Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

NIS 関連コマンド

NIS サービスには、特殊なデーモン、システムプログラム、コマンドが含まれています。これらのコマンドについては次の表にまとめてあります。

表 7–4 NIS コマンドについてのまとめ

コマンド名 

説明 

ypserv

NIS クライアントが要求する NIS マップの情報を提供する。 ypserv は、完全なマップセットを備えた NIS サーバー上で動作するデーモン。 NIS サービスが機能するには、少なくとも 1 つの ypserv デーモンがネットワークに存在する必要がある

ypbind

クライアントに NIS サーバーバインド情報を提供する。 ypbind は、要求元クライアントのドメイン内のマップにサービスを提供する ypserv プロセスを見つけてバインドを行う。 ypbind はすべてのサーバーとクライアント上で実行される必要がある

ypinit

自動的に入力ファイルから NIS サーバーのマップを作成する。 ypinitはまた、クライアント上に /var/yp/binding/domain/ypservers 初期ファイルを作成する際にも使用される。 NIS マスターサーバーおよび NIS スレーブサーバーを初めて設定する場合は、ypinit を使用する

make

Makefile を読み込むことで NIS マップを更新する (make/var/yp ディレクトリで実行した場合)。 make を使うと、入力ファイルに基づいてすべてのマップを更新したり、個々のマップを更新したりできる。 NIS の make の機能については、ypmake(1M) のマニュアルページに説明されている

makedbm

makedbm は入力ファイルを取得し、これを dbm.dir および dbm.pag ファイルに変換する (これらのファイルは、NIS がマップとして使用できる有効な dbm ファイル)。 また、makedbm -u と入力すると、マップを分解できるため、システム管理者はマップを構成するキーと値のペアを参照できる

ypxfr

NIS 自体を転送媒体として使い、NIS マップを遠隔サーバーから /var/yp/domain ローカルディレクトリに取り込む。 システム管理者は ypxfr を対話形式で実行したり、crontab ファイルから定期的に実行したりできる。 また、ypxfrypserv によって呼び出されると、転送が開始される

ypxfrd

ypxfr 要求 (一般にスレーブサーバーで発生する) に対してマップ転送サービスを提供する。 ypxfr は、マスターサーバー上でだけ動作する

yppush

NIS マップの新バージョンを NIS マスターサーバーからそのスレーブサーバーにコピーする。 yppush の実行は、NIS マスターサーバー上で行う

ypset

指定された NIS サーバーにバインドするように ypbind プロセスに要求する。 ypset は、セキュリティの関係上、通常のオペレーションで気軽に使用できるようには設計されていない。したがって、ypset はできる限り使用しない。 ypbind プロセスの ypset および ypsetme オプションについては、ypset(1M) および ypbind(1M) のマニュアルページを参照

yppoll

指定されたサーバー上で NIS マップのどのバージョンが動作しているかを通知する。 yppoll はまた、NIS マップのマスターサーバーを一覧表示する

ypcat

NIS マップの内容を表示する 

ypmatch

NIS マップ内の指定された 1 つ以上のキーの値を出力する。 システム管理者は、NIS サーバーマップのバージョンを指定することはできない 

ypwhich

クライアントが現在どの NIS サーバーを使用して NIS サービスを取得しているかを表示する。また、-m mapname オプションを指定してこのコマンドを起動した場合は、どの NIS サーバーが各マップのマスターサーバーであるかが表示される。 -m だけを指定した場合は、使用可能なすべてのマップ名、およびこれらのマップのマスターサーバーが表示される