Solaris ボリュームマネージャの管理

小規模なサーバーを運用する場合の構成例

分散コンピューティング環境においては、ISP や、地理的に分散した営業所、テレコムサービスプロバイダは、類似したまたは同じサーバーを複数の場所で運用しなければならないことがよくあります。 これらのサーバーは、通常、ルーター、ファイアウォールサービス、e メールサービス、DNS キャッシュ、Usenet (ネットワークニュース) サーバー、DHCP サービスなど、さまざまな場所の要件にもっとも合った形でサービスを提供します。 これらの小規模なサーバーは、次のような共通する要件を満たす必要があります。

まず最初の構成例として、1 つの SCSI バスと 2 つの内蔵ディスクを備えた Netra システムを考えてみます。このシステムはすぐに使用できる構成となっており、分散サーバーとして基本的な機能を備えています。 Solaris ボリュームマネージャを使えば、一部またはすべてのスライスをミラー化し、冗長記憶領域を構成することにより、ディスク障害に対する保護機能を簡単に強化できます。 次の図に構成例を示します。

図 231 小規模なシステム構成

SCSI コントローラを 1 つ装備した単一システムで、2 つのディスクをミラー化し、冗長記憶領域を実現しています。

この例のような構成では、ルート (/)、/usrswap /var および、/export ファイルシステムに加え、状態データベースの複製 (ディスクごとに 1 つ) をミラー化できます。 そのため、各ミラーの片側に障害が発生しても、システム障害に至るとは限りません。通常、このようなシステムは、最大 5 つの個別の障害に耐えることができます。 しかし、このシステムは、ディスクやスライスの障害に対して十分に保護されているとはいえません。 さまざまな潜在的な障害によって致命的なシステム障害が引き起こされ、オペレータの介入が必要になる場合があります。

この構成は致命的なディスク障害に対してある程度の保護機能を備えていますが、次のような重大な単一点障害が存在します。

結論として、このシステムについては、1 つのコントローラと 1 つのハードドライブを追加した構成が「最善の構成」となります。 このように構成を修正すると、耐障害性が大幅に向上します。