表 7–28 に示されているフィールド名は、再配置型がオーバーフローを検査するかどうかを通知します。計算される再配置値は意図したフィールドより大きい場合があり、再配置型によっては値の適合を検証 (V) したり結果を切り捨てたり (T) することがあります。たとえば、V-simm13 は、計算された値が simm13 フィールドの外部に 0 以外の有意ビットを持つことがないことを意味します。
表 7–27 SPARC: ELF 再配置型
名前 |
値 |
フィールド |
計算 |
---|---|---|---|
R_SPARC_NONE |
0 |
なし |
なし |
R_SPARC_8 |
1 |
V-byte8 |
S + A |
R_SPARC_16 |
2 |
V-half16 |
S + A |
R_SPARC_32 |
3 |
V-word32 |
S + A |
R_SPARC_DISP8 |
4 |
V-byte8 |
S + A - P |
R_SPARC_DISP16 |
5 |
V-half16 |
S + A - P |
R_SPARC_DISP32 |
6 |
V-disp32 |
S + A - P |
R_SPARC_WDISP30 |
7 |
V-disp30 |
(S + A - P)>> 2 |
R_SPARC_WDISP22 |
8 |
V-disp22 |
(S + A - P)>> 2 |
R_SPARC_HI22 |
9 |
T-imm22 |
(S + A)>> 10 |
R_SPARC_22 |
10 |
V-imm22 |
S + A |
R_SPARC_13 |
11 |
V-simm13 |
S + A |
R_SPARC_LO10 |
12 |
T-simm13 |
(S + A) & 0x3ff |
R_SPARC_GOT10 |
13 |
T-simm13 |
G & 0x3ff |
R_SPARC_GOT13 |
14 |
V-simm13 |
G |
R_SPARC_GOT22 |
15 |
T-simm22 |
G>> 10 |
R_SPARC_PC10 |
16 |
T-simm13 |
(S + A - P) & 0x3ff |
R_SPARC_PC22 |
17 |
V-disp22 |
(S + A - P)>> 10 |
R_SPARC_WPLT30 |
18 |
V-disp30 |
(L + A - P)>> 2 |
R_SPARC_COPY |
19 |
なし |
なし |
R_SPARC_GLOB_DAT |
20 |
V-word32 |
S + A |
R_SPARC_JMP_SLOT |
21 |
なし |
「R_SPARC_JMP_SLOT」を参照 |
R_SPARC_RELATIVE |
22 |
V-word32 |
B + A |
R_SPARC_UA32 |
23 |
V-word32 |
S + A |
R_SPARC_PLT32 |
24 |
V-word32 |
L + A |
R_SPARC_HIPLT22 |
25 |
T-imm22 |
(L + A)>> 10 |
R_SPARC_LOPLT10 |
26 |
T-simm13 |
(L + A) & 0x3ff |
R_SPARC_PCPLT32 |
27 |
V-word32 |
L + A - P |
R_SPARC_PCPLT22 |
28 |
V-disp22 |
(L + A - P)>> 10 |
R_SPARC_PCPLT10 |
29 |
V-simm13 |
(L + A - P) & 0x3ff |
R_SPARC_10 |
30 |
V-simm10 |
S + A |
R_SPARC_11 |
31 |
V-simm11 |
S + A |
R_SPARC_OLO10 |
33 |
V-simm13 |
((S + A) & 0x3ff) + O |
R_SPARC_HH22 |
34 |
V-imm22 |
(S + A)>> 42 |
R_SPARC_HM10 |
35 |
T-simm13 |
((S + A)>> 32) & 0x3ff |
R_SPARC_LM22 |
36 |
T-imm22 |
(S + A)>> 10 |
R_SPARC_PC_HH22 |
37 |
V-imm22 |
(S + A - P)>> 42 |
R_SPARC_PC_HM10 |
38 |
T-simm13 |
((S + A - P)>> 32) & 0x3ff |
R_SPARC_PC_LM22 |
39 |
T-imm22 |
(S + A - P)>> 10 |
R_SPARC_WDISP16 |
40 |
V-d2/disp14 |
(S + A - P)>> 2 |
R_SPARC_WDISP19 |
41 |
V-disp19 |
(S + A - P)>> 2 |
R_SPARC_7 |
43 |
V-imm7 |
S + A |
R_SPARC_5 |
44 |
V-imm5 |
S + A |
R_SPARC_6 |
45 |
V-imm6 |
S + A |
R_SPARC_HIX22 |
48 |
V-imm22 |
( (S + A) ^ 0xffffffffffffffff)>> 10 |
R_SPARC_LOX10 |
49 |
T-simm13 |
((S + A) & 0x3ff) | 0x1c00 |
R_SPARC_H44 |
50 |
V-imm22 |
(S + A)>> 22 |
R_SPARC_M44 |
51 |
T-imm10 |
( (S + A)>> 12) & 0x3ff |
R_SPARC_L44 |
52 |
T-imm13 |
(S + A) & 0xfff |
R_SPARC_REGISTER |
53 |
V-word32 |
S + A |
R_SPARC_UA16 |
55 |
V-half16 |
S + A |
いくつかの再配置型には、単純な計算を超えた意味が存在します。
R_SPARC_LO10 に似ていますが、シンボルの大域オフセットテーブルエントリのアドレスを参照する点が異なります。また、 R_SPARC_GOT10 は、大域オフセットテーブルの作成をリンカーに指示します。
R_SPARC_13 に似ていますが、シンボルの大域オフセットテーブルエントリのアドレスを参照する点が異なります。また、 R_SPARC_GOT13 は、大域オフセットテーブルの作成をリンカーに指示します。
R_SPARC_22 に似ていますが、シンボルの大域オフセットテーブルエントリのアドレスを参照する点が異なります。また、 R_SPARC_GOT22 は、大域オフセットテーブルの作成をリンカーに指示します。
R_SPARC_WDISP30 に似ていますが、シンボルのプロシージャリンクテーブルエントリのアドレスを参照する点が異なります。また、R_SPARC_WPLT30 は、プロシージャのリンクテーブル作成をリンカーに指示します。
リンカーは、この際配置型を作成して動的実行可能ファイルが読み取り専用のテキストセグメントを保持できるようにします。この再配置型のオフセット構成要素は、書き込み可能セグメントの位置を参照します。シンボルテーブルインデックスは、現オブジェクトファイルと共有オブジェクトの両方に存在する必要があるシンボルを指定します。実行時、実行時リンカーは共有オブジェクトのシンボルに関連付けられているデータを、オフセットで指定されている位置にコピーします。コピー再配置を参照してください。
R_SPARC_32 に似ていますが、大域オフセットテーブルエントリを指定されたシンボルのアドレスに設定する点が異なります。この特殊な再配置型を使うと、シンボルと大域オフセットテーブルエントリの対応付けを判定できます。
リンカーは、動的オブジェクトが遅延結合を提供できるようにするため、この再配置型を作成します。この再配置型のオフセット構成要素は、プロシージャのリンクテーブルエントリの位置を与えます。実行時リンカーは、プロシージャのリンクテーブルエントリを変更して指定シンボルアドレスに制御を渡します。
リンカーは、動的オブジェクト用にこの再配置型を作成します。この再配置型のオフセット構成要素は、相対アドレスを表す値が存在する、共有オブジェクト内の位置を与えます。実行時リンカーは共有オブジェクトが読み込まれる仮想アドレスに相対アドレスを加算することで、対応する仮想アドレスを計算します。この型に対する再配置エントリは、シンボルテーブルインデックスに対して 0 を指定しなければなりません。
R_SPARC_32 に似ていますが、整列されていないワードを参照する点が異なります。再配置されるワードは、任意整列が存在する 4 つの別個のバイトとして処理されなければなりません (アーキテクチャの要求に従って整列されるワードとしては処理されません)。
R_SPARC_LO10 に似ていますが、符号付き13 ビット即値フィールドを十分に使用するために余分なオフセットが追加される点が異なります。
R_SPARC_HI22 に似ていますが、妥当性検査ではなく切り捨てを行う点が異なります。
R_SPARC_PC22に似ていますが、妥当性検査ではなく切り捨てを行う点が異なります。
64 ビットアドレス空間の最上位 4G バイトに限定される実行可能ファイルに対して R_SPARC_LOX10 と共に使用されます。R_SPARC_HI22 に似ていますが、リンク値の 1 の補数を与えます。
R_SPARC_HIX22 と共に使用されます。R_SPARC_LO10 に似ていますが、必ずリンク値のビット 10 からビット 12 までを設定します。
再配置型 R_SPARC_H44 および R_SPARC_M44 と共に使用され、44 ビット絶対アドレス指定モデルを生成します。
レジスタシンボルの初期化に使用されます。この再配置型のオフセット構成要素には、初期化されるレジスタ番号が存在します。SHN_ABS 型のこのレジスタには、対応するレジスタシンボルが存在しなければなりません。