Solaris のシステム管理 (基本編)

UFS スナップショットの概要

Solaris リリースには、ファイルシステムのマウント中にファイルシステムをバックアップするための、fssnap コマンドが含まれています。fssnap コマンドを使用して、ファイルシステムの読み取り専用のスナップショットを作成することができます。「スナップショット」は、バックアップ操作のためのファイルシステムの一時的イメージです。

fssnap コマンドを実行すると、1 つの仮想デバイスと 1 つのバッキングストアファイルが作成されます。ユーザーは、既存の Solaris バックアップコマンドを使用して、実際のデバイスのように動作し実際のデバイスのように見える「仮想デバイス」をバックアップすることができます。「バッキングストア (backing-store)」ファイルは、スナップショット作成後に変更されたデータのコピーを含むビットマップファイルです。

なぜ UFS スナップショットを使用するか

UFS スナップショット機能を使用することで、バックアップ時に、ファイルシステムをマウントされた状態にし、システムをマルチユーザーモードにしておくことができます。これまでは、バックアップを実行するために ufsdump コマンドを使用する時は、ファイルシステムをアクティブでない状態に保つためにシステムをシングルユーザーモードにすることが推奨されていました。より確実なバックアップのために、tarcpio などの追加の Solaris のバックアップコマンドを使用して UFS スナップショットのバックアップを行うこともできます。

fssnap コマンドにより、企業レベルではないシステムの管理者が、大規模な記憶容量の必要なく、Sun StorEdgeTM Instant Image のような企業レベルツールのパワーを得ることができます。

UFS スナップショットの機能は、Instant Image 製品の機能に似ています。UFS スナップショットは大規模なファイルシステムをコピーすることができますが、企業レベルのシステムには Instant Image の方が適しています。UFS スナップショットは、小さめのシステムに適しています。Instant Image は、取り込まれるファイルシステム全体のサイズに等しい容量を割り当てます。ただし、UFS スナップショットが作成するバッキングストアファイルは、必要なディスク容量だけを占有します。

次の表は、UFS スナップショットと Instant Image との特徴的な違いを示します。

UFS スナップショット 

Sun StorEdge Instant Image 

バッキングストアファイルのサイズは、スナップショットがとられた後のデータの変更量による 

バッキングストアファイルのサイズは、コピーされるファイルシステム全体のサイズに等しい 

システムのリブート後は保持されない 

システムのリブート後も保持される 

UFS ファイルシステムで動作する 

ルート (/) または /usr ファイルシステムでは使用できない

Solaris 8 1/01 以降のリリースで使用できる 

Sun StorEdge 製品の一部 

UFS スナップショットのパフォーマンス上の問題

UFS スナップショットの初回作成時に、ファイルシステムのユーザーが短い一時停止に気づく場合があります。一時停止の時間は、取り込まれるファイルシステムのサイズに応じて増加します。スナップショットがアクティブな間、ファイルシステムへの書き込み時にユーザーが若干のパフォーマンス低下に気づく場合がありますが、ファイルシステムからの読み込み時には影響はありません。