Solaris 9 9/04 オペレーティング環境の概要

ネットワークの機能拡張

Solaris 9 ソフトウェアに含まれるネットワークの機能拡張は、次のとおりです。

Sun ONE Application Server の統合

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースでは SPARC プラットフォーム向けの新機能です。Solaris 9 12/03 リリースでは、x86 プラットフォーム上でも利用可能になりました。

Sun ONE Application Server 7, Platform Edition (旧名称は iPlanetTM Application Server) は、Solaris オペレーティングシステムに統合されました。Application Server の Platform Edition は、エンタープライズクラスのアプリケーションサービスおよび Web サービスの基盤になります。このサーバーは、高性能、省メモリーの Java 2 Platform, Enterprise Edition (J2EETM) を提供します。J2EE を使用して、エンタープライズアプリケーションや Web サービスの開発、配備、および管理が、広範なサーバー、クライアント、およびデバイス上で実現可能となります。

Sun ONE Application Server を使用することにより、新しい Java アプリケーションや XML (Extensible Markup Language) アプリケーションの移植性が高まり、開発期間の短縮を図ることができます。これらの新しいアプリケーションは、J2EE 1.3 プラットフォームと互換性があります。Sun ONE Application Server を使用して、開発者は、JavaServer PagesTM (JSPTM)、Java サーブレット、および Enterprise JavaBeansTM (EJBTM) の各テクノロジをベースにするアプリケーションを構築できます。これらのテクノロジは、小規模の部門内アプリケーションからエンタープライズ規模の基幹サービスに至るまで、広範なビジネス要件をサポートします。

主な特徴は、次のとおりです。

次の名称が変更されています。

詳細は、Sun ONE Application Server 7 Update 1 Collection (Solaris Edition) - Japaneseを参照してください。このコレクションの詳細は、「Solaris 9 8/03 リリースの新規マニュアルおよび改訂マニュアル」を参照してください。http://wwws.sun.com/software/products/appsrvr/home_appsrvr.html も参照してください。

それぞれの使用許諾権については、バイナリコードライセンスを参照してください。

Sun ONE Message Queue

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースでは SPARC プラットフォーム向けの新機能です。Solaris 9 8/03 リリースでは x86 プラットフォーム上でも利用可能になりました。

Solaris ソフトウェアでは、Java Messaging Service (JMS) アプリケーションをサポートしています。今回の Solaris リリースでは、JMS プロバイダとして Sun ONE Message Queue (旧名称は iPlanet Message Queue for Java) を使用します。

JMS のメッセージングにより、アプリケーションおよびアプリケーションコンポーネントの非同期メッセージ交換および信頼性を実現しています。異なるプラットフォーム上および異なるオペレーティングシステム上で実行されるプロセスが共通のメッセージサービスに接続して、情報の交換ができます。

Sun ONE Message Queue, Platform Edition は、JMS 仕様の完全な実装を提供します。Message Queue では、次のような機能を提供しています。

詳細は、『Sun ONE Message Queue 3.0.1管理者ガイド』および『Sun ONE Message Queue 3.0.1 開発者ガイド』を参照してください。Sun ONE Message Queue のバージョンと機能については、次の Web サイトも参照してください。

http://www.sun.com/software/products/message_queue/

TCP マルチデータ転送

マルチデータ転送 (MDT) は、64 ビットのカーネルを実行するシステムでのみ利用できます。この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

MDT では、ネットワークスタックから同時に複数のパケットをネットワークデバイスドライバに送信できます。この機能を使用すると、ホストの CPU 使用率やネットワークのスループットが改善され、パケットあたりの処理コストが削減されます。

マルチデータ転送機能を利用できるのは、この機能をサポートするデバイスドライバのみです。

MDT パラメータを使用するには、/etc/system ファイルを編集して、次のパラメータを有効にする必要があります。

set ip:ip_use_dl_cap = 0x1

デフォルトの設定では、MDT は無効になっています。次のコマンドを実行すると、TCP/IP スタックにより、MDT が有効になります。

# ndd -set /dev/ip ip_multidata_outbound 1

MDT を有効にする前に、次の点を確認してください。

詳細は、『Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル』および ip(7P) のマニュアルページを参照してください。

インターネットプロトコルバージョン 6 (IPv6、Internet Protocol Version 6) 6to4 ルーター

この機能は、Solaris 9 4/03 リリースで追加されました。

6to4 トンネルをサポートするルーターを 1 個以上構成することにより、IPv6 ネットワークからインターネットプロトコルバージョン 4 (IPv4) ネットワーク経由でパケットを転送できるようになりました。システム管理者は、6to4 トンネルを使って、IPv4 ネットワークから IPv6 ネットワークへ移行できます。この機能は、RFC 3056 および 3068 を実装しています。

IPv6 の詳細は、『IPv6 の管理』を参照してください。

IPv6 経由のパケットトンネリング

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

この機能により、IPv6 経由の IPv4 トンネリング、および IPv6 経由の IPv6 トンネリングという IPv6 経由のパケットトンネリングが可能になります。IPv4 パケットまたは IPv6 パケットは IPv6 パケットでカプセル化できます。

詳細は、『IPv6 の管理』を参照してください。

単体 Solaris マシン上での Web サイトのマルチホスト

この機能は、Solaris 9 12/02 リリースで追加されました。

Solaris Network Cache and Accelerator (NCA) カーネルモジュールは、Web サーバーのマルチインスタンスをサポートします。これにより、Solaris マシン上で IP アドレスベースの仮想 Web ホスティングを行うことができます。Solaris は、/etc/nca/ncaport.conf という名前の単一の構成ファイルを使って、NCA ソケットを IP アドレスに割り当てます。

詳細は、ncaport.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

IP サービス品質 (IPQoS)

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

システム管理者は IP サービス品質 (IPQoS) により、顧客や重要なアプリケーションに対して異なるレベルのネットワークサービスを提供できます。IPQoS を使用することによって、管理者はサービスレベルに関する条項を設定できます。これらの条項により、ISP (インターネットサービスプロバイダ) のクライアントに対して、価格に基づいて異なるレベルのサービスを提供できます。企業も IPQoS を使用することによって、アプリケーション間で優先順位をつけることができます。これにより、アプリケーションの重要度に応じて、より高い品質のサービスを提供できます。

詳細は、『IPQoS の管理』を参照してください。

IP サービス品質 (IPQoS) のユーザーセレクタ

この機能は、Solaris 9 8/03 リリースで追加されました。

Solaris IPQoS 機能に、これまでの uid セレクタを補うユーザーセレクタが追加されました。このユーザーセレクタでは、ipqosconf ファイルの filter 節に、条件としてユーザー名またはユーザー ID を指定できます。これまでの uid セレクタでは、ユーザー ID しか指定できませんでした。以下は、ユーザーセレクタを使用する場合の ipqosconf ファイルの filter 節の抜粋です。


filter {
        name myhost;
        user root;
}

フィルタとセレクタの詳細は、『IPQoS の管理』および ipqosconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

Routing Information Protocol Version 2 (RIPv2)

この機能は、Solaris 9 9/02 リリースで追加されました。

Solaris システムソフトウェアは、Routing Information Protocol のバージョン 2 (RIPv2) をサポートします。

RIPv2 では、クラスレスドメイン間ルーティング (CIDR) および 可変長サブネットマスク (VLSM) 拡張機能が RIPv1 プロトコルに追加されています。MD5 (Message Digest 5) 拡張機能により、悪意のあるユーザーによって故意に引き起こされる誤った転送からルーターを保護します。新しい in.routed 実装には、組み込みの Internet Control Message Protocol (ICMP) ルーター発見 (RFC 1256) 機構も含まれています。

RIPv2 は、ポイントツーポイントのリンクがマルチキャストで有効になる場合には、マルチキャストをサポートします。RIPv2 では、ユニキャストもサポートします。 /etc/gateways ファイルを使用してブロードキャストアドレスを構成した場合は、RIPv2 でブロードキャストをサポートします。

RIPv2 の構成方法については、in.rdisc(1M)in.routed(1M)、および gateways(4) のマニュアルページを参照してください。