この章では、Solaris 環境でコマンド行からリムーバブルメディアをフォーマットする方法について説明します。
リムーバブルメディアのフォーマットに関連する手順については、リムーバブルメディアのフォーマット (作業マップ)を参照してください。
リムーバブルメディアの概要については、第 17 章「リムーバブルメディアの管理 (概要)」を参照してください。
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
1. フォーマットされていないメディアのロード |
メディアをドライブに挿入して、volcheck コマンドを実行する | |
2. メディアのフォーマット |
リムーバブルメディアをフォーマットする | |
3. (省略可能) UFS ファイルシステムの追加 |
ファイル転送にフロッピーディスクを使用する場合は、UFS ファイルシステムを追加する | |
4. (省略可能) メディアの検査 |
メディア上のファイルシステムの整合性を検査する | |
5. (省略可能) メディア上の不良ブロックの修復 |
必要に応じて、メディア上に不良ブロックがあれば修復する | |
6. (省略可能) 読み取り/書き込み保護とパスワードによる保護の適用 |
必要に応じて、読み取り/書き込み保護やパスワードによる保護をメディアに適用する |
rmformat コマンドは、スーパーユーザー以外で使用できるユーティリティであり、書き込み可能なリムーバブルメディアのフォーマットや保護に使用できます。rmformat コマンドには、次の 3 つのフォーマットオプションがあります。
quick — このオプションは、トラックを検証せずに、あるいは、検証するトラックを制限して、リムーバブルメディアをフォーマットします。
long — このオプションは、リムーバブルメディアを完全にフォーマットします。このオプションを使用してドライブ自身によるメディア全体の検証を行うデバイスもあります。
force — このオプションは、ユーザーへの確認なしに、リムーバブルメディアを完全にフォーマットします。パスワードによる保護機能を備えたメディアでは、このオプションはフォーマットを行う前にパスワードをクリアします。この機能はパスワードを忘れてしまったときに便利です。パスワードによる保護機能を備えていないメディアでは、long オプションのフォーマットが行われます。
リムーバブルメディアをフォーマットするときは、次のことに注意してください。
ファイルマネージャのウィンドウを閉じて、ファイルマネージャを終了してください。
ファイルマネージャは、フォーマットされていないメディアを挿入すると、フォーマットウィンドウを自動的に表示します。このウィンドウが表示されないようにするために、ファイルマネージャを終了してください。ファイルマネージャを開いたままにしておきたい場合は、フォーマットウィンドウが表示されてから、そのフォーマットウィンドウを終了してください。
ボリュームマネージャ (vold) はファイルシステムを自動的にマウントするため、メディアに既存のファイルシステムが含まれている場合は、メディアをフォーマットする前にマウント解除する必要があります。
この節では、リムーバブルメディアのハードウェアの面で考慮すべき事項について説明します。
フロッピーディスクをフォーマットするときは、次のことに注意してください。
フロッピーディスク名について、表 18–1 を参照してください。
名前の付いていない (「ラベル」がない) フロッピーディスクには、noname というデフォルト名が割り当てられます。
Solaris システムは、Solaris システム用と DOS システム用にフロッピーディスクをフォーマットできます。ただし、ハードウェアプラットフォームによっていくつかの制限があります。次の表に、これらの制限がまとめてあります。
プラットフォームの種類 |
フロッピーディスクのフォーマット仕様 |
---|---|
SPARC システム |
UFS 用 |
|
MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 |
|
UDFS 用 |
x86 システム |
UFS 用 |
|
MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 |
|
UDFS 用 |
UFS 用にフォーマットされたフロッピーディスクは、それらがフォーマットされたハードウェアプラットフォームに制限されます。つまり、SPARC システムでフォーマットされた UFS フロッピーディスクは、x86 システム上の UFS には使用できません。同様に、x86 システム上でフォーマットされたフロッピーディスクは SPARC システム上の UFS には使用できません。これは、SPARC と x86 とでは UFS フォーマットが異なるためです。SPARC はリトルエンディアンによるビットコーディング、x86 はビッグエンディアンによるビットコーディングを採用しています。
SunOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、SunOS ファイルシステムをサポートするための構造からなります。DOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、MS-DOS または NEC-DOS のどちらかのファイルシステムをサポートする構造からなります。フロッピーディスクを準備するために必要な手順は、ファイルシステムによって異なります。したがって、フロッピーディスクをフォーマットする前には、どの作業が必要かを決めてください。詳細については、リムーバブルメディアのフォーマット (作業マップ)を参照してください。
Solaris システム (SPARC または x86 のどちらか) では、次の密度でフロッピーディスクをフォーマットできます。
フロッピーディスクのサイズ |
フロッピーディスクの密度 |
容量 |
---|---|---|
3.5 インチ |
高密度 (HD) |
1.44M バイト |
3.5 インチ |
倍密度 (DD) |
720K バイト |
デフォルトで、フロッピーディスクドライブは、それに近い密度にフロッピーディスクをフォーマットします。つまり、デフォルトでは、1.44M バイトのドライブは、フロッピーディスクが実際に 1.44M バイトのフロッピーディスクかどうかに関係なく、特に指示しないかぎり、そのフロッピーディスクを 1.44M バイト用にフォーマットしようとします。言い換えれば、フロッピーディスクもドライブも、その容量以下にフォーマットすることは可能です。
Solaris システムは、Solaris システム用と DOS システム用に PCMCIA メモリーカードをフォーマットできます。ただし、ハードウェアプラットフォームによっていくつかの制限があります。次の表に、これらの制限がまとめてあります。
プラットフォームの種類 |
PCMCIA メモリーカードのフォーマット仕様 |
---|---|
SPARC システム |
UFS 用 |
|
MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 |
x86 システム |
UFS 用 |
|
MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 |
UFS 用にフォーマットされた PCMCIA メモリーカードは、それらがフォーマットされたハードウェアプラットフォームに制限されます。つまり、SPARC システムでフォーマットされた UFS PCMCIA メモリーカードは、x86 システム上の UFS には使用できません。同様に、x86 システムでフォーマットされた PCMCIA メモリーカードは SPARC システムでは使用できません。これは、SPARC と x86 とでは UFS フォーマットが異なるためです。
UFS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、UFS ファイルシステムをサポートする構造からなります。DOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、MS-DOS または NEC-DOS のどちらかのファイルシステムをサポートする構造からなります。PCMCIA メモリーカードを準備するために必要な手順はファイルシステムによって異なります。したがって、PCMCIA メモリーカードをフォーマットする前には、どの作業が必要かを決めてください。
メディアを挿入します。
フォーマットされているかどうかがわからない場合は、メディアを挿入し、手順 3 の説明に従って、コンソールの状態メッセージを確認してください。メディアをフォーマットする必要がある場合は、リムーバブルメディアをフォーマットする方法 (rmformat)を参照してください。
ボリューム管理に通知します。
$ volcheck -v media was found |
次の 2 つの状態メッセージのいずれかが表示されます。
ボリューム管理がメディアを検出し、表 18–1 に記述されたディレクトリにそのメディアをマウントしようとする。 メディアが正しくフォーマットされている場合は、コンソールにエラーメッセージが表示されない。 メディアがフォーマットされていない場合でも「media was found」メッセージは表示されるが、次のようなエラーメッセージがコンソールに表示される。 fd0: unformatted diskette or no diskette in the drive fd0: read failed (40 1 0) fd0: bad format メディアをフォーマットしてからでないと、ボリューム管理はそれをマウントできない。詳細は、第 19 章「リムーバブルメディアのフォーマット (手順)」を参照。 |
|
ボリューム管理は、メディアを検出しなかった。メディアが正しく挿入されていることを確認して、volcheck をもう一度実行する。うまくいかない場合は、メディアをチェックする。損傷の可能性がある。メディアを手動でマウントしてみることもできる。 |
メディアの内容を表示して、メディアがマウントされていることを確認します。
たとえば、フロッピーディスクの場合は次のように入力します。
$ ls /floppy floppy0 myfiles |
前に説明したように、floppy0 はフロッピーディスクの実際の名前へのシンボリックリンクです。この場合、myfiles が実際の名前です。正しくフォーマットされていて、名前がない場合は、unnamed_floppy と呼ばれます。
/floppy ディレクトリの下に何も表示されない場合は、フロッピーディスクがマウントされていないか、正しくフォーマットされていないかのどちらかです。これを調べるには、mount コマンドを実行して、次のような /floppy で始まる行を探してください (通常は、リストの最後にあります)。
/floppy/name on /vol/dev/diskette0/name
このような行が表示されない場合、フロッピーディスクはマウントされていません。コンソールウィンドウにエラーメッセージが表示されていないかどうか確認してください。
rmformat コマンドを使用すると、メディアをフォーマットすることができます。このコマンドは、デフォルトで、メディア上にパーティション 0 とパーティション 2 (メディア全体) という 2 つのパーティションを作成します。
ボリュームマネージャが動作していることを確認します。動作していれば、デバイス名のニックネームを使用できます。
$ ps -ef | grep vold root 212 1 0 Nov 03 ? 0:01 /usr/sbin/vold |
vold の起動方法については、ボリューム管理 (vold) を再起動する方法を参照してください。メディアのデバイス名の確認方法については、リムーバブルメディア名の使用を参照してください。
リムーバブルメディアをフォーマットします。
$ rmformat -F [ quick | long | force ] device-name |
rmformat のフォーマットオプションについては、前出の節を参照してください。
rmformat コマンドの出力によって不良ブロックが見つかった場合は、リムーバブルメディア上の不良ブロックを修復する方法の指示に従って不良ブロックを修復してください。
(省略可能) リムーバブルメディアに、Solaris 環境で使用する 8 文字のラベルを付けます。
$ rmformat -b label device-name |
DOS ラベルの作成方法については、mkfs_pcfs(1M) のマニュアルページを参照してください。
次の例は、フロッピーディスクのフォーマット方法を示しています。
$ rmformat -F quick /dev/rdiskette Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n) y ......................................................................... |
次の例は、Zip ドライブのフォーマット方法を示しています。
$ rmformat -F quick /vol/dev/aliases/zip0 Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n) y ......................................................................... |
リムーバブルメディアをフォーマットします。
$ rmformat -F quick device-name |
(省略可能) 代替の Solaris パーティションテーブルを作成します。
$ rmformat -s slice-file device-name |
スライスファイルの例は次のようになります。
slices: 0 = 0, 30MB, "wm", "home" : 1 = 30MB, 51MB : 2 = 0, 94MB, "wm", "backup" : 6 = 81MB, 13MB |
スーパーユーザーになります。
適切なファイルシステムの種類を決定し、次のいずれかの作業を選択します。
次の例は、フロッピーディスクをフォーマットし、そのフロッピーディスク上に UFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。
$ rmformat -F quick /vol/dev/aliases/floppy0 Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n) y $ su # /usr/sbin/newfs /vol/dev/aliases/floppy0 newfs: construct a new file system /dev/rdiskette: (y/n)? y /dev/rdiskette: 2880 sectors in 80 cylinders of 2 tracks, 18 sectors 1.4MB in 5 cyl groups (16 c/g, 0.28MB/g, 128 i/g) super-block backups (for fsck -F ufs -o b=#) at: 32, 640, 1184, 1792, 2336, # |
次の例は、PCMCIA メモリーカードをフォーマットし、そのカード上に UFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。
$ rmformat -F quick /vol/dev/aliases/pcmem0 $ su # /usr/sbin/newfs -v /vol/dev/aliases/pcmem0 newfs: construct a new file system /vol/dev/aliases/pcmem0:(y/n)? y . . . # |
次の例は、代替 fdisk パーティションを作成する方法を示しています。
$ rmformat -F quick /dev/rdsk/c0t4d0s2:c Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n) y $ su # fdisk /dev/rdsk/c0t4d0s2:c # mkfs -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2:c Construct a new FAT file system on /dev/rdsk/c0t4d0s2:c: (y/n)? y # |
次の例は、fdisk パーティションを作成せずに、PCFS ファイルシステムを作成する方法を示しています。
$ rmformat -F quick /dev/rdiskette Formatting will erase all the data on disk. Do you want to continue? (y/n) y $ su # mkfs -F pcfs -o nofdisk,size=2 /dev/rdiskette Construct a new FAT file system on /dev/rdiskette: (y/n)? y # |
次の例は、メディア上の PCFS ファイルシステムの整合性を検査する方法を示しています。
# fsck -F pcfs /dev/rdsk/c0t4d0s2 ** /dev/rdsk/c0t4d0s2 ** ファイルシステムのメタデータを走査する ** メタデータの不一致があれば訂正する 1457664 bytes. 0 bytes in bad sectors. 0 bytes in 0 directories. 0 bytes in 0 files. 1457664 bytes free. 512 bytes per allocation unit. 2847 total allocation units. 2847 available allocation units. # |
ドライブが不良ブロック管理をサポートしている場合にのみ、検証中に見つかった不良セクタを rmformat コマンドで検証、解析、および修復できます。ほとんどのフロッピーディスクや PCMCIA メモリカードは不良ブロック管理をサポートしていません。
ドライブが不良ブロック管理をサポートしている場合、不良ブロックを修復するための最大の努力が行われます。それでも不良ブロックを修復できなかった場合、修復に失敗したことを示すメッセージが表示されます。
リムーバブルメディア上の不良ブロックを修復します。
$ rmformat -c block-numbers device-name |
block-numbers には、前の rmformat セッションで獲得したブロック番号を 10 進数、8 進数、または 16 進数形式で指定します。
リムーバブルメディアを検証します。
$ rmformat -V read device-name |
Iomega メディア (Zip ドライブや Jaz ドライブなど) には、読み取り保護または書き込み保護を適用し、パスワードを設定することができます。
書き込み保護を有効にするか無効にするかを決定し、次のいずれかの作業を選択します。
リムーバブルメディアの書き込み保護が有効または無効になっていることを確認します。
$ rmformat -p device-name |
パスワードによる保護機能をサポートしている Iomega メディアには、最大 32 文字のパスワードを適用できます。Iomega メディアに対して読み取り保護または書き込み保護を設定するときは、必ずパスワードを使用する必要があります。このとき、パスワードを提供するように促すプロンプトが表示されます。
パスワード機能をサポートしていないリムーバブルメディア上でパスワードを適用しようとすると、警告メッセージが表示されます。
読み取り保護または書き込み保護とパスワード保護を有効または無効のどちらにするかを決定します。
読み取り保護または書き込み保護を有効にする
$ rmformat -W enable device-name Please enter password (最大 32 文字): xxx Please reenter password: |
$ rmformat -R enable device-name Please enter password (最大 32 文字): xxx Please reenter password: |
読み取り保護または書き込み保護を無効にし、パスワードを削除する
$ rmformat -W disable device-name Please enter password (最大 32 文字): xxx |
$ rmformat -R disable device-name Please enter password (最大 32 文字): xxx |
リムーバブルメディアの読み取り保護または書き込み保護が有効または無効になっていることを確認します。
$ rmformat -p device-name |
次の例は、Zip ドライブに対して書き込み保護を有効にし、パスワードを設定する方法を示しています。
$ rmformat -W enable /vol/dev/aliases/zip0 Please enter password (最大 32 文字): xxx Please reenter password: xxx |
次の例は、Zip ドライブに対して書き込み保護を無効にし、パスワードを削除する方法を示しています。
$ rmformat -W disable /vol/dev/aliases/zip0 Please enter password (最大 32 文字): xxx |
次の例は、Zip ドライブに対して読み取り保護を有効にし、パスワードを設定する方法を示しています。
rmformat -R enable /vol/dev/aliases/zip0 Please enter password (最大 32 文字): xxx Please reenter password: xxx |
次の例は、Zip ドライブに対して読み取り保護を無効にし、パスワードを削除する方法を示しています。
$ rmformat -R disable /vol/dev/aliases/zip0 Please enter password (最大 32 文字): xxx |