Solaris 9 12/03 インストールガイド

第 28 章 カスタム JumpStart に関するリファレンス情報

この章では、rules ファイル、プロファイル、および begin/finish スクリプトで使用できるキーワードと値のリストを示します。

ルールキーワードと値の説明

表 28–1 で、rules ファイルで使用できるルールキーワードとルール値について説明します。rules ファイルの作成方法についての詳細は、rules ファイルの作成を参照してください。

表 28–1 ルールキーワードとルール値の説明

キーワード 

値 

説明 

any

マイナス記号 (-)

あらゆるものに一致することを意味する。 

arch

processor_type

processor_type に有効な値:

  • SPARC: sparc

  • x86: i386

システムのプロセッサタイプを照合する。 

システムのプロセッサタイプは、uname -p コマンドで調べることができる。

disksize

actual_disk_name size_range

actual_disk_name cxtydz (c0t3d0 または c0d0 など) という形式のディスク名、または特別なワード「rootdisk」。rootdisk を使用する場合、照合するディスクは次の順番で決定される。

  • SPARC: 事前にインストールされているブートイメージ (つまり、ファクトリJumpStart でインストールされた新しい SPARC ベースのシステム) を持つディスク

  • c0t3d0s0 ディスク (存在する場合)

  • 最初に利用可能なディスク (カーネルのプローブ順で検索される)

size_range - ディスクのサイズ。M バイト単位の範囲 (x-x) で指定する必要がある。

システムのディスクの名前とサイズを照合する (M バイト単位)。 

例:processor_type の有効な値

この例では、JumpStart プログラムは c0t3d0 というシステムディスクの照合を試みる。このディスクは 250M から 300M バイトの情報を保持できる。

例:

disksize rootdisk 750-1000

この例では、JumpStart プログラムはまず事前にインストールされたブートイメージが入ったシステムディスクを照合する。続いて c0t3d0s0 ディスク (存在する場合) を照合し、最後に、750M から 1G バイトの情報を保持できるディスクの中で利用可能な最初のディスクを照合する。


注 –

size_range を計算するときは、1M バイトが 1,048,576 バイトであることに注意してください。「535M バイト」ディスクと明記されているディスクでも、ディスク空間が 510M バイトしかない場合があります。535,000,000/1,048,576=510 により、JumpStart は「535M バイト」ディスクを実際には 510M バイトのディスクと見なします。したがって、この「535M バイト」ディスクは「530-550」の size_range には一致しません。


domainname

actual_domain_name

システムのドメイン名を照合する。ドメイン名でネームサービスが情報を判別する方法を制御する。 

システムがインストール済みの場合、domainname コマンドによりシステムのドメイン名を表示できる。

hostaddress

actual_IP_address

システムの IP アドレスを照合する。 

hostname

actual_host_name

システムのホスト名を照合する。 

システムがインストール済みの場合、uname -n コマンドによりシステムのホスト名を表示できる。

installed

slice version

slicecwtxdysz 形式 (たとえば、c0t3d0s5) のディスクスライス名、または anyrootdiskany を使用すると、システムに接続されたどのディスクも照合する (カーネルのプローブ順)。rootdisk を使用する場合、照合するディスクは次の順番で決定される。

  • SPARC: 事前にインストールされているブートイメージ (つまり、ファクトリJumpStart でインストールされた新しい SPARC ベースのシステム) を持つディスク

  • c0t3d0s0 ディスク (存在する場合)

  • 最初に利用可能なディスク (カーネルのプローブ順で検索される)

version — バージョン名、あるいは any または upgradeany を使用すると、Solaris または SunOS リリースのどれとでも照合する。upgrade を使用すると、アップグレード可能な Solaris 2.6 以降の互換リリースのどれとでも照合する。

Solaris リリースは検出されたが、バージョンを判断できないという場合は、返されるバージョンは SystemV になる。

Solaris ソフトウェアの特定バージョンに対応するルートファイルシステムが存在するディスクを照合する。 

例:

installed c0t3d0s1 Solaris_9

この例では、c0t3d0s1 に Solaris 9 のルートファイルシステムを持つシステムを照合している。

karch

actual_platform_group

有効な値は、sun4msun4ui86pcprep。システムおよび対応するプラットフォームグループの一覧は、『Solaris 9 ハードウェアマニュアル』に記載されている。

システムのプラットフォームグループを照合する。 

システムがインストール済みの場合は、arch -k コマンドまたは uname -m コマンドにより、システムのプラットフォームグループを表示できる。

memsize

physical_mem

値は M バイト単位の範囲 (x-x) または 1 つの M バイト値で指定する。

システムの物理メモリーサイズを照合する (M バイト単位)。 

例:

memsize 64-128

この例では、64M から 128M バイトの物理メモリーサイズを持つシステムと照合している。 

システムがインストール済みの場合は、prtconf コマンド (2 行目) によりシステムの物理メモリーサイズを表示できる。

model

actual_platform_name

システムのプラットフォーム名を照合する。有効なプラットフォーム名については、『Solaris 9 Sun ハードウェアマニュアル』を参照してください。

インストール済みのシステムのプラットフォーム名を見つけるには、uname -i コマンドか prtconf コマンド (5 行目) の出力を使用する。


注 –

actual_platform_name にスペースが含まれている場合は、スペースを下線 (_) で置き換える必要があります。

例:

SUNW,Sun_4_50


network

network_num

システムのネットワーク番号を照合する。これは JumpStart プログラムが、システムの IP アドレスとサブネットマスクの論理積をとって判別する。 

例:

network 193.144.2.8

この例では、IP アドレスが 193.144.2.8 のシステムを照合する (サブネットマスクが 255.255.255.0 の場合) 

osname

Solaris_x

システムにすでにインストールされている Solaris のバージョンを照合する。 

例:

osname Solaris_9

この例では、JumpStart プログラムは Solaris 9 オペレーティング環境がすでにインストールされているシステムを照合する。 

probe

probe_keyword

有効なプローブキーワードまたは有効なカスタムプローブキーワード 

例:

probe disks

この例は、システムのディスクサイズ (M バイト) をカーネルプローブ順に返します (例: SPARC システムでは c0t3d0s1c0t4d0s0)。JumpStart プログラムは環境変数 SI_DISKLISTSI_DISKSIZESSI_NUMDISKS、および SI_TOTALDISK を設定します。


注 –

probe キーワードには、属性を照合せず、プロファイルを実行しないという特徴があります。このキーワードは、値を返すだけです。したがって、probe ルールキーワードで、begin スクリプト、プロファイル、および finish スクリプトは指定できません。


プローブキーワードについては、第 25 章「カスタムルールおよびプローブキーワードの作成」 を参照。

totaldisk

size_range

値は M バイト単位の範囲 (x-x) で指定する必要がある。

システムのディスク空間の全体量 (M バイト単位) を照合する。ディスク空間の全体量には、システムに接続されている使用可能なディスクがすべて含まれる。 

例:

totaldisk 300-500

この例では、全体として 300M〜500M バイトのディスク空間を持つシステムと照合している。 


注 –

size_range を計算するときは、1M バイトが 1,048,576 バイトであることに注意してください。「535M バイト」ディスクと明記されているディスクでも、ディスク空間が 510M バイトしかない場合があります。535,000,000/1,048,576=510 により、JumpStart は「535M バイト」ディスクを実際には 510M バイトのディスクと見なします。したがって、この「535M バイト」ディスクは「530-550」の size_range には一致しません。


プロファイルキーワードと値

次の節では、プロファイルで使用できるプロファイルキーワードとプロファイル値を説明します。プロファイル作成の詳細は、プロファイルの作成を参照してください。

プロファイルキーワードのリスト

表 28–2 を使用すれば、どのキーワードがユーザーのインストールに適しているかを簡単に決定できます。プロファイルキーワードの説明で特に注記されていないかぎり、プロファイルキーワードは初期インストールオプションだけで使用できます。

表 28–2 プロファイルキーワード
 

インストール方法 

プロファイルキーワード 

スタンドアロンシステム (ネットワークに接続されていない) 

スタンドアロンシステム (ネットワークに接続されている) またはサーバー 

OS サーバー 

アップグレード 

ディスク容量の再配置を使用するアップグレード 

archive_location (フラッシュアーカイブをインストールする場合)

   

backup_media

    

boot_device

  

bootenv createbe

  

client_arch

  

  

client_root

  

  

client_swap

  

  

cluster (ソフトウェアグループを追加する場合)

  

cluster (クラスタを追加または削除する場合)

dontuse

  

fdisk (x86 のみ)

  

filesys (リモートファイルシステムをマウントする場合)

 

  

filesys (ローカルファイルシステムを作成する場合)

  

filesys (ミラーファイルシステムを作成する場合)

 

 

forced_deployment (フラッシュ差分アーカイブをインストールする場合)

 

 

 

geo

install_type

layout_constraint

    

local_customization (フラッシュアーカイブをインストールする場合)

 

 

 

locale

no_master_check (フラッシュ差分アーカイブをインストールする場合)

 

 

 

no_content_check (フラッシュ差分アーカイブをインストールする場合)

 

 

 

num_clients

  

  

package

partitioning

 

 

root_device

system_type

 

 

usedisk

  

プロファイルキーワードの説明と例

archive_location プロファイルキーワード

archive_location retrieval_type location

retrieval_typelocation の値は、フラッシュアーカイブの格納場所によって異なります。retrieval_typelocation に使用できる値や、archive_location キーワードの使用例については、次の各項を参照してください。

ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー

アーカイブがネットワークファイルシステム (NFS) サーバーに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。


archive_location nfs server_name:/path/filename retry n
server_name

アーカイブを格納するサーバーの名前です。

path

指定したサーバーから取得するアーカイブの場所です。このパスに $HOST を含めると、フラッシュインストールユーティリティは $HOST をインストール先のクローンシステムの名前に置き換えます。

filename

フラッシュアーカイブファイルの名前です。

retry n

省略可能なキーワードです。n は、フラッシュユーティリティがアーカイブのマウントを試みる最大回数です。

たとえば、

archive_location nfs golden:/archives/usrarchive

archive_location nfs://golden/archives/usrarchive

HTTP または HTTPS サーバー

アーカイブが HTTP サーバーに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。


archive_location http://server_name:port path/filename optional_keywords

アーカイブが HTTPS サーバーに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。


archive_location https://server_name:port path/filename optional_keywords
server_name

アーカイブを格納するサーバーの名前です。server_name は、ポート番号でも、実行時に決定されるポート番号を持つ TCP サービスの名前でもかまいません。

port

オプションのポートです。ポートを指定しない場合、フラッシュインストールユーティリティはデフォルトの HTTP ポート番号、80 を使用します。

path

指定したサーバーから取得するアーカイブの場所です。このパスに $HOST を含めると、フラッシュインストールユーティリティは $HOST をインストール先のクローンシステムの名前に置き換えます。

filename

フラッシュアーカイブファイルの名前です。

optional_keywords

フラッシュアーカイブを HTTP サーバーから取得するときに指定できるオプションのキーワードです。

表 28–3 optional_keywords で使用可能なオプションのキーワード

キーワード 

値の定義 

auth basic user_name password

アーカイブがパスワード保護された HTTP サーバーに格納されている場合は、その HTTP サーバーへのアクセスに必要なユーザー名とパスワードをプロファイルに含める必要があります。 


注 –

カスタム JumpStart で使用しようとするプロファイルにおいてこの認証方法を使用することは、リスクを伴います。これは、承認されていないユーザーが、パスワードが入ったプロファイルにアクセスできる可能性があるためです。


timeout min

timeout キーワードには、HTTP サーバーからのデータ受信を待機する最長の時間を分単位で指定できます。この時間に達すると、接続が切断されて、再接続が行われ、タイムアウトが発生した地点から再開されます。timeout 値として 0 (ゼロ) を指定すると、何も起きないため再接続されません。

タイムアウトによる再接続が発生すると、フラッシュインストールユーティリティはアーカイブを取得した最後の位置からインストールの再開を試みます。この位置でのインストールの再開が不可能な場合、アーカイブの初めから再度データの取得が行われ、タイムアウト前に取得されたデータは破棄されます。 

proxy host:port

proxy キーワードを使用して、プロキシホストとプロキシポートを指定できます。プロキシホストを使用すると、ファイアウォール越しにフラッシュアーカイブを取得できます。proxy キーワードを指定する場合は、プロキシポートを指定する必要があります。

例:

archive_location http://silver/archives/usrarchive.flar timeout 5 

auth basic user_name password キーワードの例:

archive_location http://silver/archives/usrarchive.flar timeout 5 user1 secret

FTP サーバー

アーカイブが FTP サーバーに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。


archive_location ftp://user_name:password@server_name:port path/filename optional_keywords
user_name:password

プロファイルファイルにおいて、FTP サーバーにアクセスするために必要なユーザー名とパスワードです。

server_name

アーカイブを格納するサーバーの名前です。server_name は、ポート番号でも、実行時に決定されるポート番号を持つ TCP サービスの名前でもかまいません。

port

オプションのポートです。ポートを指定しない場合、フラッシュインストールユーティリティはデフォルトの FTP ポート番号 21 を使用します。

path

指定したサーバーから取得するアーカイブの場所です。このパスに $HOST を含めると、フラッシュインストールユーティリティは $HOST をインストール先のクローンシステムの名前に置き換えます。

filename

フラッシュアーカイブファイルの名前です。

optional_keywords

フラッシュアーカイブを FTP サーバーから取得するときに指定できるオプションのキーワードです。

表 28–4 archive_location ftp で使用可能なオプションのキーワード

キーワード 

値の定義 

timeout min

timeout キーワードには、FTP サーバーからのデータ受信を待機する最長の時間を分単位で指定できます。この時間に達すると、接続が切断されて、再接続が行われ、タイムアウトが発生した地点から再開されます。timeout 値として 0 (ゼロ) を指定すると、何も起きないため再接続されません。

タイムアウトによる再接続が発生すると、フラッシュインストールユーティリティはアーカイブを取得した最後の位置からインストールの再開を試みます。この位置でのインストールの再開が不可能な場合、アーカイブの初めから再度データの取得が行われ、タイムアウト前に取得されたデータは破棄されます。 

proxy host:port

proxy キーワードを使用して、プロキシホストとプロキシポートを指定できます。プロキシホストを使用すると、ファイアウォール越しにフラッシュアーカイブを取得できます。proxy キーワードを指定する場合は、プロキシポートを指定する必要があります。

例:

archive_location ftp://user1:secret@silver/archives/usrarchive.flar timeout 5

ローカルテープ

アーカイブがテープに格納されている場合は、archive_location プロファイルキーワードに次の構文を使用します。


archive_location local_tape device  position
device

フラッシュアーカイブを格納したテープドライブの名前です。デバイス名が正規のパスである場合は、フラッシュインストールユーティリティはデバイスノードへのパスからアーカイブを取得します。正規のパスでないデバイス名を指定した場合は、フラッシュインストールユーティリティはパスに /dev/rmt/ を加えます。

position

アーカイブを保存したテープドライブ上の位置を示します。位置が指定されないと、フラッシュインストールユーティリティはテープドライブの現在の位置からアーカイブを取得します。position を指定することにより、テープドライブ上でアーカイブの前に開始スクリプトまたは sysidcfg ファイルを配置できます。

たとえば、

archive_location local_tape /dev/rmt/0n 5

archive_location local_tape 0n 5

ローカルデバイス

ファイルシステム指向のランダムアクセスデバイス (フロッピーディスクや CD-ROM など) にフラッシュアーカイブを格納した場合は、ローカルデバイスからフラッシュアーカイブを取得できます。archive_location プロファイルキーワードには次の構文を使用します。


注 –

ローカルテープ用の構文を使用すると、ストリーム指向のデバイス (テープなど) からアーカイブを取得できます。



archive_location local_device device path/filename file_system_type
device

フラッシュアーカイブを格納したドライブの名前です。デバイス名が正規のパスである場合は、デバイスは直接マウントされます。正規のパスでないデバイス名を指定すると、フラッシュインストールユーティリティはパスに /dev/dsk/ を加えます。

path

フラッシュアーカイブへのパスです (指定したデバイス上のファイルシステムのルートからの相対的なパス)。このパスに $HOST を含めると、フラッシュインストールユーティリティは $HOST をインストール先のクローンシステムの名前に置き換えます。

filename

フラッシュアーカイブファイルの名前です。

file_system_type

デバイス上のファイルシステムのタイプを指定します。ファイルシステムのタイプを指定しない場合、フラッシュインストールユーティリティは、UFS ファイルシステムのマウントを試みます。UFS のマウントに失敗すると、フラッシュインストールユーティリティは HSFS ファイルシステムのマウントを試みます。

たとえば、

UFS ファイルシステムとしてフォーマットされているローカルハードディスクからアーカイブを取得するには、次のコマンドを使用します。

archive_location local_device c0t0d0s0 /archives/$HOST

HSFS ファイルシステムを持つローカル CD-ROM からアーカイブを取得するには、次のコマンドを使用します。

archive_location local_device c0t0d0s0 /archives/usrarchive

ローカルファイル

クローンシステムをブートしたミニルートに格納したローカルファイルのアーカイブを取得できます。カスタム JumpStart インストールを実施する時に、CD-ROM または NFS ベースのミニルートからシステムをブートします。このミニルートからインストールソフトウェアがロードされ、実行されます。したがって、CD-ROM または NFS ベースのミニルートに格納したフラッシュアーカイブは、ローカルファイルとしてアクセスできます。archive_location プロファイルキーワードには次の構文を使用します。


archive_location local_file path/filename 
path

アーカイブの位置です。このパスは、システムを Solaris INSTALLATION CD または Solaris DVD からブートしている間、システムにローカルファイルとしてアクセスできるものでなければなりません。Solaris INSTALLATION CD または Solaris DVD からブートしている間は、システムは /net にアクセスできません。

filename

フラッシュアーカイブファイルの名前です。

例:

archive_location local_file /archives/usrarchive

backup_media プロファイルキーワード

backup_media type path

注 –

backup_media は、ディスク容量の再配置が必要なアップグレードオプションだけで使用できます。


backup_media は、ディスク容量不足のためにアップグレード中にディスク容量の再配置が必要なファイルシステムのバックアップをとるために使用するメディアを定義します。バックアップ用に複数のテープまたはフロッピーディスクが必要な場合は、アップグレード中にテープまたはフロッピーディスクの挿入を求めるプロンプトが表示されます。

有効な type

有効な path

仕様 

local_tape

/dev/rmt/n

アップグレードされるシステムのローカルテープドライブを指定する。path は、テープドライブのキャラクタ型 (raw) デバイスパスである必要がある。n はテープドライブの番号

local_diskette

/dev/rdisketten

アップグレードされるシステムのローカルフロッピーディスクドライブを指定する。path は、フロッピーディスクドライブのキャラクタ型 (raw) デバイスパスである必要がある。n はフロッピーディスクドライブの番号

バックアップに使用するフロッピーディスクはフォーマットされていなければならない 

local_filesystem

/dev/dsk/cwtxdysz

/file_system

アップグレードされるシステムのローカルファイルシステムを指定する。アップグレードで変更されるローカルファイルシステムは指定できない。path は、ディスクスライスのブロックデバイスパスでもかまわない。たとえば、/dev/dsk/cwtxdysz 内の tx は必須ではない。あるいは、path/etc/vfstab ファイルによってマウントされたファイルシステムへの絶対パスでもかまわない

remote_filesystem

host:/file_system

リモートシステムの NFS ファイルシステムを指定する。path は、リモートシステム (host) の名前または IP アドレスと、NFS ファイルシステム (file_system) への絶対パスを含まなければならない。NFS ファイルシステムは、読み取り権と書き込み権を持っている必要がある

remote_systemuser@host:/directory

リモートシェル (rsh) で到達できるリモートシステム上のディレクトリを指定する。アップグレードされるシステムは、リモートシステムの .rhosts ファイル経由で、リモートシステムにアクセスできなければならない。path は、リモートシステム (host) の名前と、そのディレクトリ (directory) への絶対パスを含まなければならない。ユーザーログイン (user) を指定しないと、スーパーユーザーとしてログインされる

たとえば、

backup_media local_tape /dev/rmt/0

backup_media local_diskette /dev/rdiskette1

backup_media local_filesystem /dev/dsk/c0t3d0s4

backup_media local_filesystem /export

backup_media remote_filesystem system1:/export/temp

backup_media remote_system user1@system1:/export/temp

boot_device プロファイルキーワード

boot_device device eeprom

boot_device には、JumpStart がルート (/) ファイルシステムをインストールするデバイスと、システムのブートデバイスを指定します。

boot_device キーワードをプロファイルに指定しない場合、インストール中にデフォルトで次の boot_device キーワードが指定されます。 boot_device any update

device – 以下の値のいずれかを使用して、ブートデバイスにするデバイスを指定します。

eeprom - システムの EEPROM を変更または保存する場合に選択します。

SPARC:システムの EEPROM を、指定したブートデバイスに変更または保存する場合に選択します。

x86:preserve 値を指定する必要があります。


注 –

SPARC:SPARC システムでは、システムの現在のブートデバイスを変更する場合、eeprom の値でもシステムの EEPROM を変更できます。これにより、システムは新しいブートデバイスから自動的にブートできます。


例:

boot_device c0t0d0s2 update

注 –

boot_device は、ルートファイルシステムを指定する filesys キーワードと root_device キーワード (指定した場合) に一致する必要があります。


bootenv createbe プロファイルキーワード

bootenv createbe bename new_BE_name filesystem mountpoint:device:fs_options 
[filesystem...]

bootenv createbe キーワードを使用すると、オペレーティング環境のインストールと同時に、空の非アクティブブート環境を作成できます。少なくとも、ルート (/) ファイルシステムを作成する必要があります。作成時にはファイルシステムは空のままです。後で、この非アクティブブート環境にフラッシュアーカイブをインストールできます。アーカイブをインストールした後でこのブート環境をアクティブにし、このブート環境からシステムを稼働できます。bename および filesystem の値を次に示します。

bename new_BE_name

bename は、新しく作成するブート環境の名前を指定します。new_BE_name は、30 文字以内の英数字で指定してください。マルチバイト文字は使用できません。この名前は、システム上で一意となるように指定する必要があります。

filesystem mountpoint:device:fs_options

filesystem は、新しいブート環境に作成するファイルシステムの種類と数を決定します。少なくとも、ルート (/) ファイルシステムを置くスライスを指定する必要があります。複数のファイルシステムを同一のディスクに置くことも、複数のディスクに分散することもできます。

  • mountpoint には、任意の有効なマウントポイント、またはスワップスライスを示す - (ハイフン) を指定できます。

  • device には、インストール対象であるオペレーティング環境が最初に起動したときに利用可能なデバイスを指定してください。このデバイスは、free などの JumpStart の特殊な記憶装置とは無関係です。デバイスとして Solaris ボリュームマネージャのボリュームや Veritas Volume Manager のボリュームを指定することはできません。device はディスクデバイスの名前で、/dev/dsk/cwtxdysz という形式で表されます。

  • fs_options には、次のいずれかを指定できます。

    • ufs: UFS ファイルシステムを示す

    • swap: スワップファイルシステムを示す。スワップマウントポイントはハイフン () で表す

プロファイルの例とこのキーワードの基本的な使用方法については、次の関連情報を参照してください。

client_arch プロファイルキーワード

client_arch karch_value ...

client_arch は、OS サーバーが、それ自体が使用するものとは異なるプラットフォームグループをサポートすることを定義します。client_arch を指定しない場合、OS サーバーを使用するどのディスクレスクライアントも、サーバーと同じプラットフォームグループでなくてはなりません。OS サーバーにサポートさせたいプラットフォームグループをすべて指定する必要があります。

karch_value に有効な値は、sun4msun4u、および i86pc です。プラットフォーム名と各種のシステムの詳細は、『Solaris 9 ハードウェアマニュアル』を参照してください。


注 –

client_arch は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


client_root プロファイルキーワード

client_root root_size

client_root は、各クライアント用に割り当てるルート領域の大きさ (root_size、M バイト単位) を定義します。サーバーのプロファイルに client_root を指定しないと、インストールソフトウェアは 1 つのクライアント当たり 15M バイトのルート領域を割り当てます。このクライアント用のルート領域の大きさは、num_clients キーワードを組み合わせて、/export/root ファイルシステム用に確保する領域の大きさを決定するときに使用されます。


注 –

client_root は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


client_swap プロファイルキーワード

client_swap swap_size

プロファイル内の client_swap は、各ディスクレスクライアントに割り当てるスワップ領域の大きさ (swap_size、M バイト単位) を定義します。client_swap を指定しない場合、32M バイトのスワップ領域がデフォルトで割り当てられます。

例:

client_swap 64

この例は、各ディスクレスクライアントが 64M バイトのスワップ領域を持つことを定義します。


注 –

client_swap は、system_typeserver を指定したときだけ使用できます。


スワップサイズを決定する方法

プロファイルがスワップのサイズを指定していない場合、JumpStart プログラムはシステムの物理メモリーに基づいてスワップ空間のサイズを決定します。表 28–5 に、カスタム JumpStart インストール中にスワップのサイズがどのように決定されるかを示します。

表 28–5 スワップのサイズの決定

物理メモリー (単位: M バイト) 

スワップ領域 (単位: M バイト) 

16–64 

32 

64–128 

64 

128–512 

128 

512 を超える場合 

256 

JumpStart プログラムはスワップのサイズがスワップが作成されるディスクの 20% を超えないようにします。ただし、他のファイルシステムを配置した後に空き領域が残っている場合を除きます。空き領域が残っている場合、JumpStart プログラムは空き領域をスワップに割り当てて、 可能であれば、表 28–5に示す量を割り当てます。


注 –

物理メモリーとスワップ領域の合計は、32M バイト以上必要です。


cluster プロファイルキーワード (ソフトウェアグループの追加)

cluster group_name

cluster は、どのソフトウェアグループをシステムに追加するかを指定します。各ソフトウェアグループの group_name 名は次のとおりです。

ソフトウェアグループ 

group_name

コアシステムサポート 

SUNWCreq

エンドユーザーシステムサポート 

SUNWCuser

開発者システムサポート 

SUNWCprog

全体ディストリビューション 

SUNWCall

全体ディストリビューションと OEM サポート 

SUNWCXall

1 つのプロファイルに指定できるソフトウェアグループの数は 1 つだけです。ソフトウェアグループは、ほかの cluster エントリおよび package エントリよりも前に指定する必要があります。プロファイル内の cluster でソフトウェアグループを指定しない場合、デフォルトによりエンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループ (SUNWCuser) がシステムにインストールされます。

cluster プロファイルキーワード (クラスタの追加または削除)

cluster cluster_name add_delete_switch

注 –

cluster (クラスタの追加または削除) は、初期インストールオプションとアップグレードオプションの両方で使用できます。


cluster は、システムにインストールされるソフトウェアグループにクラスタを追加または削除するかを指定します。

cluster_nameSUNWCname 形式で指定します。インストールが終了したシステムで Admintool を起動し、「ブラウズ」メニューから「ソフトウェア」を選択すると、クラスタの詳細情報とクラスタ名を表示できます。

add_delete_switch は、オプション add または delete を示します。このオプションを使用すると、指定したクラスタを追加または削除できます。add_delete_switch を指定しないと、デフォルトによって add が使用されます。

次に、アップグレード時に cluster (クラスタの追加または削除) を使用した場合の動作を示します。

dontuse プロファイルキーワード

dontuse disk_name ...

partitioning default が指定されると、デフォルトではシステム上のすべての使用可能ディスクが使用されます。dontuse は、JumpStart プログラムに使用させないディスク (1 つ以上) を指定するために使用します。disk_namecxtydzまたは cydz 形式 (たとえば、c0t0d0)で指定する必要があります。


注 –

1 つのプロファイルで、dontuse キーワードと usedisk キーワードを同時に指定することはできません。


x86: fdisk プロファイルキーワード

fdisk disk_name type size

fdisk は、x86 システムで fdisk パーティションを設定する方法を定義します。fdisk は 2 回以上指定できます。次に、fdisk によって x86 システムのパーティション設定を行う際の動作を示します。

disk_name – 次の値を使用して、fdisk パーティションを作成または削除する場所を指定します。

type – 次の値を使用し、指定したディスク上で作成または削除する fdisk パーティションのタイプを指定します。

いくつかの fdisk タイプの整数と 16 進数での表し方を次の表に示します。

fdisk タイプ

DDD

HH

DOSOS12 

1

01

PCIXOS 

2

02

DOSOS16 

4

04

EXTDOS 

5

05

DOSHUGE 

6

06

DOSDATA 

86

56

OTHEROS 

98

62

UNIXOS 

99

63

size – 次の中から 1 つを使用します。

filesys プロファイルキーワード (リモートファイルシステムのマウント)

filesys server:path server_address mount_pt_name [[mount_options]]

これらの値を指定して filesys を使用すると、JumpStart プログラムはインストールされているシステムがそのブート時に自動的にリモートファイルシステムをマウントするように設定します。filesys は 2 回以上指定できます。

例:

filesys sherlock:/export/home/user2 - /home

server:– リモートファイルシステムが存在するサーバー名 (後ろにコロンを付けます)

path – リモートファイルシステムのマウントポイント名 (例: /usr/export/home など)

server_addressserver:path で指定するサーバーの IP アドレス。ネットワーク上で実行されているネームサービスがない場合、この値 server_address を使用して、サーバーのホスト名とIP アドレスを登録している /etc/hosts ファイルを生成できます。サーバーの IP アドレスを指定しない場合は、マイナス記号 (-) を指定してください。たとえば、ネットワーク上で実行中のネームサービスがある場合、サーバーの IP アドレスを指定する必要がありません。

mount_pt_name – リモートファイルシステムをマウントするマウントポイント名

mount_options – 1 つ以上のマウントオプション (mount(1M) コマンドの -o オプションと同じ)。これらのマウントオプションは、指定された mount_pt_name/etc/vfstab エントリに追加されます。


注 –

複数のマウントオプションを指定する場合は、マウントオプションはスペースではなくコンマで区切ってください。例:ro,quota


filesys プロファイルキーワード (ローカルファイルシステムの作成)

filesys slice size [[file_system optional_parameters]]

これらの値を指定して filesys を使用すると、JumpStart プログラムによりインストール時にローカルファイルシステムが作成されます。filesys は 2 回以上指定できます。

slice – 次の中から 1 つを指定します。

size – 次の中から 1 つを使用します。

file_systemsliceany または cwtxdysz を指定しているときに、このオプション値を使用できます。この値を指定しないと unnamed がデフォルトで設定されますが、この場合 optional_parameters 値を指定できません。次のいずれかの値を使用します。

optional_parameters – 次のいずれか 1 つを使用します。

forced_deployment プロファイルキーワード (フラッシュ差分アーカイブのインストール)

forced_deployment 

forced_deployment を指定すると、クローンシステムがカスタム JumpStart の想定するシステムと異なる場合でもフラッシュ差分アーカイブを強制的にインストールします。


注意 – 注意 –

forced_deployment を使用すると、クローンシステムを期待される状態にするために、新規ファイルがすべて削除されます。ファイルを削除して良いかどうか判断できない場合には、デフォルトを使用してください。デフォルトでは、新規ファイルが削除されそうになると、インストールが停止します。


geo プロファイルキーワード

geo locale

geo は、システムにインストールする地域ロケールか、あるいはシステムのアップグレード時に追加する地域ロケールを指定します。locale に指定できる値は、次のとおりです。

値 

説明 

N_Africa

北アフリカ。エジプトを含む 

C_America

中央アメリカ。コスタリカ、エルサルバドル、グァテマラ、メキシコ、ニカラグア、パナマを含む 

N_America

北アメリカ。カナダ、アメリカ合衆国を含む 

S_America

南アメリカ。アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラを含む 

Asia

アジア。日本、韓国、中華人民共和国、台湾、タイを含む 

Ausi

オーストラリア。オーストラリア、ニュージーランドを含む 

C_Europe

中央ヨーロッパ。オーストリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、スイスを含む 

E_Europe

東ヨーロッパ。アルバニア、ボスニア、ブルガリア、クロアチア、エストニア、ラトビア、リトアニア、マケドニア、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロヴェニア、トルコを含む 

N_Europe

北ヨーロッパ。デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンを含む 

S_Europe

南ヨーロッパ。ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインを含む 

W_Europe

西ヨーロッパ。ベルギー、フランス、イギリス、アイルランド、オランダを含む 

M_East

中近東。イスラエルを含む 

上記の各地域ロケールを構成するコンポーネントロケール値の完全なリストは、付録 D 「ロケールの値 (リファレンス)」 に記載されています。


注 –

システムに追加する必要がある各ロケールごとに、geo キーワードを指定します。


install_type プロファイルキーワード

install_type initial_upgrade_flash_swith

install_typeは、システムにおいて、(既存の Solaris オペレーティング環境を) 消去して、新しい Solaris オペレーティング環境をインストールするか、既存の Solaris オペレーティング環境をアップグレードするか、あるいは、フラッシュアーカイブをインストールするかを定義します。


注 –

install_type は必須であり、各プロファイル内で最初のプロファイルキーワードとして指定する必要があります。


initial_upgrade_flash_switch には、次のオプションのうちの 1 つを使用する必要があります。


注 –

プロファイルキーワードの中には、initial_install オプションでしか使用できないものがあります。upgrade オプションでしか使用できないものもあります。また、flash_install オプションでしか使用できないものがあります。


layout_constraint プロファイルキーワード

layout_constraint slice constraint [[minimum_size]]

注 –

layout_constraint は、ディスク容量の再配置が必要なアップグレードオプションだけで使用できます。


layout_constraint は、ファイルシステムがディスク容量不足のためにアップグレード中にディスク容量を再配置する必要がある場合に、制約付き自動配置がファイルシステムで行われることを示します。

layout_constraint キーワードを指定しないと、次のように配置されます。

1 つ以上の layout_constraint キーワードを指定すると、次のように配置されます。

アップグレードにより多くの容量を必要とするファイルシステムの制約は変更できませんが (changeable とマークされなければならない)、このようなファイルシステムに layout_constraint キーワードを使用すれば、その minimum_size 値を変更できます。


注 –

自動配置がディスク容量の再配置を行う際には、より多くのファイルシステム、特にアップグレード用により多くの容量を必要とするファイルシステムと同じディスク上にあるファイルシステムを、changeable または movable であると選択します。


slice – これは、制約を指定するファイルシステムのディスクスライスです。システムのディスクスライスは cwtxdyszまたは cxdysz 形式で指定する必要があります。

constraint – 指定したファイルシステムに対して、次のいずれか 1 つの制約を選択します。

minimum_size – この値は、自動配置がディスク容量を再配置するときに、ファイルシステムに割り当てる最小サイズを指定します (基本的にファイルシステムのサイズを変更する)。まだ割り当てられていない領域が追加される場合、ファイルシステムのサイズは最終的にこの指定した値より大きくなる可能性があります。しかし、指定される値よりサイズが小さくなることはありません。minimum_size 値は省略可能です。このオプション値を使用できるのは、ファイルシステムを changeable とマークした場合だけです。最小サイズは、ファイルシステムの既存の内容に必要なサイズより小さい値には設定できません。

たとえば、

layout_constraint c0t3d0s1 changeable 200

layout_constraint c0t3d0s4 movable

layout_constraint c0t3d1s3 available

layout_constraint c0t2d0s1 collapse

local_customization プロファイルキーワード (フラッシュアーカイブのインストール)

local_customization local directory

クローンシステムに フラッシュアーカイブをインストールする前に、カスタムスクリプトを作成して、クローンシステム上のローカル構成を保存できます。local_customization キーワードは、これらのスクリプトの格納先ディレクトリを示します。local directory は、クローンシステム上のスクリプトへのパスです。配置前および配置後スクリプトの詳細は、カスタムスクリプトの作成を参照してください。

locale プロファイルキーワード

locale locale_name

注 –

locale は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


locale は、指定した locale_name に対して、どのロケールパッケージをインストール (アップグレードの場合は追加) するかを指定します。locale_name 値は、$LANG 環境変数で使用されるのと同じです。有効なロケールの値については、付録 D 「ロケールの値 (リファレンス)」を参照してください。

local キーワードを使用する場合は、次の点を考慮してください。

no_content_check プロファイルキーワード (フラッシュアーカイブのインストール)

no_content_check

フラッシュ差分アーカイブを使用してクローンシステムをインストールする場合、no_content_check キーワードを使用してファイルごとの検証を省略できます。ファイルごとの検証により、クローンシステムがマスターシステムの複製であることが保証されます。クローンシステムが元のマスターシステムの複製であることが確実である場合を除き、このキーワードの使用は避けてください。


注意 – 注意 –

no_content_check を使用すると、クローンシステムを期待される状態にするために、新規ファイルがすべて削除されます。ファイルを削除して良いかどうか判断できない場合には、デフォルトを使用してください。デフォルトでは、新規ファイルが削除されそうになると、インストールが停止します。


no_master_check プロファイルキーワード (フラッシュアーカイブのインストール)

no_master_check

フラッシュ差分アーカイブを使用してクローンシステムをインストールする場合、no_master_check キーワードを使用して、クローンシステムが元のマスターシステムから構築されたものかどうかのチェックを省略できます。クローンシステムが元のマスターシステムの複製であることが確実である場合を除き、このキーワードの使用は避けてください。フラッシュ差分アーカイブのインストールについては、カスタム JumpStart インストールを使用して フラッシュアーカイブをインストールする方法を参照してください。

num_clients プロファイルキーワード

num_clients client_num

サーバーがインストールされているときには、各ディスクレスクライアントのルート (/) と swap ファイルシステムにディスク空間が割り当てられます。num_clients は、サーバーがサポートするディスクレスクライアント数 (client_num) を定義します。num_clients を指定しないと、デフォルトで 5 つのディスクレスクライアントが割り当てられます。


注 –

num_clients は、system_typeserver として指定されているときだけ使用できます。


package プロファイルキーワード

package package_name [[add_delete_switch]]

注 –

package は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


package は、システムにインストールするソフトウェアグループにパッケージを追加または削除するかを指定します。

package_name は、SUNWname の形式で指定する必要があります。パッケージとその名前の詳細を表示するには、インストール済みシステムで pkginfo -l コマンドを使用します。

add_delete_switch は、add または delete オプションを表します。このオプションは、指定のパッケージを追加または削除するかを指定します。add_delete_switch を指定しないと、デフォルトによって add が使用されます。


注 –

いくつかのパッケージは必須であり、削除できないものもあります。各国語対応パッケージを個々に追加または削除するとき、package プロファイルキーワードは使用できません。各国語対応パッケージを追加するには、locale プロファイルキーワードを使用します。


アップグレードに package を使用すると、次の処理が行われます。

partitioning プロファイルキーワード

partitioning type

partitioning は、インストール時にファイルシステム用にディスクをスライスに分割する方法を定義します。

type – 次の中から 1 つを指定します。

プロファイルで partitioning を指定しないと、デフォルトで default タイプのパーティションが使用されます。

root_device プロファイルキーワード

root_device slice

注 –

root_device は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。


root_device は、システムのルートディスクを指定します。詳細は、システムのルートディスクを決定する方法を参照してください。

システムをアップグレードする場合、root_device は指定されるルート (/) ファイルシステムおよびその /etc/vfstab ファイルでマウントされるファイルシステムがアップグレードされることを示します。システム上で複数のルートファイルシステムがアップグレードできる場合は、root_device を指定する必要があります。slice は、cwtxdysz または cxdysz 形式で指定してください。

例:

root_device c0t0d0s2

root_device キーワードを使用する場合は、次の点を考慮してください。

システムのルートディスクを決定する方法

システムのルートディスクは、ルート (/) ファイルシステムを含むシステム上のディスクです。プロファイル内では、JumpStart プログラムがシステムのルートディスクを設定するディスク名の代わりに、この rootdisk 変数を使用できます。表 28–6 に、JumpStart プログラムがインストール用にシステムのルートディスクを決定する方法を説明しています。


注 –

システムのルートディスクサイズが確認されるのは、初期インストール時だけです。アップグレードの場合、システムのルートディスクは変更できません。


表 28–6 JumpStart がシステムのルートディスクを決定する方法 (初期インストールのみ)

手順 

操作 

プロファイル内で root_device キーワードが指定されている場合、JumpStart プログラムは rootdisk をルートデバイスに設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、boot_device キーワードが指定されている場合、JumpStart プログラムは rootdisk をブートデバイスに設定します。

プロファイル内で rootdisk が設定されていなくて、filesys cwtxdysz size / エントリが指定されている場合、JumpStart プログラムは rootdisk をエントリで指定されたディスクに設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、rootdisk.sn エントリが指定されている場合、JumpStart プログラムはシステムのディスクで、(カーネルのプローブ順で) 指定したスライス上の既存のルートファイルシステムを検索します。ディスクが見つかった場合、JumpStart プログラムは見つかったディスクに rootdisk を設定します。

プロファイル内で、rootdisk が設定されていなくて、partitioning existing が指定されている場合、JumpStart プログラムはシステムのディスクで、(カーネルのプローブ順で) 既存のルートファイルシステムを検索します。ルートファイルシステムが見つからなかった場合、あるいは複数のルートファイルシステムが見つかった場合は、エラーが発生します。ルートファイルシステムが見つかった場合、JumpStart プログラムは見つかったディスクに rootdisk を設定します。

プロファイル内で rootdisk が設定されていない場合、JumpStart プログラムは、ルートファイルシステムがインストールされるディスクに rootdisk を設定します。

system_type プロファイルキーワード

system_type type_switch

system_type は、インストールするシステムのタイプを定義します。

type_switch は、オプション standalone または server を表します。このオプションは、Solaris ソフトウェアをインストールするシステムのタイプを指定するために使用します。system_type をプロファイルに指定しないと、デフォルトによって standalone が使用されます。

usedisk プロファイルキーワード

usedisk disk_name ...

partitioning default を指定すると、デフォルトではシステム上のすべての使用可能ディスクが使用されます。usedisk プロファイルキーワードには、JumpStart プログラムに使用させる 1 つ以上のディスクを指定します。disk_name は、cxtydz または cydz 形式 (たとえば c0t0d0 または c0d0s0) で指定する必要があります。

プロファイルで usedisk を指定すると、JumpStart プログラムは usedisk キーワードで指定したディスクだけを使用します。


注 –

同じプロファイルに usedisk キーワードと dontuse キーワードを同時に指定することはできません。


カスタム JumpStart の環境変数

begin および finish スクリプトには、環境変数を使用できます。たとえば、begin スクリプトは、ディスクサイズ (SI_DISKSIZES) を抽出し、実際のディスクサイズにもとづいてシステムに特定のパッケージをインストールするかどうかを決定できます。

システムについて収集された情報は、これらの環境変数に格納されます。これらの変数は、通常、rules ファイルに使用するルールキーワードと値によって設定するかどうかが決まります。

たとえば、システムにすでにインストールされているオペレーティングシステムについての情報は、installed キーワードの使用後 SI_INSTALLED によってしか入手できません。

表 28–7 は、これらの変数とその値を説明しています。

表 28–7 インストール環境変数

環境変数 

値 

CHECK_INPUT

JumpStart ディレクトリ内の rules ファイルへのパス。ファイルは /tmp/install_config/rules にマウントされます。

HOME

インストール時のスーパーユーザーのホームディレクトリ (/tmp/root)

PATH

インストール時のシェル検索パス (/sbin:/usr/sbin/install.d:/usr:/usr/sbin:/usr/bin )

SI_ARCH

インストールクライアントのハードウェアアーキテクチャー。この変数は、rules ファイルで arch キーワードを使用する場合に設定します。

SI_BEGIN

begin スクリプトを使用している場合はその名前 

SI_CLASS

インストールクライアントをインストールするために使用されるプロファイルの名前 

SI_CONFIG_DIR

JumpStart ディレクトリへのパス。ディレクトリは /tmp/install_config にマウントされます。


注 –

SI_CONFIG_DIR 変数は、WAN ブートを利用したカスタム JumpStart インストールでは使用できません。


SI_CONFIG_FILE

JumpStart ディレクトリ内の rules ファイルへのパス。ファイルは /tmp/install_config/rules にマウントされます。

SI_CONFIG_PROG

rules ファイル

SI_CUSTOM_PROBES_FILE

custom_probes.ok ファイル。ここには、独自のルールキーワードやプローブキーワードを定義できます。custom_probes.ok ファイルを作成して使用すると、デフォルトのルールキーワードのリストを拡張できます (ルールキーワードと値の説明を参照)。また、このファイルを使用すると、デフォルトのプローブキーワードのリストも拡張できます (プローブキーワードと値を参照)。

SI_DISKLIST

コンマで区切られた、インストールクライアント上のディスク名のリスト。この変数は、rules ファイルで disksize キーワードを使用して照合する場合に設定します。SI_DISKLIST および SI_NUMDISKS 変数は、rootdisk に使用する物理ディスクを決定するために使用します (rootdisk については システムのルートディスクを決定する方法を参照)。

SI_DISKSIZES

コンマで区切られた、インストールクライアント上のディスクサイズのリスト。この変数は、rules ファイルで disksize キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_DOMAINNAME

ドメイン名。この変数は、rules ファイルで dommainname キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_FINISH

finish スクリプトを使用する場合はその名前 

SI_HOSTADDRESS

インストールクライアントの IP アドレス 

SI_HOSTID

インストールクライアントの Ethernet アドレス 

SI_HOSTNAME

インストールクライアントのホスト名。この変数は、rules ファイルで hostname キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_INSTALLED

特定のオペレーティングシステムが入っているディス クのデバイス名 (Solaris 、SunOS 、System V など)。この変数は、rules ファイルでinstalled キーワードを使用して照合する場合に設定します。SI_INST_OSSI_INST_VER は、SI_INSTALLED の値を決定するために使用します。

SI_INST_OS

オペレーティングシステムの名前。SI_INST_OSSI_INST_VER は、SI_INSTALLED の値を決定するために使用します。

SI_INST_VER

オペレーティングシステムのバージョン。SI_INST_OSSI_INST_VER は、SI_INSTALLED の値を決定するために使用します。

SI_KARCH

インストールクライアントのカーネルアーキテクチャー。この変数は、rules ファイルで karch キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_MEMSIZE

インストールクライアントの物理メモリーの量。この変数は、rules ファイルで memsize キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_MODEL

インストールクライアントのモデル名。この変数は、rules ファイルで model キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_NETWORK

インストールクライアントのネットワーク番号。この変数は、rules ファイルで network キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SI_NUMDISKS

インストールクライアントのディスク数。この変数は、rules ファイルで disksize キーワードを使用して照合する場合に設定します。SI_NUMDISKS および SI_DISKLIST 変数は、rootdisk に使用する物理ディスクを決定するために使用します (rootdisk については システムのルートディスクを決定する方法を参照)。

SI_OSNAME

Solaris 9 ソフトウェアイメージのオペレーティングシステムリリース。この変数は、たとえば、Solaris DVD または Solaris SOFTWARE 1 of 2 CD イメージ上のオペレーティングシステムのバージョンにもとづいてシステムに Solaris ソフトウェアをインストールする場合にスクリプト内に指定できます。 

SI_PROFILE

マウントされた JumpStart ディレクトリ内のプロファイルへのパス。このパスは /tmp/install_config/profile_name です。派生プロファイルを作成する場合は、SI_PROFILE/tmp/install.input ファイルが設定されます。

SI_ROOTDISK

論理名 rootdisk によって表されるディスクのデバイス名。この変数は、rules ファイルで disksize または installed キーワードを rootdisk に設定した場合に設定します。

SI_ROOTDISKSIZE

論理名 rootdisk によって表されるディスクのサイズ。この変数は、rules ファイルで disksize または installed キーワードを rootdisk に設定した場合に設定します。

SI_SYS_STATE

/a/etc/.sysIDtool.state ファイル。finish スクリプトにこのファイルを指定すれば、システムのリブート時に sysidroot プログラムからスーパーユーザーのパスワードを入力するように求めるプロンプトを表示しないようにすることができます。

SI_TOTALDISK

インストールクライアント上のディスク容量の合計。この変数は、rules ファイルで totaldisk キーワードを使用して照合する場合に設定します。

SHELL

インストール時のデフォルトシェル (/sbin/sh)

TERM

インストールクライアントの端末タイプ 

TZ

NIS または NIS+ ネームサービスに指定されているデフォルトの時間帯 

プローブキーワードと値

表 28–8 は、各ルールキーワードと対応するプローブキーワードを説明しています。


注 –

プローブキーワードは、rules ファイルの最初、またはその近くに指定してください。


表 28–8 プローブキーワードの説明

ルールキーワード 

対応するプローブキーワード 

プローブキーワードの説明 

any

なし 

  

arch

arch

カーネルアーキテクチャー (i386 または SPARC) を判断して SI_ARCH を設定します。

disksize

disks

システムのディスクサイズ (M バイト) をカーネルプローブ順 (c0t3d0s0、c0t3d0s1、c0t4d0s0) で返します。SI_DISKLISTSI_DISKSIZES SI_NUMDISKS、および SI_TOTALDISK を設定します。

domainname

domainname

システムの NIS または NIS+ ドメイン名、あるいは空白を返して、SI_DOMAINNAME を設定します。domainname キーワードは domainname(1M) の出力を返します。

hostaddress

hostaddress

システムの IP アドレス (lo0 ではない ifconfig(1M) -a の出力にリストされた最初のアドレス) を返して、SI_HOSTADDRESS を設定します。

hostname

hostname

システムのホスト名 (uname(1) -n からの出力) を返して、SI_HOSTNAME を設定します。

installed

installed

システムにインストールされた Solaris オペレーティング環境のバージョン名を返して、SI_ROOTDISKSI_INSTALLED を設定します。

Solaris リリースは検出されたが、バージョンを判断できないという場合は、返されるバージョンは SystemV になります。

karch

karch

システムのプラットフォームグループ (i86pc、sun4m、sun4 など) を返し、SI_KARCH を設定します。プラットフォーム名のリストについては、『 Solaris 9 ハードウェアマニュアル』を参照してください。

memsize

memsize

システム上の物理メモリーのサイズ (M バイト) を返して、SI_MEMSIZE を設定します。

model

model

システムのプラットフォーム名を返して、SI_MODEL を設定します。プラットフォーム名のリストについては、『 Solaris 9 ハードウェアマニュアル』を参照してください。

network

network

システムのネットワーク番号を返します。これは JumpStart プログラムがシステムの IP アドレスとサブネットマスクの論理和をとって判断します。システムの IP アドレスとサブネットマスクは、lo0 ではない ifconfig(1M) -a 出力にリストされた最初のアドレスから抽出されます。network キーワードは SI_NETWORK も設定します。

osname

osname

CD で検出された Solaris オペレーティング環境のバージョンおよびオペレーティングシステム名を返して、SI_OSNAME を設定します。

Solaris リリースは検出されたが、バージョンを判断できないという場合は、返されるバージョンは SystemV になります。

  

rootdisk

システムのルートディスクの名前とサイズ (MB) を返して、SI_ROOTDISK を設定します。

totaldisk

totaldisk

システム上のディスク領域の合計 (M バイト) を返して、SI_TOTALDISK を返します。ディスク容量の合計には、システムに接続された操作可能なディスクすべてが含まれます。