Solaris のシステム管理 (基本編)

署名付きパッチを管理するための準備 (作業マップ)

システムに署名付きパッチを追加する場合は、次のマップに示す作業をすべて完了しておく必要があります。

作業 

説明 

参照先 

1. Solaris パッケージの要件を確認する 

パッチツールをサポートするために必要な Solaris パッケージがシステムにインストールされていることを確認する 

署名付きパッチツールのパッケージ要件を確認する方法

2. Solaris パッチ管理ツールをダウンロードし、インストールする 

使用している Solaris リリースに対応した Solaris パッチ管理ツールを選択する 

Solaris パッチ管理ツールのダウンロードおよびインストール方法

3. キーストアに Sun の証明書をインポートする 

パッチの署名の検証に使用する Sun の証明書をインポートし、受け入れる 

SUNWcert パッケージは、署名付きパッチツールのインストール時に自動的にインストールされる。すでに署名付きパッチツールがインストールされている場合は、SUNWcert パッケージを個別にインストールしてはならない

キーストアに Sun の証明書をインポートする方法

4. (省略可能) キーストアのパスワードを変更する 

キーストアの安全性を確保するため、パスワードを変更する 

キーストアのパスワードの変更方法

5. パッチ環境を設定する 

署名付きパッチを追加できるようにシステムを設定する 

パッチ環境の設定方法

Solaris パッチ管理ツールの使用

Solaris パッチ管理ツールの使用時には、次の点に注意してください。

署名付きパッチツールのパッケージ要件を確認する方法

システムに署名付きパッチツールをインストールする前に、必要な Solaris パッケージがインストールされていることを確認します。Solaris 2.6、7、または 8 を実行している場合は、最小のシステム構成にいくつかのパッケージを追加する必要があります。Solaris 9 を実行している場合は、署名付きパッチツールを使用するためには開発者クラスタ (SUNWCprog) をインストールする必要があります。

  1. 実行している Solaris リリースを確認し、次のいずれかの作業を行います。

    1. Solaris 2.6 を実行している場合は、次のようにして、システムに必要なパッケージがインストールされているかどうかを確認します。


      # pkginfo | grep SUNWmfrun
      system      SUNWmfrun      Motif RunTime Kit
      # pkginfo | grep SUNWlibC
      system      SUNWlibC       Sun Workshop Compilers Bundled libC
      # pkginfo | grep SUNWxcu4
      system      SUNWxcu4       XCU4 Utilities
    2. Solaris 7 または 8 を実行している場合は、次のようにして、システムに必要なパッケージがインストールされているかどうかを確認します。


      # pkginfo | grep SUNWmfrm
      system      SUNWmfrun      Motif RunTime Kit
      # pkginfo | grep SUNWlibC
      system      SUNWlibC       Sun Workshop Compilers Bundled libC
    3. Solaris 9 を実行している場合は、次のようにして、システムに必要な開発者クラスタがインストールされていることを確認します。


      # cat /var/sadm/system/admin/CLUSTER
      CLUSTER=SUNWCprog
  2. pkginfo コマンドを実行しても何も出力されない場合は、必要なパッケージをインストールしてください。

Solaris パッチ管理ツールのダウンロードおよびインストール方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. 次のリンクをたどって、使用している Solaris リリースに適した tar ファイルをダウンロードします。

    http://www.sun.com/PatchPro

  3. 次のいずれかの方法で、パッチツールパッケージを展開します。

    1. Solaris 2.6 または 7 を実行している場合は、次のコマンドを使ってパッケージの圧縮を解除し、展開します。


      # uncompress SUNWpkg-name.tar.Z
      # tar xvf SUNWpkg-name.tar
      
    2. Solaris 8 または 9 を実行している場合は、次のコマンドを使ってパッケージを展開します。


      # gunzip -dc SUNWpkg-name.tar.gz | tar xvf -
      
  4. インストールスクリプトを実行します。


    # cd unzipped-pkg-dir
    # ./setup
    

    インストールスクリプトの実行時のエラーについては、署名付きパッチに関する問題の障害追跡を参照してください。

例 — Solaris パッチ管理ツールのダウンロードおよびインストール

次の例では、Solaris 2.6 パッチ管理ツールをダウンロードし、インストールします。


# uncompress pproSunOSsparc5.6jre2.1.tar.Z
# tar xvf pproSunOSsparc5.6jre2.1.tar 
.
.
.
# cd pproSunOSsparc5.6jre2.1
# ./setup
.
.
.

次の例では、Solaris 9 パッチ管理ツールをダウンロードし、インストールします。


# gunzip -dc pproSunOSsparc5.9jre2.1.tar.gz | tar xvf -
.
.
# cd pproSunOSsparc5.9jre2.1
# ./setup
.
.
.

キーストアに Sun の証明書をインポートする方法

keytool コマンドを使って、システムに追加する署名付きパッチの検証に使用する Sun の証明書をインポートし、検証します。証明書を以前のインストールからインポートした場合も、この作業を実行する必要があります。


注 –

SUNWcert パッケージは、署名付きパッチツールのインストール時に自動的にインストールされます。すでに署名付きパッチツールがインストールされている場合は、SUNWcert パッケージを個別にインストールしないでください。


  1. Solaris パッチ管理ツールをダウンロードするために必要な準備作業が完了していることを確認します。

  2. スーパーユーザーになります。

  3. Sun のルート証明書と Sun の Class B 証明書のフィンガープリントを確認します。


    # /usr/j2se/bin/keytool -printcert -file /etc/certs/SUNW/
    smirootcacert.b64
    # /usr/j2se/bin/keytool -printcert -file /etc/certs/SUNW/smicacert.b64
    
  4. 次のサイトで、コマンドの出力結果と Sun のルート証明書および Class B 証明書のフィンガープリントが一致していることを確認します。


    https://www.sun.com/pki/ca/
    
  5. Sun の Class B 証明書をシステムにインポートし、受け入れます。


    # /usr/j2se/bin/keytool -import -alias smicacert -file /etc/certs/ 
    SUNW/smicacert.b64  -keystore /usr/j2se/jre/lib/security/cacerts
    キーストアのパスワードを入力してください:  changeit
    所有者: O=Sun Microsystems Inc, CN=Sun Microsystems Inc CA (Class B)
    実行者: CN=Sun Microsystems Inc Root CA, O=Sun Microsystems Inc, C=US
    シリアル番号: 1000006
    有効日: Tue Nov 14 04:23:10 JST 2000 有効期限: Sat Nov 14 04:23:10 JST 2009
    証明書のフィンガープリント:
             MD5:  B4:1F:E1:0D:80:7D:B1:AB:15:5C:78:CB:C8:8F:CE:37
             SHA1: 1E:38:11:02:F0:5D:A3:27:5C:F9:6E:B1:1F:C4:79:95:E9:6E:D6:DF
    この証明書を信頼しますか? [no]:  yes
    証明書がキーストアに追加されました。
  6. Sun の ルート証明書をシステムにインポートし、受け入れます。


    # /usr/j2se/bin/keytool -import -alias smirootcacert -file /etc/certs/
    SUNW/smirootcacert.b64 -keystore /usr/j2se/jre/lib/security/cacerts
    キーストアのパスワードを入力してください:  changeit
    所有者: CN=Sun Microsystems Inc Root CA, O=Sun Microsystems Inc, C=US
    実行者: CN=GTE CyberTrust Root, O=GTE Corporation, C=US
    シリアル番号: 200014a
    有効日: Wed Nov 08 07:39:00 JST 2000 有効期限: Fri Nov 08 08:59:00 JST 2002
    証明書のフィンガープリント:
             MD5:  D8:B6:68:D4:6B:04:B9:5A:EB:34:23:54:B8:F3:97:8C
             SHA1: BD:D9:0B:DA:AE:91:5F:33:C4:3D:10:E3:77:F0:45:09:4A:E8:A2:98
    この証明書を信頼しますか? [no]:  yes
    証明書がキーストアに追加されました。
  7. 署名付きパッチ証明書をシステムにインポートし、受け入れます。


    # /usr/j2se/bin/keytool -import -alias patchsigning -file /opt/SUNWppro/
    etc/certs/patchsigningcert.b64 -keystore /usr/j2se/jre/lib/security/cacerts
    キーストアのパスワードを入力してください:  changeit
    所有者: CN=Enterprise Services Patch Management, O=Sun Microsystems Inc
    実行者: O=Sun Microsystems Inc, CN=Sun Microsystems Inc CA (Class B)
    シリアル番号: 1400007b
    有効日: Tue Sep 25 05:38:53 JST 2001 有効期限: Mon Sep 25 05:38:53 JST 2006
    証明書のフィンガープリント:
             MD5:  6F:63:51:C4:3D:92:C5:B9:A7:90:2F:FB:C0:68:66:16
             SHA1: D0:8D:7B:2D:06:AF:1F:37:5C:0D:1B:A0:B3:CB:A0:2E:90:D6:45:0C
    この証明書を信頼しますか? [no]:  yes
    証明書がキーストアに追加されました。

キーストアのパスワードの変更方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. キーストアのパスワードを変更します。


    # /usr/j2se/bin/keytool -storepasswd -keystore /usr/j2se/jre/lib/
    security/cacerts
    キーストアのパスワードを入力してください:  changeit
    新規 keystore password: new-password
    新規 keystore password を再入力してください: new-password
    

パッチ環境の設定方法

  1. スーパーユーザーになります。

  2. パッチツールのディレクトリをパスに追加します。


    # PATH=/usr/sadm/bin:/opt/SUNWppro/bin:$PATH
    # export PATH
    
  3. (省略可能) システムのハードウェア構成を確認します。smpatch analyze コマンドは、このハードウェア構成に基づいて必要なパッチを特定します。


    # pprosetup -H
    
    Change Hardware Configuration.
    Analyzing this computer.
    ..............

    このコマンドで特定されるのは、Sun のネットワークストレージ製品だけです。

  4. システムに追加するパッチの種類を特定します。


    # pprosetup -i standard:singleuser:rebootafter:reconfigafter
    

    システムのデフォルトパッチポリシーが確立されます。

  5. (省略可能) システムに規約署名付きパッチを追加したい場合は、次の手順に従って SunSolve のユーザー名とパスワードを定義します。

    1. SunSolve ユーザー名を定義します。


      # pprosetup -u username
      
    2. SunSolve パスワードを定義します。次のファイルにパスワードを追加してください。


      /opt/SUNWppro/lib/.sunsolvepw
  6. パッチツールがシステムにパッチをダウンロードできるように、プロキシサーバーを特定します。

    1. システムがファイアウォールで保護されている場合は、patchpro.sun.com サーバーと、次のいずれかの Sun パッチサーバー (パッチのダウンロード用サーバー) にアクセスできるプロキシサーバーを定義する必要があります。

      • americas.patchmanager.sun.com (デフォルト)

      • emea.patchmanager.sun.com

      • japan.patchmanager.sun.com

    2. 次のコマンドで、プロキシサーバーを特定します。


      # pprosetup -x proxy-server:proxy-port
      

      たとえば、webaccess.corp.net.com をプロキシサーバーに指定する場合、次のように pprosetup コマンドを入力します。


      # pprosetup -x webaccess.corp.net.com:8080
      

次に進む手順

署名付きパッチの準備作業がすべて完了したら、パッチ管理ツールを使って署名付きパッチを追加します。