Solaris システムのシステム管理作業を実行する際に発生するバグの情報および注意事項について説明します。
Solaris 7 のディスクレスクライアントを構成する場合、OS サービスを追加した後、OS サービスにパッチ 106978-10 および 107456-01 を適用する必要があります。
このパッチを適用しないと、ディスクレスクライアント追加時に設定したクライアントのパスワードが、正しく反映されない場合があります。
パッチを OS サービスに追加する方法については、『『Solaris のシステム管理 (基本編)』』を参照してください。
Solaris 8、Solaris 8 6/00、Solaris 8 10/00 のディスクレスクライアントを日本語環境で構成する場合は、OS サービスを追加した後、OS サービスにパッチ 110416-02 を適用する必要があります。
このパッチを適用しないと日本語入力システム ATOK12 が正しく動作せず、 CDE 上でアプリケーションが正しく起動できないなどの問題が発生することがあります。
パッチを OS サービスに追加する方法については、『『Solaris のシステム管理 (基本編)』』を参照してください。
Solaris 2.6 3/98 または 5/98 の Sun4U ディスクレスクライアントを構成する場合は、 OS サービスを追加した後、OS サービスにパッチ 105654-03 を適用する必要があります。
このパッチを適用しないと Sun4U ディスクレスクライアントがブート中にハングアップすることがあります。
パッチを OS サービスに追加する方法については、『『Solaris のシステム管理 (基本編)』』を参照してください。
通常、cfgadm -l コマンドを実行すると、USB デバイスを含め、システム上で動的に再構成可能なハードウェアがすべて一覧表示されます。Solaris 9 4/04 ソフトウェアをインストールしたあとでは、cfgadm -l コマンドを実行しても、USB デバイスの一覧が正確には表示されない可能性があります。または、pkgadd コマンドを使用して SUNWusb パッケージを追加した場合も、USB デバイスが正確には表示されない可能性があります。
回避方法: 次のいずれかを実行してください。
Solaris 9 4/04 ソフトウェアをインストールした後では、必ずスーパーユーザーとして cfgadm -l コマンドを実行する。
Solaris 9 4/04 ソフトウェアをインストールした後では、SUNWusb パッケージを追加するのに pkgadd コマンドを使用しない。かわりに、システムに適切な方法でパッチをインストールする。
SPARC システムの場合、パッチ番号 115553-07 またはそれ以降のバージョンのパッチをインストールする。
x86 システムの場合、パッチ番号 115554-08 またはそれ以降のバージョンのパッチをインストールする。
Universal Serial Bus Architecture (USBA) モジュラーデバッガ (mdb) コマンドは、いくつかの x86 システム上では自動的に構成されないことがあります。
回避方法: USBA の mdb コマンドにアクセスするには、mdb を開始した後で次のコマンドを実行して usba mdb モジュールを手動で読み込みます。
> ::load usba |
usba mdb モジュールを読み込んだ後で、次のコマンドを実行すると、すべての USB コマンドのリストを取得できます。
> ::dcmds ! grep usb |
Solaris 9 4/04 ソフトウェアで 4G バイトを超える DVD の読み取りおよび書き込みを行うと、問題が発生します。
この問題は、32 ビット SPARC プラットフォームと x86 プラットフォームの両方で発生します。この問題は、データが 4G バイト以下の DVD の場合、または 64 ビット SPARC プラットフォームの場合には発生しません。
4G バイトごとに同じデータが繰り返されるように見えます。4G バイトを超える DVD はマウントして読み取ることは可能ですが、ファイルによっては破壊されたように見えたり、アクセスできなかったりする可能性があります。さらに、4G バイトを超えるオフセットへの書き込みは、 DVD 上の既存のデータの破壊を引き起こす可能性もあります。
回避方法: ありません。
新しいブート環境を作成するのに lucreate コマンドを使用すると、次の場合にコマンドが失敗します。
マウントされたいずれかの記憶装置のデバイスパスが、マウントされているほかの記憶装置のデバイスパスのサブセットである場合。
たとえば、1 つのファイルシステムが現在 /dev/md/dsk/d1 にマウントされていて、もう 1 つのファイルシステムが /dev/md/dsk/d10 にマウントされている場合。
マウントされているいずれかの記憶装置のデバイスパスが、lucreate コマンドの引数として使用された記憶装置のデバイスパスのサブセットである場合。
たとえば、1 つのファイルシステムが現在 /dev/md/dsk/d10 にマウントされていて、新しいブート環境のファイルシステムを指定するのに lucreate コマンドのオプションとして /dev/md/dsk/d100 が使用されている場合。
次のエラーメッセージが表示されます。このメッセージの情報は誤りです。
The file system creation utility /usr/lib/fs/ufsufs/mkfs is not available. |
Unable to create all required file systems for boot-environment. |
Cannot make file systems for boot-environment |
回避方法: そのファイルシステムがすでに使用されているほかの記憶装置のサブセットとなるようなデバイス名を持つ記憶装置で、ファイルシステムが使用されていないことを確認します。
マウントされているファイルシステムに判別があいまいな名前が存在する場合は、 Solaris ボリューム管理が使用する既存のメタデバイスの名前を変更してください。
次の回避方法では、d10 と d100 を一例として使用します。ほかにデバイス名の判別があいまいな例として、d20 と d200、d377 と d37 などがあります。ここで、d20 は d200 と、d377 は d37 と判別されます。
スーパーユーザーになります。
metarename コマンドを使用して、あいまいなメタデバイス名の 1 つを変更します。
# metarename d10 d300 |
メタデバイスの名前が d10 から d300 に変更されます。
d10 のファイルシステムは、metarename コマンドを使用する前にマウント解除する必要があります。
ファイルシステムがマウント解除されている間に、/etc/vfstab ファイルを編集します。また、名前を変更するメタデバイスの名前が記載された適切な構成ファイルを編集します。変更前のメタデバイス名の参照はすべて新しいデバイス名に変更する必要があります。
ファイルシステム上のデータにプロセスがアクセスしている場合は、システムをシングルユーザーモードにしてから、ファイルシステムをマウント解除してください。変更を行なった後でシステムをリブートします。
DNS (Domain Name Service) サーバーとして機能するシステム上のユーザーアカウントまたはグループツールで Solaris 管理コンソールから処理を実行すると、エラーが発生します。このエラーは、 DNS システム上に /etc/named.conf ファイルが存在していると、エラーが発生します。
具体的には、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) または Solaris 管理コンソールのコマンド行インタフェース smuser および smgroup の使用時に次のエラーが発生します。
ユーザーアカウントツールの場合は、Solaris 管理コンソールの新しいダイアログボックスが開くか、次のエラーメッセージとともに smuser コマンドが終了します。
"ユーザーまたは役割を表示しようとしましたが、予期しないエラーのために 失敗しました。 原因となったエラー: CIM_ERR_FAILED" |
グループツールの場合は、Solaris 管理コンソールの新しいダイアログボックスが開くか、次のエラーメッセージとともに smgroup コマンドが終了します。
"グループ名を読み取ろうとしましたが、予期しない CIM エラーによって 失敗しました: CIM_ERR_FAILED" |
回避方法: 次のいずれかを実行してください。
次の手順に従って DNS サーバーを再起動します。
スーパーユーザーになります。
たとえば次のようにして、named.conf ファイルを別のディレクトリに移動します。
# mv /etc/named.conf /var/named/named.conf |
DNS サーバーを再起動します。
# pkill -9 in.named |
# /usr/sbin/in.named /var/named/named.conf |
次の手順に従って WBEM サーバーを再起動します。
スーパーユーザーになります。
テキストエディタで /usr/sadm/lib/wbem/WbemUtilityServices.properties ファイルを開いて編集します。
文字列 /etc/named.conf を /tmp/new-filename に変更します。
すでにシステム上に存在するファイル名以外を使用してください。
WBEM サーバーを停止します。
# /etc/init.d/init.wbem stop |
WBEM サーバーを起動します。
# /etc/init.d/init.wbem start |
詳細は、smuser(1M) および smgroup(1M) のマニュアルページを参照してください。
これは、Solaris 9 4/04 (x86 版) ソフトウェアがインストールされた、Service パーティションを保持する Sun LX50 のブート時に発生します。F4 ファンクションキーを押すことで Service パーティションのブートを選択できますが、オプションを選択すると画面が空白になります。システムは Service パーティションのブートに失敗します。
回避方法: BIOS ブート画面の表示時に、F4 キーを押さないでください。タイムアウト後に「Current Disk Partition Information」画面が表示されます。type=DIAGNOSTIC に対応する「Part#」列の番号を選択します。続いて Return キーを押します。Service パーティションがブートします。
UltraSPARC II ベースのシステム上で動作する Solaris 9 4/04 リリースでは、 いくつかの訂正不可能なメモリーエラーメッセージを伴う CP イベントメッセージが、常に作成されるわけではありません。このようなシステムの例には、次のものがあります。
Sun EnterpriseTM 10000
Sun Enterprise 6500
Sun Enterprise 6000
Sun Enterprise 5500
Sun Enterprise 5000
Sun Enterprise 4500
Sun Enterprise 4000
Sun Enterprise 3500
Sun Enterprise 3000
つまり、障害のあった CPU を識別するのに必要な情報が常に得られるわけではありません。
回避方法 : 最新の情報については、 SunSolveSM の Web サイト http://sunsolve.sun.com を確認してください。
Solaris WBEM Services 2.5 デーモンは、com.sun.wbem.provider インタフェースまたは com.sun.wbem.provider20 インタフェースに書き込まれたプロバイダを検出できません。これらのインタフェースに書き込まれたプロバイダ用に Solaris_ProviderPath インスタンスを作成した場合でも、Solaris WBEM Services 2.5 デーモンはプロバイダを検出しません。
回避方法 : デーモンがこのようなプロバイダを検出できるようにするには、Solaris WBEM Services 2.5 デーモンをいったん停止してから再起動します。
# /etc/init.d/init.wbem stop # /etc/init.d/init.wbem start |
javax
API を使用してプロバイダを作成した場合は、Solaris WBEM Services
2.5 デーモンを停止してから再起動する必要はありません。Solaris WBEM Services 2.5 デーモンが javax
プロバイダを動的に認識します。
javax
アプリケーションプログラミングインタフェースではなく、com.sun アプリケーションプログラミングインタフェースを使用して WBEM ソフトウェアを開発する場合、全面的にサポートされるのは、Common
Information Model (CIM) リモートメソッド呼び出し (RMI) だけです。XML/HTTP など、他のプロトコルについては、com.sun アプリケーションプログラミングインタフェースで完全に機能するという保証はありません。
次の表に、RMI では正常に実行され、XML/HTTP では失敗する呼び出しの例を示します。
メソッド呼び出し |
エラーメッセージ |
---|---|
CIMClient.close() |
NullPointerException |
CIMClient.execQuery() |
CIM_ERR_QUERY_LANGUAGE_NOT_SUPPORTED |
CIMClient.getInstance() |
CIM_ERR_FAILED |
CIMClient.invokeMethod() |
XMLERROR: ClassCastException |
Solaris 管理コンソール (Management Console) の Mounts and Shares ツールでは、ルート (/)、/usr、/var などのシステムに必須なファイルシステム上のマウントオプションを変更できません。
回避方法 : 次のいずれかを実行してください。
mount コマンドとともに remount オプションを使用する。
# mount -F file-system-type -o remount,additional-mount-options device-to-mount mount-point |
-remount オプションを指定した mount コマンドで行なったマウント属性の変更は、一時的なものです。また、上記のコマンドの additional-mount-options の部分で指定しなかったマウントオプションのすべてがシステムによって指定されたデフォルト値を継承するわけではありません。詳細は、マニュアルページの mount_ufs(1M) を参照してください。
/etc/vfstab ファイル内の適切なエントリを編集することによって、ファイルシステムのマウントプロパティを変更し、システムを再起動する。
使用可能なメモリー容量が十分にない時に、次のエラーメッセージが表示されます。
CIM_ERR_LOW_ON_MEMORY |
CIM オブジェクトマネージャ (Object Manager) のメモリー容量が十分にない場合、エントリを追加することができません。CIM オブジェクトマネージャのリポジトリをリセットする必要があります。
回避方法 : 次のようにして CIM オブジェクトマネージャのリポジトリをリセットしてください。
スーパーユーザーになります。
CIM オブジェクトマネージャを停止します。
# /etc/init.d/init.wbem stop |
JavaSpacesTM ログディレクトリを削除します。
# /bin/rm -rf /var/sadm/wbem/log |
CIM オブジェクトマネージャを再起動します。
# /etc/init.d/init.wbem start |
CIM オブジェクトマネージャのリポジトリをリセットすると、データストアに格納されている独自の定義は失われます。定義が含まれている MOF ファイルを mofcomp コマンドを使用して再コンパイルする必要があります。次に例を示します。
# /usr/sadm/bin/mofcomp -u root -p root_password your_mof_file |
Sun ONE Console の「証明書の管理」ダイアログ等でボタンが重なって表示されたり、欠けて表示されたりという問題が発生する場合があります。
回避方法 : ウィンドウの幅を広げることでこの問題を回避できます。
admintool 上でログインシェルを sh または ksh に指定してユーザーを作成した場合、ホームディレクトリに自動生成される .profile には以下の 1 行が記述されています。
stty istrip
この行は、入力文字を 7 ビットにストリップすることを意味していますので、このままの設定ではそのユーザーが端末上で日本語入力を行うと、文字が化けてしまいます。
回避方法 : 上記の 1 行をコメントにするか、もしくは削除してください。