント (UA) のサービス要求を解決する。DA は ディレクトリ通知に対して、SA および UA からの能動的な要請に応答する。その応答により、SA と UA は関連付けられた DA とスコープを検出する。DA は定期的に請求されていない通知を送るが、この通知を通して SA および UA は共有のスコープ内で DA を検出する。

適用範囲

管理上、位相上、またはその他の関係により整理された UA と SA のグループ化。適用範囲を使用して、企業全体のサービスへのアクセスを提供する方法を変更できる。

同期 PPP

同期デジタル回線上の PPP の形式。生のビットを連続ストリームとして転送する。専用回線 PPP リンクは同期 PPP を使用する。

認証

プログラムなどのエンティティまたはリモートユーザーがネットワークを通して提供する識別情報の検証作業。一部の認証プロトコルでは、潜在的ユーザーから認証資格のデータベースを構築できる。その他の認証プロトコルでは、認証を目的として認証局が生成する信頼の証明書チェーンを使用する。これらの資格を使用して、通信やサイトのサービスの利用を要求するユーザーを認証することができる。

パスワード認証プロトコル (PAP)

PPP リンク上の発呼者識別情報の検証に使用できる認証プロトコル。PAP は平文パスワードを使用し、このパスワードはリンク上に送信されるので、パスワードを端点のマシンの中の 1 つに保存できる。たとえば、呼び出しを受信するマシン上の UNIX password データベース内のログインとパスワードエントリを使用して、呼び出し元の識別情報を検証することができる。

チャレンジハンドシェーク認証プロトコル (CHAP) も参照。

ピア

PPP では、PPP 通信リンクの一端にある 1 台のコンピュータのこと。PPP 通信リンクは、通信媒体により接続された 2 台のピアから構成される。ワークステーション、パソコン、ルーター、メインフレームなど、多様な機器をピアとして構成可能。

非同期 PPP

非同期シリアル回線上の PPP の形式。同時に 1 文字ずつデータ転送する。最も一般的な PPP の形式であるダイアルアップリンクでは、非同期 PPP 通信が使用されている。

フェアシェアスケジューラ

公平さを基準に CPU 時間を割り当てるスケジューリングクラス。シェアは、システムの CPU 資源のうちプロジェクトに割り当てる部分を定義する。

プール

資源管理において、マシン資源の区分化に使用される構成機構。

ブロードキャスト

サブネット上の全マシンにパケットを転送するデータリンク層の手順。一般にブロードキャストパケットがサブネットを超えてルーティングされることはない。

プロジェクト

ネットワーク全体の関連作業に対する管理識別子。

ポイントツーポイントプロトコル (PPP)

ポイントツーポイント媒体上でデータグラムを転送する標準方法を提供するデータリンク層プロトコル。PPP 構成はピアと呼ばれる 2 台の端点コンピュータ、およびピアが通信に使用する電話回線またはその他の双方向リンクから構成される。2 台のピア間のハードウェアおよびソフトウェア接続が PPP リンクであると考えられる。

PPP は、PAP、CHAP、LCP、CCP などの複数のサブプロトコルから構成される。利用できる PPP 実装は多数存在する。Solaris 9 オペレーティング環境では Solaris PPP 4.0 が実装されている。

マルチキャスト

ネットワーク層手順。IP ネットワーク上の複数マシンにデータグラムパケットを送信するのに使用される。ブロードキャストルーティングの場合と同じく、パケットはすべてのマシンによって処理されるわけではない。マルチキャストでは、ルーターを特殊なルーティングプロトコルで構成する必要がある。

ユーザーエージェント (UA)

ユーザーアプリケーションの代わりに動作する SLP エージェント。ユーザーエージェントは、対応する適用範囲、ディレクトリエージェント、サービス通知の識別情報を問い合わせる。

予期-送信 (expect-send)

PPP チャットスクリプトや UUCP チャットスクリプトで使用されるスクリプト記述形式。チャットスクリプトは、リモートピアからの受け取りを期待する (expect) テキストまたは手順で始まる。次の行には、リモートピアから期待どおりの文字列を受信した後にローカルホストが送信する (send) 応答が記述される。その後に続く行では、通信確立に必要な手順が正常にネゴシエーションされるまで、ローカルホストとリモートピア間の予期-送信 (expect-send) 手順が繰り返される。

リンク

PPP では、2 つのピア間でネゴシエーションされ、確立される通信接続のこと。Solaris PPP 4.0 では、ダイアルアップと専用回線の 2 種類のリンクをサポートする。

リンク制御プロトコル (LCP)

PPP のサブプロトコル。ピア間リンクパラメータの初期セットのネゴシエーションに使用される。LCP の機能に接続完全性テストが含まれるため、リンク関連の問題の多くは LCP 異常として検出される。

レガシーサービス

SLP 対応していないネットワーク化サービス。プロキシ登録を作成して、レガシーサービスを SLP に登録することが可能。そうすると、SLP ベースのクライアントはレガシーサービスを検出できる (第 21 章「レガシーサービスの組み込み」を参照)。