Solaris のシステム管理 (資源管理とネットワークサービス)

PPPoE の構成要素

次の図に示すように、PPPoE 構成には、消費者、電話会社、およびサービスプロバイダという 3 つの関係者が存在します。

図 29–4 PPPoE トンネル内の関係者

この図は、企業、電話会社、およびサービスプロバイダで PPPoE をどのように実装するかを示しています。

PPPoE の消費者

システム管理者として、消費者の PPPoE 構成を助けることがあります。PPPoE 消費者の一般的なタイプは、DSL 回線を介して PPPoE を実行する個人です。別の PPPoE 消費者は、上図に示すように、従業員が PPPoE トンネルを実行できるように DSL 回線を購入する会社です。

企業消費者が PPPoE を使用する主な理由は、高速の DSL 機器を介して多くのホストに PPP 通信を提供するためです。通常、単独の PPPoE クライアントは、個人で DSL モデムを持ちます。また、ハブに接続されているクライアントのグループは、Ethernet 回線によって同じハブに接続されている DSL モデムを共有することがあります。


注 –

DSL 機器は技術的にはモデムではなくブリッジです。ただし、実際にはこれらのデバイスをモデムと呼んでいるので、このマニュアルでは、「DSL モデム」という用語を使用します。


PPPoE は、DSL モデムに接続されている Ethernet 回線上のトンネルを介して PPP を実行します。その回線はスプリッタに接続され、スプリッタは電話回線に接続しています。

電話会社の PPPoE

PPPoE のシナリオでは、電話会社は中間に位置します。 電話会社は、電話回線を介して受信する信号を、デジタル加入者線アクセスマルチプレクサ (DSLAM) と呼ばれるデバイスを使って分割します。 DSLAM は分割した信号を別の線、電話サービス用アナログ線、および PPPoE 用デジタル線に送り出します。デジタル線は ATM データネットワークを介してトンネルを DSLAM から ISP まで延長します。

サービスプロバイダの PPPoE

ISP は、ATM データネットワークから渡される PPPoE 転送をブリッジを介して受信します。ISP では、PPPoE が実行されているアクセスサーバーが PPP リンクのピアとして機能します。アクセスサーバーは、図 29–2 で紹介したダイアルインサーバーと機能的に類似していますが、アクセスサーバーがモデムを使用しない点が異なります。アクセスサーバーは、個々の PPPoE セッションをインターネットアクセスなどの通常の IP トラフィックに変換します。

ISP のシステム管理者は、アクセスサーバーの構成と維持を行います。