Solaris のシステム管理 (基本編)

リムーバブルメディアへのアクセス (概要)

リムーバブルメディア上の情報にアクセスするには、ボリュームマネージャを使用する方法と使用しない方法があります。CDE のファイルマネージャを使用してリムーバブルメディア上の情報にアクセスする方法については、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』の「ファイル・マネージャでのリムーバブル・メディアの使い方」を参照してください。

Solaris 8 6/00 リリースから、ボリュームマネージャ (vold) ですべてのリムーバブルメディアデバイスを動的に管理できるようになりました。これに伴い、/dev/rdsk/cntndnsn/dev/dsk/cntndnsn などのデバイス名でのリムーバブルメディアへのアクセスは、できなくなります。

リムーバブルメディア名の使用

リムーバブルメディアには、さまざまな名前でアクセスできます。次の表に、ボリューム管理を使用して/使用しないでアクセスできるさまざまなメディア名を示します。

表 18–1 リムーバブルメディア名

メディア 

ボリューム管理デバイスの名前 

ボリューム管理デバイスの別名 

デバイス名 

最初のフロッピーディスクドライブ 

/floppy

/vol/dev/aliases/floppy0

/dev/rdiskette

/vol/dev/rdiskette0/

volume-name

最初、2 番目、3 番目の CD-ROM または DVD-ROM ドライブ 

/cdrom0

/cdrom1

/cdrom2

/vol/dev/aliases/cdrom0

/vol/dev/aliases/cdrom1

/vol/dev/aliases/cdrom2

/vol/dev/rdsk/c ntn [dn]/

volume-name

最初、2 番目、3 番目の Jaz (ジャズ) ドライブ  

/rmdisk/jaz0

/rmdisk/jaz1

/rmdisk/jaz2

/vol/dev/aliases/jaz0

/vol/dev/aliases/jaz1

/vol/dev/aliases/jaz2

/vol/dev/rdsk/c ntn dn/

volume-name

最初、2 番目、3 番目の Zip ドライブ  

/rmdisk/zip0

/rmdisk/zip1

/rmdisk/zip2

/vol/dev/aliases/zip0

/vol/dev/aliases/zip1

/vol/dev/aliases/zip2

/vol/dev/rdsk/c ntn dn/

volume-name

最初、2 番目、3 番目の PCMCIA ドライブ  

/pcmem/pcmem0

/pcmem/pcmem1

/pcmem/pcmem2

/vol/dev/aliases/pcmem0

/vol/dev/aliases/pcmem1

/vol/dev/aliases/pcmem2

/vol/dev/rdsk/c nt ndn /

volume-name

特定の Solaris コマンドで使用するリムーバブルメディア名を確認する場合は、次の表を使用してください。

Solaris コマンド 

デバイス名 

使用例 

lsmorevi

/floppy

/cdrom

/rmdisk/zip0

/rmdisk/jaz0

/pcmem/pcmem0

ls /floppy/myfiles/

more /cdrom/myfiles/filea

fscknewfsmkfs

/vol/dev/aliases/floppy0

/vol/dev/rdsk/cntndn

newfs /vol/dev/aliases/floppy0

mkfs -F udfs/vol/dev/rdsk/cntndn

リムーバブルメディア上のデータにアクセスするためのガイドライン

ほとんどの CD と DVD は、ISO 9660 標準でフォーマットされています。このフォーマットには移植性があるため、ほとんどの CD と DVD をボリューム管理によってマウントできます。ただし、UFS ファイルシステムを持つ CD と DVD にはアーキテクチャ間の移植性がないため、設計されたときのアーキテクチャで使用する必要があります。

たとえば、SPARC システム用にフォーマットされた UFS ファイルシステムを持つ CD と DVD は x86 システムでは認識されません。同様に、x86 システム用にフォーマットされた UFS CD は、ボリューム管理によって SPARC システム上にマウントすることはできません。同じ制限が、フロッピーディスクにもあてはまります。実際には、同じビット構造を共有するアーキテクチャもあります。このため、場合によっては、あるアーキテクチャに固有の UFS フォーマットが別のアーキテクチャによって認識されることもありますが、UFS ファイルシステム構造はこのような互換性を保証するように設計されたものではありません。

さまざまなフォーマットに対応するために、CD または DVD は、実際にはハードディスクのパーティションに似たスライスに分割されます。9660 部分は移植可能ですが、UFS 部分はアーキテクチャに固有です。CD または DVD のマウントで問題が生じた場合、特にそれがインストール用 CD または DVD の場合は、その UFS ファイルシステムが、使用しているシステムのアーキテクチャに適しているかどうかを CD または DVD のラベルで確認してください。

Jaz ドライブおよび Zip ドライブへのアクセス

次の状況に応じて、Jaz ドライブや Zip ドライブへのアクセス方法が以前の Solaris リリースから変更されたかどうかを判断できます。

新しいリムーバブルメディアドライブを追加する方法

新しいリムーバブルメディアドライブを追加する場合は、/reconfigure ファイルを作成し、システムをリブートして、ボリューム管理に新しいメディアドライブを認識させる必要があります。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. /reconfigure ファイルを作成します。


    # touch /reconfigure
    
  3. システムを実行レベル 0 にします。


    # init 0
    
  4. システムの電源を切ります。

  5. 新しいリムーバブルメディアドライブを接続します。

    詳細な手順については、該当するハードウェアのマニュアルを参照してください。

  6. システムの電源を入れます。

    システムが自動的にマルチユーザーモードになります。

ボリューム管理 (vold) の終了と起動

場合によっては、ボリューム管理を使用しないで、メディアを管理した方がよいことがあります。この節では、ボリューム管理をいったん終了し、後で再起動する方法について説明します。

ボリューム管理 (vold) を終了させる方法

  1. メディアが使用中でないことを確認します。

    メディアを使用中のすべてのユーザーを確認できたか保証がない場合は、リムーバブルメディアが使用中かどうかを調べる方法の手順に従って fuser コマンドを使用してください。

  2. スーパーユーザーになります。

  3. volmgt stop コマンドを入力します。


    # /etc/init.d/volmgt stop
    #

ボリューム管理 (vold) を再起動する方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. volmgt start コマンドを入力します。


    # /etc/init.d/volmgt start
    volume management starting.

リムーバブルメディア上の情報にアクセスする方法

  1. メディアを挿入します。

    数秒後にメディアがマウントされます。

  2. ドライブにメディアが入っているかどうかを確認します。


    % volcheck
    

    コマンド行インタフェースを使用し、適切なデバイス名を指定して情報にアクセスします。デバイス名については、表 18–1 を参照してください。

  3. メディアの内容をリスト表示します。


    % ls /media
    

例 — リムーバブルメディア上の情報にアクセスする

次のように入力して、フロッピーディスク上の情報にアクセスします。


$ volcheck
$ ls /floppy
myfile

次のように入力して、Jaz ドライブ上の情報にアクセスします。


$ volcheck
$ ls /rmdisk
jaz0/		jaz1/

次のように入力して、CD-ROM 上の情報にアクセスします。


$ volcheck
$ ls /cdrom
solaris_9_sparc/

次のように入力して、CD-ROM 上のシンボリックリンクを表示します。


$ ls -lL /cdrom/cdrom0
total 166
drwxr-xr-x   4 root     root        2048 Jul 21 05:18 MU
drwxr-xr-x   4 root     root        2048 Jul 21 05:18 Solaris_7_MU3
-rwxr-xr-x   1 root     root       30952 Jul 21 05:18 backout_mu
-rwxr-xr-x   1 root     root       49604 Jul 21 05:18 install_mu

次のように入力して、PCMCIA メモリーカード上の情報にアクセスします。


$ ls /pcmem/pcmem0
pcmem0 myfiles

リムーバブルメディア上の情報をコピーする方法

リムーバブルメディア上のファイルやディレクトリへのアクセスは、他のファイルシステムの場合とまったく同じように行えます。ただし、所有権とアクセス権については重大な制限があります。

たとえば、あるユーザーが、CD 上のファイルを自分のファイルシステムにコピーした場合、そのユーザーはファイルの所有者になりますが、書き込み権は与えられません (CD 上のファイルには書き込み権がないため)。アクセス権は各自で変更しなければなりません。

  1. メディアがマウントされていることを確認します。


    $ ls /media
    

    ls コマンドは、マウントされたメディアの内容を表示します。内容が表示されない場合は、リムーバブルメディア上の情報にアクセスする方法を参照してください。

  2. (省略可能) ファイルまたはディレクトリをコピーします。

    たとえば、CD の場合は次のように入力します。


    $ cp /cdrom/sol_8_u3_sparc_2/Solaris_8/EA/products/Live*/README*
    $ ls -l
    -r--r--r--   1 pmorph   users       3002 May  9 08:09 README_Live_Upgrade

    たとえば、PCMCIA メモリーカードの場合は次のように入力します。


    $ cp /pcmem/pcmem0/readme2.doc .
    $ cp -r /pcmem/pcmem0/morefiles .
    

音楽用 CD/DVD を再生する方法

Solaris リリースを実行しているシステムに接続されたリムーバブルメディアドライブから音楽用のメディアを再生する場合は、 xmcd などのパブリックドメインソフトウェアにアクセスする必要があります。xmcd は、次の場所から入手できます。

xmcd ソフトウェアを CDDA (CD Digital Audio) サポートと併用して音楽用のメディアを再生するときは、次のことに注意してください。

次の問題にも考慮してください。

xmcd ソフトウェアをインストールすると、音楽用 CD を CD-ROM ドライブに挿入し、xmcd のコントロールパネルを起動するだけで再生できます。

  1. xmcd ソフトウェアをインストールします。

  2. メディアをメディアドライブに挿入します。

  3. xmcd コマンドを起動します。


    % ./xmcd &
    

リムーバブルメディアが使用中かどうかを調べる方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. メディアにアクセスしているプロセスを特定します。


    # fuser -u [-k] /media
    

    -u

    メディアを使用しているプロセスなどを表示する 

    -k

    メディアにアクセスしているプロセスを強制終了する 

    fuser コマンドの使用方法については、fuser(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. (省略可能) メディアにアクセスしているプロセスを強制終了します。


    # fuser -u -k /media
    

    注意 – 注意 –

    メディアにアクセスしているプロセスの強制終了は、緊急の場合にのみ行います。


  4. プロセスが終了していることを確認します。


    # pgrep process-ID
    

例 — メディアが使用中かどうかを調べる

次の例は、プロセス 26230c (所有者 ripley) が /cdrom/cdrom0/Solaris_8/EA/products/Live_Upgrade_1.0 ディレクトリにアクセスしていることを示しています。


# fuser -u /cdrom/cdrom0/Solaris_8/EA/products/Live_Upgrade_1.0
/cdrom/cdrom0/Solaris_8/EA/products/Live_Upgrade_1.0:    26230c(ripley)

リムーバブルメディアを取り出す方法

  1. メディアが使用中でないことを確認します。

    シェルまたはアプリケーションがメディア上のファイルまたはディレクトリのいずれかにアクセスしている場合、メディアは「使用中」であることを忘れないでください。CD を使用しているシェルやアプリケーションなどをすべて検出したかどうかわからない (デスクトップツールの背後に隠れているシェルがアクセスしている可能性がある) 場合は、リムーバブルメディアが使用中かどうかを調べる方法の手順に従って fuser コマンドを使用してください。

  2. メディアを取り出します。


    # eject media
    

    たとえば、CD の場合は次のように入力します。


    # eject cdrom
    

    たとえば、PCMCIA メモリーカードの場合は次のように入力します。


    # eject pcmem0