Solaris のシステム管理 (基本編)

リモートシステム上のリムーバブルメディアへのアクセス (作業マップ)

次の表に、リモートシステム上のリムーバブルメディアへのアクセスに必要な作業を示します。

作業 

説明 

参照先 

1. ローカルのメディアをリモートシステムで使用できるようにする 

必要に応じて、リムーバブルメディアドライブをシステムに追加する 

ローカルのメディアを他のシステムで使用可能にする方法

2. リモートシステム上のリムーバブルメディアにアクセスする  

メディアをドライブに挿入する 

リムーバブルメディア上の情報にアクセスする方法

ローカルのメディアを他のシステムで使用可能にする方法

システムのメディアドライブを共有するようにシステムを設定すると、そのドライブに読み込まれているメディアが他のシステムでも使用できるようになります。(これは音楽用の CD には当てはまりません。) リムーバブルメディアドライブを共有すると、リモートシステム上のリムーバブルメディアにアクセスする方法 の手順に従ってそのドライブをマウントするだけで、ドライブにロードされているメディアを他のシステムでも使用できます。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. NFS デーモン (nfsd) が実行されているかどうかを調べます。


    # ps -ef | grep nfsd
    root 14533    1 17 10:46:55 ?     0:00 /usr/lib/nfs/nfsd -a 16
    root 14656  289  7 14:06:02 pts/3 0:00 grep nfsd

    デーモンが実行されている場合、/usr/lib/nfs/nfsd の行は、上記のように表示されます。デーモンが実行されていない場合は、grep nfsd の行だけが表示されます。

  3. nfsd の状態を確認し、次のいずれかの手順を選択します。

    1. nfsd が実行されている場合は、手順 8 に進む。

    2. nfsd が実行されていない場合は、手順 4 に進む。

  4. nfsd が共有するための dummy ディレクトリを作成します。


    # mkdir /dummy-dir
    

    dummy-dir

    たとえば、dummy などの任意のディレクトリ名にすることができる。このディレクトリには、ファイルは含まれない。これは、NFS デーモンを「呼び起こして」、共有されたメディアドライブを認識させることを目的としている。

  5. 次のエントリを /etc/dfs/dfstab ファイルに追加します。


    share -F nfs -o ro [-d comment] /dummy-dir
    

    NFS デーモンを起動すると、このエントリ「呼び起こし」が参照され、共有されたメディアドライブが認識されます。コメント (-d が前に付く) はオプションです。

  6. NFS デーモンを起動します。


    # /etc/init.d/nfs.server start
    
  7. NFS デーモンが実際に実行されていることを確認します。


    # ps -ef | grep nfsd
    root 14533    1 17 10:46:55 ?     0:00 /usr/lib/nfs/nfsd -a 16
    root 14656  289  7 14:06:02 pts/3 0:00 /grep nfsd
  8. 現在ドライブにあるメディアを取り出します。


    # eject media
    
  9. root の書き込み権を /etc/rmmount.conf ファイルに割り当てます。


    # chmod 644 /etc/rmmount.conf
    
  10. 次の行を /etc/rmmount.conf ファイルに追加します。


    # File System Sharing
    share media*

    上記の行によって、システムの CD-ROM ドライブにロードされる CD が共有されます。ただし、share(1M) のマニュアルページに説明されているように、特定の CD (複数も可) に共有範囲を限定することができます。

  11. /etc/rmmount.conf ファイルから書き込み権を削除します。


    # chmod 444 /etc/rmmount.conf
    

    この手順によって、ファイルはそのデフォルトのアクセス権に戻ります。

  12. メディアを読み込みます。

    ここで読み込むメディアはすべて、他のシステムで使用できるようになります。必ずドライブのランプの点滅が消えるまで待って、この作業を確認するようにしてください。

    メディアにアクセスするには、リモートユーザーは、リモートシステム上のリムーバブルメディアにアクセスする方法の手順に従って、名前によりそのメディアをマウントする必要があります。

  13. share コマンドを使用して、メディアが実際に他のシステムで使用できるかどうかを確認します。

    メディアが使用可能な場合は、その共有設定が表示されます。共有される dummy ディレクトリも表示されます。


    # share
    -    /dummy  ro "dummy dir to wake up NFS daemon"
    -    /cdrom/sol_9_sparc  ro  ""

例 — ローカル CD を他のシステムで使用可能にする

次の例は、ローカルの CD をネットワーク上の他のシステムでも使用できるようにする方法を示しています。


# ps -ef | grep nfsd
    root 10127  9986  0 08:25:01 pts/2    0:00 grep nfsd
    root 10118     1  0 08:24:39 ?        0:00 /usr/lib/nfs/nfsd -a
# mkdir /dummy
# vi /etc/dfs/dfstab
(次の行を追加する)
share -F nfs -o ro  /dummy
# eject cdrom0
# chmod 644 /etc/rmmount.conf
# vi /etc/rmmount
(次の行をファイルシステム共有セクションに追加する)
share cdrom*
# chmod 444 /etc/rmmount.conf
(CD をロードする)
# share
-               /dummy   ro   ""  
-               /cdrom/sol_9_sparc/s5   ro   ""  
-               /cdrom/sol_9_sparc/s4   ro   ""  
-               /cdrom/sol_9_sparc/s3   ro   ""  
-               /cdrom/sol_9_sparc/s2   ro   ""  
-               /cdrom/sol_9_sparc/s1   ro   ""  
-               /cdrom/sol_9_sparc/s0   ro   ""  
# 

例 — ローカルのフロッピーディスクを他のシステムで使用可能にする

次の例は、ローカルのフロッピーディスクをネットワーク上の他のシステムでも使用できるようにする方法を示しています。


# ps -ef | grep nfsd
    root 10127  9986  0 08:25:01 pts/2    0:00 grep nfsd
    root 10118     1  0 08:24:39 ?        0:00 /usr/lib/nfs/nfsd -a
# mkdir /dummy
# vi /etc/dfs/dfstab
(次の行を追加する)
share -F nfs -o ro  /dummy
# eject floppy0
# chmod 644 /etc/rmmount.conf
# vi /etc/rmmount
(次の行をファイルシステム共有セクションに追加する)
share floppy*
# chmod 444 /etc/rmmount.conf
(フロッピーディスクをロードする)
# volcheck -v
media was found
# share
-               /dummy   ro   ""  
-               /floppy/myfiles   rw   ""  

例 — ローカルの PCMCIA メモリーカードを他のシステムで使用可能にする

次の例は、ローカルの PCMCIA メモリーカードをネットワーク上の他のシステムでも使用できるようにする方法を示しています。


# ps -ef | grep nfsd
    root 10127  9986  0 08:25:01 pts/2    0:00 grep nfsd
    root 10118     1  0 08:24:39 ?        0:00 /usr/lib/nfs/nfsd -a
# mkdir /dummy
# vi /etc/dfs/dfstab
(次の行を追加する)
share -F nfs -o ro  /dummy
# eject pcmem0
# chmod 644 /etc/rmmount.conf
# vi /etc/rmmount
(次の行をファイルシステム共有セクションに追加する)
share floppy*
# chmod 444 /etc/rmmount.conf
(PCMCIA メモリーカードをロードする)
# volcheck -v
media was found
# share
-               /dummy   ro   ""  
-               /pcmem/myfiles   rw   ""  

リモートシステム上のリムーバブルメディアにアクセスする方法

ローカルのメディアを他のシステムで使用可能にする方法の指示に従って、リモートシステムがそのシステム上のメディアを共有している場合は、手動でそのメディアをファイルシステムにマウントすれば、リモートシステム上のメディアにアクセスすることができます。

  1. マウントポイントとして使用する既存のディレクトリを指定するか、作成します。


    $ mkdir directory
    

    directory は、他のシステムのメディアのマウントポイントとして作成するディレクトリの名前です。

  2. マウントするメディアの名前を確認します。


    $ showmount -e system-name
    export list for system-name:
    /cdrom/sol_9_sparc (everyone)
  3. スーパーユーザー権限で、メディアをマウントします。


    # mount -F nfs -o ro system-name:/media/media-name local-mount-point
    

    system-name

    マウントするメディアを持つシステムの名前 

    media-name

    マウントするメディアの名前 

    local-mount-point

    リモートのメディアのマウント先のローカルディレクトリ 

  4. スーパーユーザーをログアウトします。

  5. メディアがマウントされていることを確認します。


    $ ls /media
    

例 — 他のシステム上の CD にアクセスする

次の例は、sol_9_sparc という CD をリモートシステム starbug からローカルシステムの /cdrom ディレクトリにマウントする方法を示しています。


$ showmount -e starbug
export list for starbug:
/cdrom/sol_9_sparc (everyone)
$ su
Password: password
# mount -F nfs -o ro starbug:/cdrom/sol_9_sparc /cdrom
# exit
$ ls /cdrom
cdrom0     sol_9_sparc

例 — 他のシステム上のフロッピーディスクにアクセスする

次の例は、myfiles というフロッピーディスクをリモートシステム mars からローカルシステムの /floppy ディレクトリにマウントする方法を示しています。


$ cd /net/mars
$ ls /floppy
floppy0     myfiles
$ su
Password: password
# mount -F nfs rw mars:/floppy/myfiles /floppy
# exit
$ ls /floppy
myfiles
 

例 — 他のシステム上の PCMCIA メモリーカードにアクセスする

次の例は、myfiles という PCMCIA メモリーカードをリモートシステム mars からローカルシステムの /pcmem ディレクトリにマウントする方法を示しています。


$ cd /net/mars
$ ls /pcmem
pcmem0     myfiles
$ su
Password: password
# mount -F nfs rw mars:/pcmem/myfiles /pcmem
# exit
$ ls /pcmem
myfiles