通常は、状態データベースの複製を異なるスライス、ドライブ、コントローラに分散させて、単一点障害を避けるようにするのが最善の方法です。 これは、単一のコンポーネントに障害が発生した場合でも、大半の複製を利用可能な状態に保つ必要があるからです。 デバイス障害などによって複製が失われると、Solaris ボリュームマネージャの動作やシステムの再起動に問題が生じることがあります。 Solaris ボリュームマネージャが動作するためには、少なくとも半数の複製が有効でなければならず、システムをマルチユーザーモードで再起動するためには過半数 (半数+1) の複製が有効でなければなりません。
状態データベースの複製を使用するときは、「状態データベースの複製に関する推奨事項」と 「状態データベースの複製に関する指針」を考慮してください。
状態データベースの複製は、4M バイト以上の容量を持つ専用スライス上に作成します。 必要であれば、状態データベースの複製を、RAID 0 / RAID 1 / RAID 5 ボリューム、ソフトパーティション、またはトランザクション (マスターまたはログ) ボリュームの一部として使用されるスライス上に作成することもできます。 ただし、その場合は、スライスをボリュームに追加する前に複製を作成する必要があります。 Solaris ボリュームマネージャは、スライスの先頭部分を状態データベースの複製用に予約しています。
状態データベースの複製を既存のファイルシステムや、ルート (/)、/usr、swap ファイルシステムに作成することはできません。 必要であれば、swap 領域を使用して新しいスライスを作成してから (スライス名が使用可能であるとします)、そのスライスに状態データベースの複製を作成できます。
状態データベースの複製の数は、Solaris ボリュームマネージャの 1 つのディスクセットに対して、最低 3 つから最高 50 までを推奨します。 次のガイドラインを推奨します。
ドライブが 1 つだけのシステムでは、 3 つの複製すべてを 1 つのスライスに置く
ドライブの数が 2 から 4 のシステムでは、 各ドライブに 2 つずつ複製を置く
ドライブの数が 5 つ以上のシステムでは、 各ドライブに 1 つずつ複製を置く
データベースのように、小容量のランダム入出力に RAID 1 ボリュームを使用する場合は、RAID 1 ボリュームごとに、その RAID 1 ボリュームに接続されていない複数のスライス (および、可能であれば複数のディスクとコントローラ) 上に 2 つ以上の複製を余分に作成します。これは、最適な性能を得るために必要な作業です。
状態データベースの複製は、いつでもシステムに追加できます。 状態データベースの複製を追加すると、Solaris ボリュームマネージャの可用性が向上します。
Solstice DiskSuite から Solaris ボリュームマネージャにアップグレードしたときに、スライスが、状態データベースの複製とファイルシステムまたは論理ボリュームの間で共有されている (それぞれが異なるスライス上に置かれていない) 場合は、既存の複製を削除して、同じ場所に新しいデフォルトの複製を作成しないでください。
Solaris ボリュームマネージャの状態データベースの複製のデフォルトサイズは 8192 ブロックですが、Solstice DiskSuite のデフォルトサイズは 1034 ブロックです。 Solstice DiskSuite のデフォルトサイズの状態データベースの複製を削除し、Solaris ボリュームマネージャでデフォルトサイズの新しい複製を追加すると、共有スライスの残りの部分を占めているファイルシステムの先頭の 7158 ブロックが上書きされ、データが破壊されてしまいます。
ボリュームの一部となるスライス上に状態データベースの複製が置かれている場合、ボリュームの容量は、複製によって占有される領域分だけ少なくなります。 複製が占める領域はシリンダ単位で切り上げられるため、この領域はボリュームによってスキップされます。
状態データベースの複製のデフォルトサイズは 4M バイト (8192 ディスクブロック) です。 ディスクスライスのサイズがこれより大きい場合は、状態データベースの複製を格納できるように、スライスのサイズを変更できます。 スライスのサイズの変更については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 11 章「ディスクの管理 (手順)」を参照してください。
複数のコントローラがある場合、できるだけすべてのコントローラに均等になるように複製を分散させます。 これによって、コントローラ障害に対する冗長性が確保できるだけでなく、負荷の分散も可能になります。 同じコントローラ上に複数のディスクが存在する場合は、各コントローラで 2 つ以上のディスクに複製を配置します。