Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

サービス検索記述子を使用してさまざまなサービスへのクライアントアクセスを変更する

サービス検索記述子 (SSD) を使用すると、LDAP 内の指定された操作のデフォルト検索要求を、ユーザーが定義した検索に変更できます。 たとえば、これまでカスタマイズしたコンテナ定義や別のオペレーティングシステムで LDAP を使用してきたユーザーが、Solaris 9 に移行する場合などに、SSD は特に役に立ちます。SSD を使用すると、既存の LDAP データベースおよびデータを変更せずに、Solaris 9 LDAP ネームサービスを構成できます。

idsconfig を使用して SSD を変更する

前出の Example, Inc. が LDAP を構成済みで、ユーザーを ou=Users コンテナに格納しているものとします。 これをSolaris 9 にアップグレードしましょう。定義では、Solaris 9 LDAP は、ユーザーエントリが ou=People コンテナに格納されていると想定しています。 このままでは、LDAP は passwd サービス検索時に DIT の ou=people レベルを検索するため、適切な値を検出できません。

この問題を解決する手のかかる方法の 1 つは Example, Inc. の既存のDIT を完全に置き換え、Example, Inc. のネットワーク上の既存アプリケーションすべてを書き換えて、新規 LDAP ネームサービスとの互換性を持たせる方法です。 別のはるかに望ましい解決策は、SSD を使用して、LDAP に対しユーザー情報をデフォルトの ou=people コンテナ内ではなく ou=Users コンテナ内で検索するよう指示する方法です。

idsconfig を使用して、Sun ONE Directory Server の構成時に必要な SSD を定義します。 プロンプト行は次のようになります。


Do you wish to setup Service Search Descriptors (y/n/h? y
  A  Add a Service Search Descriptor
  D  Delete a SSD
  M  Modify a SSD
  P  Display all SSD's
  H  Help
  X  Clear all SSD's

  Q  Exit menu
Enter menu choice: [Quit] a
Enter the service id: passwd
Enter the base: service ou=user,dc=west,dc=example,dc=com
Enter the scope: one[default]
  A  Add a Service Search Descriptor
  D  Delete a SSD
  M  Modify a SSD
  P  Display all SSD's
  H  Help
  X  Clear all SSD's

  Q  Exit menu
Enter menu choice: [Quit] p

Current Service Search Descriptors:
==================================
Passwd:ou=Users,ou=west,ou=example,ou=com?

Hit return to continue.

  A  Add a Service Search Descriptor
  D  Delete a SSD
  M  Modify a SSD
  P  Display all SSD's
  H  Help
  X  Clear all SSD's

  Q  Exit menu
Enter menu choice: [Quit] q