ipsecconf(1M) コマンドを使用して、ホストの IPsec ポリシーを構成します。このコマンドを実行してポリシーを構成すると、ipsecpolicy.conf という名前の一時ファイルが作成されます。このファイルには、ipsecconf コマンドによってカーネルに設定された IPsec ポリシーエントリが格納されます。システムは、カーネル内 IPsec ポリシーエントリを使用して、すべてのアウトバウンドおよびインバウンド IP データグラムがポリシーに沿っているか検査します。転送されたデータグラムは、このコマンドで追加されたポリシー検査の対象外になります。転送されたパケットを保護する方法については、ifconfig(1M) と tun(7M) のマニュアルページを参照してください。
ipsecconf コマンドを呼び出すには、スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受ける必要があります。このコマンドは、両方向のトラフィックを保護するエントリ、および 1 方向のみのトラフィックを保護するエントリを受け入れます。
ローカルアドレスとリモートアドレスというパターンのポリシーエントリは、1 つのポリシーエントリで両方向のトラフィックを保護します。たとえば、指定されたホストに対して方向が指定されていない場合、laddr host1 と raddr host2 というパターンをもつエントリは、両方向のトラフィックを保護します。したがって、各ホストにポリシーエントリを 1 つだけ設定すれば済みます。ソースアドレスから宛先アドレスへというパターンのポリシーエントリは、1 方向のみのトラフィックを保護します。たとえば、saddr host1 daddr host2 というパターンのポリシーエントリは、インバウンドかアウトバウンドのどちらかのトラフィックのみを保護します。両方向ともは保護しません。したがって、両方向のトラフィックを保護するには、saddr host2 daddr host1 のようなエントリも ipsecconf コマンドに渡す必要があります。
引数を指定しないで ipsecconf コマンドを実行すると、システムに構成されているポリシーを確認できます。各エントリが、インデックスとその後に番号が付いて表示されます。-d オプションでインデックスを指定すると、システム内の指定されたポリシーが削除されます。このコマンドで表示されるエントリの順序はエントリが追加された順であり、必ずしもトラフィックを照合する順序ではありません。トラフィックの照合が行われる順序を確認するには、-l オプションを使用します。
ipsecpolicy.conf ファイルは、システムのシャットダウン時に削除されます。マシンのブート時に IPsec ポリシーを起動させるには、マシンのブート時に inetinit スクリプトによって読み込まれる IPsec ポリシーファイル /etc/inet/ipsecinit.conf を作成する必要があります。