この章では、Solaris 環境でリムーバブルメディアを管理するための一般的なガイドラインについて説明します。
この章の内容は次のとおりです。
ボリューム管理の機能が拡張されて、リムーバブルメディアが完全にサポートされるようになりました。この拡張により、DVD-ROM、Iomega と USB (Universal Serial Bus) の Zip ドライブと Jaz ドライブ、CD-ROM、およびフロッピーディスクは挿入時にマウントされ、読み取ることができるようになりました。
共通デスクトップ環境 (CDE) のボリューム管理と Solaris のコマンド行の両方を使用すると、リムーバブルメディアを完全に管理することができます。
ボリューム管理の機能の向上によって、次のことが可能になりました。
新しい rmformat コマンドによる、リムーバブルメディアのフォーマット、ラベル付け、および読み取りまたは書き込みソフトウェア保護の設定。このコマンドは以前にリムーバブルメディアのフォーマットに使用していた fdformat コマンドに代わって使用するものです。
mkfs_pcfs コマンドと fsck_pcfs コマンドを使用してのリムーバブルメディアへの PCFS ファイルシステムの作成と検証。
SPARC システム上のリムーバブルメディアへの fdisk パーティションと PCFS ファイルシステムの作成。x86 システムへのデータ転送を容易にします。
リムーバブルメディアを使用する場合、次のガイドラインがあります。
DVD メディア間でデータを転送するときは、UDFS と PCFS を使用します。
書き換え可能メディア (UFS ファイルシステムを持つ PCMCIA メモリーカードやフロッピーディスクなど) 間でファイルを転送するときは、tar または cpio コマンドを使用します。SPARC システム上に作成された UFS ファイルシステムは、x86 システム上に作成された PCMCIA またはフロッピーディスク上の UFS ファイルシステムとは異なります。
Jaz ドライブや Zip ドライブ、またはフロッピーディスク上の重要なファイルを保護するには、書き込み保護を設定します。Iomega メディアにはパスワードを適用します。
リムーバブルメディアを管理する手順については、次を参照してください。
リムーバブルメディアの管理作業 |
参照先 |
---|---|
リムーバブルメディアへのアクセス | |
リムーバブルメディアのフォーマット | |
データ CD とオーディオ CD の作成 |
共通デスクトップ環境のファイルマネージャでリムーバブルメディアを使用する方法については、『Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Solaris 環境には、ユーザーとソフトウェア開発者用に、リムーバブルメディアを扱うための標準インタフェースが用意されています。ボリューム管理と呼ばれるこのインタフェースには、主に次の 3 つの利点があります。
リムーバブルメディアを自動的にマウントすることによって、操作を簡単にします。手動によるマウントと自動マウントの比較については、次の節を参照してください。
スーパーユーザーでなくても、リムーバブルメディアにアクセスできるようになります。
ネットワーク上の他のシステムがローカルシステム上のリムーバブルメディアに自動的にアクセスできるようになります。詳細については、第 18 章「リムーバブルメディアへのアクセス (手順)」を参照してください。
次の表は、リムーバブルメディアの手動によるマウント (ボリューム管理を使用しない場合) と自動マウント (ボリューム管理を使用する場合) に関する手順を比較したものです。
表 17–1 手動によるマウントと自動マウントの比較
手順 |
手動によるマウント |
自動マウント |
---|---|---|
1 |
メディアを挿入する |
メディアを挿入する |
2 |
スーパーユーザーになる |
フロッピーディスクの場合は、volcheck コマンドを使用する |
3 |
メディアデバイスの位置を確認する |
ボリュームマネージャ (vold) は、リムーバブルメディアを手動でマウントするのに必要な作業のほとんどを自動的に実行する |
4 |
マウントポイントを作成する |
|
5 |
マウントポイントが現在のディレクトリではないことを確認する |
|
6 |
mount に適切なオプションを付けて、デバイスをマウントする |
|
7 |
スーパーユーザーを終了する |
|
8 |
メディア上のファイルを操作する |
メディア上のファイルを操作する |
9 |
スーパーユーザーになる |
|
10 |
メディアデバイスのマウントを解除する |
|
11 |
メディアを取り出す |
メディアを取り出す |
12 |
スーパーユーザーを終了する |
ボリューム管理を使用すると、手動によるマウントの場合と同様にリムーバブルメディアにアクセスできますが、その操作ははるかに容易になり、スーパーユーザーになる必要もありません。リムーバブルメディアは、操作しやすいように、覚えやすい位置にマウントされます。
表 17–2 ボリュームマネージャによって管理されたリムーバブルメディア上のデータにアクセスする方法
アクセス |
操作 |
ファイルを検索する場所 |
---|---|---|
最初のフロッピーディスク上のファイル |
フロッピーディスクを挿入して、volcheck と入力する |
/floppy |
最初のリムーバブルハードディスク上のファイル |
リムーバブルハードディスクを挿入して、volcheck と入力する |
/rmdisk/jaz0 または /rmdisk/zip0 |
最初の CD 上のファイル |
CD を挿入して、数秒間待つ |
/cdrom/volume-name |
最初の DVD 上のファイル |
DVD を挿入して、数秒間待つ |
/dvd/volume-name |
最初の PCMCIA 上のファイル |
PCMCIA を挿入して、数秒間待つ |
/pcmem/pcmem0 |
システムに複数の種類のリムーバブルメディアデバイスがある場合は、そのアクセスポイントについて、次の表を参照してください。
表 17–3 リムーバブルメディアにアクセスする場所
メディアデバイス |
ファイルシステムにアクセスするためのパス |
raw データにアクセスするための場所 |
---|---|---|
最初のフロッピーディスクドライブ |
/floppy/floppy0 |
/vol/dev/aliases/floppy0 |
2 番目のフロッピーディスクドライブ |
/floppy/floppy1 |
/vol/dev/aliases/floppy1 |
最初の CD-ROM ドライブ |
/cdrom/cdrom0 |
/vol/dev/aliases/cdrom0 |
2 番目の CD-ROM ドライブ |
/cdrom/cdrom1 |
/vol/dev/aliases/cdrom1 |
最初のリムーバブルハードディスク |
/rmdisk/jaz0 /rmdisk/zip0 |
/vol/dev/aliases/jaz0 /vol/dev/aliases/zip0 |
最初の PCMCIA ドライブ |
/pcmem/pcmem0 |
/vol/dev/aliases/pcmem0 |