Solaris ボリュームマネージャの管理

シナリオ — RAID 5 ボリューム

RAID 5 ボリュームでは、RAID 1 ボリュームよりも少ないオーバーヘッドで記憶領域の冗長性を達成できます (RAID 1 ボリュームでデータの冗長性を得るには、合計記憶領域の 2 倍の領域が必要)。RAID 5 ボリュームでは、同じ数のディスクコンポーネントを使って RAID 1 ボリュームよりも大きい容量をもつ冗長記憶域を構成できます。さらに、ホットスペア (第 15 章「ホットスペア集合 (概要)」 の特に ホットスペアの仕組みを参照) を使用すれば、RAID 1 とほぼ同じレベルの安全性が得られます。短所としては、書き込み時間の増加とコンポーネント障害時の大幅な性能低下が挙げられますが、多くの場合、このようなトレードオフが問題になることはありません。第 4 章「Solaris ボリュームマネージャの構成と使用」のサンプルシステムに基づく構成例は、RAID 5 ボリュームによって追加の記憶容量がいかに得られるかを示しています。

RAID 0 と RAID 1 ボリュームでは、2 つのコントローラに分散した 6 つのディスク上の 6 つのスライス (c1t1d0c1t2d0c1t3d0c2t1d0c2t2d0c2t3d0) によって、27G バイトの冗長記憶域が得られます。しかし、RAID 5 構成では、同じスライスを使用することによって 45G バイトの冗長記憶域が得られる上、1 つのコンポーネントに障害が発生しても、データが失われたり、アクセスが中断されることはありません。さらに、RAID 5 ボリュームにホットスペアを追加すれば、複数のコンポーネントに障害が発生しても対応できます。このアプローチの最大の短所は、コントローラに障害が発生すると、RAID 5 ボリュームのデータが失われる点です。RAID 1 ボリュームでは、この問題は起こりません。詳細は、シナリオ — RAID 1 ボリューム (ミラー)を参照してください。