セキュリティに関連するシステム動作について監査を行うことができます。これらの監査可能な動作を、「監査イベント」と呼びます。監査イベントは、/etc/security/audit_event ファイルに指定します。監査可能な各イベントは、このファイル内で、シンボル名、イベント番号、一連の選択済みクラス、および簡単な説明によって定義されています。audit_event(4) のマニュアルページを参照してください。
監査イベントには、いくつかのカテゴリがあります。まず、カーネルレベルのイベントとユーザーレベルのイベントに大きく分けられます。カーネルによって生成されたイベントは、カーネルレベルのイベントと呼ばれます。アプリケーションによって生成されたイベントは、ユーザーレベルのイベントと呼ばれます。次の表に示すように、カーネルレベルのイベントには、ユーザーレベルのイベントよりも小さい監査イベント番号が割り当てられています。
表 20–2 監査イベントのカテゴリ
番号の範囲 |
イベントの種類 |
|
---|---|---|
1–2047 |
カーネルレベルの監査イベント |
|
2048–65535 |
ユーザーレベルの監査イベント |
|
|
2048–32767 |
SunOS ユーザーレベルのプログラム用に予約 |
|
32768–65535 |
カーネルによって生成されるイベントは、システムコールです。システムコールには、1 から 2047 までの監査イベント番号が割り当てられます。カーネルレベルのイベントでは、イベント名は AUE_ で始まり、そのあとにイベントを表す大文字のニーモニックが続きます。たとえば、creat() システムコールのイベント番号は 4 で、イベント名は AUE_CREAT です。
アプリケーションソフトウェアによって生成されるイベントは、カーネルの外側にあります。アプリケーションソフトウェアによってユーザーレベルのイベントが生成されます。ユーザーレベルのイベントは、2048 から 65535 までの番号です。イベント名は AUE_ で始まり、そのあとにイベントを表す小文字のニーモニックが続きます。たとえば、rlogin コマンドのイベント番号は 6155 で、イベント名は AUE_rlogin です。表 20–2 にユーザーに関連するイベントの一般的なカテゴリを示します。
ほとんどのイベントは個々のユーザーの動作が原因で発生しますが、そうでないイベントも存在します。カーネル割り込みレベルでイベントが発生した場合や、ユーザーが識別および認証される前にイベントが発生した場合、それらのイベントは「ユーザーに起因しない」イベントです。ユーザーに起因しないイベントは、監査可能です。次の例は、/etc/security/audit_event ファイル内のユーザーに起因しないイベントを 2 つ示しています。
153:AUE_ENTERPROM:enter prom:na 6156:AUE_mountd_mount:mount:na |
AUE_ENTERPROM はカーネルレベルの na イベントです。AUE_mountd_mount はユーザーレベルの na イベントです。