Solaris 9 9/04 インストールガイド

ミラー化コンポーネントの概要

カスタム JumpStart インストールおよび Solaris Live Upgrade では、ファイルシステムのミラー化に必要な次のコンポーネントを作成できます。

この節では、これらのコンポーネント 1 つ 1 つについて簡単に説明します。これらのコンポーネントの詳細は、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。

状態データベースと状態データベースの複製

状態データベース」は、Solaris ボリュームマネージャ構成の状態に関する情報を物理ディスクに格納するデータベースです。状態データベースは、構成に対して加えられた変更を記録および管理します。Solaris ボリュームマネージャは、構成や状態に変化があると、状態データベースを自動的に更新します。新しいボリュームの作成は、構成の変更の一例です。サブミラーの障害は、状態の変化の一例です。

状態データベースは、実際には、複製された複数のデータベースコピーの集まりです。各コピーは、「状態データベースの複製」と呼ばれ、データベース内のデータが常に有効であることを保証します。 状態データベースのコピーを複数持つことにより、単一点障害からデータを保護することができます。状態データベースは、既知の状態データベースの複製の格納場所と状態をすべて記録しています。

状態データベースとその状態データベースの複製が作成されるまで、Solaris ボリュームマネージャは動作できません。Solaris ボリュームマネージャ構成には、正常に動作する状態データベースが必要です。

構成を設定するときは、状態データベースの複製を次のどちらかに配置できます。

複数の状態データベースのコピーを 1 つのスライス上に置くこともできます。しかし、複数の状態データベースの複製を 1 つのスライスに置くと、システムが単一点障害に対してより脆弱になる可能性があります。

状態データベースの複製は、状態データベースのデータが常に有効であることを保証します。状態データベースが更新されると、個々の状態データベースの複製も更新されます。ただし、システムクラッシュによってすべての更新が失われるのを防ぐために、更新は一度に 1 つずつ行われます。

システムから 1 つの状態データベースの複製が失われると、Solaris ボリュームマネージャは、どの状態データベースの複製に有効なデータが格納されているかを判断する必要があります。そのために、Solaris ボリュームマネージャは「多数決アルゴリズム」を使用します。このアルゴリズムでは、過半数 (半数 + 1) の複製が使用可能であり、一致していれば、それらの複製を有効であるとみなします。この多数決アルゴリズムがあるため、ディスク構成を設定するときに、3 つ以上の状態データベースの複製を作成する必要があります。3 つの状態データベースの複製のうち少なくとも 2 つが使用可能であれば、コンセンサスが得られたことになります。

個々の状態データベースの複製には、デフォルトで 4M バイト (8192 ディスクセクタ) のディスク領域が使用されます。複製は、次のデバイスに格納できます。

複製は、ルート (/)、 swap/usr スライス、およびファイルシステムやデータがすでに格納されているスライスには格納できません。ただし、複製を格納した後で、同じスライスにボリュームやファイルシステムを置くことができます。

状態データベースと状態データベースの複製の要件の計画については、状態データベースの複製のガイドラインと要件を参照してください。

状態データベースと状態データベースの複製の詳細は、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。

RAID-0 ボリューム (連結)

カスタム JumpStart および Solaris Live Upgrade インストールでは、RAID-0 ボリュームを作成できます。RAID-0 ボリュームの単一スライス連結は、個々のコンポーネント内にデータを順番に隣接して配置し、1 つの論理記憶ユニットを構成します。カスタム JumpStart インストールおよび Solaris Live Upgrade では、ストライプの作成や、その他の複雑な Solaris ボリュームマネージャボリュームは作成できません。

インストール時またはアップグレード時に RAID-1 ボリューム (ミラー) を作成し、これらのミラーに RAID-0 ボリュームを接続することができます。「ミラー化された」RAID-0 ボリュームを「サブミラー」と呼びます。 ミラーは 1 個以上の RAID-0 ボリュームで構成されます。インストール後、Solaris ボリュームマネージャを使用して RAID-1 ミラーボリュームを管理することにより、個々の RAID-0 サブミラーボリューム上のデータを管理できます。

カスタム JumpStart インストールでは、最大 2 つのサブミラーで構成されるミラーを作成できます。Solaris Live Upgrade では、最大 3 つのサブミラーで構成されるミラーを作成できます。実際には 2 面ミラーで十分です。3 つ目のサブミラーを構成すると、オンラインでバックアップをとることができます。この場合、バックアップのために 1 つのサブミラーがオフラインになっていても、データの冗長性は失われません。

RAID-0 ボリュームの要件の計画については、ミラーとサブミラーの要件およびガイドラインを参照してください。

RAID-0 ボリュームの詳細は、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。

RAID-1 ボリューム (ミラー)

RAID-1 ボリューム (「ミラー」) とは、同じデータのコピーを複数の RAID-0 ボリューム (単一スライスの連結) で保持しているボリュームのことです。ミラー化するためには、より多くのディスク容量が必要です。少なくとも、ミラー化するデータ量の 2 倍のディスク容量が必要になります。また、ミラー化ではデータがすべてのサブミラーに書き込まれるため、書き込み要求の処理時間が長くなります。

RAID-1 ボリュームでは、両方の RAID-0 ボリュームから同時にデータを読み取ることができるので (どちらのボリュームもすべての要求に応じることができる)、パフォーマンスが向上します。1 つの物理ディスクに障害が発生しても、パフォーマンスの低下やデータの損失なしにミラーを引き続き使用できます。

構成したミラーは、物理スライスと同じように使用できます。

既存のファイルシステムを含め、どのようなファイルシステムでもミラー化できます。また、ミラーは、データベースなど、どのようなアプリケーションにも使用できます。

RAID-1 ボリュームの要件の計画については、ミラーとサブミラーの要件およびガイドラインを参照してください。

RAID-1 ボリュームの詳細は、『Solaris ボリュームマネージャの管理』を参照してください。